バイクのエンジン形式や種類を理解していますか? バイクを選ぶ際には、エンジン型式を知っておくことが大切です。
エンジン型式は、気筒数や燃焼方式、冷却方式などによって分類され、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
この記事では、バイク用エンジンの形式や種類・特徴などを、バイク歴40年のベテランライダーが解説します。
また、初心者におすすめのエンジン形式とバイクも紹介しますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
トップ画像引用元:ヤマハ公式サイト
バイク用エンジンにはさまざまな種類や型式がある
バイク用のエンジンは、気筒・シリンダー・冷却方式・燃焼方式などによる違いや特徴があります。この章ではそれぞれの種類や形式について解説します。
気筒(気筒数)
エンジンの心臓部であるシリンダーのことです。気筒数が多いほど、排気量も大きくなり、出力やトルクも向上します。ただし、気筒数が多くなれば構造が複雑になるばかりでなく、エンジンおよびバイクの重量が増し、価格が高くなります。気筒数の違いによる特徴は後述します。
シリンダーの並び方
バイク用エンジンのシリンダーは、その並び方によって、さまざまな種類に分けられます。大きく分けて直列(並列)、V型、水平対向の3種類です。
直列と並列
シリンダー(気筒)が一列に並んでいるのが直列ですが、そのなかでも進行方向に対し、シリンダーを横に配置したのは並列とも言います。
よく見るレイアウトで、2気筒、4気筒など、さまざまな気筒数で採用されています。中型や大型のバイクで多く採用されているエンジン形式です。
V型
シリンダーがV字型に並んでいるのがV型です。低回転域のトルクが強く、スムーズな回転フィールが特徴です。2気筒、4気筒などで採用されています。
V型は、ハーレーダビッドソンが有名です。
水平対向
シリンダーが左右に並んで対称に配置されているのが水平対向です。振動が少なく、安定した走行が可能です。2気筒、4気筒などで採用されています。
水平対向エンジン搭載のモデルを多く製造しているメーカーは、BMWです。
冷却方法
バイク用エンジンの冷却方法は、大きく分けて空冷と水冷の2つがあります。
空冷
エンジンの外側にフィンを付けて、走行風で冷却する方式です。構造がシンプルで、メンテナンスが容易なため、原付やスクーターなど、中型以下のバイクや価格を抑えたバイクなどに多く採用されています。
水冷
ラジエターを備え、エンジン内部に冷却水を循環させて冷却する方式です。冷却効率が高く、高出力エンジンや高回転エンジンに適しています。スポーツバイクや大型ツーリングバイクなどに多く採用されています。
燃焼方式
バイク用エンジンの燃焼方式には、4ストロークと2ストロークの2つがあります。しかし、2ストロークエンジン搭載のバイクが生産されていない現在、購入できるバイクはほとんど4ストロークといっても過言ではありません。
4ストローク
4ストロークのエンジンは、「吸気、圧縮、燃焼、排気」の4行程をエンジンのピストン2回転(2往復)で行い、燃焼(プラグによる発火)は4行程(4ストローク)に1回です。ゆえに「4ストローク」の名前がついています。
構造は複雑ですが、燃費や排気性能に優れています。近年、環境に配慮した排ガス規制により、新車で製造販売されているバイクは、ほとんど4ストロークです。
2ストローク
2ストロークのエンジンは、「吸気・圧縮、および燃焼・排気」の2行程をエンジンのピストン1回転(1往復)で行います。燃焼(プラグによる発火)は2行程(2ストローク)に1回です。「2ストローク」の名前の由来はここにあります。
構造がシンプルで、小排気量でもハイパワーを発揮するので、原付やスクーターなど、小排気量バイクや中型スーパースポーツバイクなどに多く採用されてきました。しかし、近年の排ガス規制により、2ストロークのバイクは国内では現在製造されていません。
気筒数の違いによるそれぞれの特徴
バイク用エンジンは気筒数の違いにより、性能や特性が大きく異なります。
単気筒
気筒数が一番少ないのが単気筒です。構造がシンプルで、低速トルクがあり、扱いやすいのが特徴です。原付から大型車まで幅広い車種に採用されています。
2気筒
単気筒と多気筒の中間的な性格を持つのが2気筒です。低速トルクも高回転性能も両立しており、幅広い用途に適しています。エンジンレイアウトは並列(直列)とV型、水平対向があります。
3気筒
3気筒エンジンは、2気筒と4気筒のいいとこ取りとも言われるエンジンです。低回転域から高回転域までスムーズに回り、力強いトルクとパワーを実現しています。
ヤマハMT-09やトライアンフなどで採用されているレイアウトです。
4気筒
バイク用エンジンの定番とも言えるのが4気筒です。高回転までスムーズに回り、高出力を発揮します。スポーツバイクや大型ツーリングバイクに多く採用されています。
6気筒
最高峰の性能を誇るのが6気筒です。滑らかな回転フィールと圧倒的なパワーを実現しています。かつては大型バイクなどに採用されていました。
しかし2024年現在、6気筒のバイクを製造しているメーカーはあまり見かけなくなりました。製造コストや販売価格が高くなるのがその理由です。
初心者におすすめのエンジン型式
それでは、初心者にはどういったエンジン形式が向いているのでしょうか。初心者におすすめのエンジン形式は、この章で解説する単気筒と2気筒です。
