普通自動二輪で乗れるバイクを買うなら車検のない250cc以下かパワーのある400cc、どっちにしようかな?
え?300cc?なんでそんな中途半端な排気量を選ぶの??
日本では、バイクの排気量ごとに5種類に区分けされています。
- 50cc以下の原付1種
- 125cc以下の原付2種
- 250cc以下(車検不要)の普通自動二輪
- 400cc以下(車検が必要)な普通自動二輪
- 400cc超の大型自動二輪
この中で、普通自動二輪の免許を取得した方が悩むのは、『車検が必要な400ccにするか車検不要の250ccにするか』というところだと思います。
日本において300ccクラスのバイクは、『車検が必要な上に400ccよりもパワーがない中途半端なバイク』という印象を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、300ccクラスのバイクを購入するメリット・デメリットについて解説していきます!
この記事を読めば『300ccって意外とアリかも?』と思えるようになりますので、最後まで読んで愛車選びの参考にされてください♪
【何のために存在しているの?】300ccバイクと免許制度
日本の免許制度では、先述の通り50cc・125cc・250cc・400ccで区切られています。
これについては、免許制度の歴史を簡単に振り返って確認していきましょう。
1954年、バイクの免許は『原付一種許可(〜50cc)』『原付二種許可(〜125cc)』『軽免許(〜250cc)』『自動二輪(無制限)』に分かれていました。
この頃は、原付免許は許可制で、申請すれば試験無しで乗ることができていました。
そして1960年には当時の『道路取締法』が『道路交通法』になり、このときから原付免許にも試験が必要になります。
更に1965年には、『原付(〜50cc)』と『自動二輪(無制限)』だけになり、1972年には、『原付(〜50cc)』『小型自動二輪(〜125cc)』『自動二輪(無制限)』と125ccまでの免許がまた復活します。
その3年後、1975年には『原付(〜50cc)』『小型限定自動二輪(〜125cc)』『中型限定自動二輪(〜400cc)』『普通自動二輪(無制限)』に分けられ、初めて400ccという区切りができました。
この時、排気量無制限の自動二輪免許を取るには試験場での1発試験に合格しなければ限定解除できず、合格率はわずか1%程度でした。
これに対して大排気量車しか作っていないハーレーなどの海外メーカーから『非関税障壁だ』苦情をもらうことになり、1995年に現在の免許制度になりました。
250ccが車検不要なのは、1954年の軽免許の名残だと思われます。
さて、対して海外の免許制度は、以下のようになっています。
海外の免許制度
- アメリカ
『M2(150cc以下)』『M1(150cc超)』 - EU
『AM(〜50cc及び最高速45km/h以下)』『A1(〜125cc)※15馬力以下』『A2(排気量無制限 ※47.6馬力以下)』『A(制限なし)』 - タイ
『二輪車免許(無制限)』しかも他のASEAN諸国でも運転可能! - オーストラリア
『二輪車免許(無制限)』250cc以下でも車検があり、維持費はクルマと変わらない。
このように、海外でのバイクの免許制度は単純な国が多いです。バイクの免許を取れば排気量は無制限なので大排気量に乗りたくなる気持ちはわかりますよね?
