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Moto Connect(モトコネクト) > 記事 > コラム > 知識 > 【元バイク屋が解説】DOHC?4気筒?世界一わかりやすいエンジンの基本
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【元バイク屋が解説】DOHC?4気筒?世界一わかりやすいエンジンの基本

バイク大好きフォアグラさん
最終更新日 2022/11/11 15:44
バイク大好きフォアグラさん
Published: 2022年11月13日
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はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。

目次
  • 気筒数ってなに?
  • 気筒数と馬力の関係
  • エンジンの冷却方式について
  • バルブ駆動方式とバルブ数について
  • エンジンフィーリングに直結!ボアストローク比
  • 車には効果的だけど、バイクにはNGなコト
  • まとめ

皆さん、よく単気筒とか2気筒とか4気筒6気筒なんて言葉を聞きますよね?
それ、何となくわかったふりして、実はよく説明できないなんていうことはありませんか?
そして気筒数が増えると馬力が上がるのは当たり前のように言われていますが、それがなぜなのか理解していますか?
今回はそんなエンジンの基本や疑問についてお答えしようと思います。

エンジンって車やバイクの心臓と呼ばれるくらい大事なパーツなのに、何だか難しそう複雑そうで、気筒とかDOHCとカムとかバルブ数とか水冷と空冷とか、もう「なんだか難しくて嫌!」と、うやむやにしてきた方多いと思います。
この記事でこれらの疑問をスッキリ解決、世界で一番わかりやすく解説していくので、しっかり最後までついてきてくださいね。

気筒数ってなに?

ではまずエンジンの基本の一つ、気筒ついて解説です。
この気筒というのはエンジンのシリンダーのことで、気筒数というのはシリンダーの数を示しています。そもそも「シリンダーってなんだよ?」って思う方もいるでしょう。

エンジンというのは、このシリンダーと呼ばれる筒の中を、ピストンが上下しています。

引用元:イラストで簡単!バイクのしくみ構造入門

このピストンが上下することで、ピストンにつながっているクランクシャフトと呼ばれる棒が回転し、この回転力がギアやチェーンを介してホイールを回転させて、バイクを走らせているのです。

このシリンダーやピストンには大きさがあって、それがいわゆる排気量と呼ばれるものです。バイクなら250ccとか400cc、軽自動車なら660ccとか、これが排気量です。
400ccを例に挙げると、実は400ccでも400ccのシリンダーが一つのものと、100 cc のシリンダーが4つのものがあり、これらはどれも400ccのエンジンになります。

引用元:イラストで簡単!バイクのしくみ構造入門

400ccのシリンダーが一つのものが単気筒、200ccのシリンダーが2つのものが2気筒、100 cc のシリンダーが4つのものが4気筒です。厳密に言えば少し違うのですが、ここでは分かりやすく説明するためにこのような言い方をしています。ご了承ください。

ではこのシリンダー、つまり気筒の数が変わるとどのような変化があるんでしょうか?
数が増えるほど、基本的にはフィーリングが滑らかになり、高回転まで回る高性能なエンジンになります。単気筒だとドドドっという感じにります。

単気筒はひとつの大きなピストンがひたすら上下し続けるだけなので、大きな振動が発生します。4気筒だとバイクのレース等でよく聞く様なヒュンヒュンにした音ですね。1/4の大きさしかない小さなピストンが4つ、細かい間隔で上下し続けるので滑らかになるのです。

ただしハーレーのようなアメリカンバイクは2気筒でありながらV型にすることで、あえてドコドコとした鼓動感を表現しています。バイクのように趣味性が高いものだと、滑らかで振動がないものが必ずしも正義ではなく、ハーレーのような味わいを好む人も多いのですね。そしてこの気筒数が多くなるほど滑らかになるだけでなく、馬力も上がるというメリットがあります。

気筒数と馬力の関係

馬力と一緒に考えなければならないもの、それはトルクです。よく馬力とトルクの違いがわかってないって方が多いのですが、トルクというのは回転をさせようとする力で、馬力というのはその力で何回まわして、どれだけの力になったという仕事量、仕事率のことをいいます。自転車で言うとペダルをこぐ力がトルク、馬力はそれを何回まわしたかということ。つまり馬力というのはトルク×回転数なのです。これ知らなかった人多いのではないでしょうか?

