リターンライダーとは、以前は乗っていたが何らかの理由でバイクに乗らない期間を経て、再びバイクに乗り始めた人のことです。
私も仕事が変わった時に一度バイクから離れた時期があり、3年ほどのブランクを経て再びバイクライフを始めた経験者です。
リターンライダーがもう一度バイクを楽しむための注意点や楽しみ方、知っておくべきことについてご紹介します。
リターンライダーが増えている
中高年のリターンライダーが増えています。
若い頃にバイクライフを楽しんでいた人も、車に乗る機会が増えることや、進学・就職・結婚・転職・病気や怪我・金銭的な問題・気持ちの問題など様々な理由から、バイクを降りてしまうことがあります。
その後、子供が大きくなり自立した、退職した、時間や金銭に余裕ができた…というふうに状況が変わると、再びバイクに乗り始めることが多いようです。
自動車工業会「2021年度 二輪車市場動向調査」によれば、新車購入ユーザーの平均年齢は54.2歳で、50代が全体の31%を占めており、40代が19%、60代が25%となっています。
バイクに乗らない期間があったリターンライダーは、年齢が上がってバイク操作が思うように操作できなくなっているため、以前と同じようなバイクの楽しみ方ができない場合があります。
せっかくワクワクしてバイクライフにリターンして来たのに、以前乗っていた頃と同じような感覚でいると、こんなはずではなかった、と後悔してしまうことになるかも知れません。
もちろん経験者である私も、転職を機にバイクに再び乗り始めましたが、「あれ?以前と違う…」と感じたことがたくさんありました。
リターンライダーが気をつけるべき点を、装備と運転に分けて考えてみましょう。
装備編
自分に合ったバイクを選ぶ
リターンライダーにとって一番大切なバイクですが、現在の身体に合ったバイクを選ぶようにしましょう。
若い頃はバイクに問題なく乗れていても、乗らない期間が長くなればなるほど、体は衰えています。
具体的には、年齢が上がるほど筋力が衰えてきますので、ハンドルやブレーキを握り続ける力、ライディングの姿勢を保ち続ける力などが落ちています。また、片足をついてバイクを支えたり、右左折や旋回時の首や腰の捻ったりするための柔軟性やバランス感覚も落ちてきています。
バイクの性能も進化しており、昔の感覚のままで運転すると危険な目にあう可能性もあります。自分の身体能力と、現在のバイク性能をよく照らし合わせて考えなければなりません。
そのため、必ずしも大型バイクだけが選択肢ではなく、400ccや250cc以下の中型や小型のバイクの方が扱いやすく、自分に合っているということもあります。
実際に私がブランクから復活する際に、当初は片足しかつかなかったバイクに乗っていましたが、取り回しとバランス取りにとても疲れて神経を使うので、両足をついて停止できるコンパクトで足つきの良いバイクを購入しました。200ccのオフロードに乗っていた時期もあります。
また、以前は乗れていたフルカウルの前傾姿勢のバイクを選ぶと、腰が痛い・姿勢が辛いなど体に負担が増えて乗るのが大変で、のんびりしたツーリングが楽しめない、といった場合もありえます。
バイクの種類も、スーパースポーツ、クラシック、クルーザー、ツアラーなど様々なものがありますから、自分の目的と体格に合わせて最適なものを選ぶようにしましょう。
最初は排気量の小さなバイクに乗り、様子を見てから大排気量に変えたり、レンタルバイクを利用してみたりするのもおすすめです。
安全性の高いウエアやプロテクターを選ぶ
バイクがファッションの一部ともなってきた現在では、ファッション性が高く、かつ安全性も高いウエアが販売されています。
最新のプロテクターが内蔵されていて、かつ快適に動くことができるウエアが数多くありますし、ヘルメットやグローブ・ブーツなども同様に、新しいもので安全性が高いものが多く選択肢にあります。
最新のライディングギアを抵抗なく使っていくことで、安全性も高まり、よりリターンライダーとしてバイクライフを楽しめることにつながります。
信頼のおけるバイクショップを選ぶ
リターンライダーにとっては、バイク本体の整備や日々のメンテナンスなどが相談できる、信頼のおけるバイクショップの存在が大きくなります。
YSPやHondaDreamなどの専門店や、大手の二輪販売店、小規模の個人店など、バイクショップといっても様々な形態があり、それぞれに良いところがあります。
再び長いお付き合いになる可能性が高いですから、店員の態度や常連さんの様子などからよく見極めて、通いやすく、自分が安心して任せられるお店選びをしましょう。
私はリターンライダーとしてバイクに乗る際、大型の販売店を見に行ったり中古車店を回ったりもしましたが、バイク乗り始めにお世話になったショップとのお付き合いが続いています。
最新のシステムや装備を積極的に選ぶ
リターンライダーが快適にバイクライフを楽しむには、車体だけではなく、様々な便利グッズを使うことをおすすめします。
まず、高速道路を使用するツーリングでは、バイク用ETC装置の設置は欠かせません。
バイク用のナビは初めて行く場所へのツーリングではとても便利ですし、何より安心が得られます。バイク用ナビには耐震・耐熱・防水機能がほぼついており、Bluetooth機能などがついているものもあります。
個人的には、自動車ではナビがついていて当然のような感覚になっていたので、バイクではナビをつけていないと不安と不便さを感じました。
さらにヘルメットにインカムを取り付ければ、複数でツーリングに行く際にライダー同士でコミュニケーションをとることができます。
ラジオに対応しているインカムもあり、天気やニュースなどの情報を得ることができるので、ソロツーリングを楽しむ時にもおすすめです。
