違反点数何点で免停になるんだっけ?
日本の運転免許には点数制度があります。
点数制度とは、自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。
警視庁HPによれば点数制度の主な内容は以下の通り。
運転免許点数制度
- 一般違反行為(信号無視・放置駐車違反等)に付けられている基礎点数
- 特定違反行為(酒酔い運転・ひき逃げ等)に付けられている基礎点数
- 交通事故を起こした場合の付加点数
- あて逃げ事故の場合の付加点数
この点数制度は、昭和44年10月から行われています。
最後の交通違反や交通事故の日を起算日として、過去3年間の累積点数が一定の基準に達した場合に処分の対象となります。
過去3年以内に行政処分を受けたことがない場合、6点から14点までは停止処分に、15点以上は取消処分です。
メモ
※行政処分歴が1回の場合、4点から9点で停止処分、10点以上は取消処分。行政処分歴が3回以上の場合は、2点又は3点で停止処分、4点以上は取消処分になります。
この制度は、交通事故や交通違反を繰り返す危険性の高い運転者を道路交通の場から排除し、交通事故を未然に防止して、安全な道路交通環境を確保することを目的としています。
それでは、違反1回で6点以上の違反点数が科される違反行為にはどのようなものがあるでしょうか?
携帯電話使用等(交通の危険)
警察庁によれば、令和3年中の携帯電話使用等に係る交通事故件数は、1,394件でした。
そのうち、カーナビ等を注視したことに起因する交通事故が666件と最も多く、次いで携帯電話の画像目的使用が651件だったそうです。
罰則等も令和元年12月1日から強化されており、【携帯電話使用等(交通の危険)】に掛かる罰則は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金で違反点数は6点となっています。
ちなみにもう少し罰則のゆるい【保持】の場合の罰則と違反点数は下記のとおりです。
【携帯電話使用等(保持)】の場合
罰 則:6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
反 則 金:大型車2万5千円、普通車1万8千円、二輪車1万5千円、原付車1万2千円
基礎点数:3点
バイクの場合、運転中に保持することは難しいと思いますが、スマホホルダーにスマートフォンを取り付けてナビ代わりに使用することは多いと思います。
運転中に画面を注視したり、操作したりすると1発免停の違反となりますので注意しましょう。
たまに運転中にLINEの返信をするような器用な人もいらしゃいますが、危ないので本当にやめてください。
速度超過30(高速40)以上
速度超過は、時速30km(高速道路は時速40km)オーバーから違反点数6点が加算されます。
※時速50kmオーバー以上からは違反点数12点
ちなみに一般道で時速30km以上オーバーした場合の罰則は、6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 です。
バイクはついつい速度が出てしまいます。
先日も直接の面識はないのですが友人の友人がカーブを曲がりきれずに事故を起こし32歳の若さで奥さんや小さいお子さんを遺して亡くなってしまいました。
公道はサーキットではありません。
路面の凹凸や駐停車車両、歩行者など様々な障害物があり、速度域が高くなるにつれ、それらの障害物に対応することが難しくなります。
自分や他人の人生を台無しにしないためにも安全な速度でツーリングを楽しみましょう。
無保険運行
無保険運行とは、自賠責保険に加入しないまま自動車を公道で走らせることです。
原動機付自転車を含むすべての自動車は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険に入っていなければ運転することはできません。
自賠責保険に加入せずに人身事故を起こすと、もともと自賠責保険から支払われる賠償金がすべて自己負担になります。
たとえ任意保険に加入していても、支払われるのは自賠責保険の補償限度額を超えた金額のみです。
自賠責保険に未加入で運行した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、自賠責保険の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金が科せられます。
車検のない250cc以下のバイクをお持ちの方は特に、自賠責保険の期限切れに注意しておいて下さい。
※任意保険に関してはこちらの記事が参考になります。
無車検運行
無車検運行とは言葉の通り、車検を受けないまま(車検切れのまま)自動車を公道で運転したときの違反です。
違反すると点数6点に加えて、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
車検切れになると同時に自賠責保険の期限も切れて、両方合算された点数と罰則が科せられてしまうので気をつけましょう。
車検費用を抑えたい方は、ユーザー車検に挑戦してみてはいかがでしょうか?
