はじめに
急にエンジンがかからなくなった。
セルは回っているけれど、いつもより弱々しい。
これは、バッテリーが上がっている可能性があります。
「バッテリーが上がった」というのは、バッテリー内の電気がなくなり、エンジンをかけるだけの電流を流せなくなった状態のことをいいます。
でも、ご安心ください。
解決方法はいくつかあります。
本記事を読めば、バッテリーが上がった時に慌てずに、ご自分に合った最適な解決方法を見つけることが出来ますよ。
バッテリー上がりの症状
次の症状が現れたときは、バッテリーが上がった可能性が高いです。
・セルモーターに現れる症状:回しても、いつもの勢いがない。セルの回転音が、いつもなら「ババババッ」が、「キュンキュンキュン」と弱々しくなる。更に弱くなると「カチカチカチ」、最終的にはセルを回しても動かなくなる。
・ヘッドライトやウインカーに現れる症状:光が弱くなるか、全く光らない。
・ホーンに現れる症状:音が弱まるか、全く鳴らなくなる。
バッテリーが上がった時、どうすればいい?最新の対処法6選
①ロードサービスを呼ぶ
会員のロードサービスを受ける
電話一本で、故障現場までプロのスタッフが来てくれて、修理または最寄りの修理工場までレッカーしてくれるので、機械いじりが苦手な人にとっては最高のサービスです。
ロードサービスというと、JAFが有名ですが、自動車やバイクの任意保険にもロードサービスがついている場合がほとんどです。
クレジットカード会員にも付いているロードサービスがありますが、その多くの対象は自動車だけで、バイクは対象外になっています。
バイクが対象になっているのクレジットカードは、JACCS CLUB AJカード(クラブエージェ―カード)や三井住友VISAカードなどがあります。
現在契約しているバイク保険やクレジットカードでロードサービスが受けられるかを予め確認しておきましょう。
そして、もし故障したらすぐ連絡できるようにスマホ等にロードサービスの電話番号を登録しておくと安心ですよ。
非会員が会員ロードサービスを受ける裏技!!(JAFの場合)
JAFの場合、非会員だとバッテリー上がり対応のロードサービスでは、13,000円以上かかってしまいます。
来てもらえるのはありがたいですが、この値段だと、気軽には呼べませんよね。
それじゃあ「故障した当日に現場で会員になればいいのでは?」と、考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところが、JAFによると「現場で会員手続きはできるけど、会員ロードサービスが受けられるのは次回以降」なのだそうです。
「そりゃそうだよな」と諦めているアナタ、ひとつだけ裏技があるのです。
条件さえそろえば、故障した日にJAF会員になれる裏技です。
JAF当日入会の裏技はこれだ!!
もし、故障した日が平日で、故障現場近くにJAFの支部(営業時間10~17時)があれば、手続きと支払い(個人会員の場合:入会金2,000円、年会費4,000円、合計6000円)で会員証をその場で受け取れます。
そのまま現場に戻って会員ロードサービスを呼ぶことができます。
平日の10~17時で、故障現場近くに支部があるという条件が揃うのは、なかなか無いと思いますが、一度調べてみる価値はありますよ。
②近隣のお店へ手押しで駆け込む
・ガソリンスタンド
コンビニと同じくらい、全国津々浦々どこにでも見つけられるお店のひとつがガソリンスタンドです。
一般的に多くのガソリンスタンドにある充電器は、自動車用の急速充電器です。
バイク用の急速充電器のあるガソリンスタンドもありますが、数はそれほど多くありません。
自動車用の急速充電器でバイク用バッテリーへの充電は可能ですが、自動車用の急速充電器は電流値が大きいため、バイク用バッテリーにかなりの負荷がかかり、バッテリー寿命を確実に縮めてしまいます。
たとえ、バイク用の急速充電器が置いてあったとしても、急速充電はそもそもバッテリーに負荷をかけてしまうものなので、充電するにしても緊急時だけで、エンジンが始動する最低限の充電にとどめましょう。
急速充電の料金は2000~3000円が相場のようです。
ガソリンスタンドによっては、出張対応してくれるところもあるようですが、値段は1万円以上が相場のようです。
・バイク屋やバイク部品販売店、自動車修理工場
近くにバイク屋やバイク部品販売店があれば、多くの店舗で適切な充電をしてもらえるでしょう。
自動車修理工場でも、ジャンプや充電などをしてもらえる可能性があります。
休みや営業時間外の場合もありますので、事前に電話等で確認してからお店に向かいましょう。
充電の料金は2000~3000円が相場のようです。
③自動車からジャンプする
ブースターケーブルを乗せている自動車に助けを求め、自動車からジャンプする方法です。
