読者の皆様は細い山道で突然“熊”と遭遇した際に冷静にUターンできる自信はありますか?
近年、全国各地で熊の目撃情報が増えています。山方面へのツーリング中、ワインディングや林道、キャンプツーリングを楽しむライダーにとっても、熊との遭遇は決して他人事ではありません。
もし走行中に目の前へ熊が現れたら? 休憩中に熊を目撃したら? パニックになって間違った行動を取れば、大きな事故や命の危険につながることもあります。
この記事では、ライダーなら知っておきたい熊との遭遇リスクや、万が一の際に役立つ危険回避術、事前にできる備えなどを熊との遭遇を経験した筆者がわかりやすく解説します。
■実際に筆者が熊と遭遇した際の体験談

数年前になりますが、筆者は富山県の有峰林道にてツーリング中に熊に遭遇したことがあります。その時には熊に出会った時の危険回避など、全く考えてもいない頃でした。
林道で熊と遭遇
7月の暑い中、有峰湖の展望台に行こうと、友人と共にバイク2台で走行していました。林道を走っていると前方で自動車が停車していたのですが、突然ゆっくりとバックし始めたのです。危ないのでこちらも停止して道の先を見てみると、車の5mほどすぐ先に「熊」がいました。見たところ大型犬くらいの大きさで、体も顔も真っ黒。道路の真ん中あたりでクンクンと地面の匂いを嗅いでいます。
うまく回避できない
友人はすぐにUターンしたのですが、私は下手くそだったので素早くUターンができません。ヤバい!と気ばかり焦りながら、ここで転ぶわけにはいかないので、ハンドルを切ったり戻したりと四苦八苦。肝心の熊はというと、車の前をゆっくりと横切って、林の中へ入って行きました。
なんとか無事
自動車が前に進んで行き、熊は林の奥に行ったようなので、自分達も先に進みました。何度か振り返ってみましたが、熊の姿は見えませんでした。今までツーリング中にカモシカや猿や猪に出会ったことはありますが、熊を見た時の緊張感は物凄く、他の野生動物とは全く別物でした。また、とっさに上手く行動できないことも痛感しました。
■ライダーが熊と遭遇しやすい場所は?

ライダーが熊に気を付けるべき場所は次の通りです。
・峠道
・林道
・ダム周辺
・キャンプ場付近
・渓流沿い
また、熊が現れやすい時期も気をつけましょう。
・春から秋:活動期
・早朝・夕方が特に危険
「熊に遭遇するのは登山をする人だけ」と思われがちですが、バイクツーリングを楽しむライダーも決して無関係ではありません。
特に峠道や林道、ダム周辺、渓流沿いなど、自然が豊かなエリアは熊の生活圏と重なるため注意が必要です。熊が食べ物の匂いにつられてキャンプ場に現れることもあります。また熊は川沿いに移動して人里まで降りてくることがあるため、川の周辺でも注意が必要です。オフロードライダーだけでなく、オンロードを楽しむライダーにとっても熊対策が必要となっています。
さらに、熊の活動が活発になるのは春から秋にかけてであり、特に早朝と夕方は餌を探して行動する時間帯です。朝早くに出発するツーリングや、日没前の帰路では遭遇リスクが高まるため、行動時間帯にも注意したいところです。
■熊に遭遇するとバイクだからこそ危険な理由

熊との遭遇は誰にとっても危険ですが、自動車、徒歩の登山者、バイクではリスクの大きさが異なります。
ライダーは身体がむき出し
まず自動車は車体という大きな障壁があり、万が一熊と遭遇しても、ドアを閉めたまま安全を確保しやすいという利点があります。それに対してバイクは、ライダーの身体がむき出しであることが最大の弱点です。徒歩の登山者と大きく変わらないと言えます。
熊と鉢合わせする可能性
徒歩の登山者は熊鈴やラジオなどで存在を熊に知らせていることで、熊の方から人間を避けてくれる可能性があります。しかし高速で走行しているバイクの場合、峠や林道など見通しの悪いコーナーでは熊と突然鉢合わせする可能性も大いにあります。
バイク事故を起こす可能性
熊と出会ってしまった際には冷静な判断が必要になりますが、驚いてパニックに陥り、急ブレーキや急ハンドルによって転倒することも考えられます。熊と遭遇することで、バイク事故を起こす可能性も高まることになります。
■熊に遭遇したら絶対にやってはいけないこと

