引用元:GASGAS公式サイト(https://www.gasgas.com/en-jp.html)

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【元車両開発関係者が解説】新生GASGASって知ってる?一味違うマシンで目立て!

みなさんGASGASってメーカー知っていますか?MotoGPに参戦したりしているので名前を聞いたことがあるライダーは多いかもしれません。古くからのライダーにはトライアルのイメージが強いですよね。でも、じゃあどんなメーカーなの?と聞かれると答えに詰まる人がほとんどではないでしょうか。私もその1人です。

そこで今回はGASGASというのはどんなメーカーなのか、どんな車種を販売しているのか、ちょっと調べてみました。昔話から最新機種の情報までをさらっとお話してみたいと思いますのでお付き合いください。

GASGASってトライアルメーカーじゃないの

戦後の復興から着実に実力をつけた日本のバイクメーカーは、80年代にはオンロードもオフロードも、レースの世界では海外メーカーを圧倒するまでに至っていました。しかしその頃日本のメーカーが海外、それも欧州勢の壁に阻まれ、世界の頂点には全く届かないレベルで苦しんでいたのがトライアルの世界です。

80年代後半に、毎年海外から世界トップクラスのライダー、マシンを招いて東京・代々木第一体育館でスタジアムトライアルが開催されていましたが、モンテッサ、ベータ、ファンティックなどの欧州製マシンに乗った海外ライダーにはホンダに乗った日本のエース、成田匠選手ですらまるでかなわないという現実を目の当たりにし、日本人に欧州製トライアルマシンの圧倒的な性能を強烈に印象付けました。

その圧倒的な性能を発揮していた頃の欧州メーカーのひとつがスペインのGASGASです。
創業は1985年と比較的若いメーカーですが、トライアル世界選手権では1993年には早くもジョルディ・タレス選手によってチャンピオンを獲得しています。その後も94、95年にタレス選手、2005、2006年にはアダム・ラガ選手がチャンピオンに輝くなど、トライアルの世界では超一流の実力を持ったメーカーとして現在に至ります。
現在でも競技用車両のTXT RACING 300をラインナップし、GASGASと言えばトライアルの伝統を色濃く引き継いでいます。

TXT RACING 300 引用元:GASGAS公式サイト

実はモトクロス、エンデューロも得意

トライアルばかりではなく、GASGASが長年力を入れているのがモトクロスエンデューロといったオフロードの競技車両です。日本は有力なバイクメーカーが自国に4社もあるため、国内の競技に海外の車両が使用されるケースは圧倒的に少数派という世界でも珍しい国です。部品供給や情報の流通の面で不利なためですね。そのため海外メーカーの競技車両というのはなかなか馴染みの薄い存在となっていますが、GASGASは実はかなり濃いラインナップを取り揃えています。

モトクロスは2ストロークが50、65、85、125cc、4ストロークが250、450cc、エンデューロは2ストロークが250、300cc、4ストロークが250、350ccと、そのラインナップの豊富さからも力の入れ具合がよくわかります。
しかもエンデューロの2ストロークモデルはフューエルインジェクションです。乗ってみたいですし、できればバラしてみたいです。どんな制御になっているのか興味がつきませんね。

フューエルインジェクションの2ストローク!EC 300 引用元:GASGAS公式サイト

ちなみに2022年のダカールラリーではGASGASに乗ったサム・サンダーランド選手が優勝しています。現在ではトライアルだけではなく、オフロード全般に強いメーカーというイメージをしっかりと確立していますね。

最近はMotoGPでも大活躍

GASGASは古くからのトライアルやオフロード専業メーカーというイメージを覆すべくMotoGPにも参戦し、Moto3、Moto2クラスで活躍しています。特に2022年はMoto3でイサン・ゲバラ選手がタイトルを獲得、しかも同じGASGASを駆るセルジオ・ガルシア選手とのチャンピオン争いを制しての戴冠とGASGAS大活躍の1年でした。

さらに2023年からはMotoGPクラスへの挑戦も始まります。当面はKTMのRC16を使用して参戦と発表されていますが、当面は、という表現がすごく気になりますね。

現在公道向けオンロードの市販車両はラインナップに無いGASGASですが、今後もこの活躍が続けばスーパースポーツの登場、なんてこともあるかもしれませんので目が離せません。個人的にはGPマシンそっくりのMoto3レプリカなんて発売されたら嬉しいですね。

公道向けはどんな車両

GASGASは古き伝統を引き継ぎつつ、2020年以降はKTM傘下の企業となっています。そのため、公道用の市販車はKTMの車両をベースとしたもの、というかほぼKTMそのままですね。オフロードのES700、モタードのSM700がラインナップされていますが、基本的にはKTMの690 ENDURO Rと690 SMC R、同じくKTM傘下のハスクバーナの701 Enduroと701 Supermotoとほぼ共通の車体となっています。

左:ES700、右:SM700 引用元:GASGAS公式サイト

大きく目に付くGASGAS独自の部分としては、モタードのSM700はKTM、ハスクバーナ版のスポークホイールに対してキャストホイールを採用している点ですね。購入時にはこの違いに注目して車種を選択するのも面白いかもしれません。

ベースとなっているKTMの690 ENDURO R自体、結構マニアックな車種なので、メカニズム的にも魅力があります。通常の燃料タンクの部分がエアクリーナーボックスだったり、燃料タンクがシート下にあってシートレールを兼ねていたりとユニークな構造になっています。
エンジンもKTMのLC4と言われるユニットを採用しています。昔のLC4というと基本的には競技用、超絶パワフルだけど気難しくて壊れやすいというイメージでしたが、現在は熟成を重ねてその頃より信頼性を向上させています。

KTMの690DUKEをベースにビットピレン、スヴァルトピレンといったハスクバーナブランドオリジナルの車種が販売された実績もありますので、今後はGASGASオリジナルの車種が発売される可能性もありますから、今後の展開から目が離せませんね。

まとめ

2000年に放送された「仮面ライダークウガ」、そのバイクアクションシーンに登場した車両が実はGASGASのパンペーラという車種、しかもスタントを担当したライダーは成田匠選手でした。
80年代に欧州勢に果敢に挑んだ成田選手が、その欧州製のマシンに乗ってテクニックを披露するという胸アツな展開で一部のファンを狂喜させるなんていうこともありました。こんなところで知らないうちにGASGASのマシンに親しんでいた人も多いかもしれませんね。

現在GASGASブランドで市販されている公道車両はその成り立ちから決して初心者向きとは言えませんが、ブランドの持つヒストリーも含め、腕に覚えのあるちょっとマニアックなライダーにお勧めです。
また、MotoGPやダカールラリーでのプロモーションの活発さから、今後の新機種にも要注目なブランドですね。

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NTMworks

長年オートバイ業界を裏側から支えてきた、元、車両開発関係者。 バイク便ライダーの経験や、多数のレース参戦経験もあり。 ライダー・設計者、両方の視点を駆使して、メカニズムの解説などを中心に記事を執筆していきます。 実は元、某社のMotoGP用ワークスマシンを組める世界で数人のうちの一人だったりもします。 あなたが乗っているオートバイの開発にも、私が携わっているかもしれませんよ。

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