ジャンプのやり方
自動車のエンジンは必ず切っておきます。
ブースターケーブルの繋ぐ順序(「一筆書き」で「赤赤黒黒」):
1. 赤のブースターケーブルをバイクバッテリーの赤カバーの下にある+(プラス)端子に接続します。
2. 赤のブースターケーブルを自動車バッテリーの赤カバーの下にある+(プラス)端子に接続します。
3. 黒のブースターケーブルを自動車バッテリーのマイナス端子に接続します。
4. 黒のブースターケーブルをバイクバッテリーのマイナス端子に接続します。
5. 自動車のエンジンをかけます。
6. バイクのセルを回します※1。
7. バイクのエンジンがかかったら、自動車のエンジンを切り、取り付けと反対方向に、4→1の順番で外していきます。
※1:自動車からのジャンプは電力が高めなので、多くは一瞬で始動する場合が多いですが、エンジンがかからなくても、セルを5秒以上連続してまわし続けるのはやめましょう。
バイク同士でジャンプする場合
ツーリング中など、バイク仲間がブースターケーブルを持っている場合は、なるべく故障したバイクより排気量の大きいバイクからジャンプしてもらいましょう。
排気量の小さいバイクからジャンプすると、元気な方のバッテリーに負荷がかかるためです。
バイク同士でのジャンプ方法は、自動車からバイクへの方法と同じです。
④キックや押しがけする
現在主流となっているインジェクションを搭載しているバイクでは、バッテリーが上がった状態での押しがけは出来ない場合が多いです。
バッテリーが上がった状態だとエンジンに燃料を供給できないからです。
スーパースポーツに標準装備されているスリッパークラッチ装備車も、構造的に押しがけは出来ません。
でも、キャブレター仕様のバイク(2000年代初頭までの車種)なら、次の押しがけが可能です。
押しがけの方法
- エンジンギアを2~3速にセットし、クラッチを握ったまま軽い駆け足ぐらいの速度まで押し進めます。
- この時、できれば運転者がバイクに跨り、もう一人にバイクを後ろから押してもらうと安全です。
- スピードが上がったら、握っていたクラッチを離す(つなぐ)とクランクが回り、プラグが発火してエンジンが始動します。ひとりの時は、坂道の下りを利用するとスピードが出しやすいのでエンジンがかかりやすくなります。
⑤ジャンプスターターを使用する
ジャンプスターターとは、一時的に電力を供給して、エンジンをかけやすくするモバイルバッテリーみたいなものです。
ジャンプスターターの使い方
ジャンプスターターに備え付けのブースターケーブルをバッテリーに接続して、ジャンプスターターの電源を入れます。
ジャンプスターターの準備ができたらバイクのセルを回します。
ジャンプスターターには、大きく2つのタイプがあります。
ジャンプスターター(リチウム電池タイプ)
リチウムイオン電池が内蔵されているジャンプスターターです。
ジャンプスターターは月2回程度の充電が必要ですが、普段はスマホやタブレット等のモバイルバッテリーとしても利用が可能です。
耐用年数は約3年です。
普段使いやツーリングや旅行、災害時でも活躍しそうですね。
ジャンプスターター(リチウム電池不使用タイプ)
バッテリーの代わりにコンデンサーが内蔵されているので、そもそも充電が不要なのです。
バッテリー上がりの時に、バッテリーの残りの電力を吸い上げてコンデンサーに貯め、増幅させてエンジン始動させるスターターです。
リチウム電池は使用していないので発火等の電池トラブルはありませんが、モバイルバッテリーとしては使えません。
値段は高めですが、耐用年数は10年と抜群に長いです。
⑥充電器で普通充電する
バイク本体からバッテリーを外し、充電器に接続させます。
バッテリーへのアクセスが難しい(面倒な)バイクは、バッテリーに充電器が接続できる端子(カプラー)を取り付けておくと便利です。
「充電器を付けるときはバッテリーのプラスから接続し、充電が終了したらマイナスから外す」のが鉄則です。
充電時間は容量等によって違いますが、おおよそ8~12時間くらいがおおよその目安です。中には20時間をかかるのもあります。
注意:充電中に異常な発熱をする場合や、24時間充電しても充電完了しない場合は、バッテリー不良か寿命の可能性がありますので、直ちに使用を止めて新しいバッテリーに交換しましょう。
バッテリー上がりの時、やってはいけないこと
回復直後は電装品の使用を控える
バッテリー上がりから回復しても、バッテリーはまだ満充電になっていません。
急速充電をしたとしても、満充電にはなっていないことが多いです。
急速充電は、あくまでエンジンがかかる電力を補充したに過ぎません。
電装品の使用をなるべく控えて時速60km以上で30分以上走るか、バッテリーが満充電になるまで充電器で普通充電しましょう。
