ペットを飼っているバイク乗りのみなさん、ペットをバイクに乗せたことがありますか?
どうしてもバイクしか運ぶ手段がない時、実際に愛犬・愛猫などペットをバイクに乗せることは違反にならないのでしょうか?
ペットをバイクに乗せても良いのかどうか、良い場合には乗せて運ぶ時にどんなルールがあるのかについて、犬・猫好きで現在猫2匹と暮らすバイク乗りの私が解説します!
■ペットをバイクに乗せて走っても問題ない?
ペットをバイクに乗せて道路を走っても違法ではない
道路交通法にはペット(犬・猫・うさぎ・ハムスター・小鳥など)を乗せるということについて直接記載はないのですが、「積載物」としてペットをバイクに乗せることが可能です。
道路交通法施行令で積載の制限があるので、それを守ればペットを積載物としてバイクに乗せてもOKということになります。
もちろんペットは荷物ではなく生きているものですから、あまりに危険な乗せ方やひどい扱い方をすることは良くありません。また、見かけた一般の人に通報されたり、法律違反でなくとも警察から注意を受けたりする可能性があります。
ペットをバイクに乗せる時の法律について
ペットを積載物としてバイクに乗せる際には、次のことを守る必要があります。
・積載物の重さ:60kg以下(自動二輪車が60kg以下、原動機付自転車が30kg以下)
・積載物の長さ:乗車装置または積載装置のプラス30cm以下
・積載物の幅:乗車装置または積載装置の左右プラス15cm以下
・積載物の高さ:乗せた時にタイヤの接地面から2m以下
積載物とはペット単体のことを指すのではなく、ペットをキャリーケースやバッグに入れて乗せた際の大きさ(重さ・長さ・幅・高さ)になります。
ペットをバイクに乗せる時の道路交通法上の注意点
・ナンバーやウインカーやランプ類が隠れないようにする
ナンバー・ウインカー・テールランプ・ブレーキランプ・ミラーは隠れてはいけない部品となります。
・運転を妨げないようにする
例えば積載物の重さで走行中にふらつく、バイクのタイヤやマフラーなどに積載物の一部や紐などが干渉する、など危険なことがないようにしなければなりません。
・ペットをバイクに乗せて違反した時はどうなる?
積載物に関する違反の内容としては次が当てはまります。
・乗車積載方法違反
・積載物大きさ制限超過違反
・転落等防止措置義務違反
・転落積載物等危険防止措置義務違反
いずれも交通違反の点数は1点、反則金は自動二輪車が¥6,000-、原付(50cc)だと¥5,000-となっています。参考【交通違反の点数一覧表:警視庁】【反則行為の種別及び反則金一覧表:警視庁】
転落等防止措置義務違反・転落積載物等危険防止措置義務違反とは、例えばペットを乗せたキャリーバッグをしっかりバイクに固定していなかったり、ペットをバイクから落下させてしまったりした場合が当てはまります。参考【道路交通法施行令 :e-Gov法令検索】
■ペットを安全にバイクに乗せる方法3種類!
