こんにちは整備士ライダーのヨシキです。皆さんは自分の愛車のパワーが落ちているような気になったことはありませんか?
長く乗っているバイクや過走行気味のエンジンであれば、多少のパワーダウンは仕方がありません。ですが、アクセルを開けても加速をしなかったり、そもそもエンジンがきちんと回らないなど、明らかな不調を抱えている場合は一刻も早く原因を解決してあげたいですよね。
そこで今回は、バイクのパワーが出ない時の原因と対策を詳しく解決します。
“バイク屋さんに持っていくほどではないけれど、なんかパワーが無い気がする”
“アクセルを開けてもバイクが進まない”
などなど、バイクのエンジン不調で悩んでいる方は是非参考にしてみて下さいね。
アクセルを開けてもパワーが出ない時は何らかの不調を抱えていることが多い
アクセルを開けてみて、明らかにスピードが出なかったり、エンジンがスムーズに吹けないなど、不調が出ているときは間違いなくバイクに何らかのトラブルが起きています。
その原因は主に
- エンジン関係のトラブル
- 駆動系のトラブル
このいずれかです。まずはどういったときに不調を感じるのかを突き詰めて、不調の原因を探っていきましょう。
エンジンが不調のケースではアイドリングのばらつきや加速不良が起きる
まずはエンジンが不調のケース。この場合は明らかにエンジンの調子が悪く、
- エンジンが吹けない
- アイドリングしない
- エンジンのかかりが悪い
- 息つきをする
などなど、様々な症状が確認できます。主な原因としてはプラグの劣化やエアクリーナーの詰まり。旧車であればキャブの不調、2ストロークバイクであればインシュレーターからの2次エア吸いや、リードバルブ破損などが考えられます。
これらをひとつひとつを点検するのは非常に大変ですので、プラグやエアクリーナーを点検して、それでもだめならバイク屋さんに相談する方が良いかもしれません
ブレーキの引きずりなど、駆動系のトラブルならエンジンの吹け上りは良好なことが多い
「エンジンは快調なんだけれどなんかスピードが出ない」
こんな症状のときはブレーキの引きずりなど、駆動系のトラブルであることが多くあります。
例えばチェーンが伸びきってしまい、上手くエンジンのパワーが伝わっていないと、どれだけエンジンが回っても加速はしません。他にも、ブレーキが固着して常に引きずっている状態なら、パワーもなく、いつも以上にエンジンブレーキが利くような錯覚になります。
これらの点検は目視でもできますし、ブレーキに関してはエンジンをかけずにバイクを押してみて、異常に重たければブレーキの不調だと判断できます。
駆動系の修理をDIYでやるには少し大変ですが、エンジンの不調ではないと分かれば、焦る気持ちが少し緩和されるかもしれませんね。
不調の原因とその解決策を順番に探ってみよう
バイクのパワーが出ない原因についてはお判りいただけましたでしょうか。ではここからはパワーが出ないと感じた時の原因の探り方をご紹介していきます。
これから質問するチェック項目の通りにすすんでもらえればフローチャート形式でトラブルのヒントが見つかります。それではどうぞ!
チェック1、エンジンはすぐにかかりますか?
・はい→チェック2に進みます
・いいえ→プラグやイグナイター(CDI)など、点火系統に異常があるかもしれません。プラグを点検し、スパークがきちんとできていることを確認して、問題がなければチェック2へ進みましょう
チェック2、アイドリングは安定していますか?
・はい→チェック3へ進みます
・いいえ→エアクリーナーなど吸気系統に問題があるかもしれません。エアクリーナーを外した状態でエンジンをかけてみましょう。症状が改善すれば吸気系、もしくは燃料系のトラブル。症状が変わらなければチェック3へ進みます。
チェック3、空ぶかしではキレイにエンジンは回っていますか?
・はい→エンジンの始動とアイドリングは問題ありません。エンジン負荷が小さいときの点火、吸気、燃料は正常である可能性が高いでしょう。チェック4へ進みます。
・いいえ→燃料が正しく噴射されていないかもしれません。インジェークターの詰まりや、キャブの不調など、燃料をつかさどる部分の不具合である可能性が高まります。
チェック4、走り出しはスムーズですか?
・はい→チェック5へ進みます
・いいえ→走り出しでガクガクする。パワーが無くてスタートでエンストする。こういった症状がみられるのであれば燃料の供給と点火のタイミングが狂っている場合があります。
発進はエンジンに一番負荷がかかります。アイドリングでは問題ないのに発進でもたつく場合、プラグが既に弱っていたり、セッティングが合っていないかもしれません。
この症状は比較的キャブ車で多く見られ、その原因の多くはジェット類の摩耗、もしくは詰まりによる燃料供給の不具合が大半です。
チェック5、加速はしっかりしますか?
・はい→チェック6へ進みます。
・いいえ→エンジンは吹けるのに加速がしない。こんな症状が見られたらもしかしたらクラッチすべりが原因かもしれません。
クラッチが滑ってしまうとエンジンの動力が駆動系に伝わりにくくなります。エンジンの回転数に対して加速が鈍っているときはクラッチ交換の目安と考えるといいでしょう。
チェック6、走行後にエンストはしませんか?
