『パラン、パンパンパンパン…』キックスタートと同時に響き渡る、キレのある甲高い排気音。
セクシーで魅力的な太いチャンバー、白煙を残して走り去る姿…
2ストバイクの魅力を数え挙げたら、キリがありません。
現在も、2ストバイクの魅力にとりつかれているライダーは多くいます。
しかし2ストのバイクは、年を追うごとに見かける回数が減ってきました。
2ストのバイクを買いたいと思っているのであれば、タイミング的にそろそろ最後が近いかも知れません。
そこで今回は、2ストバイクの魅力とオススメの2ストバイク5台をご紹介します。
なお、オススメのバイクは、私「むらなす」の独断と偏見(個人的な好み)で選んでいることをお許しください(笑)。
トップ画像引用元:バイク王
2ストとは
2ストとは2ストロークエンジンのことを指します。2ストロークエンジンと2サイクルエンジンは同じ意味です。
2ストのエンジンは、「吸気・圧縮、および燃焼・排気」の2行程をエンジンのピストン1回転(1往復)で行います。燃焼(プラグによる発火)は2行程(2サイクル)に1回です。「2ストローク(2サイクル)」の名前の由来はここにあります。
ちなみに、4スト(4ストローク・4サイクル)のエンジンは、「吸気、圧縮、燃焼、排気」の4行程をエンジンのピストン2回転(2往復)で行い、燃焼(プラグによる発火)は4行程(4サイクル)に1回です。ゆえに「4ストローク(4サイクル)」の名前がついています。
2ストのエンジンは、4ストのエンジンに比べて構造がシンプルで、軽量・コンパクト・ハイパワーという特徴があります。そのため、オフロードバイクや競技用バイク(レーサー)などの軽量化が求められるバイクに多く採用されてきました。
‘70〜’80年代に活躍したケニー・ロバーツやフレディ・スペンサーなどがGP500レースで乗っていたバイク(レーサー)は、ほぼ2ストです。同時期に公開された映画「汚れた英雄」で主役の草刈正雄が乗っていたのも2ストです(ちなみにサーキット走行の影武者を担当したのは、ヤマハのエース平忠彦でした)。
今、振り返ってみても、あの当時のレーサーはとても魅力的ですね。
しかし、2ストのエンジンは、排気ガスに有害物質が多く含まれ、燃費が4ストに比べると劣ります。環境に配慮し排ガス規制に対応するために、国内大手4メーカーは、現在2ストエンジン搭載の公道用バイクを生産していません。
市場で販売されている2ストのバイクは、ほぼ中古車です。
軽くて強力なパワーが魅力の2スト
2ストエンジンの最大の魅力は、軽量かつ強力なパワーです。2ストエンジンは、4ストロークエンジンに比べて構造がシンプルなため、軽量・コンパクトです。
2行程に1回燃焼(プラグによる発火)することにより、強大なパワーが生まれます。そのため、かつては競技用のバイク(レーサーなど)の主流は2ストでした。
ただしそのパワーには、扱いにくいところがあります。
「パワーバンド」と呼ばれる、最大トルクとパワーを出す回転域では強大なトルクとパワーを発揮しますが、パワーバンドに入るまでの低い回転数ではトルクが細いのです。
パワーバンドが狭く扱いにくいので「2ストはピーキー」「2ストは初心者に向かない」と言われます。
初心者には扱いにくいエンジンですが、扱えるようになると、とても楽しいエンジン特性です。鋭い加速など、2ストには4ストにない魅力があります。
2ストバイク(エンジン)の注意点
オイル補充が必要
2ストのエンジンは、潤滑油としてのオイルをガソリンと一緒に燃やし、ピストンを回しています。ガソリンと一緒に燃やすオイルは「モーターオイル」と呼ばれることもあります。
多くの2ストバイクにはオイル補充のタイミングを知らせる警告灯がついていますが、まれに古いバイクなどには、警告灯がついてない場合があります。
このオイルが切れたら、エンジンが焼き付いて故障します。最悪の場合、再生不能の場合もあります。
走り始める前には、必ずオイルの残量を確認しましょう。
パワーの扱い(アクセルワーク・クラッチワーク)に注意
先ほども少し触れたように、2ストのエンジン特性はピーキーです。パワーバンドが狭いうえに、低回転域とパワーバンドの回転域ではパワーが全く違います。しかも、パワーバンドに入ると、パワーが突然ドカンとやってくる感じ。
2ストのバイクは、半クラッチを多用してパワーの調整を行っているライダーが多いようです。4ストのバイクとは扱い方が違います。
軽いうえにハイパワーの2ストバイクが多いので、アクセルワークとクラッチワークには注意しましょう。
燃費が悪い
2ストは4ストに比べ、燃費がよくありません。航続距離が短い2ストバイクが多いので、長距離を走る際はガス欠に注意しましょう。
白煙を吹く
2ストのバイクは、マフラーから白煙がでます。これは故障ではありません。「エンジンオイル」の章で解説したように、ガソリンとオイルを一緒に燃やしているので、白煙が出るのです。
1980年代に私の先輩が乗っていたRZV500R…白煙を残してかっ飛んでいく姿がカッコよかったなぁ…
この白煙に魅力を感じている2スト乗りは、多くいます。
ちなみに、4ストのバイクから白煙が出るのは異常です。ピストンリングなど、エンジン内部に悪いところがあるかも知れません。4ストのバイクから白煙が出ていたら、すぐにバイク屋さんへ行きましょう。
古い
今や2ストのバイクは総じて「絶滅危惧種」になりつつあります。つまり古いバイクが多いのです。
中古の2ストバイクを買うときは、まず最初にエンジンの調子をみましょう。
外見だけではわからないので、できればエンジンをかけて、乗ってみることをおすすめします。
