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モタードとは、オフロードバイクをベースにオンロードバイクのタイヤを装着したバイクで、オフロードとオンロードの両方の良いところを兼ね備えています。
スーパーモタードと言うレースが【モタード】の語源です。このレースは1990年代初頭、フランスから始まり、そのユニークなレーススタイルでヨーロッパ全土に広がりました。
アスファルト舗装路面と未舗装路面を組み合わせた特殊なコースで行われるこの競技は、オフロードバイクを基にオンロードでも対応可能にカスタマイズされたバイクを使用。
今回は、そんなスーパーモタードの世界で2025年に注目を集める最新モデルを含む10車種を紹介します。
モタードの起源
モタードの起源は、1979年にアメリカで開催された『Superbikers』というレースにさかのぼります。そしてこのレースに参加した欧州のライダー達が、このレースの文化をヨーロッパに広めました。
特に、フランスで開催された『Supermotard(スーパーモタード)』というレースが、このジャンルの名前の由来とされています。
モタードバイクはオフロードバイクをベースにしており、オンロードとオフロードの両方の条件に対応するため、17インチのホイールにオンロードタイヤを装着。
これがモタードの定番スタイルとして広く認識されています。
アドベンチャーとモタードの違い
アドベンチャーバイクとモタードバイクは、用途や走行性能、快適性において大きく異なります。
アドベンチャーバイクは、オンロードとオフロードの両方で高いパフォーマンスを発揮するために設計されています。これにより、長距離の旅や多様な地形で快適に走行可能。
多くのモデルで最新の電子制御技術を搭載しており、様々な路面状況に対応します。長距離移動の快適性を重視し、クルーズコントロールなどの快適性を考慮した装備が充実しているのが特徴です。
一方モタードバイクは、オフロードバイクをベースにオンロード性能を向上させており、軽量な車体で俊敏な走りと軽快なハンドリングが特徴。
街中での扱いやすさと林道程度の未舗装路での走行能力を兼ね備えています。比較的シンプルな構造で、快適性よりも軽量性と操作性を重視。転倒時のダメージを軽減する設計が特徴です。
モタードのメリット・デメリット
モタードバイクはオフロードバイクがベースとなっていることから、いくつかのメリット・デメリットを持っています。
これらの特徴を3つずつ挙げ、詳しく解説するので、購入を検討している方々は参考にしてください。
モタードのメリット
- 多様な路面での走行が可能: モタードバイクは、オフロードバイクがベースとなっているため、市街地の平坦な道から、未舗装やデコボコした道まで安心して走行可能です。一台で多くのシーンに対応することができます。
- 高い機動性: モタードは比較的軽量であり、スリムな車体が特徴です。このため、狭い道や混雑した街中でも取り回しがしやすく、すり抜けや急な方向転換が容易に行えます。通勤や日常の移動が多い方には、この機動性が大きな利点となります。
- 転倒に強い設計: 軽量でありながらも堅牢な造りのモタードは、転倒した際のダメージが少なめです。初心者ライダーやオフロード走行を楽しむ方にとって、安心感があります。
モタードのデメリット
- シート高が高い: モタードバイクは一般的にシート高が高めに設計されています。これにより、特に身長が低い方やバイク初心者にとって、足つき性が悪く感じることがあります。
- 乗り心地の硬さ: オフロード対応を意識した硬めのシートやエンジンの振動で、特に長距離ツーリングを行う際に不快さを感じる可能性があります。
- 高速巡航に不向き: モタードは風防がなく軽量なため、高速走行時に風の影響をもろに受けます。直線での安定性が低下し、長時間の運転では疲労を感じやすいでしょう。
これらのメリットとデメリットを理解し、それぞれのバイクの使用目的やライダーの体格、運転技術に合わせて選択することが、モタードバイクを最大限に活用する鍵となります。興味のある方は、実際に試乗してみましょう。
2025年版 最新モタード一覧
カワサキ KLX230SM
カワサキKLX230SMは、2025年1月13日発売のモタードバイクです。232cc空冷単気筒エンジンを搭載し、最高出力は13kW(18PS)/8,000rpm。
前後17インチホイールとロードタイヤを採用し、車両重量は137kg、シート高は840mmと街中での俊敏な走りを実現しています。
燃費性能は、WMTCモード値で34.7km/Lを達成。デザインは最新のモトクロッサーKXシリーズを踏襲し、スリムでスタイリッシュな外観が特徴です。
新設計のリアサブフレームやサスペンション設定の見直しにより、乗り心地と操作性が向上。メーカー希望小売価格は616,000円(税込)です。
スズキ DR-Z4SM
スズキDR-Z4SMは、2025年5月から北米・欧州を中心に発売予定の新型モタードモデルです。日本でも発売されれば16年ぶりの復活。
前後17インチのホイールに、ダンロップのパフォーマンスストリートタイヤが装着されています。車両重量は154kgで、シート高は890mmです。
燃費はWMTCモード値で29.4km/L。シート幅の最適化により、荒れた地形やトレイルでの走行時の快適性が向上しています。
DR-Z4SMの正確な価格はまだ公式に発表されていません。しかし、従来モデルの価格を基に、新型モデルは約10〜20%の価格上昇が見込まれます(80万円から100万円程度?)。
正確な情報は公式発表を待ちましょう!
