こんにちは!整備士ライダーヨシキです。今回はいつもと趣向を変えて、私の今までのやらかし事件についていろいろつづっていこうかと思います。
今でこそプロのメカニックとして仕事をしていますが、バイクをいじり始めた当初は失敗の連続。なんならレースで恥ずかしい思いもしてきました。“整備にミスはつきもの”とはいえ、本当にそんなことある⁉というとっておきの失敗談、どうぞ笑ってやってください。
うっかりミスでエンジンブロー編
まずはエンジンブロー編。凡ミスで壊したエンジンは数知れず、皆さんもDIYメンテの際は気を付けてくださいね。
エンジンオイルを入れたつもりで
あれは2ストローク車から4ストローク車に乗り換えたばかりのときでしたね、4ストマシンは2ストマシンと違いオイルを継ぎ足す必要がないと安心していた私は、エンジンオイルの残量を確認しなかったんです。
実はその前にオイル交換をしようとエンジンオイルを抜いたのですが、うっかりオイルを入れ忘れていたんですね。
もし走る前にオイルの残量を確認すれば気が付けたミスなのですが、量の確認を怠った私はオイルを入れ忘れていたことに気が付かず、エンジンスタート、そしてコースインしてしまいました。
オイルの入っていないエンジンは3コーナーも曲がればスゴイ異音がしてストップ。あれ?まさかブロー?とおもってから0.1秒くらいでオイルを入れていなかったことを思い出しましたね。
あの時確認していればと後悔するも時すでに遅し。ニューマシンのエンジンを速攻で破壊してしまいました。オイルの確認は絶対にしましょうね。
エアクリーナーを付けたはずなのに
次はエアクリーナーをつけ忘れてエンジンを壊したエピソード。オフ車はオンロードの市販車と違い、エアクリーナーがすぐに汚れます。そのため、オフ車に使うエアクリーナーは洗って何度も使用できる構造になっています。
私はいつも、走り終わった後はエアクリーナーを外して、代わりのエアクリーナーを装着してからバイクをしまうのですが、その日はたまたまエアクリーナーの予備を忘れていました。“まあいいか”とそのままバイクをしまい翌週。
いつものように支度をしてコースイン。しばらく走ったところでエンジンが止まってしまいました。パドックに戻って確認するとなんとエアクリーナーが付いていません。キャブが砂だらけです。
もちろんエンジンにも砂が入ったようでそのままエンジンブロー。不注意って怖いですね。
クーラントが入っていなくて
こちらも不注意シリーズ。クーラントの入れ忘れでエンジンブローです。というか凡ミスでどれだけエンジン壊してるんだって話ですが、まだ整備士免許も持っていない時ですのでご容赦ください。
クーラントが入っていなければ当然エンジンはオーバーヒートします。メーターの無いレーサーではオーバーヒートに気が付くこともなく数周でエンジンがストップ。
エンジンを分解をするときにラジエーターを外すとクーラントが入っていないことで発覚した事件でした。
プラグが原因でまさかのブロー
皆さんは落としたプラグを使っていませんか?実は落としたプラグを使ってエンジンが壊れたこともあります。これはかなりのレアケースだと思うのですが、良ければご参考に。
その日私はプラグを交換しようと整備をしていると、誤ってプラグを地面に落としてしまいました。
よく見ると電極部分がつぶれてしまいスパークしない状態に。仕方がないのでペンチで電極を曲げ戻して使ったのですが、しばらく走るとエンジンが止まってしまいました。
原因を調べるためにプラグを外してみると、なんとプラグの電極が折れていました。そして折れた破片はシリンダーの中へ…
ピストンとシリンダーが破片に傷付けられてダメになってしまいました。プラグギャップの調整はほどほどにしないといけませんね。
ヒヤリハット、足回り編
ここからは足回り編。大きなトラブルにはならなかったものの、凡ミスばかりですね。
スポークの絞め方向が…
モトクロスバイクの多くはスポークリムを使用しています。走行前にはスポークの張り具合を点検するのですが、この張り具合を失敗してしまったときの話です。
通常、スポークを締め付けているネジはリムの外側から刺さっています。なのでリムの内側から見てスポークを張る時には絞める方向と反対に回さなくてはいけません。
これを私はうっかりすべて緩める側に回してしまい、スポークがゆるゆるのままでコースイン。
リムを支えるスポークが一切張られていない状態で衝撃が加わったリアタイヤは、リムが潰れスポークが半分くらい折れてしまいました。
大事には至りませんでしたが結構肝が冷えた事件でしたので皆さんも調整の際はどうぞお気をつけて。