熊に遭遇したら一般的にやってはいけないこと
・死んだふりをする
・じっと熊を見る
・自分から近づいていく
・大声を出して騒ぐ
・熊に物を投げる
・背中を見せて走って逃げる
・小熊に近づく
熊は本来、人を積極的に襲う動物ではありませんが、自分や子どもに危険が及ぶと感じると攻撃的になることがあります。熊を追い払おうとして怒鳴ったり、石や枝を投げつけたりするのは逆効果になる可能性があります。
熊に遭遇したらライダーがやってはいけないこと
・バイクを降りて走る
・エンジンを空ぶかしする
一般的にやってはいけないことに追加して、ライダーは上記のことに気をつけましょう。できるだけバイクから降りずに、状況を見て、熊から離れることが推奨されています。エンジン音で脅そうとすることも、かえって熊を刺激するため適切ではないとされています。
最もやってはいけないとされているのが、バイクを降りて熊に背中を向けて、一気に走り出すことです。熊には「逃げるものを追う」という習性があり、人間よりはるかに速いスピードで走ることができます(時速40~60km程度と言われています!)。走って逃げても追いつかれてしまう可能性が高いため、急な動きは避け、熊の様子を確認しながら落ち着いて距離を取ることが重要です。
■実際に熊に遭遇した時ライダーが取るべきベストな行動とは?

熊と距離がある場合(100m程度の距離)
- 停車する
- 熊の動きを確認
- ゆっくりUターンする
- 静かにその場を離れる
熊と近距離にいる場合(20〜50m程度の距離)
- 急な動きをしない
- 熊を刺激しない
- エンジンをかけられるならそのまま走行して離れる
- 無理ならゆっくり後退し距離を取る
熊が走行中に飛び出してきた場合
- 急ハンドルを避ける
- 転倒しないことを優先する
- 接触後も不用意に近づかない
熊が近づいてきた・襲ってきた場合
- 熊スプレーを使用する
- ヘルメットはかぶったまま地面にうつ伏せで首を守る
熊は野生動物であり、その行動を予測することはできません。追い払えるだろう、大丈夫だろうという思い込みは禁物です。遭遇した際は戦おうとせず、刺激を与えず、安全な距離を確保してその場を離れることが基本となります。
止むを得ずバイクを降りる状況になった場合は、立木やバイクなど、熊との間に障害物を挟むようにして移動しましょう。
万が一襲いかかってきた場合には、熊スプレーを使用する、間に合わなければうつ伏せになり手で頸動脈を覆います。ヘルメットとグローブが身を守る助けになる可能性もあります。
環境省のクマ類出没対応マニュアルも参考にしてください。→環境省
■走行中にできる熊対策4つ

見通しの悪いカーブや林道ではスピードを控える
熊が突然道路に飛び出してくることもあります。急ブレーキや転倒を避けるためにも、余裕を持った速度で走行しましょう。
早朝や夕方の走行は特に注意する
熊は朝夕に活動が活発になる傾向があります。目安として、早朝(4時~8時)や夕方(16時~)には行動しない、移動時間をずらす、早めに帰宅するなど、ツーリングの時間帯を意識するだけでも危険回避につながります。
エンジンを切って景色を楽しむ前に周囲を確認する
停車する際には、茂みや木陰など、熊が潜んでいそうな場所がないか確認してから休憩しましょう。熊が出そうな場所や、熊が近づいても気付きにくい場所などでは休憩しないようにすることも大切です。
熊を見かけても近づかずその場を離れる
熊を見かけた時「写真を撮りたい」「動画を撮りたい」と思っても、絶対に近づかないこと。走行中に熊を見つけても、わざわざ見に戻ったりしないようにしましょう。熊と距離があるうちにその場を離れたり、引き返したりする判断が、安全なツーリングにつながります。
■停車中にできる熊対策5つ

