バイク用のエアバッグがあるのをご存知ですか? バイク用エアバッグは車とは違い、着用して使います。胸部や首、背中などを守るベストの形をしている製品が数社から販売されています。
バイク用のエアバッグは、転倒や事故の際、瞬時にふくらんで胸部などを守る働きをする物です。
最近は、エアバッグの着用義務を規則に明記し、義務化しているサーキット場やレースが増えています。
備えあれば憂いなし。エアバッグにはケガを軽減する効果も期待できます。
今回は、命を守るための最後の砦ともいえるエアバッグについて詳しく解説しますので、最後までお付き合いくださいね。
トップ画像出典:無限電光公式サイト
バイク用エアバッグとは
バイク用エアバッグの概略
バイク用のエアバッグは、ベストの形をしている着るタイプのエアバッグです。転倒や事故の際、ガスボンベのエアで瞬時に膨らみライダーの胸部を守ります。
ケーブル(ワイヤー)でバイクとエアバッグをつなぐタイプと、ワイヤレス(センサー)タイプがあります。ケーブルでつなぐタイプはワイヤレスタイプに比べ、おおむね価格が低く抑えられています。
エアバッグを義務にしているレースやサーキットが増えている
近年、レースやサーキットでエアバッグの装着を義務化する動きが加速しています。
MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)は、主催するレースにおいて18歳以下の選手に対し、エアバッグの着用を義務にしています。また、鈴鹿サーキットにおいても2025年度から着用を義務とすることが、鈴鹿サーキットの統一規則書に追加記載されました。
世界に目を向けると、MotoGPではすでに2018 年から全クラスでエアバッグ着用が義務付けられています。サーキット走行中は常に装着することが義務付けられ、練習のときも着用しなくてはなりません。
実際にレースで転倒したものの、エアバッグの効果でケガが少なくて済むケースや、ライダーの命が守られたケースが増えています。
バイク用エアバッグの特徴と仕組み
ケーブル(ワイヤー)でつなぐタイプ
hit-airのエアバッグに代表されるケーブル(ワイヤー)でつなぐタイプはバイクとエアバッグをワイヤーでつないで使用します。転倒時はライダーとバイクが離れ、ワイヤーに力がかかり「キーボール」が外れエアバッグ側の装置が作動すると、エアバッグに内蔵されたCO2カートリッジボンベから瞬時にエアが吹き出しエアバッグがふくらむ仕組みです。
センサー(ワイヤレス)タイプ
ダイネーゼやアルパインスターが採用しているセンサー(ワイヤレス)タイプは、バイクとエアバッグをつなぐ必要がありません。
エアバッグに内蔵されたセンサーが傾斜や加速度、走行速度などを常にモニタリングし、転倒を検知すると、エアバッグに内蔵されたCO2カートリッジボンベからエアが瞬時に吹き出し、エアバッグがふくらみます。
バイク用エアバッグを使用する際の注意点
セットを忘れない
ワイヤー(ケーブル)でバイクとエアバッグをつなぐシステムの場合は、必ずバイクとエアバッグをつなぎましょう。
ワイヤレス(センサー)タイプの場合は、スイッチオンにセットしてください。
オンにセットするのを忘れてしまっては、万一の際にエアバッグがふくらみません。
一度作動したボンベは再利用できない
転倒などで、作動したガスボンベカートリッジは再利用できません。使用済みのボンベは必ず新品と交換しましょう。
本記事で紹介するエアバッグの中で、無限電光のエアバッグ用ガスカートリッジは自分で交換できます。しかし、ダイネーゼとアルパインスターズのエアバッグ用ガスカートリッジの交換はメーカーや正規代理店が行います。
ダイネーゼとアルパインスターズのガスカートリッジ交換は自分ではできないので、注意が必要です。
ワイヤー(ケーブル)式は、降車時に必ず外す
ワイヤー式はバイクを降りるとき、つないでいるワイヤー(ケーブル)をバイクから必ず外しましょう。セットしたまま降車し、ワイヤーに力がかかり「キーボール」が外れるとシステムが作動し、エアバッグがふくらんでしまいます。
バイクを降りるときは、必ずワイヤーをバイクから外しましょう。
ワイヤレスタイプは、降車時にスイッチをオフにする
ワイヤレスタイプのエアバッグは、バイクを降りるときはスイッチを必ずオフにしましょう。
ワイヤレスタイプには衝撃を検知するセンサーが内蔵されています。たとえばスイッチオンのままバイクを降りて歩行中に転ぶなどした場合にも、センサーが「転倒」と検知すれば、エアバッグが誤作動するかもしれません。
誤作動を防ぐためにも、バイクを降りるときは、スイッチをオフにしましょう。
また、センサーのバッテリー切れにも注意が必要です。
バイク用エアバッグのメリット・デメリット
バイク用エアバッグのメリット
メリットは、なんといっても「ライダーを守る」ことです。実際に全日本ロードレース選手権に参戦しているライダー(レーサー)の多くが『レース本番や練習で転倒した際、胸部(肋骨)や首が守られた』と語っています。
エアバッグを装着することで転倒時のリスクを減らせるので、特にサーキットにおいてはアグレッシブにタイムアタックできるという心理的な効果もあるようです。
バイク用エアバッグのデメリット
デメリットは高価な点です。ケーブル(ワイヤー)でつなぐタイプは5万円前後、ワイヤレスタイプは10万円以上になる商品もあります。
安い買い物ではないので、購入する際は使用目的やコストパフォーマンスなどをよく検討しましょう。
バイク用エアバッグの紹介
命を守るためのエアバッグは、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
hit-airエアーバッグベスト MLV-P(無限電光)
日本製のhit-airエアーバッグベスト MLV-P(無限電光)は、ダイネーゼやアルパインスターなどに比べて、低価格です。「キーボール」(作動ピン)が外れることで膨張する、物理的なシステムを採用しており、センサー式を採用している他社製より、リーズナブルな価格で販売されています。無限電光のエアバッグは、レースだけでなく、海外の警察に採用されている実績もあります。
メーカー希望小売価格 49,500円(税込)
Smart D-Air Airbag(ダイネーゼ)
ダイネーゼのSmart D-Air Airbagは、MotoGPで実績のあるダイネーゼの最新ワイヤレス式エアバッグシステムを採用したスマートジャケット(エアバッグ)です。
ジャケットやアウターの上からでも、中にも着用できます。ワイヤレス式なので、バイクとスマートジャケットをケーブルでつなぐ必要はありません。
メーカー希望小売価格 149,600円(税込)
Tech-Air 5(アルパインスター)
Alpinestars(アルパインスターズ)のTech-Air 5は、面倒な操作が不要の、着るだけのエアバッグです。6つのセンサーが衝撃を検知し、瞬時にエアバッグが膨らみます。
専用アプリで、公道仕様とサーキット仕様を切り替えて使うことが可能です。
正規代理店希望小売価格 103,840円(税込)
エアバッグで自分の身を守ろう!
バイク用のエアバッグは自分を守るための装備です。万一の際、ケガを軽減してくれる効果を期待できます。
しかし、エアバッグは高価です。購入する際はよく検討しましょう。
また、命に関わるものなので、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。今回の記事で紹介しているような、レースなどで実績のあるメーカーの製品をチョイスしましょう。
身を守るためのエアバッグですが、過信は禁物。一般公道を走る際の基本は、やはり「安全運転」です。
安全運転とエアバッグの組み合わせであなたの身を守りましょう。
この記事が読者のみなさまのお役に立てば幸いです。
くれぐれも、転倒や事故からご自分の身体を守ってくださいね。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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