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【2022年版】初心者も安心!バイクの電子制御サポートを解説【part.2 クルコン、電サスetc】

バイクの電子制御技術はこの10年で大きく進化し、乗りやすさが格段にアップしています。おかげで、腕に自信のないライダーでもラクに運転できるバイクが増えています。
ビギナーはもちろんですが、ベテランも恩恵に預かれること必至。そんなライディングサポート系のシステムを中心にまとめて解説します。第2弾はツーリングにもスポーツランにも役立つ電脳デバイスを紹介しましょう!

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【2022年版】初心者も安心!バイクの電子制御サポートを解説【part.1】

バイクの電子制御技術はこの10年で大きく進化し、乗りやすさと扱いやすさが格段にアップしました。 おかげで、腕に自信のないライダーでもラクに運転できるバイクが増えています。 ビギナーはもちろんですが、ベ ...

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【クイックシフター】クラッチレバーを握らずに変速OK、左手が疲れない

マニュアル車の場合、頻繁にシフトチェンジを繰り返す街中や、ロングランではクラッチレバーを握る左手が疲れます。ツーリングの終盤で握力がなくなってツラい思いをした経験はありませんか?

そんな人にオススメなのが「クイックシフター」。発進や停止時には通常どおりクラッチレバーを握る必要がありますが、クラッチレバーに触れずにギヤチェンジできるシステムです(もちろんレバーを握ってのギヤチェンジも可能)。
オートシフターとも呼ばれ、昔はシフトアップのみでしたが、最近はシフトダウン対応タイプも増加中です。

仕組みは、シフトペダルに装着されたセンサーが入力を感知して、エンジン点火を一瞬カット。これがクラッチを切ったのと同様の状態となり、ギヤチェンジが可能になります。なお、シフトダウン対応型は、自動でエンジン回転数を上げて変速のショックを和らげる「オートブリッピング」機能を有しています。

クラッチレバーを操作する頻度が多い公道走行では左手の疲労を軽減。レースなどのスポーツ走行時でもクラッチを握る時間がなくなるため、タイムの短縮につながるメリットもあります。

クラッチとシフトペダルをつなぐリンク部にセンサーを設置。入力を感知するとエンジンの点火をカットします。

採用車の多くはビッグバイクでしたが、カワサキのNinja ZX-25R SEが250クラスで初めて標準設定。後にホンダCBR250RRでオプション設定されています。

なお、クラッチレバー操作不要の機構としてホンダのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)もあります。

その名の通り2つのクラッチ(動力伝達装置)を備え、クラッチレバーは非装備ながらギヤチェンジが可能。オートマのようにライダーが操作しなくても変速してくれるほか、手元のボタンや足元のペダルで自由にシフト変更することもできます。変速ショックがほぼなく、ダイレクト感に優れるのが特徴です。

オートマに似ていますが、スロットル開度や車速に応じて、電子制御で知能的にギヤを選択してくれます。また任意にギヤを変更できるので「セミオートマ」とも呼ばれます。

2012年登場のNC700XからDCTを搭載してきたNC750X。よく見るとクラッチレバーがありません。

【コーナリングABS】ヒヤリとする旋回中のブレーキも安心!

通常のABSのようにロックを防ぐのはもちろん、より状況に応じた制御を行ってくれるのがコーナリングABSです。

旋回中のブレーキングは、タイヤがロックしやすくなります。車体をバンクさせた状態では、タイヤのグリップ力の大半がコーナリングに使われており、グリップの限界が早く訪れてしまうからです。
加えて、バンク中に強くブレーキングすると車体が起き上がるなど車体挙動が乱れ、アウト側にはらんでしまい、事故を起こすケースも。

もちろんコーナーに入る前に十分減速して、旋回中はなるべくブレーキングしないのが望ましいです。しかし公道では状況が常に変わりますし、ついオーバースピードで進入してしまう場合もあるのです。

そこで開発されたのが「コーナリングABS」。車体挙動を検知するIMU(慣性センサー)や傾斜角センサーの発達によって登場した電子制御サポートで、バンク角に応じた制動力を算出。ブレーキ圧と前後制動力の割合を最適に調整し、ロックや車体の起き上がりなどを抑制してくれます。

通常のABSは、車体の傾きなどを検知せず、タイヤのロックを防ぐため一定の制御を行うだけですが、コーナリングABSはより精緻に制御してくれるのです。

コーナリング中はライダーにとって非常に無防備な状態ですが、ブラインドコーナーの先の障害物や路面の変化にも対応しやすくなり、ラインの修正も簡単になります。
ビギナーからベテランまで恩恵に預かれる装備ながら、高度な制御を行うため、スーパースポーツなど高額なモデルにしか採用されていないのが玉にキズです。

コーナリングABSは2013年頃から登場。車体の傾きをはじめ、前後輪の速度差、スロットルやギヤポジションなどから総合的に判断し、ブレーキ圧を最適に制御する。

カワサキのZX-10Rなどに採用されているカワサキコーナリングマネージメントファンクション(KCMF)もコーナリングABSの一種。旋回中にブレーキングしてもアウト側にラインが膨らみません。

