こんにちはヨシキです。突然ですが皆さん、ヤフオクなんかで中古タイヤを見ていると、よく“〇〇分山!まだまだ使えます!”なんて売り文句をよく見かけますよね。
けれども実際のところ、それがどれくらい溝が残っているタイヤなのかを判断するには、正直写真だけではちょっとわかりにくいですよね。ましてやそれが“○○分山”とか普段聞きなれない表現をされていたらなおさらでしょう。
結論から言ってしまえば、中古タイヤは5分山以上、できれば8分山以上の溝があれば中古でもほぼ問題なく使えるはずです。とはいえ、せっかくなら“なぜ安全といえるのか”その判断の根拠を知りたくはないですか?
そこで今回は、整備士ヨシキがタイヤの溝や中古タイヤでよく見かける〇〇分山という表現について解説します。
バイクのタイヤはどこまで使えるのか?中古で購入するときの注意点なども併せてご紹介していくので、是非参考にしてくださいね。
そもそもタイヤの残り溝はどのくらいあれば安全なのか?
そもそもバイクのタイヤはどのくらい溝があれば安全なのかという疑問ですが、これには明確な基準があります。
それは“タイヤの溝に作られたスリップサインが露出していないこと”です。スリップサインはタイヤの残り溝は0.8mm以下になると露出し、これ以上溝が浅くなると排水性能が低下し、ぬれた路面でスリップを起こしやすくなります。
一般的には溝が4ミリ以下になるとタイヤの性能が著しくダウンすると言われているので、スリップサインが目立ってきたら交換タイミングです。
基本的にはスリップサインよりも溝があればOK
よく“タイヤの溝は1ミリあればいい”とか“2ミリまではきちんと使える”といわれますが、基本的にはスリップサインが出ていなければ問題ありません。
スリップサインの見つけ方はタイヤの側面に記載された矢印マークが目印。矢印マークがあるところを辿った先の溝の中には山ができており、これがスリップサインです。
最初は見つけるのが難しいかもしれませんが、慣れると簡単に見つけられるので、タイヤの残り溝が気になる方は是非チェックしてみましょう。
スリップサインを下回るほど摩耗したタイヤは法律的にも安全面的にも使用不可
ちなみに、スリップサインが露出するほど摩耗したタイヤは危険なだけではなく、法律的にも使用が禁止されています。当然そのままでは車検にも通りませんので、タイヤの残り溝が少なくなってきたなと思ったら早めにタイヤ交換を検討しましょう。
タイヤの寿命は残り溝だけではなく、総合的に判断する必要がある
また、タイヤの寿命は残り溝だけでは判断できません。
スリップサインは出ていないけれど、タイヤの端が編摩耗していては危険ですし、タイヤの製造から時間が経ち、側面がひび割れているタイヤも危険です。中古タイヤを選ぶときは溝以外にも気を配りましょう。
ただし、ひび割れに関してはエアーを入れないと分からないこともあるため、製造から4年以上経過したタイヤは選ばない方が無難かもしれません。
製造年の見方はタイヤの側面に刻印された4ケタの数字。このうち下2桁が作られた年を表します。製造年はタイヤの寿命を判断する重要なポイントです。製造年の確認ができない中古タイヤは溝があっても使えない可能性もあるので、どんなにお得でも購入はオススメできません。
よく見るタイヤの〇〇分山ってどれくらい?
では本題。タイヤの〇〇分山ってどのくらい溝があるのか?ということですが、この表現は、あくまで主観的に、残り溝がどれくらいあるかのかを簡単に示しているだけで、必ずしも正確な残り溝を表しているわけではありません。
実際のところタイヤの残溝を〇〇分山として表現する基準はない
タイヤメーカーの公式発表においてもタイヤの残溝を〇〇分山と表現することはなく、溝の深さはきちんと長さの単位で表記されています。
なので、中古タイヤの説明書きに“5分山タイヤ”と書いてあっても、実際には新品の半分ほどの溝がある確証はなく、あくまでも目安にしかなりません。
実際に残り溝を計ってみると半分も溝が残っていなかったり、スリップサインよりも下から測定していて使える範囲が少なかったりということもあるので、○○分山の表現を過信することは禁物です。
個人売や中古タイヤ業者が5分山以下と表記している場合は要注意
とはいえ、判断基準があいまいな○○分山と表現されたタイヤを、慎重に選ぶのは正直非常に難しいところ。現物を見ているならいざ知らず、インターネットオークションなど、画像のみで良いタイヤ判断するのはかなり厳しいでしょう。
そんなとき、タイヤ選びの一つの基準として目安になるのが、“5分山以上のタイヤを選ぶこと”。これならぱっと見でタイヤを選んでもタイヤの溝が思ったより少なかったという事態になることは少ないはずです。
より安全を選ぶなら、8分山以上のタイヤを選ぶとベストですね。
実際に計ってみよう
最後にタイヤの残り溝はどうやって判断するのか、実際に計って調べてみましょう。タイヤの減り具合を自分で点検できるようになれば、中古タイヤの目利き力もかなりアップします!
まずはスリップサインを見つけよう
まずはタイヤの使用限度であるスリップサインを見つけましょう。目印はタイヤ側面の三角マーク。
スリップサインの高さを基準にどれくらい溝が残っているのかを測定
スリップサインを見つけたら、そこから溝の高さがどのくらい残っているのか測定します。測定に使う道具は“デプスゲージ”という専用の機材を使うのですが、きっとほとんどの方がお持ちではないと思うので100円玉を使って測ります。
使い方は簡単。100円玉を押し当てて“1”が完全に露出していなければOKです。実はこの方法、車のスタッドレスタイヤの残り溝を計る簡易的な方法で、バイクのタイヤにも応用ができるんです。
100円玉の淵から1の文字までの距離が約5㎜。新品のタイヤの溝がおおよそ5~6㎜程度ですので新品タイヤは100円玉の1とピッタリ同じ位置か、少し隠れる状態になります。
これよりタイヤが摩耗すると、1の文字がどんどん露出し、完全に1の数字が見えてしまうとそろそろ交換です。
タイヤの製造年月日やひび割れも点検
また、タイヤは残溝だけではなく、ひび割れや、生産から極端に時間が経っていないかも合わせて確認しておきましょう。
ひび割れを見つけたらタイヤはすぐに交換が必要ですし、仮にひび割れていなかったとしても製造から4年以上経過したタイヤはゴムの硬化が進み、十分な性能を発揮できません。
中古タイヤを選ぶときはこういった視点で商品を吟味すると、良い掘り出し物が見つかりますよ。
ネットや個人売で買うときはひとまず8分山を基準に選ぶと失敗が少ない
ネットオークションやフリマアプリの台頭によって身近になった中古タイヤ。安価に良いタイヤ購入できる一方で、残念ながら粗悪品も多く出品されています。
特に残溝“何分山”という表現には基準がなく、実際の溝の残り具合は出品者の主観で決められているので、注意が必要です。もちろん中には正確に測定して出品している良心的なお店もありますが、そんなお店ばかりではありません。
安パイを切るなら多少割高でも8分山以上溝が残っているタイヤがおすすめ。5分山以下はどんなに安くてもほぼ使い物にならないこともあるので、個人売やネットでは避けたほうが無難かもしれません。
中古タイヤは8分山以上。ぜひ覚えておいてくださいね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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