ご興味のある方はこちらの記事も御覧ください。
妨害運転
この違反は、いわゆる「あおり運転」のことです。
今まであおり運転に関する明確な規定はありませんでしたが、令和2年6月から「妨害運転」の定義が明示されるとともに、罰則が創設されました。
妨害運転とは、他の車両等の通行を妨害する目的で、無理な幅寄せや車間を詰めるなどの一定の違反行為を行い、他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある運転をすることです。
妨害運転には2段階あって、妨害運転(交通の危険のおそれ)では違反点数25点に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、妨害運転(著しい交通の危険)では違反点数35点に5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
それぞれの要件は下記の通り。
妨害運転の要件
-
妨害運転(交通の危険のおそれ)
(1) 他の車両等の通行を妨害する目的で行われていること
(2) 行われた行為が、「一定の違反行為」であること
(3) 道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法であること
-
妨害運転(著しい交通の危険)
(1) 上記妨害運転(交通の危険のおそれ)の罪を犯していること
(2) 高速道路で他の車両を停止させるなど、道路における著しい交通の危険を生じさせること
「一定の違反行為」とは?
- 対向車線に出ること(通行区分・道交法第17条第4項)
- 具体的な危険が無いのに急停止したり、急ブレーキをかけること(急ブレーキの禁止・道交法第24条)
- 前を走行している車両が急停止しても追突を避けるのに必要な距離を保たないで、前車を追走すること(車間距離の保持・道交法第26条)
- 正当な理由がないのに複数の車線を跨いで「ジグザグ運転」や「蛇行運転」したり、後続車が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないのに進路変更したり、進路変更禁止場所(黄色い車線の場所)で進路変更すること(進路の変更の禁止・道交法第26条の2)
- 前車を左側から追い越したり、後方や対向を走行中の車両に危険を及ぼすような方法で追い越すこと(追越しの方法・道交法第28条第1項又は第4項)
- 前方に走行車がいるのに、ハイビームで追走すること(車両等の灯火・道交法第52条第2項)
- 「警笛鳴らせ」の標識のない場所で、具体的危険が無いのにクラクションを鳴らすこと(警音器の使用等・道交法第54条第2項)
- 窓から顔や身を乗り出す、並走している車両に幅寄せする、前を見ないで運転するなど他の車両に危険を及ぼすような運転をすること(安全運転の義務・道交法第70条)
- 高速自動車国道の本線車道を走行する際、渋滞等の正当な理由がないのに時速50キロメートルに達しない速度で進行すること(最低速度・道交法第75条の4)
- 高速自動車国道又は自動車専用道路で停車、駐車すること(停車及び駐車の禁止・道交法第75条の8)
となっています。(参考:神奈川県警HP)
他の自動車の通行を妨げる目的でこれらの違反をして、それが交通の危険を生じさせる場合には妨害運転と認定されて処罰の対象です。
正当な理由がないのに複数の車線を跨いで「ジグザグ運転」や「蛇行運転」をしたり、前車を左側から追い越したりしているバイクはよく見かけます。
そんなに急いだところで到着時間は数分から数十分程度しか変わりません。
安全な速度で他の自動車に迷惑をかけないように走りましょう。
過労運転等
過労運転については、道路交通法で以下のように定められています。
道路交通法第66条(過労運転等の禁止)
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
引用:道路交通法
『正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。』ということで、曖昧な表現になっており判断が難しいところです。
違反点数は25点で、免許取消処分の対象。
睡眠不足や働きすぎによる体の怠さ等、運転するのに不安を覚えるような状態なら無理せずバイクに乗るのはやめておきましょう。
また、長距離ツーリングや数泊するような長期ツーリングでは体に疲労が蓄積しますのでこまめに休憩をして無理のないスケジュールで楽しむようにして下さい!