DUCATI ハイパーモタード950
ドゥカティ ハイパーモタード950は、スポーツ性能とアグレッシブなデザインを兼ね備えたモタードバイクです。
937ccのドゥカティ・テスタストレッタ11°L型2気筒エンジンは、最高出力114psを9,000rpm、最大トルク96Nmを7,250rpmで発揮。
ハイテールとダブルエグゾーストが特徴的で、車体重量は燃料を除いて193kg、シート高は870mmです。様々な電子制御システムも搭載されており、高度な安全性と走行性能を実現しています。
燃費は18.8㎞/Lで、燃料タンク容量は14.5L。航続可能距離は約272㎞です。
モデルバリエーションは以下の3つ。
- ハイパーモタード950(1,935,000円)
- ハイパーモタード950 RVE(2,028,000円)
- ハイパーモタード950 SP(2,432,000円)
大型バイクのパワーや安定感を求めるライダーにはおすすめの1台です。
DUCATI ハイパーモタード698 MONO
ドゥカティ ハイパーモタード698 MONOは、2024年に登場した高性能な新型スーパーモタードモデルです。このバイクは、スポーティで軽量な設計が特徴で、都市部の走行からサーキットまで幅広い用途に対応しています。
1299パニガーレに搭載される1285ccスーパークアドロ・エンジンから派生したスーパークアドロ・モノは、高回転型のエンジンでリミッターは10,250rpmに設定されています。
最高出力は77.5ps@9,750rpm、最大トルクは63Nm@8,000rpmです。燃料を除いた装備重量も151kgと非常に軽量。シート高は864mmです。
燃費は20.8㎞/Lで、タンク容量は12L。満タン給油で約249㎞走行することができます。
モデルバリエーションは以下の2つです。
- Hypermotard 698 Mono(1,778,000円)
- Hypermotard 698 Mono RVE(1,886,000円)
KTM 690 SMC R
KTM 690 SMC Rは、高性能な単気筒エンジンを搭載したスーパーモタードモデルです。690 エンデューロ Rの兄弟車で、ハスクバーナの701スーパーモト、ガスガスのSM700のベースモデルにもなっています。
最高出力は75ps@8,000rpm、最大トルクは73.5Nm@6,500rpmと、DUCATI ハイパーモタード698 MONOよりもトルクフルな設定。
乾燥重量は150kgで、シート高は892mmと、軽量ですがシート高は高めです。燃費は24.4㎞/Lで、タンク容量は13.5L。満タン給油での航続可能距離は329.4㎞となっています。
メーカー希望小売価格は1,770,000円です
ハスクバーナ 701スーパーモト
関連車種としてハスクバーナ 701スーパーモトの情報も追記しておきます。モノトーンにネオンイエローのアクセントが印象的なこのバイクは、KTM 690 SMC Rがベース車両。
相違点は主に外装パーツの形状や色のみで、ほぼ同じバイクと言っていいでしょう。最高出力や最大トルクは同じですが、車両重量は少し軽い148kg、シート高は890mmです。
公式サイトに燃費の記載はありませんが、タンク容量は13L。燃費がKTM 690 SMC Rと同じだと仮定して航続可能距離は317㎞です。
メーカー希望小売価格は1,780,000円
ガスガス SM700
ハスクバーナ 701スーパーモトと同じく、KTM 690 SMC Rがベース車両のガスガス SM700。ワイヤースポークホイールの兄弟車と異なり、アルミキャストホイールを履いています。
3兄弟共通の仕様ですが、2種類のライドモードとABSモード、解除も可能なリーンアングルセンサー付きトラクションコントロールなど様々な電子制御装置も搭載。
また、クイックシフター内蔵の6速ギアボックスにより、スムーズなシフトアップとダウンが可能です。
乾燥重量は148.5kg、シート高は898mmで、シート高は一番高いです。燃費やタンク容量はKTM 690 SMC Rと同じで満タン給油での航続可能距離は329.4㎞となっています。
メーカー希望小売価格は1,759,000円。3兄弟の中では最も安く、お得に購入することができます。
アプリリア SX125
アプリリア SX125は、125ccクラスの本格的なスーパーモタードモデルです。2025年モデルからはヘッドライト、ウインカーを含むすべての灯火類がLED化されました。
軽い吹け上がりで高回転まで回せる125ccのエンジンと、134kgの軽い車体で市街地でもキビキビと走ることができます。シート高は880mm。