関連記事:
https://moto-connect.com/?p=19568

では馬力を上げるためには、トルクを大きくするか回転数を増やすということになりますよね。
しかし残念ながらエンジンのトルクは、ほぼ排気量に依存します。高性能なスポーツバイクでもそうではないバイクでも、排気量が同じならトルクというのはあまり大きく変わりません。しかし回転数は気筒数を増やすと大きく上げることができます。

400cc単気筒のSRは6,500回転で24馬力であるのに対して、排気量は同じですが4気筒のCB400 Super Four は11,000回転で倍以上の56馬力を発生させます。もちろん気筒数だけでエンジンの性能が決まるわけではありませんけれども、非常に大きな影響を与えるってことはご理解いただけたかと思います。

では気筒数が多ければ多いほど高性能で優れたエンジンなのかというと、決してそうではありません。
気筒数が増えると高出力を得られる反面、大幅な重量増加や、エンジンの幅が大きくなってしまうというデメリットがあります。大切なのは軽さを求めるのかパワーや快適性を求めるのか、そのバイクの使い方や、目的によってベストの気筒数が変わってくるということです。

また気筒数が増えると価格も高くなってしまいます。商品設計としてのバランス、自分のバイクの使い方や予算に応じて、ベストな選択肢というのを考えてみたいですね。

エンジンの冷却方式について

ここからは気筒数以外にもエンジンの性能に影響を与える要素について解説をしていきます。まずはエンジンの冷却方式について。

冷却方式には大きく水冷と空冷があり、一部のバイクでは油冷という方式があります。
エンジンとは、内部で常にガソリンを含んだ混合気が燃焼・爆発し続けているわけですから、非常に高温になります。ですのでこのエンジンを冷却させないと、本来設計された性能を発揮できなくなってしまいます。この冷やし方の違いが水冷・空冷・油冷というわけです。

引用元:cliccar

水冷は読んで字のごとく水、つまり冷却水を循環させてエンジンを冷やす最も効率的で、現代の車やバイクのほとんどはこの方式です。

空冷というのは、走行による風をエンジンやオイルクーラーと呼ばれるパーツに当て、エンジンを冷やします。当然、水で冷やすよりも冷却効率は悪いのですが、構造が単純なため部品点数が少なく、コストを抑えることができ、修理も簡単です。

そして油冷。油で冷やすとは言いつつも、空冷と大きくは変わりません。エンジンオイルを循環させる際、熱くなりやすい部分に積極的に当てたり、空冷よりも大きなオイルクーラーがついていたり、空冷だけどエンジンオイルをより積極的に使ってエンジンを冷やそうという設計がされているものいいます。

これが水冷、空冷、油冷の違いです。

バルブ駆動方式とバルブ数について

まずバルブというのはエンジンの燃焼室のフタであると思ってください。このフタがあることでガソリンを含んだ混合気を燃焼爆発させた時に圧力をピストンにかけることができて、動力を取ることができます。逆に燃焼が終わった後に排気を行う際には、排気側のバルブが開き、燃焼し終わった燃えカスを外に出してくれます。これから燃焼に使う新しい空気を取り込んでくれるのは吸気側のバルブです。

引用元:ヤマハ公式サイト

これらのバルブを適切なタイミングで開閉させなければならないのですが、その仕組みがOHCやDOHCといったバルブ駆動方式です。

ハーレーなど一部のバイク以外は、車もバイクもほぼこのOHC(オーバーヘッドカムシャフト)かDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)ですね。OHCについてはシングルのSをつけてSOHCと表記される場合もありますが、意味は同じです。

これらのバルブを適切なタイミングで開閉させなければならないのですが、その仕組みがOHCやDOHCといったバルブ駆動方式です。

引用元:cliccar

ハーレーなど一部のバイク以外は、車もバイクもほぼこのOHC(オーバーヘッドカムシャフト)かDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)ですね。OHCについてはシングルのSをつけてSOHCと表記される場合もありますが、意味は同じです。

OHCは一つのカムシャフトで吸気側と排気側のどちらのバルブも駆動させています。それに対しDOHCは吸気側と排気側のそれぞれのバルブを、独立させた2つのカムシャフトで駆動させています。そのためOHCに比べて給排気のタイミングの自由度が高く、回転数に応じて最適なタイミングでの開閉が可能となり、より高回転高性能な設計が可能になります。そしてバルブ数というのはこの吸気バルブと排気バルブの数を言います。基本的にはこの数が多いほど給排気の効率が良く高性能エンジンであることが多いです。

ほとんどすべての車やバイクは2バルブか4バルブです。
2バルブは吸排気1つずつのバルブ、4バルブは吸排気各2バルブです。
まれに3バルブや5バルブなんという車種もあるのですが、3バルブは吸気が2つ排気が1つ、5バルブは昔のヤマハや三菱のスポーツ車の一部使われていましたけれども、技術の進歩により大したメリットがなくなってしまって、今ではその姿を見なくなりました。
時々16バルブなんていう表記を見かけますけれども、これは超高性能なエンジンというわけではなく、4バルブ×4気筒という意味で、1気筒あたり4バルブということになります。