単気筒は初心者におすすめ
初心者には、構造がシンプルで扱いやすい単気筒エンジンがおすすめです。
単気筒エンジンは、シリンダー(気筒)が1つしかないため、エンジンの構造がシンプルで故障しにくく、メンテナンスが容易です。また、低回転域のトルクが強く、扱いやすいのが特徴です。多気筒エンジンに比べ、重量が軽いので取り回しがラクという利点もあります。
単気筒はバイクに慣れていない初心者が楽しめるエンジン形式です。しかしながら、ベテランも十分楽しめる単気筒のオフロードバイクなども多く存在します。
2気筒も扱いやすい
初心者でも扱いやすく、エンジン性能が高い2気筒もおすすめです。
2気筒エンジンは、低回転域のトルクが強く、単気筒エンジンに比べて高回転域までスムーズに回転するのが特徴です。そのため、街乗りから高速走行まで、幅広いシーンで快適に運転を楽しむことができます。
また、単気筒エンジンに比べて、エンジンの振動が少なく、乗り心地がよいのも特徴です。
初心者におすすめのバイク
この章では2024年1月現在、新車で購入することができる初心者におすすめのバイクを厳選して紹介します。初心者向けとして紹介していますが、中堅やベテランライダーも楽しめるバイクたちですよ。
単気筒エンジン搭載バイク
ホンダ モンキー
長い歴史と人気を誇るホンダ「モンキー」。125ccになっても、ひと目で「モンキー」とわかるデザインが魅力です。初心者にも扱いやすく、相変わらず幅広い世代に愛され続けています。
【主要諸元】
シート高:776mm
車両重量:104kg
燃料タンク容量:5.6 L
燃料消費率(WMTCモード値):70.0km/L
エンジン:空冷4ストロークSOHC 2バルブ 単気筒
総排気量: 123㎤
最高出力:6.9kW [9.4PS ] / 6,750rpm
最大トルク:11N・m [ 1.1kgf・m ] / 5,500rpm
変速機:5速/リターン
メーカー希望小売価格(消費税込):440,000円
ロイヤルエンフィールド ハンター350
人気急上昇中のロイヤルエンフィールド「ハンター」。特筆すべきは最大トルクを発生する回転数です。なんと4,000回転という低い回転数で最大トルクを発生するエンジンは、扱いやすさバツグン! 初心者はもちろん、ベテランも楽しめるバイクです。
【主要諸元】
シート高:800mm
車両重量:181kg
燃料タンク容量:13 L
燃料消費率(WMTCモード値):公式データなし
エンジン:空冷4ストロークSOHC 2バルブ 単気筒
総排気量: 349㎤
最高出力:14.9kW [20PS ] / 6,100rpm
最大トルク:27N・m / 4,000rpm
変速機:5速/リターン
メーカー希望小売価格(消費税込):657,800〜664,400円
2気筒エンジン搭載バイク
スズキ GSX250R
やっぱフルカウルのバイクってカッコいいですね! スズキ「GSX250R」はスパルタンなスタイルながら、扱いやすさにも配慮してある乗りやすいバイクです。峠道のワインディングも楽しく乗れます。GSX-Rの名前はダテじゃない!
【主要諸元】
シート高:790mm
車両重量:181kg
燃料タンク容量:15 L
燃料消費率(WMTCモード値):32.8km/L
エンジン:水冷4ストロークSOHC 2バルブ 並列2気筒
総排気量: 248㎤
最高出力:18kW [24PS ] / 8,000rpm
最高トルク:22N・m [ 2.2kgf・m ] / 6,500rpm
変速機:6速/リターン
メーカー希望小売価格:602,800円(黒、黒/赤) / 614,900円(青、白) (いずれも消費税込み)
カワサキ Z400
近未来的なフォルムが魅力のカワサキZ400。特徴はその軽さ。車両重量が166kgで扱いやすい! そしてツインカムの400ccエンジンは、余裕の走りを生み出します。ハンドルポジションがラクなので、長距離ツーリングも楽しく走れますよ。
【主要諸元】
シート高:785mm
車両重量:166kg
燃料タンク容量:14 L
燃料消費率(WMTCモード値):25.7km/L
エンジン:水冷4ストロークDOHC 4バルブ 並列2気筒
総排気量: 398㎤
最高出力:35kW [48PS ] / 10,000rpm
最大トルク:37N・m [ 3.8kgf・m ] / 8,000rpm
変速機:6速/リターン
メーカー希望小売価格(消費税込):726,000円
【まとめ】エンジン形式をよく理解してバイクを選ぼう!
バイク用エンジンには、さまざまな種類があります。初心者におすすめしたいエンジン形式は、単気筒と2気筒です。バイクを選ぶ際には、自分の好みや用途に合わせて、エンジン形式を検討するとよいでしょう。
たとえば、街乗りメインで、コスパ重視でバイクを選ぶなら、単気筒エンジンのバイクがおすすめです。一方、高速走行も楽しみたい、乗り心地を重視したいなら、2気筒エンジンのバイクがおすすめです。
エンジン形式をよく理解して、自分にぴったりのバイクを選んでくださいね。
この記事が読者の皆さまのお役に立てば嬉しいです。
読者の皆さまのバイクライフを応援しています。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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