はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回はフルフェイスを作っている本格ヘルメットメーカーを紹介します。このフルフェイスヘルメット、顎までしっかり守ってくれる高い安全性から、昔よりも装着している方が増えたように思います。
反面、アライやOGKといった日本の老舗メーカーから、昔はなかった安いアジア製のものまで選択肢が増えたことにより、選択そのものが難しくなったというのも事実です。選択肢が多いというのは良いことなのですが。
用品店に行っても「本当に大丈夫?」と思える聞いたことのないメーカーや、「このメーカーはヘルメットも作っているの?」なんていうバイクウェアメーカーもありますよね。
ということで価格帯別に、自分がおすすめするヘルメットメーカーの特徴や代表的な商品について解説をしましょう。
中古のヘルメットをおすすめしないワケ
ヘルメットメーカーの解説に入る前に、なぜ中古のヘルメットをおすすめしないのかということについて、まずは解説をしたいと思います。
別に匂いとか前のオーナーの汗が染み付いて気持ち悪いとか、そういった話ではないのです。
ヘルメットというものは、一度でも衝撃を受けると内部のライナーというクッション材が凹んでしまい、安全性が著しく低下しています。ですので一度でも衝撃を受けたヘルメットは使用してはいけません。
そして衝撃を受けたにもかかわらず、外観はほとんどダメージがないというケースもあるのです。
何よりこのようにミラーにかける方も多く、当然このような使い方をしていると、ミラーが当たっている部分のライナーは凹んでいきます。
これであれば見た目は傷が付きませんから、絶対に分かりません。
ですので、中古のヘルメットを購入するということは本当におすすめしません。どんなに高価で安全性の高いヘルメットであったとしても、中古品には価値がないと言ってもいいでしょう。
というわけで、ヘルメットに関しては高級な中古品よりも、低価格モデルでも新品を購入する方がおすすめです。
日本を代表するメーカー3社
ではヘルメットメーカーの解説に入っていきましょう。
まずは日本を代表するアライ・SHOEI・OGK KABUTOの3社です。
アライヘルメット
アライは数あるヘルメットメーカーの中でも特に安全性、とりわけ耐衝撃性に主眼を置いたものづくりをしているという印象があります。何よりもまずは安全性。
ヘルメットの安全規格の中でも特に厳しい基準と言われているSNELL規格というものがありますが、アライのフルフェイスヘルメットはこのSNELL規格に全て適合しています。それだけでなく、その厳しいSNELL規格よりもさらに厳しいと言われる自社規格を設定し、その規格にも適合するように作られています。
とはいえ安全性以外に特徴はないのかというと決してそのようなことはなく、短時間でシールドを簡単に交換できるシステムであるスーパーアドシス、そしてシールド上の目にかかる部分に、サングラスのようにして使えるスモークシールドを重ねた構造のプロシェードシステムなど、安全性を確保した上での快適性や利便性というのも考慮されています。
あくまで耐衝撃性を最優先にしているということであり、快適性や利便性を犠牲にしているわけではないので安心してください。
ちなみに2023年5月現在、自分はこのアライのASTRO GXというモデルを発注し納品待ちとなっています。このASTRO GXはベンチレーション機能を高め、快適性重視のASTRO史上最高の被り心地と言われています。
SHOEI
SHOEIはアライと並び日本の高価格帯ヘルメットメーカー2大巨頭として有名ですね。
アライほど耐衝撃性に拘って宣伝している印象はありませんが、高い安全性、そして快適性やデザインにもこだわりが感じられます。
自分は現在、このSHOEIのGT-Air というモデルを使用しています。前述のアライのASTRO GXが届くまでのあと数ヶ月間で引退ということにはなりますけどね。
このGT-Airは現在GT-Air Ⅱへと進化しています。インナーバイザーや効率の良いベンチレーションなどを装備したツーリングモデルですね。
このGT-Airシリーズ以外にも、帽体をコンパクトにした見栄えの良いZシリーズ、クラシックなバイクにも合うGlamsterと、きっちりと安全性や機能性を確保しながらデザインにも気を配ったものが多いという印象ですね。
