バイクのカスタムパーツの中でも高額といえるホイール。
近年では純正ホイールのクオリティが向上しており、軽量で見た目も良いものが増えています。
果たして「重量」「カッコよさ」ともに申し分なければ、交換するメリットは少ないのでしょうか?
純正ホイールと社外ホイールの違いや、社外ホイールに交換するメリットについて、改めて考えてみましょう!
ホイールのカスタムとは
ホイールカスタムの目的はさまざま。
どんなパーツにも言えることですが、走行性能を向上させるためのものもあれば、ドレスアップのためのものもあります。
純正ホイールと社外ホイール
クルマ(四輪車)の場合、大衆車の多くは鉄製ホイールにホイールキャップを装着しているというのがノーマル状態であり、「何はなくともアルミを履く」という気持ちは分からないでもありません。
それではバイクはどうなのか?というと、近年では純正ホイールもアルミ製のものが多いのです。では社外ホイールは?というと、その多くはアルミ製です。より軽量なマグネシウムやカーボンといった素材で作られたものもありますが、たいへん高価であり、なかなか手を出しづらいということは否定できません。
では純正のアルミ製ホイールを社外のアルミ製ホイールに交換するメリットとは、どんなことでしょうか?
ホイール交換の目的
見た目をカッコよくしたい
ホイールを交換すれば、まずは視覚的に明らかな違いが生まれます。
デザインの良いホイールは単体で眺めているだけでも美しいものですが、実際に愛車に履かせた時の興奮は……説明するまでもありませんよね!
軽量化したい
ホイールをカスタムする目的を問われて「軽量化」と答える方は多いでしょう。
ホイールが軽くなると、
・ハンドリングが軽くなりコーナリングがしやすくなる
・加速やブレーキの効きが良くなる
・燃費が良くなる
といった効果が期待できます。
ノーマルより太い/大きいタイヤを履きたい
ホイールの交換は、タイヤの選択にも影響します。
サイズだけでなく、タイヤの銘柄についても選択の幅が広がるので、「ハイグリップタイヤを履きたい」などの性能面はもちろんですが、「迫力のある見た目にしたい」という理由ももちろんアリですね!
アメリカンバイクなどでは、見た目の迫力を増すためにホイールのサイズアップを行うのはカスタムの定番です。
ホイールを交換するメリット
軽量化によるパフォーマンスの向上
社外ホイールの素材としてはアルミニウム、マグネシウム、カーボンが挙げられ、いずれも純正ホイールに比べ軽量であることが魅力です。
鉄のホイールをアルミ製のものに履き替えれば、かなりの軽量化が実現できます。
しかし近年、特にスポーツバイクにおいては純正のホイールがアルミ製の車両も多くなっています。
もともとアルミ製のホイールを、社外のアルミ製に交換するメリットはあるのでしょうか?
社外アルミホイールの魅力
車両メーカーが純正採用しているパーツはどれも性能と耐久性が確かなものばかり。ホイールも例外ではありません。
それに対して社外メーカーは、同じ素材を使用しながらも耐久性や生産コストよりも軽量化やデザイン性を追求した製品開発が可能であり、純正パーツとは一線を画した、攻めたものづくりができるというわけです。
一見すると純正のホイールと形状も重量もさほど違わないように見えるものでも、車体に装着し走行するとその差は明らか。
走行性能を向上するには”バネ下重量を軽く”というカスタムのセオリーから見れば、ホイールの軽量化は効果テキメン!ホイールは高速で回転するパーツなので、たとえ数百グラムの重量差であっても大きな結果となって現れます。
サスペンションの動きが良くなり、タイヤの路面追従性やブレーキ性能が飛躍的に向上します。純正ホイールに比べ外周部(リム)が薄く造られている社外ホイールを装着すると、ジャイロ効果が低減され、加減速、車体の寝かし込み、立ち上がりの全てがスムーズになるのです!
タイヤの選択肢が増える
純正装着品とは異なるサイズのタイヤを履きたいという場合もあるでしょう。
・ロードバイクなら、旋回製を上げるために細いタイヤを履きたい、純正サイズのままではハイグリップタイヤが履けない、などの理由でサイズは変えずにリム幅を変更
・オフロードバイクなら、タイヤの厚みを利用してギャップの大きな路面での走破性を高めるためにリアタイヤを純正の19インチから18インチにダウン
ほかにも、タイヤのサイズを変更する目的はさまざま。
ホイールのサイズにより装着できるタイヤのサイズは決まっていますので、許容範囲から外れるサイズのタイヤを履きたいという場合はホイールを交換することになります。
ドレスアップ効果
細かいことは抜きにして、とにかくバイクがカッコよくなるということ!ホイールが綺麗だと、なぜかバイク全体が美しく見えるんですよね!!
