バイクのメンテナンスときくと、確かに難しいものもありますが、初心者からでもできることがちゃんとあります。
バイク初心者でもできる、むしろ初心者だからこそやっておくべき始めやすいメンテナンス、さらにできるようになっておくべきメンテナンスとやり方の手順、おすすめグッズをまとめてご紹介します!
初心者ができる簡単で始めやすいメンテナンス3選!
- 洗車
- タイヤの空気圧チェック
- チェーン掃除・注油
洗車
洗車はバイクメンテナンスのひとつです。バイクがきれいになるのはもちろん、バイクの傷や破損した部分などに気づくことができます。起こりうるトラブルを防ぐことができますし、動きが悪くなっている部分や劣化したパーツなどを発見することもできます。
洗車に必要なグッズ
バケツ・散水ホース・ウエス・スポンジ2個(ボディ用・足周り用)・バイク用シャンプー
バイクはできるだけ平らな場所で洗車してください。センタースタンドがあれば使用しましょう。直射日光が当たらない時間・場所を選びましょう。
洗車の手順
1:水で予洗いをする
目立つ大きな汚れ(大きめの小石や泥など)を水で落とします。水量はあまり強くせず、メーターパネルやマフラーなどに水が入らないようにします。気になる人はマスキングテープや養生テープで鍵穴やマフラーエンドを保護しておくと良いでしょう。
2:バイクを水洗いする
バイク全体を上から下の順に水で濡らしていきます。車体に付いた砂、ほこりなどの汚れをしっかり落とします。
3:洗剤で洗う
バイクに泡立てた洗剤をつけてスポンジでやさしく洗います。よく泡をバイク全体に広げて汚れを浮かせてから、スポンジでこするのではなく、泡で洗うイメージです。
上から下の順に洗いますが、ホイールやエンジン周りの汚れがひどい時には先に洗いましょう。
スポンジは、ホイール周りとボディとで変えることをおすすめします。
4:水ですすぎをする
すすぎ洗いも上から下の順で行います。洗剤のすすぎ残しはムラやシミになるので、しっかりと洗い流します。
5:車体の拭き上げをする
ウエスなどで水を拭き取っていきます。吸水性が高く、バイクを傷つけないようにするのでマイクロファイバークロスがおすすめです。細かいところや計器まわりなどは念入りに水滴を残さないよう拭いてください。
6:必要であればコーティングやワックスがけをする
撥水効果や艶出し、塗装面の保護も、グッズを使って簡単にできます。
洗車時に気をつけること
バイクが冷えてから洗車する
走行後すぐなど、バイクが熱いうちに洗車をしない車体が熱いままだと、危険なだけでなく、水をかけてもすぐ蒸発して水垢やシミの原因となってしまいます。
マフラーエンドや電装系に水をかけない(鍵穴・メーターパネル・エンジンのプラグなど)
強く水をかけすぎないように気をつけて、基本的には上から下、前から後ろに向かって水をかけるようにします。実際のところ、バイクは雨天時でも走れるので、マスキングや養生が必須ではありません。
ただ鍵穴は水が入って錆びるとキーが回らなくなることもあるので、簡易的に養生テープなどでふさいでおくと安心です。
ボディと足周りでスポンジを分ける
スポンジは2種類を分けることをおすすめします。足回りとエンジンまわり、ボディでは汚れ方が違います。ホイールの砂や鉄粉などがついたスポンジでボディを洗ってしまうと、汚れや傷がついてしまいます。
タイヤの空気圧チェック
タイヤの空気圧チェックも初心者が行いやすいメンテナンスのひとつです。バイクで走行中に唯一路面に触れている大切な部分であり、安全に走るためにも定期的なチェックはとても重要です。
タイヤの空気圧を測るのにはエアゲージが必要です。タイヤのバルブキャップを外し、エアゲージのノズルをバルブに押し当てると、プシュッとなった後に空気圧が表示されます。
タイヤの指定空気圧は、バイクのフレーム・スイングアーム・チェーンガードなどに貼られたラベルに記載されています。
空気圧が指定値より低ければ空気入れで補充し、高ければエアゲージの空気抜き機能で空気を抜きます。エアバルブ中央の突起を押すことでも空気を抜くことができます。空気入れにはコンプレッサーを使う方法がありますが、家庭でも場所を取らず使える、電動でコンパクトな空気入れも販売されています。
チェーン掃除・注油
チェーンを定期的に掃除し注油することで、サビを防ぎ、チェーンの寿命を伸ばすことができます。
目安は500km~1,000km前後走行ごと、また雨天走行した後などとされていますので、自分で基準を決めて行うと良いでしょう。
チェーン掃除に必要なグッズ
