こんにちは整備士モトクロスライダーのヨシキです。今回のライテク講座は“足だしコーナーリング”です。オフロードコースを走っていると必ずと言っていいほど目にするのがコーナーのイン側に対して足を出すフォーム。
コースを良く走る方なら無意識にやっている方もきっと多いですよね。では、この足だしコーナーリングの本当の意味を考えたことがあるでしょうか?
“転ばないようにするため?”
“かっこいいから?”
などなど、様々な意見があることでしょう。実は足を出して曲がるのにはオフロードバイクならではの理由があるからなんです。足を出して曲がれるようになればカッコイイですし、上達への近道でもあります。今回はそんな足だしコーナーリングについて深堀していきます。
足だしコーナーリングとは?
そもそも足だしコーナーリングとは、コーナーのイン側に足を出して曲がるフォームのこと。このネーミング自体は正式名称ではないものの、オフロードを楽しむ方なら何となくイメージできる方も多いことでしょう。
最近ではオンロードでも足を出すシーンが増えてきている
最近ではオンロードの世界でもこの足を出すコーナーリングフォームを目にする機会も増えてきており、一説にはモトGPライダーのバレンティーノ・ロッシが最初に始めたとも言われています。そのためオンロード界では“Doctor’s Dangle”なんて言われたりもしていますね。(Doctorはロッシの愛称)
2024年のスペイングランプリでは、オープニングラップの1コーナ目から各ライダー足を出してターンin。マルケス、バニャイアがそろって足を出しながらバトルを繰り広げるさまは、すっかりモトGPでの足だしコーナーリングが浸透している証拠ですね。
ちなみにモトGPの足だしコーナーリングは超高速で走るサーキットだから意味があるものらしく、一般公道ではさほど意味がないそうです。
コーナーで足を出す意味
さて、コーナーリングで足を出す意味ですが、オフロードの場合、オンロードとは少し事情が異なります。オンロードではブレーキングやコーナーリングGに対抗するための手段(諸説あり)として足を出しますが、路面が滑りやすく、重心も高いオフロードバイクでは、足を出すことでコーナーリングの安定性を高めています。
そのため、どのような速度域でもほぼすべてのライダーが足を出して曲がっていますし、むしろ速度が乗るようなコーナーでは足を出さないこともあります。足だしコーナーリングは滑りやすいオフロードだから必須なわけですね。
路面のミューが低いダートコースでは足を出してバランスを取っている
じゃあ具体的に足を出すとどのような効果があるのかといわれれば、コーナーリング中のバランスを取る目的が非常に大きいです。
アクセルをワイドに開けたら滑ってしまうオフロードで、転ばずに上手く走る為にはきちんと地面にトラクションをかけて、タイヤのグリップを最大限に使ってあげることが肝心です。
そのため、オフロードのコーナーリング姿勢の基本は体よりもバイクを内側に倒す“リーンアウト”が基本であり、リーンアウトの姿勢を取るとどうしてもコーナー内側の足が邪魔になります。
そのまま無理にリーンアウトの姿勢を取るとガニ股になったり、ニーグリップが緩んでバイクが不安定に。結果として上手く曲がれなくなってしまいます。
そこで、足だしの出番。内側の足を出してあげることで、姿勢が楽になり、体は地面に対して垂直になります。その結果ニーグリップも緩まず、理想的なコーナーリングフォームで曲がることができます。
足だしコーナーリングができているとコーナーリングフォームがキレイになる
なので、自身のコーナーリング中の写真を撮ってみて、かっこいいキレイなフォームで足が出ていれば必然的にコーナーリングフォーム全体が良くなります。
もちろん足の出し方やタイミングなど、足だしコーナーリングにはテクニックが重要な場面もありますが、まずは自分が理想とするライディングフォームに近づけることが足だし習得の近道でしょう。
転倒防止としての役割も大きい
また、足を出してコーナーリングができれば、バイクが大きく姿勢を崩しても地面に足をついて立て直すことも可能です。
実際コースを走ったことがある方なら、直感的にこの役割に関しては理解しているかもしれませんね。
上手な足の出し方
これでオフロードバイクのライダーが足を出して曲がる意味をわかっていただけたかと思います。しかし、足だしコーナーリングはただ闇雲に足を出せばいいというわけではありません。きちんとコツがあります。
せっかくなら、正しいフォームを学んでカッコイイコーナーリングを手に入れていきましょう。
理想は太ももをハンドルにぶつけるくらい前に足を出すイメージ
コーナーリング中に足を出すときの理想は太ももをハンドルバーにぶつけるくらい前に出します。このとき、ステップからまっすぐ下に足を出すだけでは、車体がバンクしたときに姿勢を崩しやすくなってしまいますので注意しましょう。
AMAナショナルのトップライダーたちの足を出している姿勢を参考にすると良いヒントになるはずです。
足は地面にべったり付けずにかかとを付けるとスムーズ
実際に地面に足をつく時はかかとからを地面につけるようにするとスムーズです。地面にべったり足を付けてしまうとリカバリーの初動が遅れたり、足に大きな衝撃が伝わる可能性があるので注意しましょう。
写真や動画を撮ってかっこよくできているかチェックしてみよう
最後に自分のコーナーリング中の写真を撮ってみて、カッコよくできていればOKです。完成された足だしコーナーリングはまるでプロライダーそのもの。自分の理想と現実のズレを修正するためにも写真や動画を使ったチェックは重要です。
注意!公道やアスファルトでは試さないで!
ここで一つ注意事項。足だしコーナーリングを公道やアスファルトで試してはいけません!大けがの原因となります。そもそもアスファルトのサーキットで試せるような方なら改めて練習ということも無いでしょうし、恐らく装備もきちんとしているはず。
サーキット初心者や、公道ライダーの方はオンロードで足だしコーナーリングに挑戦するのはやめましょう。
公道走行での足だしはNG
もっと言えば、公道において足を出して曲がるのは大変危険です。交差点の内側に人がいるかもしれませんし、ガードレールに足をぶつけてしまうかもしれません。
教習所でもむやみに足を出して乗ることは推奨されていないことからも、足だしコーナーリングはオフロードコースという限定された場所だけのテクニックにとどめておきましょう。
足だしテクニックをマスターしてオフロードバイクを楽しもう
足だしテクニックをマスターすればオフロードコースでの楽しみがグッと広がります。例えば、モトクロスを楽しむ方であればタイムアップに繋がるでしょう。エンデューロを楽しむ方なら転倒回数が減るかもしれません。
誰にでも挑戦できて、ケガのリスクが少ない足だしコーナーリング。是非練習してみて下さいね。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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