人気のない場所で長時間休憩しない
景色の良い展望台や林道の脇など、人通りが少ない場所は熊の行動範囲と重なることがあります。休憩はできるだけ人の出入りがある場所を選びましょう。
食べ物やゴミを放置しない
熊は非常に嗅覚が優れており、お菓子やパン、カップ麺の残り香など食べ物の匂いで寄ってくる可能性があります。食べ終わったゴミはすぐに袋に入れて密閉し、持ち帰るのが基本です。
キャンプツーリングでも、テント内には食料や飲み物などをそのまま放置せず、密閉容器に入れて熊を近づけないようにしましょう。
茂みや沢の近くには近づかない
見通しの悪い藪や沢沿いは、熊が身を隠したり移動したりする場所です。休憩場所を選ぶ際は、周囲の見通しが良い場所を選びましょう。
一人で周囲を歩き回らない
写真撮影やトイレなどでバイクから離れる際は、できるだけ短時間で済ませましょう。キャンプでは単独で森の中へ入るのは避けるようにしましょう。
熊鈴やホイッスルを活用して存在を知らせる
散策する時やキャンプ場内を歩く時には、熊鈴を身につけたり、必要に応じて声を出したりして人の存在を知らせることが有効です。バイクを降りた後はエンジン音がなくなるため、自分から存在を知らせる工夫をしてください。
■ツーリングで熊と遭遇しないためにできる予防策

熊対策で最も重要なのは、遭遇したときの対処法よりも、熊と遭遇しないことです。ツーリング計画を立てる際に心がけるようにしましょう!
出発前に熊の出没情報を確認する
自治体や警察などの熊目撃情報をチェックしてください。出没が相次ぐエリアなら、ツーリングルートの変更も検討しましょう。
早朝と夕方の行動を避ける
早朝(4時~8時)や夕方(16時~)頃は熊が活発に行動する時間です。できるだけ山方面での行動をしないようにしましょう。
日帰りであれば、17時ごろまでには市街地に戻ってくるように計画すると安心です。
目的地や休憩場所は熊の出そうな場所を避ける
自然の絶景ポイントは、熊が出やすい場所である可能性もあります。人があまり来ないような山の中も同様です。できるだけ熊と遭遇するリスクの高い場所は、目的地や休憩場所から外しましょう。
キャンプツーリングでは食料管理・ゴミの持ち帰りを徹底する
キャンプツーではマナーを守り、特に熊を引き寄せる原因となる食料やゴミの管理を徹底しましょう。必ずゴミ袋やコンテナなどを持参してください。
■ツーリング向け熊対策グッズ:もしものために携帯しよう!
万が一に備えて熊対策グッズを携帯しておくことが大切。熊との遭遇は、どれだけ注意していても完全に防げるものではありません。グッズはバイクで走行中よりも、停車して休憩したり、キャンプで過ごしたりする場合での使用となるでしょう。
バイクツーリングでは積載スペースに限りがあるため、持ち運びやすく実用的なアイテムを選ぶことがポイントになります。
熊スプレー(ベアスプレー)
熊対策グッズの代表格ともいえるのが高濃度カプサイシン(唐辛子成分)を噴射する熊撃退スプレー。
熊が至近距離まで接近し、身の危険が迫った際に目や鼻など目掛けて噴射するという使い方で、最終手段として使用します。
ジャケットの胸ポケットやタンクバッグの最上部のポケットなどすぐ取り出せる場所に、専用のホルスターに入れて携帯してください。
【SABRE:セイバー】フロンティアーズマン ベアスプレー
熊鈴(トレッキングベル)
熊鈴は、バッグやベルトなどに着けて、振動で音を鳴らし続け、自分の存在をクマに知らせるグッズです。
徒歩で散策するときやキャンプ場内を歩く際に役立ちます。音を鳴らして人の存在を知らせることで、熊との不意の遭遇を防ぐ効果が期待できます。
【mont-bell:モンベル】トレッキングベル モンタベア
【TANAX:タナックス】モトベル
モトベルは、バイク専用熊鈴(警音鈴)。バイクの振動で音が鳴るしくみで、宅街や街乗りでは消音、林道や山道では発音に手元で簡単に切り替えができます。駐車時に鳴らしておくことで盗難やいたずら抑止になり、押し歩き時には歩行者への接近通知としても使用できます。径22.2mm、25.4mm、31.8mmのパイプハンドルに対応しています。
熊よけホーン
【SABRE:セイバー】フロンティアーズマン ベアホーン
車のクラクションより大きな音を出す、スプレー式の警笛。130デシベルの大音量で、805m先まで音が届きます。熊の生息地に入る際に定期的に鳴らして、遠方から人間の存在を知らせ野生動物との遭遇を未然に防ぎます。遭難や緊急時の警笛としても使用できます。
ただし、人間を見つけて突進・攻撃態勢になっている熊を抑止するためのものではありません。
ホイッスル
軽量で場所を取らないホイッスルは、緊急時の備えとしておすすめです。定期的に鳴らして熊との遭遇防止に使うだけでなく、仲間とはぐれた際の合図や、自分の居場所を知らせる手段としても活用できます。防災用品としても使えるので、ツーリングバッグに一つ入れておいて損はありません。
【mont-bell:モンベル】アルミホイッスルカラビナ型
ツーリング中に熊と遭遇した際の危険対策まとめ