足回りも細かいところまでチェックしましょう。
おすすめバイク5選
バイク黄金期と言われた1980年代のバイクを中心に、当時人気のあったバイクを集めました。
もし、中古車市場でこれらのバイクを見かけたら…チャンスですよ。
RZ250(YAMAHA)1980年式
1980年に登場したYAMAHA RZ250。
軽量ボディに高出力エンジンを搭載し、モノクロスサスペンション、軽量キャストホイールを装備。当時、多くのライダーが魅了されました。
今 見ても、美しいですね。
全長 × 全幅 × 全高: 2,080mm × 740mm × 1,085mm
車両重量: 139kg
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列2気筒, 247cm³
最高出力: 25.7kW(35.0PS)/ 8,000r/min
最大トルク: 29.4N・m(3.0kgf・m)/ 8,000r/min
販売年:1980年
販売価格(当時): ¥354,000(税抜)
RG250 ガンマ(SUZUKI)1983年式
YAMAHA RZ250の登場により、2スト人気が沸騰する中で、1983年に登場したのがSUZUKI RG250 ガンマ。強力な2ストエンジンを市販車初のアルミフレームに搭載し、アンチノーズダイブ機構を備えていました。
法規制が緩和され、カウリングが認可されたのもこの頃。早速ハーフカウルをまとって登場したガンマは、爆発的な人気でした。
全長 × 全幅 × 全高: 2,050mm × 685mm × 1,195mm
車両重量: 141kg
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 並列2気筒, 247cm³
最高出力: 45PS / 8,500r/min
最大トルク: 3.8kgf・m / 8,000r/min
販売年:1983年
販売価格(当時): ¥460,000(税抜)
NSR250R(HONDA)1986年式
ホンダのワークスレーサーNSR250のレプリカモデルとして、1986年に登場したNSR250R。水冷2ストV型2気筒エンジンを、軽量フレームに搭載したスーパースポーツバイクです。
コンピュータ制御の可変バルブ機構など、その頃の最新技術を積極的に採用し、当時の2ストロークスーパースポーツバイクの中では最軽量で、乾燥重量は125kgでした。
初登場から35年以上経過しているバイクですが、古さを感じさせないバイクですね。
全長 × 全幅 × 全高: 2,035mm × 705mm × 1,105mm
車両重量: 141kg
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, V型2気筒, 249cm³
最高出力: 45PS / 9,500r/min
最大トルク: 3.6kgf・m / 8,500r/min
販売年:1986年
販売価格(当時): ¥559,000(税抜)
KDX200SR(Kawasaki)1989年式
エンデューロレーサーのKDX200R(1988年)をベースに開発され、保安部品を取り付けて公道走行仕様として販売されていたのが、1989年に登場したKDX200SR。
私のバイク仲間は、当時のエンデューロレースに、このバイクの保安部品を外して参戦していました。
市販レーサーをベースに開発されているので、保安部品を外せば即レースに参戦できるような、高いポテンシャルを発揮するバイクです。
全長 × 全幅 × 全高: 2,235mm × 855mm × 1,225mm
車両重量: 124kg
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 単気筒, 198cm³
最高出力: 35 / 8,000r/min
最大トルク: 3.2kgf・m / 7,500r/min
販売価格(当時): ¥389,000(税抜)
DT125(YAMAHA)1982年式
モトクロッサーYZと同様の水冷エンジンを搭載し登場した、1982年式のYAMAHA DT125。軽量かつハイパワー、十分なストロークのサスペンションにより、林道では排気量が上のクラスのトレールバイクにも引けを取らない走りが魅力でした。
125ccには見えない車格ですね。
全長 × 全幅 × 全高: 2,115mm × 830mm × 1,170mm
車両重量: 107kg
エンジン型式: 水冷, 2ストローク, 単気筒, 123cm³
最高出力: 16 / 7,000r/min
最大トルク: 1.6kgf・m / 7,000r/min
やっぱ、2ストのバイクって魅力的!
2ストの、あの独特の排気音が聞こえると、思わず振り返って見てしまいます。2ストバイクって、やっぱカッコいいですね。
排ガス規制など、2ストに対する賛否両論があるかとは思いますが、今回はあえて2ストバイクのご紹介をさせていただきました。
販売されている2ストの中古バイクは、タマ数が年々減っています。購入は、そろそろ最後のタイミングかも知れません。
今も2ストのバイクに乗っているライダーは、どうか大切に乗ってください。
この記事が読者の皆様のお役に立てば嬉しいです。
それでは、また。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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