はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回は、カスタムパーツの交換にはどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
よく「ノーマルのバランスが1番」「バイクメーカーの開発者が考え抜いて作ったノーマルパーツこそが最高にして最良」という意見も聞きますが、必ずしもそうではありません。
ライダーの体型やライディングテクニック、そして乗り味に対する好みというのは個々で差があるので、ノーマルを乗りやすいと感じる人もいれば、ノーマルでは満たされない人もいるわけです。
また、価格面での制約もあります。一切の妥協を排して最高のパーツを組み合わせた素晴らしいバイクだとしても、250cc単気筒で300万円なんてバイクは売れません。
このような色々な制約の中でなるべく良いもの、なるべく万人に受け入れられるもの、そして耐久性というものも考慮して、徹底的に作り込まれた最高のバランスでありながら妥協された完成形が純正品ノーマルとも言えるわけです。
というわけで今回は、定番のカスタムであるメッシュブレーキホース、サスペンションの交換、マフラーの交換、この3つの意義やメリットとデメリットについて解説していきましょう。
メッシュブレーキホースについて
最初に紹介するのはブレーキのメッシュホースです。
純正のブレーキホースって真っ黒でなんだか味気ないですよね。これをメッシュホースにするとなんだかレーシーだし、アルマイトのバンジョーボルトもかっこいい!
価格も手頃で、「カスタムしたぜ」と見た目にも分かりやすいので人気のカスタムです。ただ、これにどんなメリットがあるかご存知ですか?
実は性能面でも結構なメリットがあります。それはブレーキ操作時のダイレクト感です。
純正のブレーキホースは、皆さんご存知のようにゴムでできています。
ディスクブレーキの仕組みは、ブレーキレバーを引くことによってブレーキフルードという液体が押され、その圧力がブレーキキャリパーのピストンを押し出し、そのピストンがブレーキパッドをさらに押し出すことで、ブレーキディスクを挟み込んで制動力を得るというものです。
つまりこのブレーキホースの中は、常にブレーキフルードという液体で満たされているのです。ブレーキを引いて圧力をかけると、基本的にはブレーキキャリパーのピストンに向かって圧力をかけますが、その圧力が100%ピストンにかけられるわけではありません。ゴムのような柔らかい素材でできている場合、そのゴムを膨らませる力としても働いてしまうわけです。
つまり制動力を得るために入力した力のうち、一部がホースを膨らませることにも消費されてしまっているので、ブレーキ操作のダイレクト感が損なわれてしまうのです。そこでそのホースが膨らまないように、ステンレスなどの金属で覆ったものがメッシュホースなのです。
実はこのメッシュホースの内側にはテフロンチューブが仕込まれているのですが、メッシュホースがブレーキフルードの油圧の逃げを少なくすることによって、その圧力をダイレクトに伝えます。
そのことにより、ブレーキレバーを引いたら引いた分だけリニアに、ダイレクトにより正確な制動力を得ることができるのです。ですので、このメッシュホースというパーツは見た目だけではなく、操作性の面でもメリットがあるというものなのです。
では純正のホースに比べてデメリットはないのかというと、必ずしもそうではありません。膨らみにくいその硬さが逆に仇となり、ハンドルを大きく切るような操作をする場合にハンドルの操作が少しだけ重くなります。
オフロード走行時など、頻繁にサスが大きく伸び縮みするような使用環境化では、伸縮性がないため破損することもあります。
また見た目が好きで交換した場合も、経年劣化によって黄ばんでくることもあります。
ちなみに純正のホースであっても、材質はゴムでできていますから紫外線は大敵です。バイクカバーをかけるだけでなく、自分は洗車のたびに、クレポリメイトといういうケミカルを使って紫外線対策をしています。これは車のダッシュボードなどを保護するためによく使われるものなのですが、紫外線の吸収剤が含まれていて、色褪せやひび割れを防いでくれます。最近ではさらに保護効果や艶出し効果耐久性も高めた、クレポリメイトデラックスという商品も販売されています。Amazon価格で通常品は約500円少々、デラックスが600円少々です。カー用品店なんかで買うと800円くらいするので、Amazonでの購入がおすめです。
というわけでブレーキをメッシュホースに交換することのメリットご理解いただけたでしょうか?見た目だけじゃなくて、ちゃんと意味があったのです。
サスペンションの交換について
次は興味はあるけど価格が高くてなかなか手が出せない、サスペンションのカスタムについて解説をします。
社外品の有名なところで言うとオーリンズのサスペンションがありますが、非常に高価ですよね。
大型スポーツモデルのフロントフォークだと3~40万円、前後共に交換しようものなら安めの250ccの新車が買えそうな金額が必要になってきます。こんな金額ではなかなか手も出せません。
サスの交換というのは基本的に、馬力の変化のように数値化されるものではありません。「よく動くようになった」とか「乗り心地が良くなった」とか、そういった表現の情報ばかりで、我々のような情報発信をする立場からしても、この良さを口で伝えきれないという歯がゆさがあるのです。
でも言わせてもらいましょう。あらゆるカスタムパーツの中でも、最も性能の変化を体感しやすいものでもあり、そのメリットはとてもとても大きいということ!
