「メカニックの敵」と言われるほど憎いネジ頭(ネジ山)のつぶれ。ネジの頭をつぶした(なめた)ら、とてつもない絶望感に襲われますよね。
ネジの頭がつぶれた場合、どう対処すべきでしょうか? そんなときに役に立つのが、今回の記事です。ネジの頭がつぶれる原因と対策、復旧方法、工具の選び方を分かりやすく解説します。
知識を身につけておけば、ネジの頭のつぶれに臨機応変に対処することが可能です。また、ネジの頭をつぶしたときにはとても焦りますが、正しい対処法を知ることで時間や手間をかけずに修復を行うことが可能になります。
この記事を読み、ネジの頭をつぶしたときも冷静に対処しましょう。そして、ネジの頭をつぶさないためにも適切な工具と使い方をマスターしましょう。
ネジの図解と種類
ネジの各部名称と種類を簡単にまとめました。ネジの各部名称や種類を理解しておくことはネジの工具を選ぶ際に役立ちます。
ネジの各部名称
- 駆動部…ドライバーなどの工具を差し込む穴。代表的な穴の形状はプラスとマイナス。他に六角もある。
- 頭部(頭)…ネジ込みすぎないよう固定する役割。
- ねじ部…ギザギザ。締める目的によって形状が変わる。「ネジ山」は この部分。
- 先端部…相手先(締結材)により、形状が変わる。
ネジ頭の種類
ネジの頭には多くの種類があります。「なべ頭」と「皿頭」の二種類が代表的な頭です。ライダーの皆さんがよく見かける、この二種類について説明します。
- なべ頭…その名の通り、鍋をひっくり返したような、丸い形です。締めたあと、締めた相手先(締結材)を横から見ると頭が飛び出しています。
- 皿頭…頭の表面がフラット(平)です。しめた相手先(締結材)と一体化したようなフラットな形状(同一平面)になります。
ネジの頭がつぶれる原因
ネジの頭がつぶれる原因にはいくつかの原因があります。間違った工具を使ったり、締め方が正しくないと、ネジの頭をつぶしてしまいます。
ドライバーが合っていない
ネジ頭の穴に対し、ドライバーの形状や大きさが合ってないと、ネジの頭をつぶすことになりかねません。穴の形状と大きさを確認してドライバーを選びましょう。
ネジ頭がプラスの穴にはプラスドライバー、マイナスの穴にはマイナスドライバー。六角など、他の形状もあるので、良く確認しましょう。
また、ネジ頭の穴にドライバーがピッタリ合っていることも重要です。ネジ頭の穴に対して大きいドライバーを使うとネジの頭をつぶしてしまいます。逆に、ネジ頭の穴に対して小さいドライバーを使うこともネジの頭をつぶす原因になります。
ネジの頭に対してピッタリ合うサイズのドライバーを使いましょう。大きくても、小さくてもダメです。
ドライバーに力を入れすぎ
必要以上に強い力でドライバーを回すと、ネジ頭がつぶれることがあります。
ネジを緩めるときはドライバーをネジの頭に押し付けるようにして、空回りしないようにゆっくり回しましょう。
ネジを締めるときの締め終わりは、様子を見ながら締める力を抜いていきましょう。締め終わりに力を入れすぎると、ネジの頭をつぶしてしまいます。
ネジを何回も繰り返し使用した
繰り返し使ううちに、徐々にネジの頭がつぶれていく場合があります。限界が来る前に、ネジを新品と交換しましょう。
頭をつぶした(なめた)ネジの外し方
ネジの頭をつぶしても、解決する方法はあります。あせらずに対処しましょう。
輪ゴムを噛ませる
①つぶしたネジの頭に幅の広い輪ゴムを乗せる。
②その上からドライバーを当ててネジを回す。
ゴムが滑り止めになり、つぶれたネジが回しやすくなります。キツく締まったネジでない場合は、この方法が有効です。
ネジの頭に新しい溝を入れる(掘る)
ネジの頭に金切ノコギリで新しい溝を掘る方法です。金属専用のヤスリも有効です。
新しく作った溝にマイナスドライバーを当て、回します。
しかし、小さいネジ頭に金切ノコギリや金属ヤスリを当てて溝を入れるこの方法は、初心者には難しいので注意が必要です。