海外メーカーからすれば250ccも400ccも中途半端な小排気量であると言えます。
とはいえ、馬力制限があったり、大排気量車は任意保険料や車検などの費用が高額なため、維持費を安く抑えるために小排気量車も日常の足として人気があります。
あくまで個人的な予想ですが、そのような理由から200cc・300cc・400ccなどがラインナップされているのではないでしょうか。
300ccクラスのメリット
300ccクラスのメリット
- 250ccよりもパワーがある
- 同系統の400ccよりも安い
- 軽量・コンパクトで取回しやすい
まずは、300ccクラスのメリットをご紹介していきましょう。
当たり前ですが250ccよりもパワーがあって峠道や高速道路では快適に走ることができるでしょう。
また、車格は250ccと共通であることが多いため馬力やトルクに対する車重が軽く、実際の数値よりもよりパワーを感じることができるかもしれません。
そして、同系統の400ccクラスと比較すると価格は安いです。これはプラットフォームが250ccと共通なためエンジン以外のパーツが250ccと共通であることなどから安く抑えられています。
同じ理由で、車格や重量が250ccクラス並みなので取り回しは非常に楽です。狭い敷地や多少の勾配があっても難なく取り回すことができるでしょう。
300ccクラスのデメリット
300ccクラスのデメリット
- 車検がある
- 400ccと比較して非力
- 車種によって250ccと見た目が同じ
300ccクラスのデメリットとして1番に挙げられるのは『車検がある』ということではないでしょうか。
2年に1回とはいえ、数万円が一度に飛んでいく車検は痛い出費ですよね。どうせ車検が必要なら400ccや大型バイクに乗りたいという人がいるのもわかります。
また、300ccは400ccの同系統車種と比較するとどうしても非力です。
そして、ヤマハの【MT-25】【MT-03】や【YZF-R25】【YZF-R3】のようにプラットフォーム共通で見た目が全く変わらない250ccの兄弟車があることもあります。
これは、車格や車重が小さくて軽いというメリットでもあるのですが、せっかく車検の必要なバイクに乗っているのに、250ccと間違えられるのはいい気分ではありません。
300ccクラスのバイクは、250cc勢からも400cc勢からも『なんでそれにしたの?』と排気量マウントを取られやすいと言えるでしょう。
国産300ccクラスのラインナップ
国産4大メーカーから国内向けに300ccクラスのバイクをラインナップしているのは、ホンダとヤマハだけです。
全部で4車種ありますので簡単にご紹介します。
ホンダ GB350
ホンダ【GB350】は、人とバイクの一体感を追求してデザインされたバイクです。
馬力やトルクは大きくありませんが、燃費の良さと価格の安さが魅力です。ホンダの250cc最安値の【CB250 R】よりも安く購入できます。
シンプルで飽きのこないデザインのネオ・クラシックバイクです。
ヤマハ MT-03
250ccの【MT-25】とプラットフォーム共通車で、250ccの車体に320ccのエンジンを積んでいます。
排気量・最高出力・最大トルク・燃費・変速比以外のスペックは車格も重量もすべて250ccと共通です。
250ccとの違い
- 排気量:249cc → 320cc
- 最高出力:26kW(35PS)/12,000r/min → 31kW(42PS)/10,750r/min
- 最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10,000r/min → 29N・m(3.0kgf・m)/9,000r/min
- 燃料消費率:27.2km/L → 27.6km/L
- 価格:621,500円 → 654,500円
車格はそのままでこれだけのパワーアップをしているので乗り比べて見ると快適さは全くの別物でしょう。
考え方次第ですが、プラス30,000円でこれだけのスペックを得られるならお買い得だとも言えます。
ヤマハ YZF-R3
【YZF-R25】とプラットフォームを共通にしている兄弟車です。【MT-25】【MT-03】ともプラットフォーム共通車なのでスペックはほとんど同じです。
250ccとの違い
- 排気量:249cc → 320cc
- 最高出力:26kW(35PS)/12,000r/min → 31kW(42PS)/10,750r/min
- 最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10,000r/min → 29N・m(3.0kgf・m)/9,000r/min
- 燃料消費率:27.2km/L → 27.6km/L
- 価格:654,500円 → 687,500円
価格は、【MT-25】<【MT-03】=【YZF-R25】<【YZF-R3】と33,000円ずつアップしていきます。
ホンダ車と比較すると、CB400SFが884,400円、CBR400Rが808,500円なので随分と安く抑えられています。
ヤマハ トリシティ300
最後はトリシティ300です。御存知の通り、前二輪、後一輪の3輪バイクとなっています。
路面状況の悪いところで前輪の片方がスリップしたとしても、もう片方がきちんと接地してグリップしていれば前輪スリップによる転倒リスクを軽減できます。
また、停車時や押し歩き時に車体の傾きを抑制する『スタンディングアシスト』機能が備わっており、取り回しがしやすくなっています。
価格は100万円弱と高額ですが、125ccや155ccでは味わえない安定感と快適性を備えています。高速道路を使用する方や、長距離のツーリングをする方には300ccがおすすめです。
輸入車300ccクラスのラインナップ
輸入車といえば、大型バイクを思い浮かべる方が多いと思いますが、実は普通自動二輪でも乗れる輸入車はたくさんあります。
zその中でも今回は、300ccクラスの輸入車を4車種ご紹介しましょう。
輸入車とはいえこのクラスなら新車でも100万円以下で購入することができるので興味のある方は愛車候補に入れてみてはいかがでしょうか?