この社外品の高価なサスに変えることの変化を一言で言うならば、しなやかになるというのが自分の中では最も適切だと思います。
まず、路面のギャップを拾った時や拾った直後にも収まりが良いのです。ノーマルであっても、きちんとメンテナンスされセッティングされた状態であればもちろん問題はないのですが、それでも乗り心地は明らかに高額なサスの方が良いのです。
長距離を走るとその疲労感の少なさを体感するだけでなく、お尻の痛みも感じにくくなったりもします。
また走行性能にも明確な差が出ます。特に体感しやすいのはコーナーでの立ち上がりです。コーナーを曲がり終えてアクセルを開けて加速した瞬間に、「あれ?リアタイヤが踏ん張ってくれてる」と気づくことでしょう。必要な時に素直にトラクションがかかると言えば分かりやすいでしょうか。
フロントフォークに関しては、コーナーの進入時の沈み込みがやはりしなやかです。同じバイク同じタイヤなのに接地感が高く、路面からのインフォメーションをリアルに感じ取れるようになります。
良いサスペンションは、ノーマルに比べると明確に安心感が高まり、思った通りの挙動でコーナリングを楽しめるようになるのです。そして純正サスでも良いものが付いているケースはありますが、調整の幅が広がったりするのも特徴です。
もう1つ、純正との大きな違いがあります。実は多くの純正サスは、基本的にはオーバーホールすることを前提としていない構造になってます。ですのでオーリンズであれば、新品の時のような高い性能を維持し続けることができるのです。
サスペンションそのものの価格もさることながら、維持にもお金がかかりそうで尻込みしてしまう方も多いと思いますが、性能のポジティブな変化を明確に感じやすい数少ないパーツですので、是非検討していただきたいと思います。
今までお伝えしたメリットというのは、あくまできちんと調整されていることが前提です。ご自身の体格にあったセッティング、使用目的や好み事のセッティングというのは人それぞれ異なります。もしセッティングが分からないというのであれば、一度バイク屋さんに相談してみるといいでしょう。特に専門のショップなどがあれば、自分の意向に沿った調整をしてくれるはずです。これはオーリンズのような社外サスに限った話ではなく、調整可能な純正サスについても同様です。
なかなか口頭で高級サスの良さをお伝えするのは難しいのですが、やはり経験値が高い人ほど、カスタムをする際にサスから交換する傾向があると思います。
マフラーはノーマルのままで前後のサスを交換してある、こんな車両を見ると「お!こやつ出来るな」と思ってしまいます。ちなみに自分も以前乗っていたCB1300スーパーフォアは、ノーマルマフラーのままオーリンズに変えていました。ま、その後、軽量化目的でスリップオンのサイレンサーも取り付けましたけどね。
マフラー交換について
次はカスタムのド定版、マフラー交換についてです。
やはりカスタムの王道とも言えるマフラー交換は根強い人気があります。交換するだけで音も外観も大きく変えることができ、交換作業も難しくありませんので必然かもしれません。
このマフラーの交換については性能面でメリットだけでなく、デメリットも存在します。見た目もかっこよくなり最も人気のあるカスタムの1つですが、デメリットもしっかりと理解した上で交換するようにしましょう。
昔の社外マフラーはとにかく音量が大きかったのですが、現在は騒音規制も厳しくなっています。それでも騒音規制の範囲内でしっかりノーマルと差別化できるよう、大きな音量ではなく迫力のある音質で各社勝負をしている印象です。
また材質もチタやカーボンのように軽量なものもあり、性能面での出力特性の変化以外に軽量化という点でも期待できます。以前、自分が乗っていたSC40という型の初期のCB1300スーパーフォーは、純正だと左右2本出しの極太サイレンサーだったため、なんとサイレンサーだけで20.5kgもありました。
