はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
みなさん、よく車やバイクに詳しい人が「プラグが焼けてる」とか「プラグがカブってる」なんて言っているのを耳にしませんか?今日は今更聞けないプラグとはどういうものなのかという基本から、点検や選び方について、さらにプラグ交換する際の注意点について、世界一わかりやすく解説をしていきます。
プラグの役割
点火プラグともスパークプラグとも呼ばれる、このブラグとは何なのか?ということからまず解説します。
エンジンというのはガソリンと空気が混ざった混合気という気体をピストンで圧縮させて、その圧縮した状態のところに火種をつくって一気に爆発させます。その勢いでピストンが押し下げられて、その力が動力として使われて車やバイクが動くという仕組みなんですね。そしてこの火種をつくるのがプラグの役割なんです。
つまりこのプラグがないとエンジンは動かない、すごく大事なパーツなんです。
プラグはエンジンの気筒ごとについていて、基本的には1気筒あたり1本付いていますが、まれに1気筒あたりプラグが2本ついている車種もあります。
プラグが2本あることで1本のものに比べると早く燃焼させることができるというメリットがありますけれども、はっきり言って普通に乗っていてその違いを体感できるほどのものではなく、実用上無視していただいてかまいません。
というより、どちらかというとメンテナンスの手間や交換時に2倍の金がかかるなど、普通にバイクに乗っている分にはデメリットのほうが体感しやすいかもしれません。マニアックな話にもなってくるので今回は割愛します。
ちなみにプラグが火種を作る仕組みは、実は電子ライターやチャッカマンのカチッと火花を飛ばす部分と同じです。電気の力で火花を飛ばす、シンプルに言ってしまうとそれだけのことなんです。
プラグの構成
このプラグというのは主にターミナル・碍子(がいし)・ハウジング・電極という部品で構成されていて、このプラグの上の端子(ターミナル)部分にはプラグキャップが被せられています。この何やらコードが付いているプラグキャップなら見たことがあるという方も多いんじゃないでしょうか?
このプラグコードとプラグキャップを使って、プラグに高圧電流が流されて火花を飛ばしているんですね。そして中でも最も注目して欲しいのがこの電極という部分。ここにはイリジウムのような高価な素材が使われているものもあります。最近ではこのイリジウム製の電極を持ったプラグも一般的になってきましたが、これはイリジウムを使うことで中心電極を細くすることができ、着火性能だけでなく、ものによっては耐久性にも期待ができます。
プラグの寿命
4輪の場合ノーマルのプラグは2万kmが一般的な交換目安といわれていますが、長寿命タイプのイリジウムプラグの場合は10万km使えるというものもあります。
バイクの場合は乗り方や車種による個体差が大きいんですけれども、長寿命をうたうものでもない限り、ノーマル・イリジウム問わず3~5000kmで交換するのが望ましいと言われています。
しかし実際に3000kmや5000km毎にプラグ交換をしているという人は少ないのが実情です。
古くなったプラグやカーボンが溜まってしまったプラグを使うとどのようなデメリットがあるのかというと、電極が消耗してしまったことでエンジンの掛かりが悪くなったり、カーボンが溜まってエンジンの吹けが悪くなったり、このカーボンが過熱してプレイグニッションという現象が起こってしまいます。
プレイグニッションとは簡単に言うと、プラグで点火する前の段階で、加熱したカーボンにより混合気に着火してしまうことを言います。ピストンが混合気を圧縮している最中に起こるものなので、上がってきたピストンを逆回転させようとする力が働き、エンジンに大きなダメージを与えてしまいます。ですのでもちろんプラグは綺麗な状態を保っておきたいですね。
3000キロごとに必ず交換してくださいとは言いませんが、それなりにデメリットあるということは覚えておいてください。
なかなかこのプラグの性能低下を体感するということは困難ですし、走っていてあまり意識することがないパーツのひとつだと思うので、気付くことがなかなか難しいと思うんですよね。オフロードやネイキッド、アメリカンといったエンジンがむき出しになっている車種の多くは点検の手間もかからないので、バイク屋さんで時々点検してもらうといいと思います。ノーマルプラグであれば1本数百円と大した金額ではないんで、気軽にリフレッシュできるパーツの一つでもあります。
ただしフォアグラさんは、このプラグの脱着についてはご自身での作業はあまりお薦めしていません。この注意点やお勧めしない理由については後ほど説明します。
プラグの選び方
この章に関しては、インジェクションのバイクに乗っている方はスルーして頂いて結構です。
インジェクションのバイクは、その純正プラグをベースにバイクの方で色々なことを調整してくれる様に設計されているので、何も考えずメーカー指定のものに交換してもらうのが、簡単でもありベストです。
キャブのバイクに乗っている方、中でも特にセッティングを変えている方やサーキット走行している方なんかは話を聞いてください。
