みなさんこんにちは、整備士ライダーのヨシキです。今回のメンテナンスネタは意外と奥が深い“オイル交換”のノウハウを取り上げていこうと思います。
オイル交換といえば日常メンテナンスの基本中の基本。初めて自分でバイクの整備する方にとっては登竜門的な作業です。オイル交換ができるようになればきっとメンテナンスの楽しみも増えるはず。
一緒にチャレンジしていきましょう!
オイル交換していますか?
そもそもの話、愛車のオイル交換はきちんとしていますか?エンジンオイルは入っていればいいというものではなく、きちんとその性能を果たしていなければ意味がありません。
“車検のときにしかオイル交換をしない”
“最後にオイル交換をしたのはいつか覚えていない”
こんな方はもしかしたらオイルの性能が劣化しているかもしれません。なるべく早めにオイル交換をしてあげましょう。
オイルの役割
折角なのでここでエンジンオイルの役割や交換しないとどうなるのか?という話題にも触れておきます。
まずエンジンオイルの役割ですが、主に3つの仕事があります。
- エンジンの冷却
- エンジンの潤滑
- シリンダーの密閉
エンジンオイルの添加成分によっては自己清浄機能というクリーナー的な役割もあるのですが、ここでは割愛します。
エンジンオイルが劣化を始めるとこれらの役割が上手く機能しなくなり、燃費の低下だけではなく、エンジン本体にダメージを与えることもあります。
オイル交換をさぼっていると最悪故障の原因に
また、長く使用し続けたエンジンオイルは、カーボンやゴミを吸着し、ドロドロのタール状になることがあります。こうなってしまうと、エンジンオイルの潤滑経路に汚れたオイルが詰まり、最悪の場合エンジン本体が故障することもあります。
実際そこまでひどくなる例は珍しいですが、オイルは入っているからと、交換作業をサボっていると思いもしないトラブルに見舞われるかもしれません。
2ストバイクはミッションオイルの交換だけ
ちなみに、旧車に多い2ストロークバイクはオイル交換の必要はありません。2ストロークバイクはエンジンオイル(2ストロークオイル)をガソリンに混ぜて燃やして使うように設計されています。
そのため定期的なオイルの補充は必要ですが、交換の必要はないため、油脂類に関してはメンテナンス性には優れているバイクといえるかもしれませんね。
※エンジン内部のギアを潤滑している「ミッションオイル」は定期的な交換が必要です。
オイル交換のやり方(作業手順)
さて、ここからは実際にバイクのオイル交換のやり方を解説していきます。
オイル交換に必要な道具
まずオイル交換に必要な道具は次の8点
- ドレーンプラグを外すメガネレンチやラチェットレンチ
- フィラーキャップを開けるためのプライヤー
- 廃油の受け皿
- オイルを入れるためのオイルジョッキ(メモリのあるものが良い)
- エンジンオイル
- オイルフィルター(交換する時のみ)
- フィルターを外す工具
- ウエス(数枚)
工具に関しては日常メンテナンス用の工具セットがあれば問題なく対応できるので、工具がある人はエンジンオイルと廃油の受け皿、オイルジョッキの3つがあれば十分です。
エンジンオイルの種類について
エンジンオイルには5W-30や10w-50といったオイルの粘度を示す表記があります。一般に高回転型のエンジンには“-”以降の数字が高めのオイルを選択。街乗りバイクにはWの前の数字が小さいものを選ぶといいでしょう。(レース用のオイルなら10W-50など)
もし純正の粘度が分かるのであれば、それを入れても問題ありませんし、もし分からない場合でも2輪車用のエンジンオイルであれば粘度の数字は多少異なっても問題ありません。
手順1:フィラーキャップを外す
まずはフィラーキャップを外しましょう。
フィラーキャップはエンジンオイルを補充する給油口です。場所はエンジン上部にありますが、車体によってはフレームにフィラーキャップが付いている車両もあるので、まずはフィラーキャップを見つけることから始めましょう。
万が一、オイルを抜いた後にフィラーキャップが開かないということになればエンジンオイルを入れることができなくなってしまうので、フィラーキャップを見つけるのは最優先です。