バイクツーリング中の熊との遭遇は決して珍しい話ではなくなりました。特に山間部や林道、キャンプ場に向かうライダーは、自分は大丈夫と過信せず、熊がいることを前提に行動することが大切です。
出発前に出没情報を確認し、危険な時間帯や場所を避けるだけでも遭遇リスクは大きく減らせます。
また、万が一熊を見かけても慌てて近づいたり逃げたりせず、落ち着いて距離を取ることが何より重要です。熊鈴や熊撃退スプレーなどの対策グッズを携帯しておけば、いざというときの安心にもつながるでしょう。
そして何より大切なのは、熊と遭遇しないように対策・行動するということに尽きます。
ツーリングの目的は、美しい景色や自然を安全に楽しむことです。熊への正しい知識と事前の備えを身につけ、余裕を持った行動を心掛けて、安全で思い出に残るツーリングを楽しみましょう!
投稿者プロフィール

-
GPZ750R改に乗っているねこにんじゃと申します。
ライターでイラストレーターです。
「おすすめグッズを知りたいけど面倒だから誰かまとめて」
「整備について知りたいけど難しいから簡単に知りたい」
などなどのバイクライダーの希望をかなえます。
バイクライフがより楽しくなるような情報を、できるかぎりわかりやすくお届けしていきます。









![KURE(呉工業) スーパーチェーンルブ (180ml) チェーン専用プレミアム潤滑剤 [ 品番 ] 1068 [HTRC2.1]](https://m.media-amazon.com/images/I/41iqhOqnlXL._SL500_.jpg)




![花咲かG タンククリーナー 00011772 & ラストリムーバー 00011771 [HTRC5.1]【セット買い】](https://m.media-amazon.com/images/I/41pnkVXZWkL._SL500_.jpg)


![AZ(エーゼット) MCC-002 バイク用 チェーンクリーナー パワーゾル スプレー [チェーンクリーナー/チェーン洗剤/チェンクリーナー/チェン洗浄剤/チェインクリーナー] (650ml×4本) & AZバイク用チェーンメンテナンス2点セット【メンテナンスローラスタンド・三面ブラシ】【セット買い】](https://m.media-amazon.com/images/I/419w3yO+nPS._SL500_.jpg)













