はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回はみんな大好きバイクのカスタム、その中でも王道中の王道であるマフラー交換について解説します。
見た目や音が変わり、いかにも「カスタムしたぜ!」と変わった実感を得やすいことも魅力の一つですよね。そして性能の変化っていうのも大きな魅力。出力特性の変化を売りにして・トルクカーブなどを公表しているメーカーもあります。バイクを乗り換えることなく手軽に性能の変化を体感できます。
とはいえ、実は交換において注意点もあります。JMCAの試験をクリアして認定を受けた車検対応マフラーであったとしても、実は車検を通らなかったり、違反になってしまう場合もあるのです。その理由などについても紹介します。
マフラー交換における変化
最初に解説するのは、マフラーの交換における変化です。
あらかじめお伝えしておきますと、ここでお伝えすることは自分の主観です。人によっては「めちゃくちゃ体感できるじゃん」と思われるかもしれません。人それぞれ感じ方が違うだけでなく、車種やマフラーの銘柄によっても変わってくるので、一つの意見として参考程度に受け止めていただければと思います。では早速ぶっちゃけます。
変化を体感できないもの
言うほど体感できないもの、それはパワーアップです。こんなこと言うとマフラーメーカーから嫌われると思うですが、言わせていただきます。
「全域でトルクアップ」とか「最高出力〇〇%UP」なんていう売り文句をよく見ますが、正直体感できる変化はないですね。特にノーマルのエキパイをそのまま利用し、サイレンサーの部分だけ交換するスリップオンタイプでは、少しもパワーアップを体感じたことありませ。むしろ低速トルクはノーマルより劣るものも少なくなく、発進時など低回転からの加速で気を使うようになるかもしれません。
ただこれはあくまでマフラーだけを交換した場合です。マフラーなどの排気系の変更に合わせて、吸気系も変更し、キャブやインジェクションの設定を変更したりした場合の話ではありませんので、その点はご理解ください。
絶対的なパワーアップを求めるのであれば、スリップオンではなくフルエキ、そして吸気やキャブにも手を入れるのがおすすめです。
変化を体感しやすいもの
パワーアップとは逆に、意外と変化を体感しやすいと感じるのが軽さです。特に左右両側からの2本出しのスタイルであれば、スリップオンタイプでも交換するだけで明確に体感できるはずです。もちろん社外品でも材質によってはノーマルと大差ない重さのものもありますが、カーボンやチタンは結構軽量なものが多いのでおすすめです。
自分の場合ですが、型式がSC40という方の古いCB 1300スーパーフォアの2本出しマフラーをカーボン製のスリップオンに交換したところ、劇的に軽くなりました。車種にもよりますが、個人的には直接的なパワーアップというよりもどちらかというとこの軽量化の方が、体感しやすいポジティブな変化ではないかなと思います。
そもそもマフラーだけの交換で得られる最もわかりやすい変化は、性能的なものというよりは外観や音の変化でしょう。もちろんこれだけでも交換する価値はあると思います。というより、今まで自分はむしろ外観と音の変化、ドレスアップ目的だけのためにマフラー交換をしてきていると言っても過言ではありません。
これまでの話を聞いて「マフラー交換に対して否定的な考えを持っているのかな?」と思われたかもしれませんが、自分は今まで所有した高速に乗れるバイク9台のうち、5台でマフラーを交換して乗っていました。全然否定的な考えは持っておらず、法律の範囲内でドレスアップや音の変化を楽しむのでしたら、大いにアリだと考えています。
ただお伝えしたかったのは、マフラー交換だけで過度な性能の変化を期待しすぎると がっかりするかもということです。
社外マフラーと純正マフラーは何が違う?