カスタムパーツとしてはかなり高額な部類であり気軽とは言えませんが、ドレスアップ効果は抜群です。
近年では高品質な純正ホイールも多いので、ドレスアップが主な目的であればリムデカールや塗装だけでも充分な効果が得られます。
ホイールの素材と製法
カスタムホイールの素材としてはよく用いられるのはアルミニウム、マグネシウム、カーボン。それぞれに特徴とメリット・デメリットが存在します。
ホイールの素材とその特性
アルミニウム
最もポピュラーな素材です。
鉄と比べて圧倒的に軽く、加工が容易なことからデザインの自由度が高いのが魅力です。
マグネシウム
実用金属の中で最も比重が軽く(マグネシウムの比重は1.8。鉄7.8/アルミ2.7)て高剛性。曲げ剛性にも優れ、変形しにくいのが魅力。加工が難しく高価です。ホイール価格で前後セットでアルミ鍛造比+約20万円〜
カーボン
金属では実現不可能な圧倒的な軽さ!
GSX1300R隼用で比較するとBST製カーボンホイールは前後で5.95kgでマルケジーニ製アルミ鍛造ホイールと比べ3.54kgも軽量。ただし、高価。ホイール価格で前後セットでアルミ鍛造比+約30万円〜
アルミホイールの製法
アルミ製ホイールは数万円で購入できるものから数十万円するものまで価格差が大きいですね。実は製法により価格が大きく違います。
鋳造(キャスト)ホイール
「鋳造」とは溶かした金属を型に流し込んで固める製法。大量生産しやすく、デザインの幅も広いのが特徴です。
純正のアルミホイールの多くはキャストホイールですが、その技術は進化を続けておりデザインも多様で鍛造ホイールに引けを取らない軽さを持ったものも生まれています。
鍛造(フォージド)ホイール
アルミ合金を高圧で叩いて引き伸ばして成形する方法です。叩くことで内部組織が密になり剛性が増すため、軽量で強度が高くなります。
製造工程が複雑なため鋳造に比べかなり高価であり大量生産には不向きですが、薄さ・細さと剛性が両立できるのが大きな利点。性能を追求するなら鋳造よりも鍛造ということになります。
スポークホイールのカスタム
クラシックなバイクやオフロードバイクなどに採用されているスポークホイール。構成部品が多く形状も複雑であり、高精度なホイールを装着することで大きな効果が得られます。
リムやニップル部分に軽量で剛性の高いアルミ合金を使用しているものや、チューブレス仕様のものなど選択肢はさまざま。各パーツのアルマイトカラーをオーダーできるメーカーもあります。
スポークホイールは柔軟で衝撃吸収性に優れているためオフロードバイクに採用されていますが、ロードバイクのキャストホイールをスポークホイールに交換するのも粋なカスタムです。クラシカルな見た目になるだけでなく、しなやかな乗り味に変化します。
ホイールの選び方
何を求めるか〜カスタムの方向性
社外ホイールどうしを比べても、何を選ぶかによってバイクの仕上がりは変わります。同じメーカーの素材とデザインが同じホイールであっても、リム幅が違えば装着できるタイヤサイズが異なり、それがバイクの旋回性に影響します。
レースやスポーツ走行を主軸に考えるのか、街乗りがメインなのか。選ぶものによってコントロール性や乗り味がどう変化するのかを理解して、自分の走り方に合ったものを選びたいですね。
ホイールカスタムの注意点
ホイールをカスタムすることで得られるメリットについてはすでに確認しましたが、デメリットがないわけではありません。
走行性能が大きく変化するカスタムは、時と場合によっては乗りづらさに繋がってしまいます。
バネ下重量を軽量化することで路面追従性は上がりますが、言い換えれば路面のギャップなどに過敏になるということ。乗り心地という点では、軽量化したことによりネガが出る場合もあるというこも理解しなければなりません。
倒し込みがスムーズになる反面、直進安定性が損なわれるということもあります。
インチアップ/ダウンやタイヤ幅の変更は操安性や乗り味に大きな変化をもたらし、全く別の乗り物になると言っても過言ではありません。タイヤサイズの変更によってスピードメーターに誤差が生じる場合もあります。
「こんなはずじゃなかった!」と後悔することのないよう、バイク屋さんやショップの店員さんなど信頼できる方に相談し、心配なことがあればパーツメーカーに問い合わせるなどして慎重に検討しましょう。
このホイールがカッコいい!!
どれもこれも手軽に購入できる価格のものではありませんが、眺めるだけでワクワクするのがホイール!