メンテナンススタンドまたはローラースタンド・チェーンクリーナー・ブラシ・チェーンルブ・ウエス
クリーナーとルブは、必ずバイク専用の物を使うようにしましょう。バイク専用ではないものを使い続けると、チェーンの寿命を縮めることにつながります。
バイク専用のチェンクリーナーは、Oリングなどゴム製品パーツを傷めず、かつ洗浄能力も高くなっています。バイク専用のチェーンルブは、潤滑性に優れていて、さらに高い吸着持続性があります。
チェーン掃除・注油の手順
1:バイクの後輪を浮かせる
メンテナンススタンド、またはローラースタンドで、後輪を浮かせてタイヤが回せるようにします。
ダンボールやウエスなどを使って、タイヤやホイールなどチェーン以外の部分にクリーナーやオイルがつかないよう養生しておきましょう。チェーン下部分にも受け皿などを置いておくと床が汚れません。
スタンドがない場合でも、時間はかかりますが、少しずつ車体を動かしながら行えます。
2:チェーンにチェーンクリーナーを付ける
手でタイヤを回しながら、チェーンクリーナーを全周に付けます。ウエスに吹きつけてからチェーンの汚れを拭き取るのが基本ですが、汚れがひどい時には直接吹き付けて汚れを落とす方法もあります。
3:ブラシで汚れを落とす
クリーナーのついたウエスで吹きとると、ほとんどのチェーンの汚れは取れます。
ひどい汚れの場合には、チェーンクリーナーを吹き付け、数分おいたらブラシを使ってチェーンの汚れを落とします。あまり力を入れすぎないようにしましょう。
4:洗い流す・拭き取る
汚れを水で洗い流すか、ウエスなどで拭き取ります。チェーンクリーナーには水洗いタイプや拭き取りタイプ、または兼用タイプがあるので、使いやすさや好みによって選んでおいてください。洗い流して濡らした場合には、注油前に数時間のチェーンの乾燥が必要です。
5:注油をする
チェーンの全体にチェーンルブを吹きかけます。チェーンの繋ぎ目や動く場所・外プレートと内プレートの間・内プレートとローラーの間にかかるようにしましょう。タイヤを回しながら、内側・外側と一周ずつ吹き付けると良いでしょう。
その後、軽くチェーンをウエスやタオルなどで拭いて完了です。チェーン両サイドはしっかり拭き取り、上下は軽く抑える程度にします。
初心者にも出来る少しだけ難易度上のメンテナンス3選!
バイクからパーツを一旦取り外す作業があるなど、難易度は上がりますが、できるようになっておくと良いメンテナンスをご紹介します。メンテナンス後には十分な動作確認が必須です。
- ブレーキレバーグリスアップ
- オイル交換
- クラッチワイヤーの注油
ブレーキレバーグリスアップ
ブレーキレバーがスムーズに動くことは、安全なライディングをするためには必須です。定期的なブレーキレバーのグリスアップすることで安全につながり、ライディングでのブレーキ操作にも違いがでます。
ブレーキレバーグリスアップで必要なグッズ
トルクレンチやドライバーなどの工具・パーツクリーナー・万能グリス・ウエス
使用するグリスについて、上記は一例です。何でもCRC5-56で注油するというのはよくありませんし、万能グリスといっても全ての場所に使えるわけではありません。サービスマニュアルを確認したり、バイクショップで教えてもらうなどすることで、より確実で安心できるメンテナンスができます。
グリスについてはこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
ブレーキレバーグリスアップの手順
1:ブレーキレバーを外す
一般的に、ブレーキレバーは1本のピポットボルトで保持されていて、ピポットボルト下部に固定ナットが取り付けられています。ピボットボルトをマイナスドライバーで固定しておき、レバー下の固定ナットをレンチなどを使って緩めてから手で外します。マイナスドライバーで上のピボットボルトをくるくると回して抜き、ブレーキレバーを取り外します。
バイクによりボルトの形状などが異なる場合もあるので、適切な取り外し方をしてください。
2:パーツクリーナーで汚れを落とす
ブレーキレバーと、ブレーキを止めているピボットボルトの汚れをクリーナーで落とします。
ウエスやペーパータオルの上に置いてパーツクリーナーを吹きかけ、浮いた汚れをウエスで拭き取ります。パーツクリーナーを吹きかけたウエスや綿棒などで、ピストンとレバーの接触部分も清掃しましょう。
3:グリスを塗布する
ブレーキレバーの可動部、ピボットボルト、ピストンとレバーの接触部分、ボルトを入れる穴部分にグリスを塗布します。グリスを指で少量とり、ボルト周りや露出している部分に塗ります。
