先日、モトコネクトでもハーレーダビッドソンのナイトスターが当たるプレゼントキャンペーンについての詳細記事を公開しましたが、今回は、そのナイトスターの上級モデルである”ナイトスタースペシャル”(2023モデル)をお借りする事ができたので、一般的な下道ショートツーリング(片道100km程度:計200km)をしてみて感じた事などを、一般ライダー目線でレビューすると共に、車両紹介もしていきたいと思います。
”従来のスポーツスター”との違いや、”ナイトスター”との違いなども含めての説明になりますので、”何が違うの?”と思っている方の参考になればと思います。
ナイトスタースペシャルってどんなバイク?
“ナイトスタースペシャル”は、2023年から登場したニューモデルで、2022年、昨年から登場した”ナイトスターの上級モデル”となっています。
カラーリングは、ビビッドブラック、ブラックデニム、ブライトビリヤードブルー、シルバーヒューズといった4タイプがあり、今回お借りした車両は、”ブラックデニム”となっています。
シリーズとしては、外観が似ているスポーツスターファミリーにおける883の後継車両の位置付けですが、Revolution® Max 975Tという水冷(液冷)エンジンを採用すると共に、シャシーも新設計であることから、バイクとしては全く新しいバイクとなっています。一目で印象に残る車体右側の極太マフラーは、低重心化された車体に、まるでドラッグマシンのような迫力を追加してくれていて、非常にカッコいいですよね!
エンジンは単純に水冷化されただけでなく、シリンダーのバンク角も従来の45度から60度に変更されてエンジン全体の高さが低くなり、低重心化が図られています。さらに、ギアは5速から6速へ増えています。また、燃料タンクもシート下に移設されている点も、低重心化に寄与していると感じました。
ナイトスターとの違いは?
外観的違い
外観上の違いとしては、スピードカウルと呼ばれるヘッドライト周りのカウルと、二人乗り用に設けられたパッセンジャーシート、そして、ホイール形状などが、主な違いとなっています(※2022モデルのナイトスターには、スピードカウルが装着されていました)。
ナイトスタースペシャルのホイールは、空気圧センサーが内蔵されており、専用アプリケーションソフトをスマートフォンに導入してBluetoothで接続すると、その情報を確認できるようになるそうです。
内面的違い
内面的には、電子装備品の違いが大きく、専用アプリケーションソフトを介したスマートフォンとの連動と、走行モードの切り替えなどが主体とされています。専用アプリケーションでは、車両の様々な情報がスマートフォンを介して視認可能に共有されると共に、4インチのTFT液晶メーターには、スマートフォンからナビゲーションの地図を表示する事も可能なのだそうです。ちなみに、”ナイトスター”のメーターTFT液晶では無く、一部液晶の機械式メーターで、従来のスポーツスターに近い感じのメーターが採用されています。
また、走行モードの切り替えは、アクセル側のスイッチボックスに備えられたモードボタンを押す事で実行されるようになっています。モード切替は、ロード、レイン、スポーツの3種類です。
実際に乗ってみた
取り回しについて
従来のスポーツスターファミリーのバイクに比べると、大幅な低重心化や、軽量化が図られているため、引き起こしや取り回しが凄く軽いという印象を受けました。従来のスポーツスターファミリーのバイクも、ハーレーの中ではかなり軽量な部類だったのですが、今回のナイトスターシリーズは、従来のスポーツスターよりもさらに20kg近く軽くなっています。
このため、今までのスポーツスターシリーズでも女性人気は高かったのですが、リニューアルされたナイトスターシリーズは、さらにハーレー女子を爆増させる予感がします。
ポジションについて
乗車姿勢に関しては、私の腕が短い事と、ハンドル幅がやや広い事などもあるのですが、アメリカンタイプとしては、ややハンドル位置が遠いような気はしました。しかしながら、前傾姿勢になるといった感じではは無く、合計で1日5時間半位乗っていたのですが、首が痛くなるといった事も無く、楽なポジションである事は確かです。
乗り始めにやや戸惑ったのが、バーエンドミラーです。幅広なハンドルに加え、その先にミラーが位置していたため、慣れるまではどうしても違和感を感じましたが、慣れてしまえば腕の映り込み等も無く、視認性が良好に感じられるようになりました。また、振動により後方が見え辛くなるといった事も無かったですね。
ステップとシフトペダル、ブレーキペダルの位置関係につきましては、非常にナチュラルなポジションに感じました。脚を下した際に邪魔になるといった感じもありませんでした。また、従来のスポーツスターでは、個体差もあるのかもしれませんが、ニュートラルに入れ辛い場合があったのですが、ナイトスタースペシャルでは、すんなりとニュートラルにもギアが入り、クラッチも非常に軽かったので、長距離ツーリングや渋滞などでも楽なんじゃないかと感じました。
操作系・その他取扱について
さらに、従来は、左右のウィンカースイッチが、ハンドルの左と右、それぞれのスイッチボックスに配置されていたのに対し、ナイトスターシリーズでは、ウィンカーのスイッチの位置が左グリップ側のスイッチボックスに統合され、かつグリップに近い位置に配置されるようになりました。このため、女性を含む比較的手が小さな方でも、ウィンカー操作を行う事が容易になりそうだという印象を受けました。また、警音器(クラクション)の操作ボタンは、ウィンカーの操作レバー(ボタン)の下側で、少し奥まった位置にある事から、初めて運転する方でも、ウィンカーを操作しようとしてクラクションを鳴らしてしまうといった操作ミスが少なそうだと感じました。
一方で、オートクルーズの操作ボタン等は、スイッチボックスの上面側に配置されているため、ハンドルを握ったままの操作は難しいと感じました。このため、オートクルーズは、あくまで余裕のある状況の中で使用するものであることを意図しているのではないかと思いました。