手順2:ドレーンプラグを外してオイルを抜く
フィラーキャップが外せたらエンジン底面にあるドレーンプラグを外すしてオイルを抜きます。
ドレーンプラグは12~14ミリ頭のボルトを使用していることが多く、エンジン底面の中心部分に取り付けられているのが一般的です。
ドレーンプラグを外すと勢いよくオイルが排出されるので、ドレーンプラグの真下に廃油受けをセットしておきましょう。
手順3:ドレーンプラグを清掃、パッキンを交換して締め付ける
オイルを抜いている間に、ドレーンプラグを清掃します。汚れを拭き取ったら新品のドレーンパッキンを取り付けて、ドレーンプラグをエンジンに取り付けます。
このとき、あまり強くネジを締めてしまうとエンジン側のネジ山をダメにしてしまうことがあるので、絞め過ぎには注意が必要です。できればトルクレンチなどで力加減を測定しておくとベターですね。
手順4:オイルを規定量入れて完成
ドレーンプラグを締め付けたら最後にオイルを規定量入れて、オイル量が基準値に収まっていることを確認したら完成です。オイルの基準量の測り方は、点検用の小窓かフィラーキャップについたメモリで判断します。
※点検用の小窓から確認する際はバイクを直立させる必要があります。(再度スタンド不可)
仮に規定量のオイルを入れたとしても、エンジン内に残ったオイルなどにより基準値から外れる場合もあるので、油量チェックは必ず行いましょう。
フラッシングをするときはこの時に作業を行います
また、フラッシング作業を行う場合はこの段階でエンジンをかけ、10分程度アイドリングしたら再びオイル交換の作業を繰り返して完成です。
特に難しい作業はありませんが、オイルの使用量が増えるので、エンジンオイルは多めに用意しておくと良いでしょう。もしくはフラッシング専用オイルを用意してもOKです。
オイル交換の注意点
交換作業自体は難易度の低いオイル交換ですが、注意点もいくつかあります。気を付けないとケガをしたり、故障の原因につながることもあるので、作業は慎重に行ってくださいね。
エンジンが熱いときはやけどしないように
オイル交換の作業で多いのがやけど。エンジンは冷えても実はエンジンオイルはなかなか冷えません。うっかり熱々のオイルが手にかかるとやけどの原因になるので、作業はエンジンが完全に冷えた状態で行いましょう。
2輪用のオイルと4輪用のオイルは混ぜないように
エンジンオイルには4輪用と2輪用があります。2輪車はエンジンオイルでミッションオイルの役割も果たしているので、うっかり4輪用のオイルを使ってしまうとクラッチすべりの原因になることがあります。(4輪はエンジンとミッションで別々のオイルを使用しています。)
もちろん兼用できるオイルもあるのですが、できればバイクには2輪車専用のオイルを使った方が無難です。
オイルエレメントも一緒に変えておこう
もし作業に余裕があればオイルエレメントも一緒に変えておくとオイルの経路がリフレッシュできます。オイルエレメントとはエンジンオイルに混じった不純物をろ過する働きがあり、フィルターが目詰まりを起こすとゴミが除去されず、エンジンに戻っていってしまいます。
オイルエレメントは頻繁に交換する部品ではありませんが、オイル交換2回に1回程度の割合で交換してあげると理想的です。
オイル交換は自分でも簡単にできるメンテナンス、整備に興味がある方は是非挑戦してみて下さいね
注意事項さえ気を付ければ比較的に簡単に作業できるオイル交換。オイル交換が自分でできるようになると、通販で買ったオイルを気軽に試してみたり、空いた時間にメンテナンスができるなど、わざわざお店に持っていく手間が省けてとても便利です。
特に持ち込みオイルはお店によっては嫌がられることもあるので、こだわりのオイルを試してみたい方にはピッタリではないでしょうか。
ぜひ挑戦してみて下さいね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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