バイクはスタンドがなければ倒れてしまいますし、身体が剥き出しで道路を走行することからも、ペットを乗せるのに適した乗り物ではありません。それでも止むを得ない場合には、安全に最大限配慮することを大前提で、次の3つの方法をご紹介します。
バイク用のペット専用タンクバッグやキャリーバッグに入れて運ぶ
多くのペット用バッグ(キャリーケース)が様々な素材や形状で販売されていますが、ペットをバイクに乗せるには適したものとそうでないものがあります。ペット(主に犬・猫)をバイクに乗せるために作られたキャリーバッグやタンクバッグ、シートバッグを使うようにしましょう。気をつけることをまとめると次のようになります。
・バイクにしっかり固定できること
ペットを入れたバッグが走行中に落ちないように、金具や紐などで固定できるものを選びましょう。オプションで取り付けられるリアキャリアを利用した方がより安全に固定できます。
・バイクの運転を妨げないものを使用する
バッグが走行中に大きく揺れたり、大きすぎてライダーの体に当たっていたりなどしないものを選びましょう。
・ペットが飛び出さないようにハーネスなどをつけること
万が一バッグやキャリーケースの蓋が開いたり破れたりしてペットがそこから逃げたりしないよう、ペットの首輪や胴輪にハーネスをつけて固定しておきましょう。
ペット用リュックでライダーが背負う
ペット用リュックをライダーが身につけてペットを運ぶ方法です。
こちらはバイクの積載物には当たらないので、ライダーが普段の荷物を運ぶのと同じ感覚で運ぶことができます。ただし、ペットの安全確保はもちろん、運転を妨げないようにするために、必ずペット用(犬・猫)のリュックを選ぶようにしましょう。
さらに、ペット用リュックを使ってバイクに乗る時には次のことに気をつけてください。
・ライダーの身体に密着すること
リュックのハーネス部分が調節でき、しっかりライダーの身体に固定できるものを選びましょう。
・ペットの安全が確保できる仕様になっていること
通気性がよいもので、乗せるペット(犬・猫)に適した大きさや素材のリュックを使用しましょう。大きさについては、入れても可能なペットの重さが商品説明に記載されています。
素材は柔らかい布製やハードケースなどがありますし、ペットは犬なのか猫なのか、背負うのか前抱きにするのかなど、ペットの種類や性格・使い方などによって異なります。
また、使用前にほつれや破れ、ベルトやバックル・ファスナーなどの故障などがないか必ず点検しましょう。
・ペットが暴れても飛び出ないようになっていること
ペットの首輪や体に付けられるハーネスも一緒に装着し、万が一リュックが開いても、飛び出したりようにしておきましょう。
・バイクの移動は短時間・短距離にすること
ライダーの身体に密着させてペットを運ぶ場合は、通常よりもライダーの負担が増えます。ペットが快適でないのはもちろん、ライダーも事故や転倒などの危険が増しますから、短時間で短距離の移動につとめましょう。
・休憩を取ること
移動がどうしても長時間・長距離になる時には、こまめに休憩をとってペットの様子を確認してください。ライダーの体力回復のためにも必要です。
バイクのサイドカーにペットを乗せる
大型・中型犬を飼っていて、バイクでの移動が生活のメインで、犬も一緒にでかけたがる、という飼い主さんには、思い切ってサイドカーをおすすめします。
ただし、サイドカー付のバイクを運転するには、あらかじめ側車付二輪自動車として車両登録する必要があります。
さらに注意点として、愛犬が嫌がる場合には無理に乗せないことです。しつけがしっかり出来ていて、愛犬との信頼関係が作られている場合のみおすすめできる方法です。
■ペットをバイクに乗せる時にやってはいけないこと4つ!
・バイクを運転しながらペットを抱っこする
バイクを運転するライダーが愛犬や愛猫をペット用キャリーなどに入れず、ペット用リュックも使わずに、直接抱っこして運転することは絶対にやめましょう。
ひざやタンクに乗せたり、服の上着の中に入れ込むなども、全く安全が確保されないのでしないようにしてください。
もちろんタンデムライダーが直に抱っこすることも、同様に危険なので絶対にしないようにしましょう。転倒や事故を起こしてしまえば、愛犬や愛猫はもちろん、乗っているライダーとタンデムライダーの命も危険です。
・直にペットをバイクにくくりつけて運転する
愛犬・愛猫を直にバイクの荷台やタンクなどに直に乗せ紐などで縛って固定し、運転することはやめましょう。危険なのはもちろん、全くペットのことを考えていないひどい行為です。
・スクーターの足元にペットを乗せる
スクーターの足元は平らになっているからと、愛犬や愛猫、ケージに入れた小動物などを乗せる人もたまにいるようですが、絶対にやめましょう。これも、ペットが全く安全でないばかりでなく、転落等防止措置義務違反の対象にもなります。
・バイクの荷物用パニアケースやサイドケースにペットを入れる
バイクのオプションでついている、トップケースやパニヤケース(サイドケース)はどうでしょうか?
各メーカーが販売しているトップケース・パニヤケース(サイドケース)は一般的に荷物を入れるためのものです。特にハードケースは防水性や密閉性の高さが売りで販売されているものがほとんどで、窒息や高温になるなどの危険を考えると、ペットは入れてはいけません。
大切な愛犬・愛猫を真っ暗な密閉空間に入れたい飼い主さんはいないでしょう。
ハムスターやうさぎ、小鳥などの小動物も同様です。小動物ほど少しの状況の変化で命にかかわります。
■ペットをバイクに乗せたい時に事前にやるべきこと3つ!
