バイクの二人乗りはライダーにとっては一度は憧れる走行スタイル。いつかは自分のバイクにかわいい彼女(あるいは彼氏)を乗せていろんな場所に出掛けたいな〜といった願望をお持ちではないでしょうか?
しかし、二人乗りをするには様々な条件があります。また、二人乗りならではの注意ポイントも多数。憧れのタンデム走行で自身だけでなく同乗者も痛い目に遭わないために、ルールや注意点を確認しましょう。
二人乗りの条件
二人乗りは別名タンデム走行と呼ばれています。二頭の馬を縦につないだ馬車の事をラテン語で「タンデム」と表現したことが由来とのこと。
ただ、免許を持っているからといって、二人乗りができるわけではありません。二人乗りには法律で定められた条件があります。二輪免許を取得する際の教習で説明を受けて以来、一度もルールに触れていない方もいらっしゃると思いますので、しっかりおさらいしておきましょう。
詳しい内容は後述しますが、以下の表が基本的な二人乗りの条件となります。
50ccの原動付自転車は二人乗りそのものが禁止されている車両です。また、50cc以上のバイクでも、一人乗り専用の車両は二人乗りができません。
50cc以下&一人乗り専用車両 | 50cc超 | |
一般道 | 不可 | 免許取得から1年経過 |
高速道路 | 不可 | 20歳以上&免許取得から3年経過 |
特に免許取り立ての方は、自分が二人乗りが可能かどうか事前に確認しましょう。
法規制を破ると運転違反点数が加点され、違反回数や点数の合計によっては一定期間の免許停止・取消の処分が下されるため、厳守するように。
交通違反に関する参考記事はこちらをご覧ください。↓
一般道路では免許取得から1年以上が条件
一般道は二輪免許(普通二輪、大型二輪)取得から1年経過が条件。大型二輪免許の場合は取得した段階で普通二輪免許取得から1年経過していた場合は、免許取得後から二人乗りが可能です。
上記ルールに違反した場合は、大型自動二輪車等乗車方法違反が適用され、違反点数2点&反則金12,000円が課せられます。
高速道路は免許取得から3年以上が条件
一方、高速道路(高速自動車国道及び自動車専用道路)は20歳以上、かつ二輪免許(普通二輪、大型二輪)の免許取得から3年経過が条件です。一般道の走行と比べると年齢による制限が追加され、免許取得からの年数も長くなっています。免許取得から1年~3年未満でタンデム走行を行う場合は要注意。
上記ルールに違反した場合は一般道と同様、大型自動二輪車等乗車方法違反となり、違反点数は2点で反則金12,000円が課せられます。
同乗者の制限はない
二人乗りは免許取得後の経過年数による条件がありますが、意外にも同乗者の制限は法的には設けられておらず、老若男女、同乗者の状況の如何にかかわらず乗車可能です。
そのため、子供も乗せて親子でツーリングも楽しめます。しかし、小柄な子供を乗せるためには、タンデムステップに足をつけられるか?ヘルメットは装着できるか?といった諸条件をクリアする必要があります。また、二人乗り可能な体格の子供であっても、彼らの予測不可能な動きに対応しなければいけません。走行中に勝手に動いたり眠ってしまったりすると、運転に影響が及ぼす恐れがあります。
上記のようなケースに起因した事故を防ぐために、二人乗りをする際はタンデムベルトを装着することを強く推奨します。タンデムベルトは子供から大人まで利用できるため、自身のみならず同乗者を危険から守るために用意しておきましょう。しかし、大人であっても、例えば酔っぱらいを乗せることは避けること。自身で体を支えられない状態の人は、たとえタンデムベルトを装着したとしてもふらつきによる重心移動でバイクの操作に支障が出てしまいます。
小さな子供を乗せる際に有効な、同乗者を運転手に固定するリュックタイプ↓
運転手の腰にベルトを巻き付け、同乗者は方にリュックを取り付けるタイプも↓
二人乗り通行禁止標識について
二人乗り時は「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」標識の確認を忘れずに。上記マークより先は二人乗り禁止区域となっており、特に首都高速に設定されています。二人乗りしながら首都高速を走行する場合は、規制が設けられていない中央環状線や湾岸線を利用した計画を立てておきましょう。
同乗者の乗車スタイルについて
二人乗りをする際は運転手である自身の命だけでなく同乗者の命も同時に預かります。バイクの乗降時や、走行中に二人の足並みが揃わないと大きな事故に繋がることも。そのため、同乗者にも走行する上で注意するべき点があります。
ヘルメットは必ず付ける
同乗者もヘルメット装着義務が課されており、違反すると違反点数1点が加算されます。運転手も同乗者もバイクに乗れば事故時の負傷リスクは同じ。頭部損傷による最悪のケースを防ぐためにもヘルメットを用意しましょう。
肌の露出を避ける服装を
運転手と同様、同乗者も肌の露出を避けて動きやすい服装で乗車しましょう。特に女性は注意が必要で、スカートやヒール等の動きづらい服装では乗降しづらくなります。
