実は、バイク屋を引退してからも職業病に悩まされ続けているフォアグラさんです、こんにちは。この職業病とは、街で停まっているバイクを査定してしまったり、自分で買うバイクの原価がだいたいわかってしまうということなんですよね。コレ、実は結構つらいですよ。
さて、今回はいかにバイクを高く手放すかということについてです。現役ではなく、元バイク屋であるが故に、本音をお伝えできるかと思います。今売る気がない人も、実はこれからバイクを買うという人にも読んでもらいたいという話題です。なぜなら、買うときに自分のバイクが高く売れるバイクなのか、将来的に安くなってしまうバイクなのかがわかるようになるんですね。
ちなみにバイクを安く買うというのは難しい話ですが、バイクを高く売るっていうのは 決して難しい話ではないんですね。ちょっと小難しい話も入りますが、理解出来れば数万円、場合によっては10万円20万円高く売ることも可能になるので、是非最後まで読んでください。
バイクの買取値段をつける要素
まずバイクを高い価格で売るためには、どのように価値を判断されているか、その仕組みを知る必要があります。
中でもよく勘違いされているのが、高く売られているバイクの買取価格というのは、必ずしも高くはないということなんですね。例えば50万円で売られているバイクの買取価格が35万円なのに対し、同じ店で60万円で売られているバイクの買取価格が20万円だったなんていうこともザラにあります。
買い取り価格が高いのは人気車で高年式の場合です。例えば、今とてもよく売れているレブル250と、型落ち外車としてDUCATIのモンスター1100を例に挙げてみましょう。
同じ売り値でも何がそんなに違うのか? その買取価格の差どこにあるんでしょう?ちょっと考えてみてください。
わかりましたか?その価格の差は、需要と商品化にかかる費用の差です。
レブルは新車の生産が追いつかないくらい需要がとても高く、また昨年の新車で距離も走っていないため、追加でかかる整備費用というのはほとんどないでしょう。保証付で販売しても保証修理となるリスクはほとんどありません
対してDUCATIのモンスター1100は新車価格こそレブル250の2倍以上ですけれども、初心者にはとてもオススメできるようなバイクではありませんので、このコロナ禍からバイクに乗り始めたという方には需要がないバイクです。さらにDUCATIのような高性能を売りにしているスポーツバイクは、10年も経過するとその価値は大きく下がってしまいます。
さらに言ってしまうと、一般ユーザーがいう調子が良いという状態と、バイク屋から見て調子が良いという状態には隔たりがあることも多く、問題なく走行できていたとしても、僅かに聞こえる小さな異音が、バイク屋からすると深刻なトラブルの前兆であったりします。当然、そのようなバイクを商品にするためには大きな費用がかかるので、査定からは減額されてしまいます。また、走行距離が5,000kmのバイクと3万kmのバイクでは消耗品の状態も異なります。
このような大型外車であれば消耗品やパーツ一つ一つも高額です。
さらに古いバイクや外車であれば、きっちりと整備してもトラブルが出る可能性というのはどうしてもあって、売れてから無料で保証修理せざるを得ない場合というのがあります。今時2ストのスポーツに保証を付けて売っているバイク屋もないとは思いますけれども、 2ストについても同じことが言えます。
先ほど言ったように需要が少なければ、入荷してすぐ売れるという可能性は低く、長期間店頭に並べることになってしまいます。当然店に並べられる台数というに限度があって、回転が遅い車両は経費がかかります。
そう考えると、同じ598,000円で売られているレブルとモンスターとでは、買取価格が大きく異なってくるというのは当然のことなんです。よく「20万で買い取ったバイクを60万で売ってやがる。ボッタクリだ!」なんていう声をよく聞きますけれども、それは需要や必要な整備費・リスクによる差なので、何とも言えないところなんです。
これがバイク屋側が考えるバイクの価値・リスク管理の考え方です。
次はユーザーに査定前にしておいて欲しいこと、しておくことによって価格に影響することについて説明をしていきましょう。
バイクをどこに売るか?
バイクを売ろうとしている多くの方が最も気にするのは、どうやったらバイクが高く売れるのか?という点ではないでしょうか。 ユーザーにできることというのは、どこで売るか、どう売るか、どのような状態にして売るかというこの3点です。
まずどこで売るかという事ですが、まず一番オススメしたいのは、そのバイクを買った店もしくは普段見てもらっている店です。その理由ですが、自分のバイクのカルテを持っているからですね。
どうしても初めて見るバイクの場合は、最悪の場合を想定して査定を出してしまいますが、それは仕方がないことなんです。外観からはエンジンの状態は分かりませんし、プラグも見えませんからね。それが普段見てもらっているバイク屋なら、消耗品や外観からはわからないパーツの状態も分かってくれていて、査定をしていて「何かトラブルが見つかったとしても、これくらいなら大丈夫だろう」と減額を抑えてくれたりすることも多いからです。また下取だったり、次またバイクを買ってくれて付き合いが続く可能性もあるわけですから、下手な査定は出しにくいはずです。
というわけで一番おすすめしたいのは、買ったバイク屋や普段見てもらっているバイク屋です。ただし普段から付き合いのあるそのような店が小さなバイク屋だったりすると、極端に良い査定を出してくれるということは難しいかも知れません。大きなバイク屋の場合で、すでにその車種の要望が他の客から来ていたりすると、かなりの高額を提示することがありますね。確実に売れる宛てがあるわけですから。ただ基本的には普段付き合いのあるバイク屋に持っていくのが一番良いと思います。
バイクをどう売るか?
