ハーレーやインディアンのバガーモデルのみが参戦できる『King of the baggers』というレースがあります。そのレースに出場するような走行性能特化にカスタムされたものがパフォーマンスバガーです。
バガースタイルとは、オートバイのカスタムスタイルの一つで、特に大型のツーリングモデルをベースにしたデザインが特徴です。
このスタイルの名前「バガー」は、オートバイのサイドに大きな荷物を入れることができるバッグを装備することから来ています。
バガースタイルのバイクは、その積載性から長距離ツーリングに適しており、快適さと機能性を重視したスタイルです。
2024年6月9日、富士スピードウェイで開催されたMCFAJ MAX10グループにCHALLENGER RACINGの長瀬智也氏らがバガーレーサーで参戦したことでも注目されました。
今回はそんなバガースタイルのバイクを、更に走行性能の向上を目指してカスタムするパフォーマンスバガーについて解説します!
バガースタイルとは?
バガースタイルは、主にアメリカンバイクをベースにしたカスタムスタイルの一つです。バガースタイルの特徴には以下のようなものがあります。
バガースタイルの特徴
- 大型のフロントカウル
- 大型のサイドバッグ
- ベースはハーレーのツーリングモデルなど
バガースタイルのバイクは、大径のフロントホイールやカスタムペイント、エアサスペンションを採用した車高を下げるような見た目重視のカスタムをする人も多いです。
地面スレスレのサドルバッグとリアフェンダーで、迫力のあるリアビューを表現します。
それとは逆の方向性で、バガースタイルでありながら走行性能に重きをおいたパフォーマンス重視のカスタムがパフォーマンスバガー。
パフォーマンスバガーは、従来のバガースタイルに高性能な走行性能を組み合わせ、快適なツーリング能力とスポーツバイクに見られるような走行性能のバランスを重視しています。
このパフォーマンスバガーは、『King of the baggers』というハーレーダビッドソンとインディアンのバガースタイルのバイク限定で出場できるレースがきっかけで人気が出てきました。
パフォーマンスバガーの歴史
パフォーマンスバガーの概念は、2010年代半ばから徐々に形成され始めました。2015年頃から、ハーレーダビッドソンを筆頭にバガーモデルを発売し始めます。
そして、2020年に初開催された「King of the Baggers」が、パフォーマンスバガーの人気と認知度を大きく高めました。
このレースは、従来長距離ツーリング用バイクとして開発されたバガーを、走行性能を高めた高性能マシンとして競わせる画期的なイベントです。
さらに、カスタムショップやアフターマーケットパーツメーカーがパフォーマンスバガー向け製品を積極的に開発・販売するようになったことで、一般のライダーもカスタムしやすくなりました。
King of the Baggers とは
「King of the Baggers」は、アメリカのモーターサイクルレースシリーズで、特にハーレーやインディアンのバガースタイルのバイクが参加するユニークなレースイベントです。
バガーとは、先述の通り大型のサドルバッグやフェアリングを装備したクルーザーバイクのことを指し、通常はツーリングに適したモデルとされています。
「King of the Baggers」は、元々アメリカのレースイベント「MotoAmerica」の一部として開催され、初開催は2020年でした。
レースでは、重量のあるバガーが高速コーナーを攻め、パワーと安定性を競います。バイク愛好家たちの間で、「バガーがこんなに速く走れるのか!」という驚きの声も多く聞かれています。
インディアン・モーターサイクルとは
ハーレーダビッドソンはバイクに乗らない人にも知られている有名なオートバイメーカーですが、インディアン・モーターサイクルというメーカーはご存知ですか?
