元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回は冬のツーリングにおける注意点について解説をしたいと思います。
皆さん冬も元気に走っていますか? ちなみに自分は以前12月に気温-8℃の釧路をオフ車で走ったことがありますが、実はもっとすごい人たちがいます。毎年日本の最北、端稚内宗谷岬で年越しキャンプをしている方々がいるのをご存知ですか?カブやオフ車のチューブタイヤにスパイクを打って最北端まで走ってくるのです。
ここまでハードな極寒ツーリングは暇を持て余した神々の遊びなので、皆さんは常識的なツーリングを安全に楽しみましょう。まあ、本州でも冬は寒いのですけどね。
冬ツーリングの注意点と聞いて冬用バイク用品の紹介かな?と思われた方もいるかもしれませんが、そんなことではありません。冬ならではの危険や注意したいことについてもしっかり解説をしていきますので、ぜひ最後まで読んでください。
冬のツーリングならではの注意点
当たり前ですが冬のツーリングは寒い! 寒さでかじかんでしまい、体が思い通りに動かない。暖かい時期と違って、どうしても一瞬動作が遅れてしまうなんてことは多々ありますよね。
さらに厚手のグローブを装着することで、操作性も低下します。このグローブの操作性というのは、かなりライディングにも大きな影響を与えます。
思っているよりもブレーキやクラッチレバーの操作って繊細で、ミリ単位の繊細な操作でバイクの挙動というのは変わってくるので、温かい時期のように動いてくれないのですよね。冬は特に余裕を持った運転をしなければなりません。
そして、実は冬になるとうまく動かないというのは人間の体だけではなくて、バイクも同じです。と聞いて皆さんは、エンジンが温まりにくいことなんかを想像したかもしれませんが、一番気をつけなければいけないのは実はタイヤなのですね。
タイヤの温度に注意
タイヤというのは、温度によってグリップ力が大きく変化するのです。特にハイグリップタイヤというスポーツ走行に適した、グリップ力が高いタイヤほどその傾向は顕著です。
ハイグリップタイヤを履いているからグリップ力が高くて安心と言うのではなくて、タイヤが冷えているうちはむしろ、ハイグリップタイヤというのはグリップ力が低くて危険なのです。
ちなみにハイグリップタイヤと対極にあるのが、ツーリングタイヤと呼ばれるものです。こちらは価格が安めで寿命も長いのでグリップ力が低いと思われがちですけれども、必ずしもそうではありません。
確かにタイヤが理想的な温度に温まった時のハイグリップタイヤには敵いません。しかしツーリングタイヤは、温度が低くてもそこそこのグリップ性能を発揮してくれます。またウエットグリップにも優れていて、様々な環境下であっても安定したグリップ力を発揮してくれるタイヤなのです。もちろんツーリングタイヤであっても、温まっていないときは気をつけなければいけませんけどね。
「冬にもたくさん走るよ」「そんな攻めて走りはしないよ」という人はツーリングタイヤを選択するのがいいと思います。特に近年このツーリングタイヤは進化が著しく、グリップ力も悪くないモデルがすごく増えています。
特にミシュランのモデルの中には、最も路面との接地時間が長く擦り減りやすいセンター部分には耐摩耗性に優れた素材を使用し、接地する頻度は低くても高いグリップ力が求められる両サイドの部分はグリップ重視の素材を使用するなどの工夫がされているものもあります。
ツーリングタイヤでもかなり楽しめるようになってきており、ここ数年自分はもっぱらツーリングタイヤばかりを履いています。
タイヤの温め方
ちょっと冬ツーリングからタイヤ主体の話に逸れてしまいましたけれども、大事なのはタイヤを温めなければならないとことです。レースのワンシーンでタイヤウォーマーというものを見たことありませんか?これでタイヤを最適な温度に温めているわけですけれども、こんなものを持ち歩くわけにはいきませんよね。では一般道ではどのように温めるべきなのか?それは加速と減速です。
誰もいないタイミングで加速と減速を繰り返してださい。そうすることでタイヤが温まります。
たまに蛇行運転をして温めようとする人がいますけれども、実はそれではタイヤは温まりません。蛇行ではなく、直進の加速と減速です。そうすることで、ちゃんとタイヤの中心からサイドに向けて温まっていきます。
素手で触れてほんのり温かいなと感じる程度になれば、安心して走行できます。最近では小型の非接触温度計がAmazonなどでかなり安く買えるようになってきたので、こういったものを携帯するのもいいかもしれません。
そして意外に思われるかもしれませんけれども、高速道路の走行時などは意外とタイヤは温まらないので、気温や路面温度が低い時の高速走行は気をつけてください。まあ、高速道路で無茶な走り方をする人なんて、そうそういないとは思いますけどね。
タイヤに限らず、エンジンなども当然気温が低いとすぐに冷えてしまい温まりにくくなるものなので、走り始めの回しすぎにも気をつけてくださいね。
あったかグッズについて
では、あったかグッズについての解説ですが、最初にお断りしておきます。
自分は「これがおすすめですよ」なんて言えるほどの数の電熱グッズを試すことができていないので、自分の失敗談から「これはやめておきなさい」という地雷アイテムの紹介をします。これが今の自分が皆さんにお伝えできる最も正直で、参考にしていただける内容かと思います。
地雷アイテム その1