そして次はどう売るかなんですけれども、よく言われているのは買取業者を複数呼ぶという方法。まあこれは確かに1社だけ呼ぶよりは良いでしょう。ただ買取業者というのは、基本的に買い取ったバイクを業者用オークションで転売して、そのマージンで商売をしているわけですから、流通経費を見越してそもそもの価格提示が低いところから始まっている可能性は否めません。
買取専門業者を呼ぶと出される、最初に提示してくる金額については飲んではいけません。食い下がると「上司にかけ合ってみます!」なんて言うサル芝居を打って、上乗せされた金額を提示してくる可能性が非常に高いです。
経験上、買取業者はバイク屋に持ち込む時間すらないなどの余程の理由がない限り、お勧めはしません。前述のように初めて見るバイクを査定する場合は、何か気になるところがあったら、リスク管理の観点からも最悪のケースを想定して買取価格を提示しなければなりませんからね。
・どのような状態にして売るか
まず絶対やってもらいたいのは洗車ですね。
これは絶対にやってください。最低でもカーシャンプーとワックス、簡単に落とせるサビを落とすくらいは行ってください。可能であれば塗装面にはコンパウンドを使うこともおすすめします。30分洗車するだけでパッと見の時の印象が全然違いますし、落とせるか落とせないか分からない汚れや傷についても、可能な限り落としておくことで、無駄な減額を抑えることにつながります。それに大事な相棒との最後の別れの時くらい、自分の手できれいにしてあげてください。
洗車の方法・注意点についても動画をアップしているので、そちらもぜひご覧ください。
そして大事なこと。車体うんぬんの前に、必ず書類は揃えておいて下さいね。車検証や届出済み証がなければトラブルの元になりますし、ワンオーナーであることを証明することもでき、多少プラス査定につながると思います。できれば購入時の契約書や整備した時の納品書もあれば理想的です。交換したばかりのチェーンや外観からはわからないプラグや油脂類、ベルトといった消耗品の交換履歴などがあればこれらも減額を防ぐことにつながります。
正直ここは大きく影響するポイントではないんですけれども、自分で簡単な整備ができるという人は、減額されるであろう消耗品を自分で交換してしまうというのも良いでしょう。それと、社外パーツを取り付けてあってノーマルパーツは残してあるものは、ノーマルに戻しましょう。社外品などは大したプラス査定になりませんからね。ノーマルに戻して、余った社外パーツはヤフオクやメルカリ等で売る方が間違いなく高く売れます。
これが基本的な売る側にできることの3点です。
そして次は、大幅に高い価格で手放す方法をお伝えしようと思います。
査定より大幅に高く売る秘策
トラブルが発生しやすい個人売買やオークションではないですよ。
実は売却の形態によって、どんなバイクであっても、大きく金額が変わる可能性があるので、提示された価格に納得できない時に使ってほしい手法です。実はこのやり方は自分も何度か使ったことがあって、査定よりも10万円以上高く売却できたことがありますが、あまり知られていないのでその方法をお伝えしようと思います。
店で手放す場合に、最も多くの金額を受け取れる販売手法、それは「委託販売」です。
委託販売とは、自分のバイクを名義変更しないまま商品車として店に置かせてもらい、実際に売れた場合に事前に決めた金額をもらえるというものです。
店としてはたとえ売れなくても、買取によるリスクが少なく、その分高い価格を提示することができます。売却する側としては高く売れることがメリットではありますが、いつ売れるかわからないうえ、廃車せずに自分の名義でおいているうちは、納税の負担が生じます。また、もし売れずに引き取った場合、たくさんのひとの手に触れた状態で帰ってくるというデメリットもあります。
この委託販売を積極的に行っている店もありますが、下取りの場合などで査定金額が折り合わず、新しいバイクの契約になかなか至らない場合などにも、営業の手法として使われることがあります。高い価格で買ったばかりでも、マイナーな車種や外車などの値落ちの大きい車種では、価格の折り合いが難しいためこの委託という手を使うことがあります。ただ店によって委託販売を行っている店と行ってない店があるのでその点は要確認です。
店との深い関係ができてない場合は断られる可能性もありますし、すぐに現金が手に入らないというリスクもあります。例えば乗り換えの下取りで査定に出し、新しいバイクが手元に届いてもしばらく売れない場合返金も手に入らずその車両も持て余すことになってしまいます。さきほども言いましたが廃車手続きをせずに置いておく場合、納税は所有者である自分に支払い義務が発生します。これらのデメリットを十分に理解しておいてください。
今回のまとめ
上記のようなリスクもあるので基本的には買取をおすすめしますが、どうしても価格が折り合わない場合は、このような委託販売という手を提案してみるのもいいでしょう。
まずは買取査定を行い、さらに価格交渉も行い、どうにもその差が埋まるレベルではないという時の、最後のカードとして提案するのがいいと思います。
今回はバイクを高く売る方法について説明をしましたが、いかがでした?
最後までご覧いただきありがとうございました。
モトコネクトでは元バイク屋のフォアグラさんの様々なバイクに関する記事が公開されているので、ぜひチェックして見て下さい!
投稿者プロフィール
-
元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
最新の投稿
- アイテム2024年11月12日【元バイク屋が解説】価格差10倍以上!高いヘルメットと安いヘルメットは何が違う?
- コラム2024年11月4日【元バイク屋が解説】初心者でも峠を楽しめる!おすすめモデルはコレ‼
- コラム2024年11月1日【元バイク屋が解説】10万円台から買える!ツーリング向きバイクの特徴とおすすめモデル
- コラム2024年10月2日【元バイク屋が解説】大型バイクは危ないのか?中型バイクと大型バイクの違いをデータで検証