「右直事故」って知ってますか? 右直事故とは、交差点で発生する、右折車両と直進車両の交通事故です。あなたも交差点でヒヤッとした経験はありませんか? バイク歴40年の筆者も、ヒヤッとした経験は幾度もあります。
二輪車の死亡事故のうち、右直事故が占める割合は、実に25%以上。右直事故は致死率が高い事故なのです。
あなたのバイクライフどころか、人生も脅かす恐れもある右直事故。事故には遭いたくないですよね。
この記事では、右直事故の原因や事故を予防するための対策、運転テクニックなどについて、バイク歴40年、無事故歴も40年の筆者が詳しく解説します。
恐ろしい右直事故を防ぐためにも、最後までお付き合いくださいね。
右直事故とは
「右直(うちょく)事故」とは、交差点などで右折車と直進車の間で起こる事故です。交差点では原則、右折車よりも直進車が優先されるため(道路交通法37条)、右直事故では右折車の過失が大きいとされています。
- 直進しているバイクに、右折しようとする対向の車が衝突した
- 直進している車に、右折しようとする対向のバイクが衝突した
上記二通りのどちらの場合も、車に比べて軽量なバイクは多くの場合、重大な被害を受ける結果になります。
右直事故の実態:バイク乗りに迫る恐怖のデータ
警視庁の統計によると、二輪車の交通死亡事故のうち、25%以上が右直事故によるものです。右直事故は「死亡事故」につながりかねない、危険な事故と言えます。
この章では、警視庁のデータをもとに、右直事故について解説します。
右直事故がバイク死亡事故の25%以上を占める衝撃
2023年の警視庁のデータによると、二輪車の死亡事故のうち、実に約27.3%が右直事故によるものです。
2023年度では右直事故が最も高い割合であり、過去5年のデータを見ても右直事故は単独事故に次いで、22.3%と高い割合でした。
右折車と直進車の衝突が招く悲惨な事故の実態
バイクは生身をさらけ出して乗るため、ひとたび事故に遭うと、重大な被害を受けます。右直事故は、ライダーの死亡だけでなく、重傷になったり後遺症が残ったりするケースも多いのです。
事故の被害者は、肉体的・精神的な苦痛だけでなく、経済的な損失など、多くのダメージを受けてしまいます。
50代と20代が被害を受けやすいという事実
警視庁の統計データが示す通り、2023年も過去5年平均も、二輪車の交通死亡事故で一番多い年齢層は50代です。次に多い年齢層は20代。
50代のベテランライダーも20代のライダーも…さらに言えば全てのライダーは、交差点に進入する際は用心しましょう。
右直事故の意外な原因:あなたはいくつ知っていますか?
右折車の安全確認不足:最も多い原因!
右直事故の原因で最も多いのは右折車両の確認不足です。原因として多いのは以下の通りです。
- 右折車両が直進してくるバイクの存在を認識していない
- 右折車両が直進してくるバイクの速度と距離を見誤っている
- 「直進してくるバイクが止まってくれるだろう」と右折車両が過信した
- 右折車両が速度超過している(安全速度ではなかった)
道路交通法では『直進車両が優先』とされています。右折車両は交差点内に進入する際、周囲の状況をよく確認しましょう。
右直事故の原因として最も多いのは「安全確認不足」です。ほかにも原因はあります。この章では右直事故の代表的な原因について解説します。
信号無視は右直事故につながる!
信号無視は重大な事故の原因になりかねません。よく見るのは、信号機が黄色から赤に変わりかけているのに、無理やり突っ込んでくる車両。バイクも車も多く見かけます。
黄色は「次の青まで待て」です! 信号機は絶対に守りましょう。
直進車両の油断や速度超過も右直事故の原因!