プラグ交換をする際、基本的には今付いている純正のプラグでも問題はないんですけれども、外したプラグを見てみてください。プラグが真っ黒になっていたり、真っ白く焼けていたら、そのプラグはあなたの走り方には合っていないのかもしれません。ただし一般道を一般的な速度で一般的な回転域で走っていれば、多少黒く汚れているのは普通のことです。
電極部分に黒いカーボンがこびりついてる状態や、オイルで湿っている(カブっている)状態であれば熱価を少し低いものにし、白く焼けているようであれば熱価を少し高くしてみましょう。
この熱価というのは、プラグの放熱量のことをいいます。ちょっと難しく聞こえてしまったかもしれませんが、簡単な言い方をしますね。熱価が高いということはフラグの放熱量が大きくて冷めやすいプラグであるということです。熱価が低いというのは逆ですね。熱価の高い低いというのはプラグの型番による数値でわかります。数値の高いものは熱価が高くて冷めやすく、数値の低いものは熱価が低くで冷めにくいプラグです。
詳しい解説は省略しますが、この熱価の変化によってシリンダーヘッドへの放熱量も変わるので、エンジン内部の燃焼温度も変わってくるんです。このことは使用環境によっても良くも悪くも変化するので、一概に良し悪しを決めるものではありません。一般的に想定される走り方をするのであれば、基本的にはノーマルのメーカー指定プラグをつけるのが良いと思いますけれども、カブり気味であれば熱価を下げ、焼け気味であれば熱価を上げてみるのもありだと思います。
プラグ交換の注意点
ここまで読んで、ご自身でプラグの点検やプラグ交換をやってみようと考えた方、ちょっと待ってください。
確かにプラグ交換の作業自体は決して難しい作業ではありません。しかしかなり慎重な作業が求められるものなんです。そして失敗するとエンジンに大きなダメージを与えてしまいます。
それはなぜかというと、まずプラグを外すという行為は、普段密閉されているエンジンの内部が外に通じてしまって、無防備な状態になってしまうことでもあるんです。エンジン、特にシリンダーの内部は非常にデリケートで、その中に砂でも入ろうものなら、ピストンやシリンダーに傷をつけてしまいます。傷がつくとパワーダウンどころかエンジンの寿命を大きく縮めることになります。
特にプラグがある周辺は車種によってはくぼんでいて、砂やゴミがとても溜まりやすくなっています。ですので作業前にエアコンプレッサーで強く吹いて、砂やゴミを吹き飛ばしてから作業します。ご自宅にエアコンプレッサー持っている方なんてそうそういませんよね。もちろんパソコンやカメラに使うようなスプレーのブロアーなんかでは全然パワーが足りません。プラグを緩めて引き抜く際、きちんと砂を飛ばせていないと、そのままシリンダーの中に砂が入り込んでしまうんですね。
またプラグを取り付ける際にも大きなリスクがあります。
適正なトルクや締め付け回転角を知っていて、きちんと締め付けることができるのであればいいんですけれども、締め過ぎるとネジ切れや異常燃焼を起こしたり、シリンダーヘッド部の破損にもつながり、高額な修理費用が必要になります。
かといって緩ければ緩いで、やはり異常燃焼をしたり、端子が折れたりしてしまいます。 プラグに関しては、トルクだけでなく推奨される回転角というものもあり、ガスケットが新品の時と再締めつけ時というだけでも異なったりします。
ちなみにあまり工具にこだわりがないフォアグラさんではありますが、トルクレンチはトーニチのものを使用しています。トルクレンチ以外はあまり聞き慣れないメーカーですが、トルク関係のツールの専業メーカーと言っても良い信頼できるメーカーです。
このように実はかなりリスクを伴うデリケートな作業なので、プラグ交換や点検というのは、なるべくお店お願いするのがいいと思います。
用品店などではプラグ交換の工賃は1000円程度からですし、プラグ自体もまた数百円程度です。つまり自分で作業して節約できたとしても大した金額ではないので、リスクを考えるとお店で作業してもらうべきだと思います。またフルカウルのバイクでカウルの脱着料金が高いという方は、何かカウル脱着を伴う作業を依頼する時や定期点検のタイミングで依頼をすると一度で作業できるので、そのような時に一緒にお願いするのがオススメです。
まとめ
簡単そうで実は気を使う点が多いプラグの脱着、フォアグラさんがオススメしない理由をご理解いただけたでしょうか?
自分でプラグを外す時は、出先で何かトラブルが発生した時だとか本当の緊急時のみがいいと思います。
プラグの脱着については、以前こちらの記事でも書いていますので、合わせてお読みいただけると嬉しいです。
またこの記事は、下記の動画で詳しく話していますのでぜひご視聴ください。
では、最後までご覧頂いてありがとうございました。
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投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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