ただしひとつ気をつけて欲しいのは、このSHOEIは現在は正規代理店にしか商品を卸しておらず、Amazonなどで購入すると非常に高額になってしまいます。ですので近所の用品店での購入がおすすめです。
OGK KABUTO
「高品質なヘルメットが欲しいんだけど、もう少し予算は抑えたい」といった方におすすめしたいのがOGK。こちらも日本の企業です。
このOGKの特徴は空力性能に特化したモデル、安全性を追求してレースでも使用できるMFJ公認モデル、軽量コンパクトなモデル、利便性の高いシステムヘルメットなど、何かに特化した性能個性を持ったモデルが多いことですね。もちろんアライやSHOEIもモデルごとに個性特徴はあるのですが、このOGKの方がより明確に打ち出している印象ですね。
前述の2社よりも価格が控えめであるだけでなく、ご自身がヘルメットに何を求めるか、そのニーズが自分の中で明確であり、日本のメーカーにこだわりたいのであれば、OGKという選択肢も非常にアリだと思います。
海外の高品質なヘルメットメーカー
以前はフルフェイスヘルメットといえばほぼこの3社から選ぶのが当たり前でした。しかし今は海外のメーカーでも素晴らしい商品がたくさんあります。
どうしても海外製というと安いものを想像する方が多いと思いますが、低価格ヘルメットについては後ほど解説をします。ここではより高品質な海外製ヘルメットについて紹介します。
SUOMY(イタリア)
まず紹介するのはSUOMY。イタリアを代表するヘルメットメーカーであり、レースで使用しているライダーも多く見かけます。安全性はもう抜かりなし、多くの銘柄においてMFJ公認を取得しており、ヨーロッパのECE規格も取得済みです。このECE規格というのは、日本のSG規格よりも厳しいと言われていますので、安心して使えると言えるでしょう。
またよく誤解されているのですが、このSUOMYのヘルメットは、日本人の頭の形に合わせたジャパンフィットです。どうしてもヨーロッパ製なので、その点を不安に思って敬遠してしまう方も多いようですが、安心してください。
まあ、価格もかなり高めなので、この価格帯だったらAraiやSHOEIを買うかなっていう人の方が多いとは思いますが、他人とは違うヘルメット、スーパースポーツに乗っている派手なグラフィックモデルが欲しいっていう方は選択肢の一つに入れるべきだと思います。
HJC(韓国)
そして次は韓国のHJC。過去MotoGPにおいても内張りが剥がれる、ライザーが曇るといったトラブルが発生して、良くないイメージを持っている方もいるようですが、自分は十分に品質は高いと感じています。
自分はHJCのCS-15という低価格モデルをセカンドヘルメットとして使用していますが、内張りが剥がれるとか曇りやすいなどという印象は全くありません。MotoGPのような極限状態での使用感においてトラブルはあったかもしれませんけどね。
自分は以前、このHJCのヘルメットをかぶった状態で転倒したことがありました。時速80km近く出ていましたが、全く頭へダメージはなく、事故直後から普通に動くことができました。当時かぶっていたのはSNELL規格にも適合したモデルでもありましたが。
今、自分がセカンドヘルメットとして使用しているCS-15という安いモデルは1万円台前半で購入できます。
SNELL規格には適合していませんが、日本のJIS規格に適合し、基本機能を押さえたシンプルなヘルメットです。インナーバイザーなどは無いので、利便性や快適性という観点では上位のものに比べて劣る点はありますが、価格の割に造りがしっかりしていて安心感もあります。
SHARK(フランス)
最後に紹介するメーカーはSHARK。こちらもSUOMYやHJCと同様にMotoGPでの採用実績があるフランスのメーカーです。
このSHARKの特徴は、元プロレーサーによって設立されたメーカーであるということ。それだけに安全性と快適性だけでなく、優れた空力性能、そして広い視野にも配慮されて設計された商品が多い印象です。開発はフランス、生産はOEMではなくポルトガルとタイの自社工場で行われているというのも好印象です。
過去には世界初のカーボンヘルメットのXRCカーボンを製造したのがこのSHARK。今でこそ様々なメーカーが販売するようになりましたが、1991年という30年以上前にすでに完成させていたのですね。
当然高い技術力を持ったメーカーであり、ジェットヘルメットでさえもECE規格を取得したモデルがあるほど。また、LEDライトを組み込んだ世界初のヘルメットなんかもあって、衝撃に対する強さ以外の観点からも安全にアプローチする姿勢が面白いです。
