これまでカスタムパーツの選び方に関するトピックをお送りしてきました。
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今回は、走行性能に大きく関わる「ホイール」について。交換するメリットとデメリットを解説しましょう。
①軽量化で走りが俊敏になる!
ホイール交換の目的として、最も多いと思われるのが「軽量化」。純正より軽い素材を用いたホイールに換装することで、ハンドリングが軽やかになります。
このように、サスの下にあるパーツを軽くすることを「バネ下重量の軽減」と言います。ホイールを回転させるために必要なトルクが減り、加速&減速がシャープに。また、ホイールの回転に対して慣性が働きにくくなるので、旋回性能も高まります。
加えて、「バネ下重量が軽いほど路面の影響を受けにくくなる」と言われています。ホイールの軽量化によって、サスが動きやすくなり、路面の凹凸に柔軟に反応できるのです。
「バネ下重量の1kgの軽量化は、バネ上重量を10kg軽量化したことに等しい」などと言われるほど効果があります。この効果の具体的な実証結果は出てきませんが、実際にまるで重い靴を軽い靴に履き替えたかのような効果があります。
世界最高峰レースのモトGPでは超軽量なマグネシウム鍛造ホイールを採用。
一方でホイールの軽量化によるデメリットも。重いホイールに比べて慣性がつきにくいため、直進安定性はダウンします。また、路面追従性が高まるため、わずかな凹凸でもショックが伝わり、乗り心地も若干悪化するでしょう。
カスタムで現実的なのは鍛造アルミホイール
では、軽いホイールにはどんな種類があるのでしょうか。
素材としてはマグネシウムが軽量ホイールとして有名です。値段はお高めで、安価な製品でも30万円台。さらに近頃はカーボン製も発売され、軽さではマグネシウムを上回ります。
なお、マグネシウムホイールは酸化に弱く、サビや塗装の剥離を見つけたら即メンテナンスしないと、急激に強度が低下するのでご注意を。
ホイールブランドとして最も有名なブランドの一つがイタリアのマルケジーニ。写真はモトGP直系のマグネシウム鍛造ホイール「M7R Genesi」。
同社における公道向け製品の最高峰で、前後セット83万6000円(CBR1000RR-R/SP SC82用)。前後でわずか7~8kg台、STDより20~40%も軽量です。
カーボンホイールも市販中。トップの画像はスーパーバイク世界選手権で使用されるROTOBOX製。
パニガーレV4用の場合、フロントはわずか2.72kg、リヤは2.8kg。価格は前後セットで50万円程度~。
また、製法によって軽量化も可能です。ホイールは、溶かしたアルミを鋳型に流し込む「鋳造アルミ」が一般的ですが、高圧でプレスする「鍛造アルミ」があります。鋳造は強度が低いため、肉厚を太くする必要があり重くなりがち。
一方、鍛造なら肉厚が薄くても高強度なので軽量化が可能です。価格もマグネシウムより安価なので、最もカスタムホイールとして現実的と言えるでしょう。
アルミ鍛造ホイールでメジャーなのがゲイルスピード。価格が抑えめで単品7万円程度から購入できます。
②タイヤをチューブレス化できる!
ホイールの形状は、主に「ワイヤースポーク」と「キャスト」に大別でき、それぞれにメリットがあります。
細いスポークで中央のハブとリムをつなぐワイヤースポークホイール。剛性がキャストホイールより高くなく、柔軟性に優れるため、やわらかい乗り心地となります。クラシックなバイクやオフロード車に使用される場合が多いです。
金属を型に流し込んだキャストホイールは、剛性が高いのが特徴。ワイヤースポークより軽いのもメリットです。
ワイヤースポークホイールは、密閉性が乏しいため、チューブを内蔵したチューブタイヤしか一般的に装着できません。
しかし、キャストホイールに変更すれば、チューブレスタイヤを履くことが可能になります。
アフターパーツのほか、他車の純正ホイールを流用する手法もあります。
チューブとチューブレスにはそれぞれメリットがあるのですが、チューブレス最大の利点はパンク修理が簡単になることだと個人的には考えます。
チューブレスの場合、釘などの小さい穴によるパンクなら、すぐ空気が抜けることがなく、修理キットを使うことでタイヤを外すことなくリペア可能。ロングツーリングなど出先でもパンクに対応したい場合などに有効です。
ただし、本格的なオフロード走行では修理キットで対応できないほどの大穴が開く場合も。こんなケースでは、チューブを持ち歩きできるチューブタイヤの方が対応しやすかったりします。
ちなみに近頃はCRF1100Lアフリカツインなどのようにチューブレスに対応したスポークホイールもあります。
OUTEXというパーツメーカーから、スポークホイールの密閉性を高めてチューブレス化できるキットも販売中。
③径の変更で特性が変わり、タイヤの選択肢も広がる
ホイールの交換時にノーマルと異なる径にすれば、走りが大きく変貌します。特にミニバイクではメジャーな手法ですが、インチダウンすればクイックなハンドリングになり、インチアップすれば安定感が高まる傾向になります。
また、主流のインチに変更することでタイヤの選択肢が広がります。ミニバイクでは12インチ、スポーツバイクでは17インチといったホイール径に変更すると、超ハイグリップタイヤなどが選べるようになります。
ただし、フェンダーに接触したり、スピードメーターに誤差を生じたり、と他のパーツへの影響も甚大。当然スキルもコストも必要なので、素人は安易に手を出さない方が無難です。
例えば、クロスカブ110のリヤ17インチを16インチとすることで、オフ用タイヤの選択肢が広がります。
写真はZ-WHEEL製「リムセット インチコンバージョン」。
④ドレスアップ効果が高い!
ホイール交換は見た目の変化も大きいです。美しい形状や色など、ホイールは目を惹く部分なので、性能を向上させたい人はもちろん、愛車をドレスアップしたい人にもオススメです。
ハーレーなどのクルーザー系ではドレスアップ目的のホイールが豊富です。
[まとめ]
数あるカスタムパーツの中でも高額な部類のホイール。なかなか手を出しにくいですが、特に運動性能をアップしたい場合に効果が絶大です。
試してみる価値は十分あるハズです。重要部品のため、DIYに自信のない人は信頼できるショップに任せましょう!
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投稿者プロフィール
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ふだんフリーランスとして、主にバイク雑誌の編集やライターをしている沼尾です。
1989年に2輪免許を取得し、いまだにバイクほどオモシロイ乗り物はないと思い続けています。フレッシュな執筆陣に交じって、いささか加齢臭が漂っておりますが、いい記事を書きたいと思っているので、ご容赦ください。趣味はユーラシア大陸横断や小説など。よろしくお願いします。