最高出力は15HP@10,000rpm、最大トルクは11.2Nm@8,000rpmです。タンク容量は6.2Lですが、カタログに燃費の記載はありません。
メーカー希望小売価格は484,000円です。
ファンティック XMF125
ファンティック XMF125は、クロモリ鋼製ペリメターフレームに6速仕様の水冷単気筒エンジンを搭載した、原付二種のモタードです。
公式サイトは非常に簡素で、最高出力・最大トルク燃費の記載はなし。車両重量は97kg、タンク容量は7.5L、シート高は870mmです。
メーカー希望小売価格は1,050,000円と、125ccにしては高級品ですね。
ファンティック XM50
ファンティックのモタードには50ccモデルもラインナップされています。XMF125と同じく情報は少ないですが、車両重量は85kg、その他の車体構成は共通のようです。
始動方式はセルではなくキック式。メーカー希望小売価格は880,000円。
ベータ モタード4T 125LC
ベータ モタード4T 125LCは、大排気量モデルのRRシリーズをインスパイアしたレーシングルックな125ccモデルです。
ミナレリ製4ストローク水冷125ccエンジンを搭載し、2021年モデルからフューエルインジェクションになりました。アシストスリッパークラッチも装備し、急なシフトチェンジでも車体の挙動が安定します。
乾燥重量は98kgで、燃費は50㎞/L。タンク容量は7.5Lなので航続可能距離は375㎞です。最高出力や最大トルクの記載はありません。メーカー希望小売価格は、620,000円です。
シェルコ 125SM-RS ファクトリー
シェルコ 125SM-RS ファクトリーは、イタリアのシェルコ社が製造する125ccクラスのスーパーモタードモデルです。軽量で扱いやすい車体は、シート高898mm、乾燥重量は109.4kg。
最高出力、最大トルク、燃費の記載はなく、メーカー希望小売価格は836,000円です。
まとめ
モタードとは、オフロードバイクを基にオンロードでも対応可能にカスタマイズされたバイクで、アスファルト舗装路面と未舗装路面を組み合わせた特殊なコースで行われるレースが起源です。
1979年のアメリカで始まり、1990年代初頭にはフランスで「スーパーモタード」として広まりました。このジャンルのバイクは、17インチのホイールにオンロードタイヤを装着し、軽量で俊敏な走りが特徴です。
オフロードバイクの機動性とオンロードバイクの快適性を兼ね備えており、市街地の平坦な道から未舗装の道まで幅広く楽しむことができます。しかし、シート高が高く乗り心地が硬いと言うデメリットも。
今回は以下の12車種をご紹介しました。ぜひ今回の記事をモタード選びの参考にしてください♪
メーカー | 車種名 | シート高 | 車体重量 | 価格 |
---|---|---|---|---|
カワサキ | KLX230SM | 840mm | 137kg | 616,000円 |
スズキ | DR-Z4SM | 890mm | 154kg | 未定 |
ドゥカティ | ハイパーモタード950 | 870mm | 193kg | 1,935,000円〜 |
ドゥカティ | ハイパーモタード698 MONO | 864mm | 151kg | 1,778,000円〜 |
KTM | 690 SMC R | 892mm | 150kg | 1,770,000円 |
ハスクバーナ | 701スーパーモト | 890mm | 148kg | 1,780,000円 |
ガスガス | SM700 | 898mm | 148.5kg | 1,759,000円 |
アプリリア | SX125 | 880mm | 134kg | 484,000円 |
ファンティック | XMF125 | 870mm | 97kg | 1,050,000円 |
ファンティック | XM50 | 870mm | 85kg | 880,000円 |
ベータ | モタード4T 125LC | 890mm | 98kg | 620,000円 |
シェルコ | 125SM-RS ファクトリー | 898mm | 109.4kg | 836,000円 |
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投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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