無免許運転
無免許運転とは、運転免許がない状態で運転することです。(免許不携帯、条件違反とは違います)
普通自動二輪しか持っていないのに大型自動二輪に乗ったりという状況が当てはまります。
中型自動車や大型自動車のように、車格自体が大幅に変わるのであれば運転するのに勇気がいりますが、バイクの場合は車格自体は殆ど変わらず、エンジンのパワーにさえなれてしまえば運転は問題なくできてしまいます。
もちろん、そもそも運転免許を持っていない人が運転する場合も無免許運転です。
違反点数は25点で免許取消処分の対象。そして3年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事処分も科せられます。
また、注意したいのは、『無免許運転の提供・同乗(教唆・幇助)など』でも無免許運転と同レベルの違反として扱われる可能性があるという所。
免許を持っていない人に運転させたり、無免許運転の人の車両に同乗することでも免許取消しの対象です。
違反名は『重大違反唆し(そそのかし)等』で、違反点数は加算されないものの運転免許が取り消されます。
共同危険行為等禁止違反
共同危険行為とは、道路において2台以上の自動車または原動機付自転車を連ねて通行または並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、または著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為のことです。
いわゆる暴走行為と言われるたぐいのもので、暴走族・ルーレット族などがこれに当たります。
かつては実際に被害者がいないと取り締まれなかったのが、2004年11月1日の道路交通法の改正により、実際に被害者が出なくても取り締まれるようになりました。
違反点数は25点で免許取消処分の対象です。
また、2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
ルールを守ってスマートに、格好いいライダーになりましょう!!
酒気帯び運転
酒気帯び運転には2段階あります。
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15㎎以上0.25㎎未満のとき、違反点数13点。0.25㎎以上のときは違反点数25点です。
行政処分としては軽度の酒気帯び運転の場合は免許停止ですが、重度の酒気帯び運転の場合は免許取消処分が下されます。
また、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰も。
飲みすぎた翌日は、体調が良くても呼気にアルコールが含まれていることはよくあります。お酒をよく飲まれる方は注意しておきましょう。
アルコールの分解能力には個人差があるので、どれくらい飲んだらどれくらいの時間で運転可能かというのは一概には言えません。
『飲みすぎないのが一番、飲んだら乗らないのが当たり前!』という意識を持っておきましょう。
酒酔い運転
「酒酔い」とはアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態のことです。
明らかに言動がおかしかったり、足元がおぼつかないなどで正常な運転ができない状態を言います。
酒気帯び運転は、呼気からアルコールは検知されるものの運転は正常にできていた状態ですね。
酒酔い運転になると違反点数35点で免許取消処分が科されます。
刑事罰は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
また、酒気帯び運転のときには触れませんでしたが、飲酒運転をした人に車両を提供した者、酒類を提供した者または同乗した者にも罰則があるので注意が必要です。
注意
車両等を提供した者への罰則
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 - (運転者が)酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者への罰則
- (運転者が)酒酔い運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 - (運転者が)酒気帯び運転をした場合
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
『自分が飲酒運転するわけじゃないから関係ない』とはなりません。
まとめ
今回は、『これをやったら1発免停』という重大な交通違反を10種類ご紹介してきました。
中には免停ではすまず取り消し処分を受ける違反もありますので、何度も読み返してご自分の運転免許証や他人の人生を傷つけないようにしましょう。
違反種類 | 違反点数 | 行政処分 | 刑事処分 |
---|---|---|---|
携帯電話使用等(交通の危険) | 6点 | 免許停止 | 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
速度超過30(高速40)以上 | 6点 | 免許停止 | 6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 |
無保険運行 | 6点 | 免許停止 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
無車検運行 | 6点 | 免許停止 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
妨害運転 | 25点 または 35点 | 免許取消 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 または 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
過労運転等 | 25点 | 免許取消 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒気帯び運転 | 13点 または 25点 | 免許停止 または 免許取消 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
無免許運転 | 25点 | 免許取消 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
共同危険行為等禁止違反 | 25点 | 免許取消 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転 | 35点 | 免許取消 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
違反点数は、最後の交通違反や交通事故の日を起算日として、過去3年間の累積点数が一定の基準に達した場合に処分の対象となります。
過去3年以内に行政処分を受けたことがない場合、6点から14点までは停止処分に、15点以上は取消処分です。
また、行政処分歴が1回の場合、4点から9点で停止、10点以上は取消処分。行政処分歴が3回以上の場合は、2点又は3点で停止、4点以上は取消処分になります。
交通ルールを守って無事故無違反の紳士なライダーを目指しましょう!
投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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