直進する車両(バイク)の油断や速度超過も右直事故の原因として多く挙げられます。
- 直進車両側の信号機が「青」だったことによる油断や過信
- 交差点周囲の状況の確認不足
- 車体感覚の誤認:右折待ち車両が直進してくるバイクの距離感や速度を見誤った
直進車両も交差点に進入する際は交差点内の状況をよく確認しましょう。速度超過はダメです。法定速度を守りましょう。
見通しの悪い交差点での右直事故
右直事故が発生するのは大きい交差点だけではありません。信号機のない、小さくて見通しの悪い交差点でも右直事故は起こります。
見通しの悪い小さい交差点での鉄則は「徐行」です。特に住宅街などの信号機のない交差点では周囲の状況をよく確認して、徐行で交差点に進入しましょう。
バイクが右直事故に遭わないための対策
右直事故の原因を理解し、対策を講じた運転をすることで、右直事故に遭う確率を下げることは可能です。この章では、右直事故を防ぐための具体策をバイク側の目線で解説します。
右折時の安全確認を徹底する
バイクが右折する際は、安全確認の徹底が第一です。安全を確認すれば、事故に遭う確率を下げれます。
交差点に進入する前には周囲の状況をよく確認し、交差点走行中も確認しつつ徐行して交差点を抜けましょう。
安全確認は最大の防御です。進行方向はもちろん、進行方向とは反対側もチラ見して、無理に突っ込んでくる車両の有無など安全を確認してください。
直進時も周囲を警戒し交差点に進入する!
バイクが直進の場合も、交差点に進入する際は警戒が必要です。こちらが「青」信号であっても、信号無視の車両が横から突っ込んでくるかも知れません。
交差点では常に周囲を警戒しながら走行しましょう。
ヘルメットは絶対に着用する
ヘルメットは絶対に着用しなくてはなりません。ヘルメット着用は道路交通法の義務です。できればフルフェイスを着用しましょう。フルフェイスのヘルメットは安全性が高いからです。
いわゆる「半ヘル」はフルフェイスヘルメットより安全性が低い場合があります。命を守るためには、規格をクリアしたフルフェイスヘルメットを着用しましょう。
バイク用ドラレコは事故防止にも役に立つ
バイク用のドラレコ(ドライブレコーダー)は右直事故防止にも役立ちます。録画された映像を見て、自分の運転を研究できるからです。ドラレコに録画された、交差点通過や右折時の映像を再生して見てください。
ドラレコは事故後の証拠としてだけではなく、自分の運転を分析するためにも役立つツールです。
バイク事故を減らすための運転テクニック:命を守るためのスキル
事故に遭う確率はゼロにはできません。しかし、事故に遭う確率を下げることは可能です。
この章では、右直事故などのバイク事故を減らす運転テクニックを紹介します。
予測運転で危険を察知:常に先を見据えた運転をする
運転中は常に予測運転をして、危険を事前に察知する訓練をしましょう。危険を予知できれば、事故に遭う確率を下げられるからです。
たとえば、右折待ちの対向車などの行動を予測してみましょう。予測通りの動きをするか、検証を繰り返すうちに、危険予知や予測運転の感覚が研ぎ澄まされてきます。
周囲の車の挙動を見て予測することは、自分の身を守ることにもつながります。
余裕のある車間距離で自分を守る!
余裕のある十分な車間距離は、自分の身を守ることにつながります。車間距離が十分であれば、前を走る車両が急に交差点などで停車しても、追突せずに停車できるからです。
安全な車間距離とは「何があっても前を走る車両に追突せずに止まれる車間距離」です。
交差点通過時も安全な車間距離を取りましょう。
安全装備を常に意識してバイクに乗る
考えたくはありませんが、万一の事故を想定してバイクやウェアなど装備の準備をしてバイクに乗ることが大切です。たとえば、着るタイプのエアバッグやプロテクターなどの装備は自分自身の体を守ってくれます。
常に事故などの非常事態を意識して、バイクに乗りましょう。
スリリングな運転は厳禁!
交差点でスリリングな運転をしてはいけません。スリリングな運転は自分ばかりでなく、周囲も危険にさらすからです。
先日、交差点をハングオフで走り去ったバイクを見かけました。もってのほかです!
交差点を右折走行する際は徐行しましょう。交差点に限らず、公道でスリルを求める運転はダメです!
まとめ:右直事故を防ぐには安全確認と「かも知れない」運転が大切!
多発する右直事故(右折車両と直進車両の交通事故)を防ぐには、安全確認と「かも知れない」運転が大切です。安全確認で周囲の状況を確認すれば、事故に遭う確率を下げることができます。「かも知れない」運転で危険予知することも重要です。
筆者が40年無事故である理由は、常に「かも知れない」運転を心がけてきたからです。今も「見る」だけでなく「見張る」心構えで安全の確認をしています。
余裕のある、相手に思いやりのある運転が事故を減らします。自分のためにも周囲のためにも、安全運転に徹しましょう。
この記事がライダーの皆さまの右直事故防止に役立てば幸いです。
読者の皆さまのバイクライフを応援しています。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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