そして この方法が使えるのは、頭が飛び出しているタイプのネジ(なべ頭ネジ)です。頭が平で沈んでいるフラットなネジ(皿頭ネジ)には使えません。
ペンチ(ネジ専用プライヤ)で挟む
ネジの頭をペンチで挟んで回す方法です。溝が入っている、ネジ専用のペンチ(プライヤ)を使いましょう。
ねじ回し専用のペンチは市販されています。
しかし、この方法は、頭が出ているネジ(なべ頭ネジ)にしか使えません。ネジの頭が平で沈んでいるフラットなネジ(皿頭ネジ)は別の方法で対処することになります。
貫通ドライバーで叩く
貫通ドライバーをネジ頭に当て、ドライバーの尻をハンマーで叩く方法です。この方法でネジが回る場合があります。
ただし、この方法に使うドライバーは「貫通ドライバー」でなければなりません。「貫通ドライバー」とは、ドライバーの尻をハンマーなどで叩くことができるドライバーです。
ドライバーの先端から尻まで一本の金属を使い貫通しているので、尻をハンマーで叩くことができます。
ネジを外す薬剤を使う
ネジを外すためのネジ外し剤(滑り止め剤)を使う方法です。つぶしたネジ頭に塗ると、薬剤の効果でドライバーの食いつきがよくなり、回しやすくなります。
ネジが固く締まってない場合には有効です。しかし、キツく締まったネジや、サビたネジは回らない場合があります。
ネジ外し専用の工具を使う
頭がつぶれたネジを緩めるための専用工具を使う方法です。新しい溝を作り、その部分に合わせたドライバーで緩めます。ネジ頭の形状がプラスや六角の場合など、多様なパターンに対処できる工具が市販されています。
ネジの頭をつぶさない(なめない)方法
ドライバーの使い方を誤ると、ネジの頭をつぶすことになりかねません。簡単なようですが、落ち着いて確実にネジを締めましょう。
ドライバーをネジの頭に確実に合わせる
ドライバーの先端をネジの穴に正確に合わせます。ネジの穴とドライバーの形状がピッタリ合っていることを確認しましょう。
ゆっくり適度な力でドライバーを回す
ゆっくり適切な力で回し始めます。過度な力を使わず、適切な力でドライバーを安定させたまま回すことが重要です。過剰な力が加わると、ネジの頭をつぶす恐れがあります。
ドライバーが空回りしないよう、ドライバーとネジ頭の穴が密着している状態を保つことも重要です。ドライバーをネジ頭に押し付けながらドライバーを回しましょう。
品質の高いドライバーを使う
ドライバーの品質も重要です。低品質なドライバーは強度が弱く、ネジ頭を痛める場合や、ネジ頭の穴とドライバー先端の形状が合わないことがあります。
製造元を確認できる、品質の高いドライバーを使いましょう。
頭がつぶれかけているネジは、純正の新品と交換する
頭がつぶれたネジや、何度も使ってつぶれかけているネジは新品と交換しましょう。完全につぶれる前に交換することをお勧めします。
オートバイ各メーカーの正規取扱店や取引店であれば、ボルトは1本から純正品を買うことができます。バイク屋さんやバイク用品店に相談してみましょう。
まとめ:ネジの頭をつぶしても対処方法はある!冷静になろう
ネジの頭をつぶさないためには、工具を正しく使うことです。
しかし、正しい工具の使い方をしていても、締めたり緩めたりを繰り返すうちにネジの頭をつぶしてしまうことがあります。
ネジの頭をつぶしても、冷静になりましょう。落ち着いて状況を確認することです。対処方法はあります。
状況に応じて、今回の記事で紹介した方法を試してください。
この記事が、ネジ頭をつぶしたときのお役に立てば幸いです。
読者の皆さんのバイクメンテナンスが快適になりますように!
それでは、また。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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