愛車に乗っている際、「バイクが自分の体格に合っていないなぁ」と感じることはないでしょうか? あるいは「もっと上体が起きたラクな姿勢で運転したい」、逆に「スポーティな前傾姿勢にしたい」などと思ったことは?
――こうしたライディングポジションを決める上で、大きな役割を持つのがハンドル。今回はハンドルをカスタムする際のポイントを解説していきましょう。
体格に合わせてライポジを最適化すべし
バイクは、平均的な体格のライダーに合わせて開発されているので、身長や手足の長さによっては走りにくいケースも多いです。そんな時にライディングポジション(乗車姿勢)を調整すると、もっとラクに走れるようになります。
ライポジを決める三大要素が「ハンドル」「ステップ」「シート」。中でもまず最初に調整すべきなのがハンドルです。
ハンドルが極端に遠かったり、低いと上体が前傾姿勢になってしまいます。高速走行する時間が長い場合は意外とラクだったりしますが、街乗りがメインだと腕や腰がキツくなります。また、Uターンする時などハンドルを目一杯切ると、アウト側の腕が伸び切って手が届かない……なんて状態になります。
なお反対にハンドルが近すぎるとフロントに荷重がかけにくい、などの影響が出ます。
ハンドルを調整したり交換すれば、こうした症状が解決できるのです。
★図はホンダ・GB350/Sの例。ライポジはこのように、ハンドル、ステップ、シートを結ぶ三角形で表されます。GB350よりGB350Sの方がハンドルが遠く、ステップが後ろ気味で、スポーティなライポジになっています。
いきなり交換ではなく、まずはノーマルを調整してみるのがオススメ
カスタムする前に、まずはスタンダード状態のハンドルを調整してみるのがオススメです。セパレートハンドルは調整不可の場合が多いですが、バーハンドルはほとんどが調整OK。中央のハンドルを固定しているホルダーを緩めることで、円を描くようにハンドルの角度が変更できます。
水平方向など極端な変更は無理ですが、グリップの位置を近づけたり遠くすることが可能。オカネもかかりませんし、まずはここからトライしてみましょう。
調整したら、レバーやスイッチボックス、ミラーの角度もセットで適切にアジャストすることをお忘れなく!
★ホルダーのボルトを緩めるとハンドルバーが回転できます。ケーブルの長さやタンクとの干渉などを考え、適切な範囲に留めましょう。もちろん調整後はきっちり固定を!
★フロントフォークにマウントされたセパレートハンドル(セパハン)は、調整できない車種がほとんど。調整したい場合はカスタムパーツに交換しましょう。
交換すればアップにもローにも自在に変更可能!
本格的にライポジを変更するなら、やはりハンドル交換です。スズキのカタナを例にとってみましょう。
★アクティブの「ローポジションハンドルバーφ28.6 アルミ ブラック」は、グリップエンドが低く遠くなっています。
アップハンドルのSTD(スタンダード=純正)に対し、アクティブのローハンドルはグリップの位置が大きく変更されています(タンクのSUZUKIエンブレムで見比べるとわかりやすい)。
カタナのライポジはアップライトで積極的にハンドル操作しやすいのですが、ローハンドルに交換することでより上体が前傾。
フロント荷重がかけやすく、スポーツ走行に適したライポジとなります。またスタイルの面でも、元祖GSX1100Sカタナに近づくといった効能もあります。
一方、こちらはセパレートハンドルをバーハンドルに交換した例です。
★ハヤブサはSTDでセパレートハンドル。バーハンドル化すればアップタイプのポジションにすることも可能です。
ハヤブサは前傾気味のライポジですが、上体が起きて腕や手首の負担が少なくなり、ロングランでもラクチンになります。
なお、ライポジはある程度カスタマイズできますが、極端に変更してしまうと、本来の車両バランスが崩れてしまいます。適度な範囲に収めることが肝心ということを覚えておきましょう。
また、ノーマルを調整した際よりも、大きくグリップ位置が変わってくるので、ワイヤーやホース類の取り回しには十分なご注意を。延長または短縮が必要になる場合が出てきます。また、カウルやタンクと干渉するケースもあるので、自信がない人はショップに任せた方が無難です。
まとめ:バランスが崩れていないか要チェック
ハンドルの調整&交換で理想のライポジになれば問題ないのですが、これによって「シートが高いor低い」、「腰が痛くなりやすくなった」、「膝の曲がりがきつくなった」などの症状が出てはいないでしょうか?
ハンドルを交換すると、他の部位に影響が出る場合があるのです。
ライポジの三大要素であるハンドル、シート、ステップはどれかを大きく変更すると、バランスが崩れてしまうので、バランスが重要です。
もしバランスが崩れてしまったり、しっくりこない場合は、シート、ステップの交換が必要になってきますが、こちらはまた別の機会に解説しましょう。
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投稿者プロフィール
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ふだんフリーランスとして、主にバイク雑誌の編集やライターをしている沼尾です。
1989年に2輪免許を取得し、いまだにバイクほどオモシロイ乗り物はないと思い続けています。フレッシュな執筆陣に交じって、いささか加齢臭が漂っておりますが、いい記事を書きたいと思っているので、ご容赦ください。趣味はユーラシア大陸横断や小説など。よろしくお願いします。