ライダーなら誰もが憧れる、美しきホイールたちを最後にご紹介しておきます。
GALE SPEED(ゲイルスピード)
2024年で創業35年を迎える、信頼と実績のバイクパーツメーカー「アクティブ」が2002年に立ち上げたオリジナルブランドです。高性能のアルミ鍛造ホイールを一般ユーザーの手が届く価格で提供し、ホイールカスタムに革命をもたらしました。
現在ではMotoGP Moto2クラスやアジアロードレース選手権に参戦するレーシングチームにも多数採用されています。
MARCHESINI(マルケジーニ)
1988年にイタリアで創業したバイク用ホイールブランド。同じイタリアの車両メーカー・DUCATIの前身であるROSSAのレーシングチームに採用され、過酷なレースの現場でその性能と技術が磨かれてきました。
「安全は全てに優先される」をモットーに、レースの世界でもストリートにおいてもライダーが安心して身体を預けられる高性能ホイールを製造しています。輝くばかりの端正な美しさは、機能美の結晶!
JB-POWER(ジェービーパワー)
アルミホイールの3分の2という驚異的な軽さを誇るのは、エンジンチューニングとレーシングパーツ製造の老舗・ビトーR&Dが開発し、1999年に世界で初めて市販化を実現したマグネシウム鍛造ホイール・JB-POWER MAGTAN。
世界中から熱視線を浴びたその技術は、MotoGPやワールドスーパーバイクといった世界最高峰の戦いの現場において進化を続け、さらなる新素材の開発・熱処理技術・防錆技術の進化により性能の向上はもちろん、いまや耐久性は通常使用域において半永久的と言われています。
ROTOBOX(ロトボックス)
Made in Sloveniaのカーボンホイール・ROTOBOXは、世界耐久選手権やMotoGPの中で培われた技術がフィードバックされた逸品。純正ホイール比で50%もの軽量化を実現し、パフォーマンス、デザイン、テクノロジーの全てにおいてレーシングスペックでありながらJWL認定の公道使用可の製品です。
アルミ鍛造ホイールとの比較では圧倒的に高価ですが、マグネシウム鍛造ホイールとほぼ同等の価格で手に入るカーボンホイールです。
TGR TECHNIX(TGR テクニクス)
多くの部品で構成されるスポークホイールは、一つ一つの部品の精度と組み立ての技術により仕上がりに大きな差が生まれてしまいます。テクニクスのホイールはMade in Japan・完全自社内組み立てを徹底することで世界一と言われる組み付けと振れ取り精度を実現しています。
レーシングホイールだけでなく、市販トレール車のラインナップも豊富。しなやかで高剛性のホイールで、悪路走破性が激変します!
HAAN WHEELS(ハーンホイール)
約30年の歴史を持つオランダ生まれのホイールメーカー。高い安定性と緩みにくさを生み出す特殊なスポークパターンは世界中のオフローダーの支持を集めています。
HAAN製アルミ削り出しハブとオリジナルのスポークに、EXCEL製/BEHR製/MORAD製のリムを組み合わせてオーダーし、自分だけのホイールが作れるのが魅力。リムは3色(シルバー/ブラック/ゴールド)、ハブは10色のアルマイトカラーが選択できます。オプションでチューブレス加工も可能!
おわりに
費用面での負担も大きく、ホイールカスタムに関してハードルの高さを感じておられる方も多いと思いますが、走行性能を向上させるためには非常に効果的な方法であり、さらにバイクが格段にカッコよくなります!
とはいえ大きな出費を伴うカスタムは、慎重に行うに越したことはありません。メリットだけでなくデメリットについても把握し、ご自身の求めるバイクの状態にマッチしたものを選んでください!
今年も3月末〜4月初旬に東京・大阪・名古屋でモーターサイクルショーの開催が決定しています。
ホイールに限らずさまざまなパーツや用品の現物を間近で見られるだけでなく、開発者や専門スタッフの話を聞ける貴重な機会をぜひ利用しましょう!
第51回東京モーターサイクルショー https://www.motorcycleshow.org/
第40回大阪モーターサイクルショー https://www.motorcycleshow.jp/
第3回名古屋モーターサイクルショー https://motorcycle-show.jp/
投稿者プロフィール
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神奈川県横浜市出身。バイク歴・二輪業界歴ともに20年。愛車はヤマハYZF-R6(バイク)、ホンダS660(車)。
バイク以外の好物は、鳥、猫、アメ車、蒸気機関車、カメラ、ピアノ、テクノ音楽、ボサノヴァ、オートバイレース、スリランカカレー、イギリス菓子、コーヒー。
夫はMFJ全日本スーパーモト選手権に参戦中!ヘルパーとして遠征に同行すること17年。レース観戦やサーキット走行の楽しさも発信していきたいと思っております。
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