メーカーによって異なりますが、社外品に変えると15kg以上の軽量化を達成できるというものもあります。実際に自分もOVERレーシング製のカーボンスリップオンマフラーに交換するだけで、明確にその変化を体感することができました。
まあ、ここまで大きくて重いサイレンサーは今はなかなかありませんが、車種によってはパワーアップ云々以上に、軽量化による性能アップの方が体感しやすいと思います。
しかしそんな大人気のマフラー交換ですが、ネガティブ面や交換の際に知っておかないといけないことというのがあります。マフラー交換を検討している方は絶対に知っていてください。
まずは注意点。保安基準適合品であることを示すJMCA認定プレートがついていても車検に通らないケースというのがあり、その原因は2つ考えられます。
1つは長期使用における消音剤の劣化。
実はマフラーに使われているグラスウールなどの消音剤は、使用し続ける中でヘタっていきます。そのため新品の時は保安基準をクリアできる消音効果があったとしても、経年劣化により車検に通らない違法改造車両となってしまう可能性があるのです。
これはご自身で購入して使い続けた場合だけでなく、ヤフオクやメルカリなどで中古品を購入する場合も要注意です。特に年式が古いバイクのマフラーを購入する場合は注意したいです。
そしてもう1つは、同じ名前、同じ形の車種であっても、騒音規制や排ガス規制が強化された年をまいでしまった場合で、所有している車両の型が新しく、その車両よりも古い年式のモデルに対応したマフラーというケースです。
近年ではエラーになって警告灯が点灯してしまう場合もあります。
バイクの型が変わっておらず、取り付け自体は可能であったとしても使用できないないというケースもなきにしもあらずなのです。
購入時には、自分が所有する車両の年式に対応した商品であるかどうかを確認してから購入するようにしたいですね。
これが交換時の注意点です。
そして社外マフラーに交換することのデメリット、それはパワーダウンです。
「いやいや、社外マフラーに交換したらパワーアップするもんでしょ?」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。デザインだけを重視したモデルはもちろんなのですが、最高出力のアップを謳っている商品だとしても、アップするとしているのは最高出力です。
ですのでノーマルマフラーでは53馬力しかなかった最高出力が55馬力になるとしても、ノーマルマフラーで30馬力出ている回転数の時に、その社外品マフラーだと28馬力しか出ていないということも考えられるわけです。確実にパワーアップをさせたいという方は、「全域でパワーアップ」と謳っている商品を選ぶのが良いでしょう。
社外マフラーにありがちなのですが、最高出力は上がったとしても、このこのように低回転域を犠牲にしているケースがあり、市街地の走行などではかえって走りにくくなることもあるので要注意です。
そしておそらくサイレンサーを変えた程度では、明らかな出力特性の変化というのは正直体感できません。敏感な方であれば体感できるかもしれませんが、出力特性の変化によるメリットよりも、どちらかと言えば軽量化の方がメリットは大きいかもしれません。
サイレンサーだけでなくエキゾーストパイプごと交換する、いわゆるフルエキゾーストの交換であれば、体感できる人はもう少し多いかもしれませんが。
あくまで自分の主観ではありますが、スリップオンにしてもフルエキにしても、マフラー交換だけで劇的なパワーアップというのは、あまり期待しない方良いですよということはお伝えしておきます。
まとめ
というわけで、メッシュホースやサスペンション、そしてマフラーの交換の意味と、そのメリット・デメリットについて理解できた、また知ってはいたけど再確認できたでしょうか?
今回の記事はこちらの動画でも詳しく解説していますので、ご視聴していただけると嬉しいです。それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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