アイドリングでは発電が十分にできないため、充電できません。
充電しないまま長期間放置する
充電しないまま長期間ほったらかすと、自然放電が進みます。
特に、低温条件が続く冬の積雪地域や高湿度の条件下では自然放電が更に進みます。
放置できる期間は環境条件によりますが、3週間が目安です。
完全に自然放電してしまうと、充電ができなくなることがあります。
普段乗っていないバイクも、2週間に一度は時速60km以上で30分は走らせましょう。
バッテリー上がりの原因
バッテリー上がりの原因は、寿命の他に次が考えられます。
原因を放置しておくと、バッテリーを交換しても、後々同じ故障が起きる可能性があります。
自分で原因が特定できない場合は、専門家に確認してもらいましょう。
・ライト類の消し忘れ
・電装品の過多な接続
・バイクの長期間放置
・短距離走行ばかりする
・充電レギュレーターの不具合
・発電系ジェネレーターの不具合
・配線不良やバッテリー端子の接触不良
・漏電
・新品のバッテリー不良
バッテリー上がりの予防法
バッテリー上がりの一番の予防法は、バッテリーの寿命を伸ばすことです。
バッテリーの負荷を最小限に、満充電の状態をキープすることで、寿命が伸びます。
次の項目で、自分にできることを実践しましょう。
バッテリーへの負荷を最小限に
急速充電は緊急時だけ
充電するときは、急速充電はなるべく避けて、普通充電をしましょう。
電装品の使用を控える
エンジンを切った状態では、ライト等の電装品の使用は控えましょう。
乗らないときはマイナス端子を外す
一ヶ月以上バイクに乗らないときは、バッテリーのマイナス端子を外しておきましょう。
カットオフスイッチがあると便利です。
バッテリーの寿命を伸ばす
定期的にバイクに乗る
1回/2週 は30分以上乗りましょう。自然放電で減った分を補うことが出来ます。
新品のバッテリーには初期補充電する
新品バッテリーに交換するとき、製品によっては自然放電等でバッテリーが満充電になっていない場合があります。使用前に補充電をしておくと寿命が伸びます。
定期的な電圧点検
テスターがあれば、バッテリーの状態を点検できます。電圧が12.5Vを超えているか確認しましょう。
購入後2~3年が交換目安
バッテリー購入後、2~3年で弱くなる兆候があったら、寿命の可能性があります。早めの交換を心がけましょう。
事前の準備で、突然のバッテリー上がりも怖くない
それでも、バッテリーには必ず寿命が来ます。
バッテリーが上がりの症状が徐々に出始めて気づける時もあれば、兆候なしで突然上がってしまうケースもあります。
なので、事前に次のような準備をしておくと、急にバッテリーが上がっても慌てずに対処できるので、とても安心ですよ。
ロードサービスの連絡先を控えておく
任意保険等のロードサービスの連絡先を携帯に登録しておけば、スムーズに連絡ができます。
ジャンプスターターや充電器を携行する
ジャンプスターターや充電器を持っていれば、突然のバッテリー上がりにも対応できて安心です。
バッテリーの販売店や充電できるお店を把握しておく
自宅近隣や通勤路付近でバイクバッテリーの販売店や充電できるお店を把握しておくと、バッテリーに異常を感じた時に慌てずに対応できます。
バッテリーのサイズや品番を控えておく
備忘録さえ携帯等にメモしておけば、わざわざカバーを開けて、バッテリーの品番を確認するわずらわしさがなくなり、バッテリーをスムーズに購入できます。
詳細は次の記事をご覧ください。
バッテリーの取り出しに必要な工具をバイクに備える
バッテリーを取り出すには、バイク本体のカバーを外すなど、工具が必要です。
必要な工具を把握し、バイクに載せておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
バッテリーが上がったときの対処法は、故障した場所や環境、緊急度合等によって変わってくるかと思います。
ご自分に合った方法が見つけて、一刻も早く、バッテリー問題が解決することを願っています。
快適なバイクライフをお過ごしください。
投稿者プロフィール
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【チャリダーからライダーへ】8年前、自転車整備の延長で、ほぼ一人でメンテできるスーパーカブ110(ja10)と出会い、世界が広がる。
【スーパーカブ】走行距離9万キロ。試行錯誤のメンテで失敗(エンジン焼き付き)もあるが、不調から回復するカブから元気をもらっている。
東京生まれ。沖縄在住25年。50歳で人生初の脱サラ。2023年からライターとして活動。「自分で直せる」を皆さんにお伝えできたら嬉しいです。
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