エンジンフィーリングに直結!ボアストローク比

気筒数やバルブ駆動方式にはすぐこだわる人が多いのですが、実は割とノーマークがボアストローク比で、これも凄く重要です。フィーリングも大きく変わるし、性能にも直結しますが、意外と見落とされがちなのでお伝えしておきましょう。

まずボアとストロークということを理解しましょう。
ボアというのはシリンダーの内径のことです。そしてストロークというのはピストンの行程。この比率のことをボアストローク比と言います。

引用元:JAF公式サイト

このボアとストロークが全く同じ1:1のエンジンをスクエアストロークといって、ボア の方が大きくストロークが短いものをショートストローク、その逆をロングストロークと言います。

例えば同じ250ccの2気筒同士であっても、CBR250RRといったスポーツタイプと、ドラッグスターのようなクルーザータイプではボアストローク比が大きく異なります。
CBRはボアが62mm、ストロークが41.3mmに対して、ドラッグスターはボアが49mm、ストロークが66mmとほぼ逆転しています。
ショートストロークのエンジンは高回転型、つまりスポーツ寄りになります。
この記事の前半で述べた様に、馬力はトルク×回転数なので、高回転まで回せるということは、同じトルクであった場合に、より高い馬力を得られるということになります。

ですので例に挙げたCBRはボアよりもストロークの方が短いショートストローク型で、高回転まで回すことができる高出力のエンジンと言えます。
逆にロングストロークのドラッグスターのエンジンは低回転に重きを置いたトルク型で、のんびりとドコドコと走るのに適した、燃費の良いエンジンとなります。

どちらが優れていると言うわけではなく、自分が求めている性能やフィーリングとマッチしているかを判断するのに、このボアストローク比というのは大変有用な指標となります。

例えばホンダのレブル250はアメリカンクルーザー的なスタイリングですが、エンジンはCBR250Rの流用で、ボア76mm×ストローク55mmと完全にショートストロークのスポーツタイプのエンジンです。このバイクは実際にハンドリング性能も高く、その見た目とは裏腹に意外と走れるのですね。
このようなことからも、アメリカンのドコドコとしたフィーリングのバイクが欲しいと考えているのなら、レブルはそのようなニーズにはマッチしていないと考えられ、購入を回避することができます。

レブルについては過去の記事で、このエンジンだけではなくキャスター角という点にも触れ、その独特な特徴についてしっかり解説してます。興味があるという方は、こちらもご覧になってください。

関連記事:
https://moto-connect.com/?p=12939

車には効果的だけど、バイクにはNGなコト

ここではクルマとバイクのエンジンの構造的に決定的に違うこと、そこから考えられるバイクのエンジンにだけ絶対やってはいけないことをお伝えします。それはオイル添加剤の使用です。

ではなぜオイル添加剤をバイクのエンジンに入れてはいけないのか?それは車と違って、バイクのエンジンオイルはギアオイルも兼ねているからです。

車はエンジンとトランスミッションは別々で、エンジンオイルの他にオートマチックフルードやCVTフルード、マニュアル車であればギアオイルを別に使用します。ですのでエンジン内の摩擦を減らすことで、より性能を発揮できるわけなので、滑りをよくするモリブデンなどのオイル添加剤を入れることはとても効果的です。

それに対しバイクの場合は、エンジンに滑りを良くする添加剤を入れてしまうと、エンジン部分に対して良くても、クラッチ滑りを起こしてしまいます。

確かに車と同じようにピストンとシリンダーは摩擦などを軽減させることはできるのでしょうが、同時にクラッチも滑らせてしまって、その動力を伝える過程で大きなロスを生んでしまいます。バイクのエンジンオイルの難しさは、ピストンの動きを滑らかにさせる潤滑性とクラッチの摩擦力の維持、この両立にあります。
ですので、安いからといって四輪用のエンジンオイルや四輪用のオイル添加剤はバイクには入れてはいけません。バイクのエンジンオイルが高いのはこのような理由もあるのです。

関連記事:
https://moto-connect.com/?p=611

もちろんスクーターや、オイルによる潤滑を行っていないごく一部の乾式クラッチ車であれば問題ないと思いますけどね。
バイクに安心して使えると謳っているオイル添加剤はスーパーゾイルですね。丸山モリブデンという商品もバイクに使えると聞きますけれども、自分は実際に使用したバイクを触ったことがないので、何とも言えません。

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まとめ

というわけでエンジンについて解説をしてみました。気筒数と馬力の関係から始まって、冷却方式、バルブ駆動方式、ボアストローク比、車には効果的だけどバイクには絶対NGなことと、かなり情報を詰め込んだ記事になりましたが、今までなんとなくわかってそうでわかってなかったことがスッキリしましたか?

今回の記事は下記の動画で詳しく解説していますので、こちらも是非ご視聴ください。
それでは今回も最後までご視聴いただきありがとうございました。

投稿者プロフィール

バイク大好きフォアグラさん
元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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