低価格でも安心なヘルメットメーカー
最後は低価格ながら高品質なヘルメットをラインナップしているメーカーを紹介します。もちろん予算が許すのであれば、これまでにお伝えしたメーカーのヘルメットを使用していただきたいのですけれども、どうしても予算がない、それでも安心して使えるものが欲しいというわがままな方におすすめしたいヘルメットメーカーです。
昨今多くのヘルメットメーカーがありますが、正直に言って玉石混交。その中でフォアグラさんが気になっている、これなら選ぶ価値があるなというメーカーをピックアップし ました。
WINS JAPAN(日本)
まず紹介するのはWINS。価格が安いのでよく誤解されがちなのですが、このWINSは金沢に本社を置く日本の企業です。
看板商品はA-FORCEというカーボンルメット。実はこれの初代モデルを自分も使用していました。当然ですがとにかく軽く、サイズによりますが1250g程度のことで、一般的なフルフェイスヘルメットよりもペットボトル1本分軽いと宣伝しています。
またMFJ公認でもあるので安全性もバッチリ。さすがにカーボンモデルは5万円ほどしますが、カーボンモデルでこの価格っていうのはもう驚きですよね。
カーボンにこだわらなければ2万円台から購入することが可能です。
KOMINE(日本)
KOMINEというとジャケットやグローブといったイメージが強いと思いますが、実は1967年にヘルメットメーカーとしてSNELL規格を取得した実績があるんですね。実は最近まで自分も知りませんでした。
KOMINEはヘルメットに限らずCE規格をパスしたプロテクターやジャケットなどを低価格で世に出しており、信頼のおけるメーカーブランドの一つです。
ヘルメットについても、フルフェイスヘルメットでありながら2万円を切っています。ただし現在ラインナップされているモデルはSG規格のみとなっていて、SNELL規格は取得していません。まあこの価格帯ですから仕方ないですからね。
主な特徴としては、シンプルでスタイリッシュな外観と、あごひもにマグネット式のワンタッチバックルなどを使用していることです。名の知れた国内メーカーの商品を低価格で欲しいという方におすすめしたいです。
ASTONE
最後に紹介するものはまだあまり知られていないメーカーのASTONE。
このヘルメットはフランスでデザインされていて、製品によりますが台湾などで生産されています。
看板商品は約3万円という、とんでも価格のカーボンヘルメットGT-1000F。なぜこんなに低価格なのかというと、決して品質が劣るわけではないのです。このASTONEは今まで様々なメーカーのヘルメット製造を受託して、OEM製造を行ってきたのですが、メーカーとして再出発したので、こんな価格で販売できるのです。
有名メーカーの製造を請け負ってきたので、その製造ノウハウはバッチリ。あまりにも安すぎるがゆえ不安になってしまうかもしれませんが、品質を下げて安くしているわけではありません。間に業者が入らず、中間マージンを大幅にカットして低価格にしているわけですので安心です。
カーボンモデルであるGT-1000Fは発売即完売、現在は手に入らない状態ですが通常のABS樹脂モデルGTB600であれば今も買える状況です。インナーバイザー、脱着内装、チェットバックルが付いたグラフィックモデルで1万円前後です。
このもちろんAraiやSHOEIの商品とは比べられませんが、同価格帯の商品と比較していただくと値ごろ感あります。安全性の規格については先ほど紹介したKOMINEのヘルメット同様にやはりSNELLやECEといった規格がパスしておらず、取得している規格はSGのみとなっています。
まとめ
今回はフルフェイスヘルメットを作っているメーカーを、高いものから安いものまで、メーカーとともに代表的な商品を紹介しました。お気に入るようなヘルメットは見つかったでしょうか?
今回の記事は下記の動画でも詳しく解説していますので、こちらも是非ご視聴ください。それでは今回も最後までご視聴いただきありがとうございました。
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投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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