『自賠責保険に入っていれば任意保険には入らなくていい』なんて考えていませんか?
皆さんは、もちろん任意保険にも加入していますよね?
任意保険の重要性については過去記事でもご紹介したことがありますが、今回は視点を変えて物損事故にフォーカスして任意保険に入るべき理由をご紹介します。
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としています。
つまり対物補償は付いていません!
事故には相手がいる場合といない場合があります。
自損事故で物や家屋を歪めたり壊したりしてしまった場合には、その修理費用を弁償しなければなりません。
それらの修理費用、任意保険未加入の皆さんは現金で支払う準備はありますか??
元1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士の私がガードレールの交換費用を例に解説します。
ガードレールの交換費用
交通事故によって傷つけてしまう恐れのある公共物には様々なものがありますが、最もぶつかりやすいのは防護柵ではないでしょうか。
電柱や標識、信号機などは一本の支柱が立っているだけですが、防護柵(ガードレール等)は長い区間に渡って設置されています。
今回は防護柵を例に上げて修理費用を考えてみましょう。
防護柵とは
防護柵とは、ガードレールやガードパイプなど、人々や車両などを落下や衝突の危険から守るために設置される柵やバリアのことを指します。
道路の脇や高所、橋の両側など、事故や転落のリスクがある場所に取り付けられ、安全を確保するためのものです。
防護柵の種類
- ガードレール
- ガードパイプ
- 横断・転落防止柵
※材質や形状は、その場所や目的に応じて様々です。
形状や材質によって価格は異なり、高級な材質で特殊な加工をしているものほど値段も高額です。
また、一般的にガードレールと呼ばれるものは金属板を使ったものであり、パイプを張っているものはガードパイプと呼ばれています。
参考材料価格
ここでは例として、【株式会社日本道路マテリアル】が公表しているガードレールの価格表を見てみましょう。
防護柵の価格表
品番 | 標準色 (円/m) | メッキ (円/m) | 景観色 (円/m) |
---|---|---|---|
Gr-A-4E | 13,000 | 13,900 | 15,000 |
Gr-A-2B | 12,900 | 13,800 | 14,900 |
Gr-B-4E | 9,900 | 10,700 | 11,900 |
Gr-B-2B | 9,950 | 10,750 | 11,950 |
Gr-C-4E | 8,350 | —— | 10,350 |
Gr-C-2B | 8,550 | —— | 10,550 |
Gr-Am-4E | 23,650 | 25,200 | 25,650 |
Gr-Am-2B | 23,800 | 25,400 | 25,800 |
Gr-Bm-4E | 19,300 | 20,550 | 21,300 |
Gr-Bm-2B | 19,350 | 20,600 | 21,600 |
Gr-Cm-4E | 15,200 | —— | 17,200 |
Gr-Cm-2B | 15,200 | —— | 17,200 |
※価格はメートルあたりのもので、標準の塗装色での仕上がりを基準に、一連の長さが直線20m(21m)以上の場合に適用されます。20m(21m)未満の場合は部品価格が適用。
表記されている価格は1mあたりの値段ですが、実際のガードレールは4Eが土中用で1枚4.33メートル、2Bがコンクリート用で2.33メートルです。つまり表示価格の4倍もしくは2倍の原価がかかります。
物損事故で20メートル以上が破損することはないので、単価はこれより上がることが考えられます。そしてこれは原価であって、施工業者のマージンもいくらか乗ってくるでしょう。
【ガードレールの価格:1枚あたり3万円〜10万円+α】
事故の規模や支柱まで交換対象かどうかでも価格は変動します。
高速道路や自動車専用道路など、さらに強度が必要な場所ではガードレールの価格も強度に応じて上がるので注意してください。
弁償額は材料費だけでは済まない!
『ガードレールを壊しても10万円ちょっとで修理できるのか。』と考えたあなたは甘い!
ガードレールを修理・交換するには人の手が必要です。
ガードレール撤去及び据付工事費用(概算)
- 支柱撤去費用:1本2,000円〜5,000円
- レール撤去費用:1本2,000円〜5,000円
- 支柱建込み費用:1本2,000円〜5,000円
- レール取付費用:1本2,000円〜5,000円
- 材料運搬費
- 法定福利費
- 廃棄物処分費
- 誘導員:1人15,000〜20,000円(1日)
- その他備品等のリース代
合計10万円程度 ※地域や使用する材料等により大きく変動します。
施工費用は地域や業者によってまちまちなので一概には言えませんが、ネット上に公開されていた市場単価から概算価格を算出すると10万円程度はかかりそうです。
※役所の施工部隊が修理を行う場合にはもっと安くなるかもしれません。
ざっくりガードレール1枚、支柱2本分で撤去と交換にかかる費用を出してみましたが、この他にも必要に応じて様々な費用がかかるでしょう。
施工方法はこちらのサイトが参考になります。
事故を起こしてしまったら
バイクだと、カーブを曲がりきれずにガードレールに突っ込んでしまうというような事故が考えられます。
事故を起こしてしまったとき、警察に連絡して事故処理が必要。
これは報告義務として定められているもので、報告しなければ3カ月以下の懲役、または5万以下の罰金となるので注意しましょう。
ですがまずは安全の確保が最優先!
自身に怪我がなければ車両を安全な場所に移動し、後続車や対向車が絡む二次被害を防止しましょう。
ハザードランプを点灯できる車種であれば点灯させ、50m以上後方に三角停止板等を設置してください。
安全の確保ができたら警察へ通報。事故処理をしてください。
明らかな違反や意図的な事故でなない場合、運転操作のミス等での物損事故なら特に罰則はありません。
ガードレールの修理については後日役所の担当者から連絡があることが多いですが、念のため来てくれた警察官に確認しましょう。
修理費用は保険を適用するかと思いますので、保険会社にも連絡しておきます。
保険を使うと等級が下がって保険料が上がってしまいますが、そのための保険だと割り切りましょう。
※125cc以下のバイクで事故を起こした場合、ファミリー保険特約に入っていれば等級に変動はありません。他にクルマをお持ちなら特約への加入も検討してはいかがでしょうか?
まとめ
今回はガードレールの修理費用について考えてきました。
ざっくり20万円が必要という結論に至りましたが、もちろん被害状況によっては修理が必要なかったり、さらに高額になることも考えられます。
もし、ガードレールではなく電柱を破損させてしまった場合、電柱の修理に加えて電線の付替えなども必要で50万円ほど掛かるかもしれません。
現金でサクッと払う準備はできていますか??
自賠責保険だけでは対物補償を受けられないので、任意保険にも必ず入っておきましょう。
月に数千円で万一の事故に備えることができるので、任意保険はコスパのいい保険です。
投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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