チェーン調整失敗
これはチェーンの張り具合を間違えた結果、チェーンとスプロケットの間に石が挟まってしまった話。基本的にバイクのチェーン調整はリアタイヤを浮かせた状態で行います。そうしないとスイングアームが動いてチェーンがある程度張った状態になってしまうんですね。
そんなことも知らなかった私はリアタイヤが接地した状態でチェーンの張り具合を調整。最初からテンションが掛かっているチェーンを見て“張りすぎている!”と感じた私はそのままチェーンを緩めてしまいました。
そうすると当然チェーンはダルダルの状態に。そのまま走り出すとスプロケットに小石が挟まってタイヤがロックする事態になりました。
その結果スプロケットの歯が欠け、チェーンも傷だらけに。たった一度のミスで痛い出費となってしまったエピソードです。
フォークオイル入れすぎ事件
あれは自分で初めてフロントフォークのオイル交換をしたときのこと、“油面調整”という言葉を知らなかった私はフォークオイルを満タンに入れてしまい、フロントフォークがほとんど動かなくなってしまったことがありました。
実はフロントフォークのオイルは入れすぎるとダンパーが動作しなくなり、フォークの動く範囲が限定されてしまうんです。当時メカニック初心者だった自分は見よう見まねでフォークオイルを交換した結果、規定値を大幅に超えるオイルを注入。ガチガチのフロントフォークが誕生しました。
これでは全く乗れないので仕方なく再度分解して先輩に相談。油面調整をしたか?と聞かれてしてませんと答えるとオイルをすべて捨てて最初からやり直せと厳しいお言葉をいただきました。
無事にオイル交換が終了しましたが、高級フォークオイルを無駄に使う羽目に。
きちんと勉強しないとだめだなあ、と痛感した出来事でした。
レースで恥ずかしかった編
最後はレースで恥ずかしかった話です。できればもう二度と経験したくない恥ずかしい出来事ですね。
ジャンプで飛んで行ったシート
モトクロスバイクのシートはボルト2つで簡単に外れます。エアクリーナー交換がしやすいようにメンテナンス性の良い構造になっているんですね。メンテナンス性が良いということは取り付けが簡素だということ。ボルトが緩めば簡単にシートが外れてしまいます。
あるレースの日。いつものようにレース前のマシンチェックをし、スタートグリッドへ整列。当時イケイケだった私はやる気満々でスタートに臨みます。絶好のスタートを切り、1番手で最初のビッグジャンプへ差し掛かると“バキっ”という音とともにシートが外れて飛んで行ってしまいました。
シートが外れてフレームむき出しのバイクに乗ることもできず、レースはそのままリタイヤ。外れたシートは無残にもコース端に吹っ飛んでいました。
1番手で走ってきたバイクのシートが外れてリタイヤとは何ともカッコ悪い話。今でも思い出したら恥ずかしくなる一件でした。
ロールオフのフィルムカバーロックのつけ忘れ
これはもしかしたら他にも経験がある方もいるのではないでしょうか?ロールオフのフィルムカバーのロックをつけ忘れると、使った瞬間にフィルムが全部飛び出してフィルムまみれになってしまいます。
これを観客席の目の前でやると大ウケ必死。レース後は必ず“フィルム飛び出していたね”とありがたいお言葉をいただけます。
最近のロールオフはそういった構造にはなっていないようですが、少し古いモデルを使用している方は注意してくださいね。
マフラー脱落で爆音マシン
きっとマフラーの固定ボルトが緩んでいたんでしょうね。過去にはレース中にマフラーが外れた経験もあります。モトクロスバイクのマフラーも、シート同様少ないボルトで取り付けられています。なので1本でも緩むと振動で連鎖的に他のボルトも緩み、マフラーが簡単に外れてしまいます。
マフラーが外れたバイクはまるで暴走族のような爆音を轟かせ、それでいてトルクがなくなるのでとっても遅くなります。ホームストレートを爆音の遅いマシンが走り去っていく様子はそれはそれは恥ずかしい思い出です。
整備をするときは凡ミスに気を付けよう
いかがでしょうか。凡ミスによる整備不良の数々。とってもお恥ずかしい限りです。
実は日常整備でも整備ミスの原因の多くは凡ミスに起因する単純な作業が多いです。ボルトの締め忘れ・油脂類の入れ忘れなど、バイクにとって致命的なミスは結構簡単に起きてしまいますので、どうかDIYをするときは慎重に作業をしてください。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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