多めに塗るのが良いかと思われがちですが、多すぎとホコリが付着しさらに汚れる原因にもなるので、はみ出たグリスはきちんと拭き取っておきましょう。
4:ブレーキレバーを元どおり取り付ける
ブレーキレバーの穴を合わせて上からピボットボルトを差し込みます。マイナスドライバーでくるくるとボルトを締めます。その後ナットを下から取り付けます。締め込みすぎないように気をつけましょう。
オイル交換
バイクに乗っていれば、エンジンオイルは汚れていきます。エンジンオイルの役割は、円滑、洗浄、冷却、密封、防錆。エンジンオイルが汚れると、エンジンの性能が低下していき、やがてエンジントラブルにつながってしまいます。自分でオイル交換ができれば、コストが押さえられますし、バイクショップまで行く手間がなくなります。
オイル交換に必要なグッズ
トルクレンチ・ソケット
トルクレンチはトルク(ボルトを締め付ける力)を管理することが出来るレンチです。ドレンボルトを締め付ける際に使用します。
バイクや車には重要個所を締め付けるボルトに規定トルクがあり、バイク車種ごとにドレンボルトの締め付けトルクが決められているので、サービスマニュアルを確認するようにしましょう。
オイルジョッキ
オイルジョッキは新しいオイルを入れる時に使用します。オイルジョッキにはメモリが付いているので、何リットルジョッキに移したか分かります。
新品のオイル
エンジンオイルはバイク用で、自分のバイクに合った粘度のものを使うようにしましょう。
4ストローク用か2ストローク用か、JASO規格、ベースオイルなど選ぶ基準がいくつもあるので、わからない時や決まらない時には、バイクショップで聞いてみると良いでしょう。
ドレンガスケット(ドレンパッキン、ドレンワッシャー)
ドレンガスケットは、ドレンボルトとエンジンの間に挟まる輪っか状のもので、ドレンボルトを締め付けていくと潰れてオイル漏れを防いでくれるパーツです。バイクの車種によって適した形状がありますので、自分のバイクに適したものを使用してください。
廃油処理ボックス
バイクから抜いた古いオイルを捨てるのに使います。処理方法は燃えるゴミに出すのが一般的ですが、地域により異なる場合もあるのでそれぞれの場所の処理方法に従うようにしましょう。
オイル交換の手順
1:バイクを置く場所を確保
オイル交換は時間もかかりますし、始めるとバイクを動かすことは基本的にできないので、バイクを置いておける平らな場所を確保しましょう。またオイルが飛び散ったりこぼれたりなどして汚れる可能性も高いので、近くに汚れたら困るものを置かないようにして、汚れても掃除しやすい場所を選びましょう。
オイル交換前に暖気を行っておくと、古いオイルが落ちやすくなります。
2:廃油を受けるボックスを置く
廃油が出てくるドレンボルトのある場所を確認して、その下に廃油処理ボックスをセットします。ドレンボルトは下向き、横向きなどバイクによってついている向きが違いますので事前に確認しておきましょう。
3:ドレンボルトを緩め、外す
レンチなど工具を使い、ドレンボルトを緩めます。指で触って回すことができるようになる程度まで緩めるのですが、一度グッと力を入れて緩めて手で確認すると、指で回るようになっている場合が多いです。
その後は指でクルクルと回し、外れると同時に手を引っ込めて、できるだけオイルがかからないようにしましょう。バイクが熱いと、オイルも熱くなっているのでやけどにも注意が必要です。
ドレンボルトを持ったまま手を引っ込めるのが理想ですが、落としてしまう場合もありえます。その際にオイルが飛び散る可能性もあるので、タイヤ周りや汚したくない床はダンボールなどで保護しておくと良いでしょう。
4:オイルを抜く
ドレンボルトを外すとオイルがボックスに滴り落ちてくるので、落ちきるまで待ちます。待っている間には、オイルがついたドレンボルトをウエスで拭いて綺麗にしたり、新しいガスケットに交換したり、入れる新しいオイルの準備をしたりすると良いでしょう。
5:オイルを入れる
古いオイルがもう出てこなくなったら、ドレンボルトを締めます。最初は手で取り付けてクルクルと回し、その後トルクレンチを使用して締めます。しっかり締めたら、オイルキャップから新しいオイルを規定の量だけ入れましょう。
6:オイル量を確認する
オイルを入れた後、オイル窓を見たりゲージを使うなどして、オイルの量を確認します。
オイルを窓から確認する際にはバイクを真っ直ぐに立てる必要がありますから、バイクスタンドを使うか、誰かに手伝ってもらうかなどしてください。確認後には暖気をして、オイルを行き渡らせましょう。