中国製電熱グローブ、それもバッテリータイプの物です。
最初にお話しした-8℃のツーリング用に購入した物で、最大出力にしたらそこそこ温かかったのですが、2時間も保たずに電池切れ。確かに-8℃というのは過酷すぎたかもしれませんけれども、あまりにも頼りなさすぎましたね。
通勤や通学で使うというのであれば良いのですけれども、何時間も走るロングツーリングにおいては不安しかありません。やはり車体から電源を取る方法が良いと思います。
これはグローブだけではなく、電熱パンツについても同じでした。こちらはモバイルバッテリーを接続して使うもので、20,000mAhの大容量バッテリーを仕込んでいきましたが、こちらも使えたのは2時間くらいだったでしょうか。しかもモバイルバッテリーを入れるからポケットが重いのですよね。
ライディング時にちょっと不快なので、やはりバッテリータイプはおすすめできないなと感じました。
地雷アイテム その2
最悪だったのが電熱ソックスです。
大して温かくもなく、バッテリーがすぐに切れてしまったのは前述の2つと同じなのですけれども、これの最大の問題は、ツーリングを終えて帰宅してからでした。
バッテリーを外せば洗濯機で洗ってよいと記載されていたのですが、「こんな電熱線が入っているものを洗濯機で洗えるのか?」と不安でした。
しかし洗わないわけにもいかないので、とりあえず洗ってみたところ、やはり2足とも壊れました。当然そのまま廃棄です。
この手の物については、中国製は避けた方が無難なのかもしれません。
ここでは、実際に自分が使用したおすすめのモノはありません。
しかし、実は「これが良かった」という成功体験よりも、「これはダメだった」という失敗体験の方が情報としては確実です。他人の成功例というのは、真似して必ず自分も成功するとは限りませんけれども、他人の失敗した事例っていうのは、確実に回避することができますからね。
体を効率よく温める方法
体を効率よく温める方法としてよく言われるのは、太い血管を温めることですね。このことはとても重要で、太い血管を通る多くの血液を温めることで、その血液が全身に行き渡り、体全体を効率よく温めてくれるって事なのですよね。
その一方で、体の末梢である手足というのは当然冷えやすく、特に辛いですよね。グローブやブーツで温めるわけですけれども、それに加えて太い血管を温めましょう。
自分がおすすめしたいのは内腿のここです。
太い血管があるだけでなく、皮膚が薄いためとても温まりやすいのです。
ただ、ライディングパンツやデニムパンツの上からカイロを貼ったところで、その熱はほとんど届きません。そこでお勧めしたいのがスパッツです。
スパッツを履いて、その上にカイロを貼ります。ヒートテックのような発熱素材のものもいいですけれども、カイロの熱伝導を優先して、あえて薄手のものにするというのも一つのテですね。ただ薄すぎて低温やけどをしてしまわないに気をつけましょう。
また最近は「マグマ」という商品をはじめ、特に高温になるカイロが出回っています。寒いのは嫌なのでついつい手を出してしまいがちですけれども、これはちょっと薄手のスパッツに貼るには熱すぎる場合があります。
好みの温度というのは当然人それぞれですし、着用するスパッツの厚さにもよるので、一概におすすめも否定もできませんけれども、低温やけどには注意して、ご自身にとってベストなスパッツとカイロの組み合わせを探してみてください。
冬のツーリングならではの楽しみ方
最後に冬のツーリングならではの楽しみ方を紹介しましょう。これはかなり自分の好みが入っているのですけれども、おすすめなのは冬キャンです。
冬にバイクでキャンプというと意外に思われるかもしれませんし、本当の真冬ではちょっと厳しい時もあるのですが、自分は写真撮影、なかでも星を撮影するのが好きで、冬は空気が澄んでいて綺麗に撮れるのです。
例えばバイクを入れてこんな写真も撮れたりします。
これは一眼カメラではなく、10年前ぐらいに買った、性能も特に高くない2万円くらいの普通のコンパクトデジカメで撮影した写真を、1時間分つなぎ合わせたというのがこの写真なのです。
何なら今のスマートフォンの方がずっと綺麗に撮影できます。ちょっとした設定さえ覚えてしまえば、誰にでも撮れるのですね。このスマホでも星が取れる撮影方法を紹介しているサイトがあったので、興味を持った方はご覧になってください。
そして冬のキャンプのもう一つの楽しみが鍋料理!
冬は虫がいないので、キャンプでも気持ちよく鍋を楽しむことができます。そして寒い屋外だからこそ、その美味しさも一層。
最近は鍋キューブのような固形で小さな鍋スープもあるので、とても簡単に作ることができるようになりました。
まとめ
冬のキャンプはどうしても少し高価なシュラフが必要にはなりますが、冬ならではの楽しみ方もあるので、比較的温かい地域にお住まいの方にはおすすめです。
冒頭でもお伝えした、真冬でもチューブタイヤにスパイクを打って、日本の本土最北端である稚内でキャンプをするなんて猛者たちも居るので、それを思えば余裕かもしれませんね。
今回は冬ツーリングならではの注意点や楽しみ方をお伝えしましたが、いかがでしたか? 今回の記事は下記の動画でも詳しく説明していますので、こちらも是非ご視聴ください。
それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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