はい、元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回は「下手クソがバレる運転が不得意な人の特徴」について解説をしていきます
自分はほぼ四半世紀にわたってバイクに乗り続け、バイク屋で勤務している間にはたくさんのライダーを見てきました。ライディングスクールにも通ったし、多くのお客さんとも走りました。
その中で気付いたのは「上手な人を真似することは難しい」ということです。でも初心者や上手ではない人の良くない点や癖に気付いて、自らのライディングを修正することは簡単なのです。
「下手クソがバレる」なんていうテーマではありますが、決して他人を下手クソとバカするような内容ではありません。自分に当てはまると思われるポイントに気付くことで、そこを修正し、上達や安全運転へ役立てて欲しいという意図なので、是非参考にしていただければと思います。
乗車姿勢でバレる下手クソポイント
はい、ではまず乗車姿勢だけでバレてしまう恐ろしい下手クソポイントについて解説をしていきます。自分ではかっこよくバイクに乗っているつもりなのに、傍から見て「あの人下手クソだな」なんて思われてしまってはちょっと残念ですよね。でも大丈夫!この記事を読めばその心配はなくなります。
ハンドルの握り方の違い
まず見た瞬間に分かるのはハンドルの握り方です。こんな感じで握っている人で上手な人はいません。
腕が真っすぐ、かつアクセルに対して 正面から握ってしまっている人。あれ?心当たりありましたか?
ちょっと大げさではありますが、上手な人はこんな感じで握っています。
そう!正面から垂直に握るのではなくて、グリップの外側から斜めに握っています。実はこうやって斜めに握ることで、いくつものメリットがあるのです。
■セルフステアの邪魔をしない
まっすぐ垂直に握って腕が突っ張っていると、セルフステアを活かすことができません。皆さんすでにご存知のように、バイクという乗り物は傾けることによって曲がる乗り物です。車体を傾けることによってハンドルが自然に切れ込み、曲がっていきます。
これを「セルフステア」と言いますが、まっすぐ握って腕が突っ張ってしまっていると、その切れ込む作用を妨げてしまうわけです。斜めからハンドルを持つことによってその動作を妨げず、切れ込む量を調整しやすくなります。
■上半身をリラックスさせやすい
さらに腕が突っ張っているということは、肩や腕に力が入りやすくなっています。
ライディングにおいては上半身はリラックスした状態、下半身はニーグリップなどをしてホールドすることが望ましいのです。上半身が硬く力が入ってしまっていると、全ての操作において悪影響が生じることは言うまでもありません。
なお、下半身ホールドついては後ほど詳しく解説をします。
■微妙なアクセルワークがしやすい
斜め持ちのメリットとしてアクセルの微調整がしやすいということも上げられます。
斜めに握るような形にするとアクセルの開度のコントロールがしやすく、疲れにくいのです。
正しいハンドルの握り方
ハンドルを握る時に特に意識して欲しいのが小指です。力の入りやすい親指と人差し指を中心にアクセルをコントロールしている方がかなり多いと思いますが、指の付け根あたりが痛くなってきて、それが疲労に直結します。そこでアクセルの開度を調節する際に、小指を意識してもらうと、細かい調節がしやすい上に疲れくいのです。
正面から握ってしまうと何かの拍子でガバッと開いてしまう危険も考えられますし、大雑把な操作になりやすいというデメリットもあります。100馬力もあるような大型バイクは特に繊細なアクセル操作が求められますからね。
さらに人間の関節の角度を考えてみれば分かるのですが、正面から垂直に握っていると、アクセルを開ける時に手首や肘が下がってしまいます。
対して斜めに持っていれば、手首を回すように動くだけで、乗車姿勢が崩れるようなことはありません
普段から斜めに持つ癖をつけておけば、緊急の際にも回避できたり、意図せず大きく開けてしまうようなこともないので、事故の被害を抑えられるかもしれません。
目線の違い
ハンドルの握り方の他にもう一つバレるポイント、それは目線です。
上手な人は基本的に遠くを見ながら運転しているのです。そして下手な人は近くを見ています。あまりにもひどいと、走行中なのにヘルメットの角度が低く見えてしまうくらいです。
バイクという乗り物は不思議なことに、目線を向けた方向に進む乗り物であることは有名なお話です。「コーナーの出口を見ろ」なんて言いますよね。
これは市街地などでも同様です。遠くに目線を置いていれば歩行車や車などの危険に対して早く気付くことができ、余裕を持って回避することができます。当然ですが目線が近いと気づくのに遅れてしまいます。
ではなぜ遠くに目線を置くことができないでしょうか? それは余裕のなさです。
いつもは遠くに目線を置けている人でも、スピードを上げると目線が近くになってしまいがちです。焦りや無意識の恐怖感が目線を近くに持ってこさせてしまうのです。遠くの危険よりもまずは目の前に迫っている危険の方が気になりますから、本能的なものなのかもしれません。
ではどうすれば良いのか? 余裕を持つ。恐怖心を取り除く、そのために必要なことは減速です。減速して余裕ができれば恐怖心もなくなり、自然と遠くを見ることができるはずですよね。
ニーグリップへの理解不足
そもそもニーグリップとは何でしょうか?