・はい→エンジンに目立った不調はない可能性が高いです。それでも一定条件で不調が出る場合、エンジン内部のトラブルか、電装系等を疑いましょう。
・いいえ→走行後のエンストがみられるときはチェック4同様、セッティングのバランスが狂っている可能性が考えられます。キャブ車の場合はキャブセッティングを、インジェクション車の場合はエンジン内部の汚れや燃料系統の点検を行いましょう。
症状別:不調の原因とその対策
フローチャートではわかりにくい!
そんな方もいるでしょう。なので、ここからは参考として症状別の不調の原因と対策も併せて紹介していきます。
アクセルを急に開けると加速が悪い、エンジンがもたつく、加速が鈍い
この症状で多いのは燃調不良。やはりキャブ車に多い印象ですね。セッティングが合っていないとアクセルを急に開けた時にレスポンスが悪かったりします。この場合は燃料が濃ければメインジェットを絞り、反対に薄ければメインジェットを大きくします。
このあたりはキャブセッティングの記事を参照してもらえれば幸いです。
一方で、厄介なのがインジェクション車。燃料の噴射制限はコンピューターで行うので基本的に燃調に関する不具合は発生しにくいです。にもかかわらずこのような症状が出るとしたら、プラグの点火が弱いか燃料の噴射ノズルが痛んでいるかのどちらかが原因。
原因究明に少し手間がかかるかもしれませんね。
加速はもたつく、エンジンブレーキがすごく効く
駆動系でトラブルを抱えるとこの症状がよく発生します。特に普段あまり乗らないバイクを雨ざらしにして保管しているとブレーキが固着し、加速がもたつくような症状が発生します。
バイクを押してみて、異常に重たかったらブレーキをオーバーホールしましょう。
エンジンの回転数ばかり上がって全く加速しない
こちらも駆動系のトラブルの定番。“クラッチすべり”ですね。高いギアで走っていてこの症状を実感したらそれはクラッチすべりの初期症状。早めにプレート交換するようにしましょう。
何となくパワーが出ていない感じがする
何となくパワーが出ていない気がする。これが一番厄介ですね。この場合、エンジン自体には不調はありませんが、経年劣化によるパワーダウンが発生しているケースでよく見られます。
正直、これに関しては異常ではないのである程度妥協も必要ですが、どうしても我慢ができないのであればエンジンオーバーホールを検討してみてもいいかもしれません。
マシンに異常はないのに何となくパワーが無い気がするときは
とはいえ、エンジンオーバーホールをするにしても本当にエンジンのパワーが落ちているのか気になるところではありますよね?
もし、過走行のバイクでエンジンのパワーが何となく出ていないと感じるのであれば、次の方法でパワーチェックをしてみるのもいいかもしれません。
プラグの寿命を疑うのが一番簡単
まずはプラグを変えてみましょう。目視では異常が無くても内部的に摩耗しているかもしれません。プラグは消耗品ですし、交換も容易です。
最後にプラグを変えたのがいつなのか覚えてないくらい時間が経っているのであれば、まずはプラグを交換してみましょう。
過走行気味ならエンジンの圧縮を測ってみよう
それでも納得ができなければエンジンの圧縮を測ってみます。エンジンはシリンダーに空気と燃料を混ぜた混合気をピストンで圧縮することでパワーが生まれます。
なので、どこかから空気が漏れて圧縮不良が起きるとパワーが下がってしまいます。これを点検するのがコンプレッションゲージ。プラグの穴にゲージを突き刺すと簡単に圧縮を測ることができます。
もし圧縮が規定値以下であれば圧縮不良によるパワーダウンが疑えます。
圧縮が下がる原因にはピストンの摩耗、バルブの汚れなど、原因はさまざまですが、いずれにしてもオーバーホールを決める一つの目安となります。
お店でパワーチェックをしてもらうのも効果的
もしお金がかかってもいいからどうしても今出ているパワーを知りたい。
そんな時はお店でパワーチェックをしてもらうのがおすすめです。大手のバイク屋さんでは“シャーシダイナモ”と呼ばれるパワー測定器を持っています。
これで自身のバイクのパワーを測ってもらえれば、パワーが出ていないかどうか、データできちんと確認できます。パワーチェックの料金は店舗によって異なるので、気になる方はお近くのバイクショップを訪ねてみてはいかがでしょうか?
パワー不足を感じたら、まずは日常のメンテナンスから見直してみよう
エンジンのパワーダウンの原因はさまざまです。しかし、今のバイクは昔と違い、きちんとメンテナンスさえしてあげればそうそうエンジンが不調になることはありません。
「なんだか最近パワーが無いな」
そう思ったらまずはオイル交換やプラグ交換など、日常メンテナンスから手を付けてみましょう。意外とすぐにバイクが元気を取り戻すかもしれませんよ。
投稿者プロフィール
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元モトクロス国際B級ライダーのヨシキです。
趣味は林道探検、オフロードバイクでどんな山道も散策します。
今は整備士として活躍しているので、メンテナンス、DIYでできる整備など、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。もちろんレーサーならではのライテク記事も執筆していくのでおたのしみに。
【愛車たち】
SUZUKI RM-Z250,HONDA CR125,SUZUKI RM80L
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