定期的なバイクメンテナンスの代表格といえば、エンジンのオイル交換です。しかし、バイクで定期的に交換するのはエンジンオイルだけではありません。ブレーキフルード、クラッチフルード、ラジエター冷却水などなど、定期的にメンテナンスや交換が必要なところは、ほかにもたくさんあります。
そこで今回は、エンジンオイルのほか、定期的に交換や補充が必要なオイルやパーツ、ケミカル類について詳しく解説します。
メンテナンスに関する失敗談も書いてますので、どうぞ最後までお付き合いください。
交換時期や補充タイミング、知ってますか?
あなたのバイクのエンジンオイル交換時期を知っていますか? ブレーキフルード交換のタイミングはいつですか?
知らない場合はすぐに調べましょう。インターネットでバイクの主要諸元や整備マニュアル検索すれば、割と簡単に答えがでます。信頼できるメーカーサイトなどを参考にしましょう。
それでも分からない場合は、バイク屋さんに相談しましょう。プロに聞くのが一番です。
交換や補充、点検が必要なオイルやパーツ・ケミカル
バイクにはエンジンオイルだけではなく、点検交換・補充が必要なオイルやパーツ・ケミカルがあります。
この章では、エンジンオイルはもちろん、定期的にメンテナンスが必要なオイルやパーツ・ケミカル類などについて解説します。
エンジンオイル、オイルフィルター(エレメント)の交換
最もメンテナンス(交換)している回数が多いのは、エンジンオイルではないでしょうか。一定の走行距離か時間(月日)が経過したら、交換することが大切です。
距離を走っていなくても、半年に1回は交換するのがよいとされています。理由は、時間の経過とともにエンジンオイルも劣化するから。
そしてエンジンオイルと同じように重要なのが、オイルフィルター(エレメント)。オイルをろ過して、エンジン内の金属粉など、異物を除去する重要な働きをしています。
エンジンオイル交換2回に1回はエレメントも交換しましょう。
自分でオイル交換するなら、ポイバッグが便利。廃油の受け皿として使って、使用後はそのまま燃やすゴミで出せます。
ただし、使うときはオイルが完全に冷えてからにしてください。オイルが熱いうちに使うとビニールが溶けます。
4.5リットルサイズを選べば、ほとんどの大型のバイクにも対応できますよ。
2ストオイルの補充(2ストのみ)
2スト(2サイクル)のバイクには、2スト用の2ストオイル(モーターオイル)が必要です。2ストのエンジンは、ガソリンと一緒に2ストオイルを燃やしているので、徐々に減っていきます。
2ストオイルが切れると、エンジンが焼き付いて故障します。焼き付いてしまうと、修理できない場合もあるので注意が必要です。
走る前には2ストオイルの残量をチェックして、絶対に切らさないよう、補充しましょう。
2ストバイクのミッションオイル交換(2ストのみ)
意外に忘れやすいのが2ストバイクのミッションオイル。先ほどの「2ストオイル」とは別に、ミッション用のオイルを定期的に交換する必要があります。
使うのは4スト用のオイル。わからなければ、バイク屋さんに相談しましょう。
ドライブシャフトのオイル交換(ドライブシャフト車のみ)
駆動方式にドライブシャフトを採用しているバイクは、定期的にドライブシャフトのオイルを点検して交換しましょう。
交換時期はバイクにより違います。走行3,000kmで交換を推奨しているバイクや、10,000kmでの交換を推奨しているバイクなど、さまざまです。
バイクのレギュレーション(整備マニュアル)を確認しておきましょう。
エアクリーナーエレメントのメンテ、清掃、交換
空気中のホコリやゴミをキャッチする重要な役目をしている、エアクリーナーエレメント。知らない間に、けっこう汚れています。汚れたままだと、エンジン不調になることも。
乾式、湿式、ビスカス式など、バイクによって指定のエレメントは違います。メンテの方法も違います。まず、バイクのエアクリーナーエレメントの種類を確認しましょう。
ブレーキフルードの交換(油圧ディスクブレーキの場合のみ)