また、運転手は走行中に強い風を受けることになりますが、同乗者も同様の条件。運転手の背中に守られているとはいえ風に煽られやすくなります。そして、万一転倒が発生した際は軽装だと受けるダメージが増加してしまいます。
そのため、同乗者もライディングウェアやパンツを履き、プロテクターを装着したうえで乗車することをおすすめします。
なるべく体勢を変えない
二輪車であるバイクは運転手の重心を移動させることにより車体を操作します。そのため、走行中に同乗者が大きく動くと、運転手の意図しない重心移動が発生してふらついてしまいます。安全に走行するためにも、同乗者はなるべく体勢を変えずに乗るようにしましょう。タンデムベルトを利用することで同乗者の動きを制限し、不意な重心移動を防ぐことができます。
運転者には密着しすぎず腰に両腕を回す
同乗者が運転手に強くしがみつきすぎると、運転手が胴体をうまく動かせず重心移動しづらくなります。同乗者は腰に両腕を回すとともに、座る位置は運転手と密着しすぎない程度に間隔を取るようにしましょう。
乗降時の声掛けを欠かさず行う
タンデム時は目的地での乗り降りにも細心の注意を払う必要があります。降車時に運転手と同乗者どちらかが勝手に降りてしまうと立ちごけの危険性が増し、バイクの故障や怪我を負ってしまうことも。乗車時も同乗者が運転手の状況を確認せずに乗ってしまうと同様のケースが発生する恐れがあります。
バイクの乗り降りの際はお互い声掛けを忘れずに。ヘルメットを着用しており声が届きづらい場合は、インカムを装着しておくのも手です。乗降時だけでなく走行中もコミュニケーションをとりやすくなるという利点もあります。
主要インカムメーカーに関する記事が公開されているため、参考に是非!↓
タンデム走行中の注意点
二人乗りを行う際、運転手は一人で走行するとき以上にバイク操作に気をつけなければいけません。下記の点については特に注意が必要です。
二人乗りの注意点
- 加速性能が落ちる
- ブレーキの効きが悪くなる
- バイクの走行コースの把握が難しくなる
同乗者の体重が加わることによる車重の変化は、走行時の操作に様々な影響を及ぼします。特に二人乗り走行中は”急”が付く動作を行わないようにしましょう。急加速や急ブレーキによる重心移動が強く発生することで体勢を崩しやすくなっているため、一人で走行するとき以上に危険です。
加速性能が落ちる
車重が増すことで、バイクの加速力が低下します。普段であれば発進時にすいっと加速できたのに、二人乗り走行時は加速に必要な距離が増加。結果として追い越しがしづらくなったり、幹線道路への合流時の加速に時間がかかるようになります。加速を行うタイミングは普段より早めを心がけて。
ブレーキの効きが悪くなる
ブレーキ操作を開始してから完全に停車するまでの制動距離が長くなります。また、減速時は慣性の影響で同乗者の体重が前方の運転手にかかります。急ブレーキ時はより強く慣性がかかり、バランスを崩しやすくなります。
停車時は、停車するポイントからより離れた位置でブレーキ操作を行うようにしましょう。
バイクの走行コースの把握が難しくなる
同乗者が不意な動くことで重心移動が発生し、運転手のイメージした走行ができなくなる場合があります。特にカーブ中は要注意。
カーブする方向へ車体と一緒に体を倒す行為はバイクに乗らない人にとっては馴染みが薄いもの。そのため、同乗者は恐怖からカーブ中に体勢を起こしてしまい、発生した重心移動によりコーナリングに影響が出る恐れがあります。カーブの際は速度を十分に落として、深く車体を傾けずにコーナリングを行いましょう。同乗者への配慮にも繋がります。
タンデムベルトはカーブ時に同乗者も一緒に体を傾けやすくなるため、転倒リスクを減らすためにも装着した状態で走ることをお勧めします。
グリップを掴むことで、同乗者も体を傾けやすいベルトタイプ↓
ルールと注意点を守り、楽しいタンデムツーリングを!
ここまで、二人乗りのルールと注意点について解説しました。教習で一度触れていても、内容を忘れていた部分もあったのではないでしょうか。
特に普通二輪免許取得から3年未満の方は、自分が二人乗り可能かどうか把握することは絶対条件。実際に二人乗りする際はタンデムベルトを携行して安全な運転を。
大切な人と一緒に同じ風を感じながら、様々な景色を見に行きましょう!
投稿者プロフィール
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主に千葉、神奈川へツーリングに行くことが好きな鈴木敬です。ライダー歴は今年で3年になりました。スズキですがYAMAHA MT-25乗りです笑
一緒にツーリングに行っていた友人がバイクを降りてからソロツーリングメインになり、月一の遠出やソロキャンプを楽しんでいます。
一人気ままなツーリングをしながら得た知見をお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
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