運転編
自分に合ったライディングを心がける
リターンライダーには40から50、60の年代の方が多く、若い頃と比べて年齢とともに動体視力や反応速度が低下していることは否めません。
安全にバイクに乗る為には、特に注意するべきは視覚能力で、バイクに乗っている時の動体視力の低下です。
動体視力は動いているものを見る時の視力ですが、加齢により眼球を動かす筋肉の反応が衰えているので、若い頃に比べると動体視力も当然低下しています。動体視力のピークは20歳前後で、40代からは急激に低下していきます。
反応速度とは、例えば「何か危険を察知した時にブレーキをかける」という、認識してから適切な行動に移るまでの速度です。加齢によって視覚能力が低下し運動能力も低下していると、危険を察知することが遅れ、実際に行動するまでにも時間がかかります。
「わかっていたけど身体が言うことをきかない」という状況が、40代以降になると否応なく増えていくことになります。またスピードが上がれば上がるほど、素早い対応がしにくくなります。
年齢を経たリターンライダーが、若い頃の感覚のままバイクに乗ってしまうと、計画通りの走行ができなかったり事故などの危険な目にあったりする可能性が高くなるということです。
そのためリターンライダーには、次のような事に注意し、若い頃とは違うライディングやツーリング計画をたてることが求められます。
- スピードを求めない
- ツーリング計画は時間に余裕を持たせる
- こまめに休憩をとる
体を鍛える
リターンライダーとして再びバイクライフを楽しむには、体を鍛えることがとても大切です。
加齢とともに筋肉が減少し、さらに前述のように動体視力や反応速度が落ちているので、若い頃と同じようなバイクの乗り方をするのは無謀とも言えるかも知れません。
バイクに乗ればその間はスポーツをしているのと同じで、常に道路の状態や周辺の状況に気を配り、必要に応じて臨機応変にバイクの操作をする必要があります。
普段から軽いスクワットで足腰を鍛えたり、股関節のストレッチをして体の柔軟性を高めたり、ウォーキングやジム通いなどで持久力をつけるなど、バイクに乗って過ごせるような体作りを心がけるようにしましょう。
筋肉をつけて持久力を高めるという点からは、個人的には水泳もおすすめします。私は長時間のツーリングに以前よりも疲れを感じるようになっていたので、週に1、2回程度ですが、ジムのプールに通いました。
また動体視力に関しては、遠くと近くを交互に見る、顔を動かさず目だけを動かす、といった目の筋トレをすることで、視力の衰えをゆるやかにすることができます。
ライディングスクールに行ってみる
リターンライダーには、講習会やライディングスクールに行くこともおすすめします。
免許取得後に、再びバイクのライディングを教わることや勉強する機会は、なかなか無いのではないでしょうか。
若い頃乗っていたから乗り方はわかっている、と素直になれないライダーもいるかも知れませんが、以前と同じ乗り方はもう難しくなっているので、素直な気持ちで安全運転を学び直すことも大切です。
さらにライディングスクールでは、個人では上達しにくいライディングの技術をプロに指導してもらい、正しい知識を教えてもらうことができます。
私の場合はバイク免許を取得した教習所で1対1で教官の講習を受けて、散々注意され指導し直されました。
ライディングスクールは、ホンダやカワサキ・ヤマハといったメーカー主催のものや、警視庁主催の二輪車交通安全教室、日本二輪車普及安全協会主催のグッドライダーミーティングなど、全国でたくさん開催されています。
家族の理解を得る
リターンライダーは、家族の理解をきちんと得た上でバイクに乗ることがとても大切です。
バイクに乗り始めると、時間的にも金銭的にも、今までの生活とは違う状況を家庭に持ち込むことになります。
バイクに乗ることは、バイク本体だけでなく、駐車場やライディングギア、タイヤ、ガソリン、消耗品など、お金がかかる趣味の一つです。
さらに、ライダー本人がバイクで怪我をしたり事故を起こしたりすると、本人の生活はもちろん、家族の生活にも大きく影響します。
リターンライダーだからこそ、バイクに乗ると生活にどんな影響があるのかはわかっているはず。
バイクに乗ることは楽しく、そして常に安全に気を引き締めて乗るべきものだということを、自分にも家族にも理解してもらって、気兼ねなくバイクライフを楽しめるようにしましょう。
まとめ
リターンライダーが、もう一度バイクライフを楽しむためには、現在の自分に合ったバイクを選び、現在の自分に適したバイクの乗り方をすることが大切です。
ブランクがあり年齢を経ていると、残念ながら体力や運転技術の低下は否定できないので「以前の現役バリバリの頃とは違う」という自覚を念頭において、バイクに乗る必要があります。
以前のバイクライフに囚われすぎず考え方を変え、新しいバイクや装備を積極的に取り入れて、自分なりのバイクの楽しみ方を見つけていきましょう。
投稿者プロフィール
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GPZ750R改に乗っているねこにんじゃと申します。
ライターでイラストレーターです。
「おすすめグッズを知りたいけど面倒だから誰かまとめて」
「整備について知りたいけど難しいから簡単に知りたい」
などなどのバイクライダーの希望をかなえます。
バイクライフがより楽しくなるような情報を、できるかぎりわかりやすくお届けしていきます。
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