では社外マフラーと純正マフラーの違いについて解説をしましょう。決定的な違いは、このサイレンサーと呼ばれる部分にあります。
こちらをご覧ください。これが一般的な社外品のサイレンサーの構造です。
排気の流れは右から左です。このサイレンサーをまっすぐに通り抜け、その通り抜ける過程でグラスウールなどの消音材によって音量を小さくします。これをストレート排気とかストレート構造などと呼びます。
ご覧のように右から左へまっすぐに通過するため高回転時の排気の抜けがよく、最高出力を求められる場合に適した構造になっています。
では今度は純正マフラーを見てみましょう。
社外マフラーと全然違い、純正マフラーの方が実は複雑な構造をしています。純正サイレンサーの場合は隔壁構造と言って、サイレンサーの中がいくつかに仕切られていて、排気が移動する距離が長く取られています。何度も膨張を繰り返すため消音効果が高く、静かな排気音となります。その代償として排気の抜けが悪くなるため、最高出力の稼ぎやすさとしてはストレート排気に劣ります。性能よりも消音効果を優先した設計と言えますね。
絶対的にどちらの方が優れているというではなくて、最高出力や軽さを優先しているのか、消音性や扱いやすさを優先しているのかという設計上の違いであって、こればかりは人それぞれ好みの問題です。
ちなみに自分は現在ハヤブサという大型バイクに乗っていますが、ノーマルのまま乗っています。お隣さんの家が近くて音量に気を使うという理由もありますが、ノーマルのままでも必要十分すぎるパワーがあり、重量的にも特に扱いにくさを感じることはないからです。
確かにもっと軽いに越したことはありませんし、本当は見た目もカーボンやチタンにしたらカッコイイなとは思いますが、まあノーマルでも特に不満らしい不満はないのです。単に社外マフラーが高額で、気易く買えないということもありますけどね。
というわけで、社外品と純正品の構造の違いをご理解いただけたでしょうか?
社外品は構造上、消音性は純正より劣る場合がほとんどであり、この音量が大きいと取り締まりで捕まったり、車検に通らなかったりします。また近年は音量だけではなく、排ガスの浄化性能もチェックされます。
これらの基準をクリアしたものに全国二輪車用品連合会、通称「JMCA」の認定プレートが付与されます。
しかしこのプレートが付いていても車検に通らなかったり、違反となって捕まってしまう場合もあります。またその車種専用のマフラーであったとしても、エラーの警告が出てしまうトラブルもあります。そんな注意点について次で解説をしましょう。
車検に通らない・車種専用でもエラーが出る原因
では最後にJMCA認定のものであっても車検に通らないケース、車種専用のマフラーであってもエラーになってしまうケースについて解説をします。
JMCA認定のマフラーでも車検に通らないケースというのは、大きく2つあります。
理由その1:消音材の劣化
長期間使用することによって消音材が劣化してしまい、騒音試験をパスできなくなってしまうのです。もちろん新品状態であれば試験をパスできる状態なのですが、劣化ばかりはどうしても避けられません。
車検場のラインでも「JMCAプレートが付いてるね。うん、OK!」と車検をパスできるわけではなく、1台1台音量をチェックされます。
これは特に中古でマフラーを購入する場合などは要注意ですね。悪いように考えると、前のオーナーは劣化により車検が通らなくなったから、フリマサイトに出品したという可能性も否定できません。
年式が新しいモデルのものであれば大丈夫だと思いますが、ちょっと古いモデルであればある程度の覚悟はしておいた方が良いでしょう。
車検に通らないケースはもう一つあります。これは車種専用設計のマフラーであってもエラーの警告が出てしまうという場合も同じ理由です。まとめて解説すると、それは対応している年式が違うということです。
理由その2:対応年式が違う
騒音規制や排ガス規制は年々強化されていく傾向にあります。
去年までは合法だったけど、今年から発売されたモデルでは違法になるという場合もあります。当然メーカーはその規制に従って車両やアフターパーツを設計・製造しています。見た目は同じであったとしても、去年のモデルと今年のモデルでは触媒が違ったり、O2センサーが新たに取り付けられていたりという事が往々にしてあります 。
車名や見た目が全く同じバイクだからといって、年式違いのバイクに設計されたアフターパーツを取り付けてしまうと、排ガスの浄化性能が低かったり、エラーランプが点灯してしまったりするわけです。
ですので頻繁に法改正が行われて基準が変わるようなパーツを購入する場合は、自分のバイクの年式を確認した上で間違いない買い物をしたいですね。
まとめ
今回は社外マフラーについて解説をしてみましたがいかがでしたか?
基本的にバイク用品は、安い上に簡単に返品や交換ができるAmazonでの購入をしていますが、このマフラーについては多少高くてもバイク屋さんや用品店でしっかり確認してもらって購入することをおすすめします。
今回の記事も下の動画で詳しく解説していますので、こちらも是非ご視聴ください。
では今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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