インディアン・モーターサイクルは、アメリカで最も歴史のあるオートバイメーカーの一つで、1901年に設立されました。(ハーレーダビッドソンは1903年に設立)
インディアンは一時期経営難に陥り、1953年に破産宣告を受け、1959年に一度消滅しました。
そこから、様々な組織がブランド名の存続を試み、2011年にポラリス・インダストリーズに買収され、再び復活を遂げています。
2019年にはポラリスジャパン株式会社が設立され、日本市場にも参入。日本であまり認知されていないのは、日本市場への参入が遅かったというのも背景にあります。
2020年の”King of the Baggers”初参戦時には、僅か2台の参戦で1位と3位を獲得しました。
ハーレーダビッドソンのパフォーマンスバガー
ハーレーダビッドソンで代表的なパフォーマンスバガーは【CVO™ Road Glide™ ST】です。
純正のままカスタムすることなくパフォーマンスバガーを楽しむことができます。長距離ツーリングの快適性とスポーツバイクの走行性能を兼ね備えたバイクです。
1,977ccのMilwaukee-Eight™ 121 High Output(高出力)エンジンを搭載しており、最高出力は5,020回転で126馬力、最大トルクは3,750回転で193Nmを発揮します。
シート高は720㎜と高くないですが、車両重量は380kgと重量級。燃費は16.6㎞/Lで、タンク容量は22.7Lあるので約377kmの航続距離があります。
メーカー希望小売価格は税込で5,442,800円です。
ハーレーダビッドソン その他のバガーモデル
ハーレーダビッドソンのバガーモデルは、Street Glide™とその派生モデル、Road Glide™とその派生モデルがあります。
この2車種の違いは、以下のような部分です。
- フロントフェアリング
ストリートグライド: ハンドルの動きに連動して動く
ロードグライド: ハンドルとは独立しているので動かない - 操縦性
ストリートグライド: より軽快な操縦感
ロードグライド: 高速走行時の安定性が高い - 風防効果
ストリートグライド: ライダーにより近い位置にあるため、風防効果が高い
ロードグライド: フェアリングが前方にあるため、より開放的な乗り味
メーカー希望小売価格は、Street Glide™が3,693,800円、CVO™ Street Glide™が5,629,800円、Road Glide™が3,693,800円、CVO™ Road Glide™が5,629,800円です。
また、グランド・アメリカン・ツーリングには属していませんが、クルーザーモデルのLow Rider™ STもスタイル的にはバガーと言えるでしょう。
Low Rider™ STは、クラシカルなデザインと現代的な性能を融合させた、ツーリングとスポーティーな走りの両方を楽しめるモデルとして位置づけられています。
パフォーマンスバガーの特徴を多く備えており、長距離走行での快適性と高い走行性能を求めるライダーに人気のモデルです。
FXRTのDNAを受け継ぐフェアリングを採用し、クラシックなルックスとモダンな機能性を融合させています。
エンジンは1,923ccのMilwaukee-Eight™ 117を搭載。最高出力は5,020回転で105馬力、最大トルクは3,500回転で168Nmを発揮します。
シート高720mmで、車両重量は327kg。Street Glide™やRoad Glide™と比較すると軽くて扱いやすいと言えるでしょう。(それでも重たいですが)
メーカー希望小売価格は3,165,800円です。
スポーツバイク好きにもおすすめできる理由
スーパースポーツやその他のスポーツバイクを好む方々にも、パフォーマンスバガーをおすすめする理由はいくつかあります。
まず、バガースタイルの特徴である大型のフェアリングやサイドバッグ、快適なシートを備えつつ、スポーツ走行を楽しめる設計のため、長距離ツーリングでも快適さを保ちながらスポーツ走行が可能です。
『そんな重そうで鈍そうなバイクでそんな軽快な走りが!?』と驚かれること間違いありません!
そしてハーレーダビッドソンはカスタムパーツも豊富で、自分だけのカスタムが容易。外観や性能を自分好みに仕上げる楽しみがあります。
まとめ
パフォーマンスバガーは、従来の大きなフェアリングやサイドバッグを持つバガースタイルの快適性と機能性を維持しつつ、スポーツバイクのような走行性能を加えたバイクスタイルです。
このスタイルは「King of the Baggers」というレースがきっかけで注目され、ハーレーダビッドソンを中心に高性能なバガーモデルが市場に投入されています。
快適な長距離ツーリングと軽快なスポーツ走行の両方を楽しむことができるため、ワインディングを存分に楽しみつつ、ツーリング先でたくさんのお土産を買うことも可能。
また、カスタマイズの自由度が高く、個性的なバイクを作り上げる楽しみもあります。
パフォーマンスバガーは、見た目の迫力と走行性能の高さを兼ね備え、スーパースポーツ好きのライダーにもおすすめです。食わず嫌いせずに是非一度試乗してみて下さい♪
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投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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