走りについて
走りに関しては、少々上から目線な言葉になってしまいますが、一言で言うと、”非常に優秀”だと感じました。
試乗前のイメージでは、フロントのタイヤが一般的なアメリカンタイプのバイクと同じ19インチである事から、ワインディング走行時の切り替えしなどは割と反応が鈍く、いわゆる“もっさり感”があるのかと思っていたのです。しかし、実際に走ってみたところ、体重移動等の入力に対して非常に素直に反応してくれて、気持ちよく走る事ができました。さらに、直線では、19インチタイヤの特性が活き、走行安定性も保たれていた事から、キャスター角の設定などが絶妙なのだろうなと感じました。
また、シングルディスクではありますが、ブレンボ製の4ポットキャリパーを採用しているフロントブレーキは、下りのワインディングでも、225kgの車重をしっかり止める制動力を発揮してくれました。ニーグリップができないため、フロントを沈め込むような走りはできませんが、走りを楽しむといった点では、十分な制動力を発揮してくれます。
さらに、アメリカンタイプとしては、許容されるバンク角も深いため、ツーリングで峠道を走るような場合でも、安心して走行する事ができると思います。このため、ツーリング仲間の幅を広げる事もできるでしょう。
走行モードの違いについては、乗っていて楽しいのは”スポーツモード”です。低回転域では多少ギクシャク感が強く出ますが、3千回転あたりからのトルクの立ち上がり激しく、ビッグツインに引けをとらない加速感を味わう事ができます。このため、峠道や、高速道路での加速などで走りの楽しさを感じられるでしょう。一方で、”レインモード”では、低速、低回転でもギクシャク感が少なく、渋滞時などに利用することで、ストレスを緩和できるのではないかと感じました。最後に”ロードモード”は、”スポーツモード”と”レインモード”の中間で、一般道でのツーリング時に、最も適した走行モードといった印象を受けました。
オートクルーズは、50km/h程度の速度でも使用する事ができ、上り坂、下り坂を問わず、設定速度±1~2km/h程度の範囲で速度制御を行ってくれるため、長距離ツーリングや、高速道路でのクルージング時には非常にありがたい機能だと感じました。左側スイッチボックスのレバー操作で、オートクルーズを利用したまま、設定速度を1km/h単位で上下させる事が可能なため、周囲の速度変化にも対応する事ができます。
なお、走行シーンや道路状況、走り方によっても変化するのであくまで参考までですが、航続距離は、1タンクで170km程度は走れそうな印象を受けました。8L弱のタンクを持つスポーツスターのフォーティーエイトでは、排気量は異なるものの、120km程度走ると給油の心配をしなければならなくなっていたので、給油という面では、ツーリング時の気持ちにも余裕が生まれるかもしれませんね。
足つき性
足つき性は、単純に身長や体重だけでは判断できないと共に、車両のプリロード設定などによっても変化しますので、あくまで参考程度にとらえていただければと思います。
身長163cm、股下76cm、体重62kgのややガッチリ体形、太もも太めな私が跨った場合、両足のかかとが僅かに浮くといった感じでした。
もう少し脚を閉じれば踵まで着くような気もしたのですが、右足のふくらはぎあたりにエキパイが配置されているため、脚を閉じるとそのカバーに当たってしまうのです。このような事情から、脚を開いた状態での足つき性チェックとなりました。
諸元
長さ(mm):2,265
シート高(mm):715
最低地上高(mm):120
ホイールベース(mm):1,545
タイヤ・フロント :100/90-19 57H
タイヤ・リア :150/80B16 77H
燃料容量(L):11.7
車両重量(kg):225
排気量(cc):975
最大トルク :95Nm/5,750rpm
最高出力 :89HP(66kW)/7,500rpm
メーカー小売希望価格(税込)
ビビッドブラック:2,373,800円
その他のカラー:2,406,800円
まとめ
水冷化と共に、ピークパワーを出力する回転域の向上とハイパワー化が図られている事から、“ドコドコ感楽しむ”といった”従来のハーレー”をイメージしている方には合わないかもしれません。一方で、扱いやすく、必要十分なパワーもあるため、ネイキッドタイプやスポーツバイクからの乗り換えの場合には、非常にスムーズに、このバイクを受け入れる事ができるのではないかと感じました。
従来のスポーツスターと比べても運動性能が向上している、“走れるアメリカン”といったバイクです!
ハーレーには乗りたいけど・・・”重いのは嫌!”、”ワインディングも楽しみたい”、”スポーティーでオシャレなバイクが良い”といった希望を持つ方に特におすすめな1台ですね。
参考までに、実際の走行シーンを含む車両紹介動画を作成しました。
投稿者プロフィール
-
BMW F900XRとDucati MonsterS2Rでチョイノリからロングツーリング、サーキット走行まで楽しむリターンライダー。
リターン後のツーリングは首都圏内での日帰りをメインとして、美味しい物や良い景色を堪能している。
ご当地"グルメ調査隊"と称してマスツーリングの企画運営なども手掛けることから、バイクの様々な楽しみ方を伝えて行く事を目標としている。
若い頃は、日帰りで埼玉-青森間を往復したことがある、 "自称"やれば出来る男。
最新の投稿
- コラム2024年10月28日ツーリングで転倒!その時の為に知っておくべき8項目
- ツーリング2024年10月19日【奥多摩】関東ツーリングライダーの聖地!おすすめスポット&グルメ(常連が解説)
- コラム2024年9月21日バイク世界最高速は400㎞/hオーバー!?バイクのギネス記録集めました
- ツーリング2024年9月16日【アナタはまだ群馬を知らない!?】魅力満載なツーリングスポット&グルメを紹介