クラッチワイヤー注油
バイクには様々な部分にワイヤーが使われていて、クラッチワイヤーをはじめとして、スロットルワイヤーやブレーキワイヤーなど、さまざまな部分にワイヤーが使われています。
油圧式のクラッチもありますが、ワイヤー式と比較してもそれぞれに長所と短所があり、ワイヤー式が使われているバイクは多く、スーパースポーツバイクでもワイヤー式クラッチが使われています。
昔からあるワイヤー式のクラッチは、ワイヤー注油などのメンテナンスが必要であり、またワイヤーが摩耗や劣化などすれば交換しなければなりません。
クラッチワイヤーはバイクに乗る時に操作する頻度が多い部分です。定期的に注油をしないと、徐々に動きが悪くなり、重く感じるようになってきます。
クラッチワイヤーの注油で必要なグッズ
ワイヤーオイル・ワイヤーインジェクター・万能グリス・工具(クラッチレバーを外す用)・キッチンペーパーやウエス
クラッチワイヤー注油の手順
1:クラッチレバーを外しワイヤーだけの状態にする
工具を使いクラッチレバーを外します。クラッチ付け根の円盤型ロックネジを調整側に寄せてから調整ネジをレバー側に締めこんだ後、切り欠き部分があるのでそこからワイヤーを抜き出します。
ワイヤー先端のタイコという部分でクラッチレバーと接続されているので、取り外します。
クラッチレバーやワイヤーの取り外しについては車種ごとに違いがあるので、サービスマニュアルを確認するなどして、適した外し方をしてください。
2:ワイヤーインジェクターを取り付ける
ワイヤーインジェクターは、ブレーキやクラッチのアウターワイヤー内に潤滑油を注入することができる専用工具です。アウターワイヤーの口部分についている小さいカバーを外しておきます。
ワイヤーインジェクターの穴が大きい方をバイク側にして、割れている部分にワイヤーを挟み入れ、ネジを締めて固定します。
インジェクターがない場合には、直接アウターワイヤー内にスプレーノズルを差し込んで注油する方法となります。ノズルが細いものでないと入りませんが、うまくスプレーできればインジェクターなしでも行えます。
3:出口にウエスをあてる
バイク本体側のワイヤーの出口部分には汚れや古い潤滑剤が出てくるので、ウエスなどを当てておきます。
4:注油する
潤滑剤を注入口からスプレーして注油していきます。ノズルはワイヤーインジェクターの注入口の径が合ったものでないと、入らなかったり漏れたりします。多少は漏れがあるので、ウエスやペーパーなどを注入口やワイヤーインジェクターの周りに包んで当てておくと良いでしょう。
出口部分から潤滑剤がでてきたらOKです。注入したら、ワイヤーを押し引きして潤滑剤を行き渡らせます。
5:ワイヤーとクラッチレバーを戻す
先にワイヤーをレバー取り付け、それからクラッチレバーをバイクに取り付けます。つける前に、クラッチレバーのボルトや稼動部にもグリスを塗っておきましょう。
簡単なメンテナンスから始めてバイクをもっと好きになる!
バイク初心者からでも、作業が単純で、とっつきやすくやりやすいものから始めれば、メンテナンスはどんどんできるようになります。
最初は誰か経験者と一緒に作業をしたり、バイクショップのスタッフに確認してもらったりすると安心です。難しいと感じたメンテナンスは、いきなり一人で行わないようにしましょう。何度か経験者にメンテナンスの行程を見せてもらってから、実際に自分で行うのがわかりやすくイメージしやすいのでおすすめです。
難易度の高い作業は、無理をせず潔くバイクショップにお任せすることも大切です。
メンテナンスは簡単なものでも、行うことで安全なバイクライフにつながります。少しずつでもできるようになれば、バイクで出かけた時はもちろん、バイクに乗っていない時も楽しめるようになり、さらにバイクに愛着がわきますよ!
投稿者プロフィール
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GPZ750R改に乗っているねこにんじゃと申します。
ライターでイラストレーターです。
「おすすめグッズを知りたいけど面倒だから誰かまとめて」
「整備について知りたいけど難しいから簡単に知りたい」
などなどのバイクライダーの希望をかなえます。
バイクライフがより楽しくなるような情報を、できるかぎりわかりやすくお届けしていきます。
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