ニーグリップの目的を一言うと「バイクと一体になるため」です。
自分の体とバイクの車体を一体化させることにより、加減速時にも体がブレにくくなり、 荒れた路面でも安定した乗車ができるわけですね。わざと膝を開いて未舗装路などを走ってみればよく分かると思います(バイクを倒さないように要注意)。
そのニーグリップができてない人に共通するのは、つま先が開いていることです。
つま先が開いていると、太ももが外側に開こうとしますよね?逆につま先が内側に向いていると、自然と太ももも内側に向くので、これだけでニーグリップが完成します。
つま先の向きだけちょっと意識してみてください。
「太ももでタンクを挟め」と言われると勘違いしがちですが、ガチガチに力を入れる必要はありません。タンクに内腿がしっかり触れていれば、もうそれで十分です。
それともう1つコツがあります。両足内側のくるぶし部分をステッププレートなどに接触させるように意識してください。
そうするとさらに車体との一体感が高まります。くるぶしを接触させた状態でカーブを曲がるだけで、今までのライディングと全く違う感覚を得られるはずです。
といわけでニーグリップについて
・つま先を内側に向ける
・くるぶし部分を接触させる
という2点をお伝えしました。
これでもう急加速をしても急制動をしても車体から落とされるようなことはありません。
下手に見えるブレーキの使い方
では最後に、ブレーキの使い方について解説をしましょう。
「あ、こいつ下手だな」と分かるのが、信号や一時停止で止まる時です。チェックポイントはフロントフォーク。
ブレーキが苦手な人はフロントブレーキを強く握る傾向があるので、フロントフォークがグっと沈むのです。というのも減速時はフロントに過重がかかるため、フロントブレーキの方がよく効き、つい頼ってしまうからです。
基本的に停止する時はフロントもリアも同時に使います。イメージとしてはフロント:7・リア:3くらいの強さなんて言われています。リアも同時に使うことで車体が安定し、フロントフォークの沈み過ぎを防ぐことができます。
そうすると乗っている自分自身はもちろん、後ろに乗せた彼女さんの乗り心地も良く、ツーリング中であれば荷物も緩みにくくなるでしょう。安定して停止させる場合は、前後同時に併用するのが上手な使い方なのですよね。
でも自分は、あえてフロントだけを使用するという場合もあります。それは峠道などでコーナーに侵入する際。こういった時は減速さえできればよく、乗り心地は求めてないですよね。
さらにフロントフォークを意図的に沈ませることにより、一時的にキャスター角が立つため旋回性が向上します。減速を行い、少しずつブレーキを緩めながら旋回に入ります。つまりフロントフォークが沈んだ状態を維持したまま、コーナーに侵入するということですね。
市街地では必要のないテクニックなのですが、山道を楽しみたい時はこのフロントブレーキを意識してみると、より気持ちよく楽しく走れるようになるはずです。
基本的にはフロントブレーキは減速や停止、リアブレーキは減速や停止の補助に加え、姿勢を安定させる制御の役割があると考えれば、上手に使えるようになると思います。
まとめ
この記事でお伝えした「下手に見えるライディング」を意識して、回避するだけでも上手に見えるようになる、というより実際上達していくはずです。
全てのことを同時にやろうとすると混乱してしまうので
1:ハンドルを外側から斜めに持つ
2:つま先を内側に向けて乗る癖をつける
3:ブレーキを意識する
といった具合に、1つずつマスターしていけば、意外とすぐに身に付くと思います。
この記事が皆さんのバイクライフの充実や安全の一度になれば幸いです。
なお、この記事は北の動画で詳しく解説していますので、こちらも是非ご視聴ください。
それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
関連記事:
投稿者プロフィール
-
元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
最新の投稿
ライディング2025年8月21日【元バイク屋が解説】すぐに直せる!バイクの運転の下手な人の共通点
お役立ち2025年8月11日【元バイク屋が解説】ヘルメットの悪臭に効果的な消臭剤と消臭機はコレだ!
コラム2025年7月21日【元バイク屋が徹底解説】2025年 期待のコンセプト&ニューモデルを独自批評
コラム2025年7月2日【元バイク屋の妄想】メーカーに届け!こんな中型バイクが欲しい‼