ブレーキフルードとは、油圧ディスクブレーキのキャリパーを作動させるためのオイルです。ブレーキレバーとキャリパーを結ぶ、ブレーキホースおよびマスターシリンダーの中に入っています。
ブレーキレバー近くにあるマスターシリンダーの窓から、中のブレーキフルードを見てください。茶色に濁っていたら交換時期が近いかも。ちなみに新品は無色(透明)に近いです。車種により違いますが、走行10,000〜20,000kmあたりで交換するのが一般的。乗ってなくても、1〜2年に一度は交換しましょう。交換のタイミングはバイクのレギュレーションに従ってください。
ブレーキフルードには規格(種類)があります。最も多く使われているのは、DOT4です。愛機の規格を確認しておきましょう。違う規格のブレーキフルードを入れないよう、注意が必要です。
もしもあなたが、自分でブレーキフルードを交換されるのであれば、エアを噛まないよう(ブレーキホースの中に空気が入らないよう)十分注意してください。エアを噛むと、ブレーキの効きが低下してとても危険です! 命に関わります。エアを噛んだら、きちんとエア抜きをしてください。
不安であれば、最初からバイク屋さんに任せるのがよいでしょう。専用の工具が必要なことや、手間と時間を考えれば、プロのバイク屋さんにお願いするのがベターな選択です。
クラッチフルードの交換(油圧式クラッチの場合のみ)
クラッチフルードとは、油圧でクラッチを作動させるためのオイルです。クラッチレバーとクラッチを結ぶ、クラッチホースおよびマスターシリンダーの中に入っています。
クラッチフルードも、ブレーキフルードと同じように、クラッチレバー近くのマスターシリンダーの窓を見てください。茶色に濁っていたら交換の準備をしましょう。
クラッチフルードの交換時期は、バイクにより違います。バイクのレギュレーションや整備マニュアルを確認しましょう。走行10,000〜20,000kmあたりで交換するのが一般的。乗ってなくても、1〜2年に一度は交換しましょう。
クラッチフルードの種類は、ブレーキ用と同じ物を使用するバイクが多いのですが、中にはクラッチ専用を指定しているバイクもあります。特に外車は注意が必要です。交換する前にクラッチフルードの規格を調べておきましょう。
ラジエター冷却水の補充、交換(水冷式バイクのみ)
水冷式エンジンにはラジエターがあり、ラジエターの内部を冷却水が循環しエンジンを冷却しています。冷却水の劣化や不足は、エンジンの過熱(オーバーヒート)や故障の原因になります。ラジエター内の冷却水(クーラント)も定期的に交換しましょう。減っている場合は補充してください。
冷却水の交換は、2〜3年に一度を推奨しているバイクが多いのですが、交換時期はバイクにより違います。マニュアルなどで調べておきましょう。
冷却水(クーラント)には種類があります。マニュアルを参照して、メーカー推奨の冷却水を使用しましょう。
チェーンオイルの注油
バイクのチェーンには定期的な注油が必要です。エンジンの回転(動力)を車輪に伝える重要な働きをしているチェーンのオイルが不足していると、最悪の場合チェーンが切れることがあります。切れないまでも、オイルが不足しているとチェーンの寿命が短くなります。
500〜1,000kmでの注油を推奨しているバイクが多いようです。見た目でも判断しやすいので、チェーンを観察しましょう。
チェーンには大きく分けて2つの種類があります。シールチェーンとノンシールチェーンです。チェーンの種類を確認して、そのチェーンに合ったチェーンオイルを使いましょう。チェーンオイルは、使い方をよく読んで注油してください。
ワイヤーへの注油
バイクには、数か所にワイヤーが使われています。
・クラッチワイヤー
・アクセルワイヤー
・スピードメーターワイヤー
などです。これらのワイヤーの中にも、定期的な注油が必要です。
ワイヤー内のオイルやグリスが不足すると、動きが悪く(重く)なってしまいます。最悪の場合ワイヤーが切れることもあります。ワイヤーの劣化を防ぐためにも、ワイヤーには定期的に注油しましょう。ワイヤーの種類や使う場所によりオイルやグリスの使い分けが必要です。