ペットをバイクに乗せて走りたい!というライダーさんは、ペットのために次のことを事前に準備するようおすすめします。
・ペット用バッグのみをバイクに乗せて走ってみる
バイクにペット用バッグ(キャリーバッグ・シートバッグなど)を取り付けて、ペットを乗せずにバイクで走行してみてください。荷物が乗っている時と生き物が乗っている時では、運転の意識が変わる可能性が高いので、ペットが乗っていると思って走ってみましょう。
さらにバッグ内にボールを入れたり、ペットと同じ重量の雑誌などを入れて一度走ってみるのもおすすめです。コーナリングや右左折やブレーキングで、荷物がバッグ内で動く感じを体感してみてください。
ペット用リュックも同様に、ペットなしで背負ったり前抱きしたりしてバイクに試し乗りしてみましょう。普段どおりの運転とはいかないので、練習が必要になるかも知れません。
・ペットをハーネスに慣れさせる
ペットを外に連れ出すことになるので、ペットが犬や猫であれば、首輪や胴輪・ハーネスを実際に装着して慣れさせておくと良いでしょう。
・ペットをバイクに慣れさせる
普段から首輪やハーネスをつけ慣れて、キャリーバッグやケースに入るのが慣れている愛犬や愛猫でも、エンジンがかかり走行するバイクに乗せれば、驚いたり暴れたりする可能性があります。
まずは公道を走行する前に、エンジンをかけ停止させたバイクに実際にペットを乗せて慣れさせておくことをおすすめします。乗せてみるだけで、バイクに乗せてさらに公道を走るという行為が安全にできるかどうかわかるでしょう。エンジン音や振動をあまりに怖がったり暴れたりするようなら、考え直す必要があります。
特に猫は大きな音を嫌うことが多く、パニックを起こして逃げようとすることがあります。脱走には十分気をつけるようにしてください。
■緊急時にはペットをバイクに乗せてもいい?!
緊急時、避難などの目的でペットをバイクに乗せることについてはどうでしょうか?
自然災害が起きた時には徒歩で逃げることが原則とされ、避難の際に車やバイクを使うことは推奨されていません。しかし、実際に津波の時に車で逃げて助かった人の体験談もあり、状況によってはバイクにペットを乗せての避難も止むを得ないこともあるでしょう。
例をあげますと、東日本大震災時には、車で避難した方は全体の57%ということです。理由としては、徒歩では間に合わないと思った(津波)・家族で逃げる必要があった・避難場所が遠かったなどがあります。
参考【「平成23年東日本大震災における避難行動等に関する面接調査(住民)分析結果(再追加分)」:内閣府】
これはバイクのデータではありませんが、バイクしか移動手段がない場合でペットと逃げるには、安全ではない状態でも、バイクに乗せなければならない場合があるかも知れませんね。
緊急時は、お出かけやレジャーとは違って、ルール通りにいかない場合もあります。
命を守って急いで避難するために仕方なく、ペットを直接抱っこして運転したり、荷物用パニアケースに入れたり、といった状況になってしまうかも知れません。「安全な行為とは言えない」という認識を持ってペットをバイクに乗せる必要があるでしょう。
ただし、バイクで移動できるようペット用のキャリーやリュックを普段から準備していると、徒歩での移動にもそれらが使用できますので、緊急時の安心材料にもなると言えます。
■ペットをバイクに乗せることについてのまとめ
ペットは積載物の扱いになるので、ルールを守ればバイクに乗せて運ぶことができます。
バイクに乗せる方法として
・ペット用のキャリーケースやバッグでバイクに乗せる
・ライダーがペット用リュックで背負う
・大型犬であればサイドカーに乗せる
という選択肢があります。
ペットをやむを得ずバイクに乗せる時には事故が起きないように十分に準備をして、できるかぎり安全な状況をととのえて、ルールを守って乗せるようにしましょう。
投稿者プロフィール
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GPZ750R改に乗っているねこにんじゃと申します。
ライターでイラストレーターです。
「おすすめグッズを知りたいけど面倒だから誰かまとめて」
「整備について知りたいけど難しいから簡単に知りたい」
などなどのバイクライダーの希望をかなえます。
バイクライフがより楽しくなるような情報を、できるかぎりわかりやすくお届けしていきます。
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