PIAGGIO MP3 yourban
PIAGGIOは、1884年に設立されてヨーロッパ最大のスクーターメーカーに成長した企業です。
【MP3】は前二輪、後一輪の三輪車で、ヤマハ【トリシティ300】のライバル車種と言えるでしょう。
【MP3】にも車体が自立する『自動ロッキングシステム』が搭載されているので、うまく使えばフロアボードに両足を乗せたまま停車することもできます。
スペックを【トリシティ300】と比較すると、馬力やトルクは【MP3】の方が低いですが、シート高や車重を見ると足つき性や取り回し易さは【MP3】のほうが良さそうです。
価格も、853,000円と【トリシティ300】より手を出しやすい価格帯です。
※ただし、853,000円は消費税8%時の価格です。ホームページでは価格表示に変更がなかったので正確な金額がわかりません。単純に消費税10%で計算すると、868,796円になりますが詳しくは販売店にお問い合わせください。
BMW G310GS
BMWのGSシリーズはアドベンチャーモデルで、【G310GS】はその末弟に当たります。
シート高は835mmと高いですが、サスペンションが柔らかくよく沈むので跨ってみると意外と足付きは悪くないかもしれません。
ご興味があれば一度跨ってみることをおすすめします。
メーカー希望小売価格は709,000円。
BMWのバイクに、普通自動二輪の免許で70万円で乗れるのは魅力的です。
Vespa GTS Super 300
Vespaはおしゃれで小柄なスクーターです。
昔ながらの伝統的なスタイルを残しながら、トラクションコントロールやUSBソケットを標準装備しているなど現代風な装備も施されているところがポイント。
車体重量は160kgと300ccクラスのビッグスクーターとしては非常に軽いです。この車体重量は、155ccモデルとプラットフォームを共通にしているために実現しています。
300ccながら車格や重量は155ccクラスなので非常に取り回しやすいバイクです。
メーカー希望小売価格は698,000円。
BMW G310R
【G310R】は【G310GS】と同じエンジンのストリートファイターモデルです。
このバイクは一般的なエンジンとは異なり、シリンダーヘッドを180度回転させて車体の重心位置を前輪方向に押しやることで、俊敏性と扱い易さを向上させています。
メーカー希望小売価格は637,000円と、ヤマハの【MT-25】【MT-03】の中間です。
国産車は安くて輸入車は高いというのは昔の話で、現在は同クラスの車種であれば新車価格にそれほど違いはありません。
まとめ:300ccクラスのバイクはこんな人におすすめ
300ccクラスのバイクは、日本においては『車検が必要な上に400ccよりもパワーがない中途半端な排気量』という印象を持たれていませんか?
確かに、300ccと400ccの兄弟車があれば400ccを選んだほうが快適性は上でしょう。
ですが実際にはそのように300ccと400ccで兄弟車をラインナップしているメーカーはありません。
バイクのタイプが違えばスペックや特性が異なるのは当然のことで、400ccよりも馬力のある250ccもあれば、250ccよりも安い300ccもあります。
排気量やスペックに惑わされず、フィーリングで気に入ったバイクに乗るのが一番です。
あえて300ccクラスのバイクに向いている人をあげるとすれば次のような方でしょうか。
こんな方におすすめ
- 車検があることを気にしない
- 250ccではパワー不足を感じる
- 400ccでは重くて取り回しづらい
- パワーはほしいけどできるだけ安いほうがいい
- 排気量マウントに屈しない
このような方であれば、きっと300ccクラスのバイクでも満足して充実したバイクライフを送ることができるでしょう。
バイクの性能を限界まで引き出して走りたいという方であれば日本の公道では300ccクラスはベストな選択肢です。
もし、300ccでパワー不足を感じるのなら、おそらく400ccでも満足できないでしょう。きっと近いうちに大型バイクが欲しくなります。
ずいぶんと涼しくなり、バイクに乗るが本当に気持ちよくなりました。みなさんも、安全運転で楽しいバイクライフを送ってください。
下記に大型バイクに関する記事も書いているので、気になる方はぜひ読んでみて下さい。
投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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