クラッチワイヤーなどは、自分で注油することもできます。道具を揃えてメンテするのは楽しいですよ。クラッチが軽くなってツーリングも楽しくなります。
メーターパネル内のグリスアップ
頻度(回数)は低いのですが、スピードメーターパネル内(裏・内部)にもグリスアップする場所があります。スピードメーターワイヤーとメーターパネル接合部のギアです。
このギアのグリスが不足するとスピードメーターワイヤーに負担がかかり、スピードメーターが正確な速度を示さないばかりか、スピードメーターワイヤーが切れる場合があります。
たまにでいいので、メーターパネル内部のギアにもグリスアップしましょう。
むらなすの経験談(というか失敗談)
スピードメーター内部のグリス不足が原因で、スピードメーターワイヤーが切れた経験があります。
ある日、時速40km/hで走っていたら、突然スピードメーターから「シャー」という異音が聞こえ始め、スピードメーターが異常な速度(100〜120km/h)を指し始めました。
そして、メーターの針が振り切れた次の瞬間、スピードメーターが止まってしまったのです。
原因は、スピードメーター内部ギアのグリス不足でした。ギアのグリスが不足していたため、スピードメーターワイヤーに余計な負担がかかり、スピードメーターワイヤーが切れてしまったのです。
切れたスピードメーターワイヤーは交換して1年も経ってなかったので、ワイヤーの経年劣化が原因ではありません。
皆さんもご注意を。
電装系に接点復活剤をひと吹き
ハンドルにある電装品のスイッチが反応しなくて焦った経験はありませんか? そんな時は、接点復活剤をひと吹きすれば復活する場合があります。
電装品の接点は、経年劣化や接触不良で通電しなくなる場合があります。接点復活剤を定期的に使用して、電装品の通電がスムーズになるようにしましょう。
むらなすの経験談
ある日、セルスターターが回らなくて焦ったことがあります。さらに、ハンドル周りの電装品スイッチが全滅。ニュートラルランプは点灯しているのに…なんで?
原因は、ヒューズボックス端子の接触が悪く、通電していないためでした。
ヒューズボックスやバッテリーの端子に接点復活剤を吹き付けたら、無事復活。バイクは電装品が動かなければ走れません。皆さんも電装品端子の接点と通電の状態には気を配りましょう。
交換や補充した日時を記録しよう
メモアプリの活用(むらなす式)
私「むらなす」はメンテの内容と日時をメモアプリに記録しています。忘れっぽいから。
たとえばオイル交換…「前回はいつだったっけ?」ってなります。
メモアプリに記録するようになってから「前回、いつ?」の悩みは解消されました。
バイク屋さんにメンテしてもらっている待ち時間の間、メモアプリに日付と走行距離、メンテの内容、所感などを入力します。
馴染みのバイク屋さんに「さすが」ってほめられますが…歳で忘れっぽくなったので、メモアプリに記録して、脳ミソの負担を減らしているだけです(笑)。
いつでもどこでも確認できるので、スマホのメモアプリにメンテ内容を記録するのは、オススメですよ。
自分でメンテできなくても、チェックはしましょう!
今回はエンジンオイルだけでなく、定期的なメンテナンスや交換が必要なオイル類やパーツなどをご紹介しました。
定期的なメンテナンスはもちろん、普段からバイクを観察し、チェックすることが大切です。メンテナンスでバイクの寿命は伸ばせます。バイクに楽しく乗り続けるためにもメンテナンスは重要です。
定期的に交換するエンジンオイルだけではなく、そのほかのオイルにも気を配り、パーツを観察し、ケミカル用品を使って愛機のメンテナンスをしましょう。
自分でメンテナンスできないところは、バイク屋さんに任せるのが安心です。勉強にもなります。分からないことは、バイク屋さんに質問しましょう。愛機のチェックやメンテナンスは楽しいですよ。
この記事が読者の皆様のお役に立てば嬉しいです。
それでは、また。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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