IMUは独ボッシュ製のユニットがメジャーですが、ヤマハは自社製。2022年型XSR900は、IMU使用または不使用という2種類のABSモードを備えます。MT-09とトレーサー9GTも同様のシステムを搭載。

【クルーズコントロール】速度を自動でキープ、ロングランで重宝する

高速道路を延々と走るようなツーリングでは、スロットルをずっと開け続けなければなりません。この状態を長時間キープするのは、右手に相当な疲労がたまります。

そこで役に立つのが「クルーズコントロール」。略称は「クルコン」、オートクルーズとも呼称し、スロットルに触れなくても設定した速度をキープしてくれる電子制御システムです。
クイックシフターが左手の疲れを緩和するのに対し、クルコンは右手がラクになるというワケです。

クルマではかなり前から実用化されていたものの、バイクにはようやく少しずつ普及中。近頃は大排気量のクルーザーやツアラーなどに搭載されています。

車種により違いはありますが、50km/hなど一定の速度以上で使用でき、走行中もスイッチで設定を変更可能。上り坂や下り坂でも速度を一定に保ってくれます。

クルコン未体験の人は、勝手にバイクが走るので「コワい」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。ブレーキやスロットルの操作、クラッチレバーを握ったりすればクルコンが即、解除されるからです。

一度キャンセルした後でも、再び直前の設定速度に戻して定速走行できる「レジューム機能」もあります。また、高速道路だけでなく、一般道でも使用可能です。

ハンドル手元のスイッチでクルコンをオンオフでき、設定速度のアップダウンも可能。写真はゴールドウイング。

採用モデルはクルーザーが多数(ゴールドウイング、レブル1100、R1250RT、R18コンチネンタルなど)。また、CRF1100LアフリカツインやVストローム1050XT、ムルティストラーダV4、R1250GSほかリッターオーバーのアドベンチャー系にも搭載例が多いです。

中にはCB1300SF/SBやMT-09SP、Z H2/SEのようなネイキッド系でも採用。少数ながらNinja ZX-10R、S1000RR(写真)ほかスーパースポーツにも搭載されています。

【電子制御サス】路面や走りに応じてサスの硬さを最適化!

複数のセンサーから車両状態を検知し、走行シーンや路面状況に応じてリアルタイムにサスの減衰力を電子的に調整するシステムこそ「電子制御サス」。セミアクティブサスとも呼ばれます。

通常の機械調整式サスは、工具などで走りに合わせて減衰力を手動調整する必要があります。当然ながら、運転中に設定を変更することはできません。

しかし、電子制御サスなら走行中でもバイクが刻一刻と設定を最適に自動調整してくれるのです。
例えば、低速で平坦な路面を走行する際はサスセッティングを柔らかく、ハイスピードでコーナリングする際や路面に凹凸がある場合はサスセッティングを瞬時に硬く変化させます。ハードブレーキングで車体がノーズダイブ(前のめり)になる状況でも、フロントの減衰力を瞬時に硬くし、安定感を高めます。

モードを変更できるのが一般的で、街乗り向けに乗り心地を重視したモードや、スポーツ走行用のモードなどが用意されます。

快適性の高いモードであれば、衝撃が少なくなるのでロングツーリングでも疲れにくくなります。また、峠やサーキットでは、手動でセッティングを出さなくても自動調整してくれます。

車体各部の多彩なセンサーから得られる情報を元に、ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)がサスの特性を最適化。ダンパーの調整は1000分の1秒で行われます。最新版であるショーワのイーラはサスストローク部分にもセンサーを採用。

ダンパーに設置された電磁バルブでオイル流路を変化させ、リアルタイムに減衰力を自動可変。フロントフォークのトップキャップに電磁バルブやストロークセンサーからの信号を受ける配線などが装備されます。

ちなみに、なぜ“セミ”アクティブなのか。

セミはダンパー減衰力の強弱のみで対処するのに対し、(フル)アクティブサスは車高調整や姿勢制御といったより高度な制御を含みます。また、サーキットのように決められたコース向けにあらかじめサスセッティングをプログラムしたり、予測することで、事前にサスを変化させるタイプもアクティブサスと呼びます。

採用モデルは1000ccオーバーのアドベンチャー系(CRF1100Lアフリカツイン、トレーサー9GT、ベルシス1000SE、R1250GSなど)、豪華ツアラー(ゴールドウイング、Ninja H2SX SE、R1250RTなど)、リッタースーパースポーツ(CBR1000RR-R SP、YZF-R1M、S1000RRなど)。

いかがだったでしょうか。今回のシステムは、ロングツーリングではよりラクちんになり、ワインディングやサーキットなどを攻める際にも威力を発揮。シチュエーションを選ばず活躍できると思います。

次回は、より最新かつ未来的な電子制御システムについて解説します。乞うご期待!

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沼尾宏明

ふだんフリーランスとして、主にバイク雑誌の編集やライターをしている沼尾です。 1989年に2輪免許を取得し、いまだにバイクほどオモシロイ乗り物はないと思い続けています。フレッシュな執筆陣に交じって、いささか加齢臭が漂っておりますが、いい記事を書きたいと思っているので、ご容赦ください。趣味はユーラシア大陸横断や小説など。よろしくお願いします。

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