今日も元気にハイオク満タン入ります!元バイク屋のフォアグラさんです。
レギュラー仕様の車やバイクにハイオクガソリンを入れている人ってたまにいますが、それってどんなメリットがあるのでしょう?
そもそもレギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いって何なのでしょう?
今回はそんなガソリンのお話です。
結論から言ってしまえは、レギュラーガソリン仕様車にハイオクガソリンを入れるメリットは有りません。パワーアップもしません。
ですが逆にハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れるのは厳禁です!
それはなぜなのか?最後までお読みいただくことで、その理由もスパっと理解することができます 。少し小難しい話も出てきますが、最後までお付き合いください。
それでは始めましょう!
エンジンのしくみについて
今回この話をする上で、最低限エンジンのしくみについても理解する必要があるので、まずはそのことについて簡単に説明します。
現在、車やバイクに使われているエンジンは、そのほぼすべてが4サイクルエンジンと呼ばれているもので、出力を得るために 4つの行程が行われるエンジンです。その4つとは吸気、圧縮、爆発(燃焼)、排気です。
最初は吸気。
注目してほしいのは、ピストンと左側の吸気側バルブ、右側の排気側バルブです。
ピストンが下がると、吸気側のバルブが開きます。
すると、このシリンダーの中に混合気というガソリンと空気の混ざったものが吸い込まれて充満します。
ピストンが下がりきり、混合気を取り込んだら吸気バルブは閉じて、今度はピストンが上がって圧縮が始まり、この混合気の体積を小さくします。そして点火プラグが火花を飛ばすことで混合気を爆発(燃焼)させます。
すると今度は、その爆発した力でピストンが押し下げられます。
爆発後のシリンダー内にあるのはガソリンの燃えカスです。もうこれは使えませんから排出して、新しい混合気を取り込まなければなりません。
爆発で押し下げられたピストンが、その反動でまた上がってきます。その時に右側の排気バルブが開いて、シリンダー内の燃焼済ガスを排出するのが排気です。
その後、燃焼済のガスはマフラーを通って外に排出されます。
これで4つの工程が全て終わりました。
排気が済むとピストンが下がって、また新しい混合気が取り込まれてということを繰り返します。そしてピストンが上下することでクランクシャフトを回転させ、トランスミッションやチェーンを介してバイクを走らせるというわけです。
非常に簡単な説明ですが、これがエンジンの動くしくみです。
では、このことを頭に入れていただいた上で、本題のレギュラーとハイオクの違いについて説明をします。
レギュラーとハイオクの違いについて
レギュラーとハイオクの違いを一言で言うとオクタン価です。
規格ではレギュラーはオクタン価が89以上、ハイオクは96以上と定められています。この違いを簡単に説明すると、ハイオクはレギュラーに比べて燃えにくいのです。
ハイオクの方が燃えそうなイメージ持っている方も多いでしょう。ハイパワーなスポーツカーは大体ハイオク指定ですし、お買い物用の軽自動車などはレギュラー指定ですが、これは本当です。
そこで思い出してほしいのが、エンジンの4つの工程のうちの圧縮です。
ガソリンと空気が混ざった混合気を圧縮して、ピストンが上がってきたらプラグで着火して爆発させ、ピストンを押し下げることで動力が発生します。この爆発力に大きく影響するのが圧縮比です。
圧縮比が高いほど、混合気をより小さくギュッと圧縮していると考えてください 。
もともと大きな体積の混合気を小さく圧縮して爆発させるので、圧縮比が高いほどピストンを押し戻す力が大きくなる傾向になります。つまり、よりパワーが出るということです。基本的な考え方として圧縮比が高い方が、より高出力のエンジンとして設計しやすいわけです。
そしてここが今回のポイントです。
混合気は圧縮をすればするほど、シリンダー内の温度が上がります。しかし温度が上がりすぎるとプラグで点火する前に自己発火、つまり勝手に爆発してしまいます。そうすると上がっている途中のピストンが、自己発火による爆発で逆回転しようとします 。これが異常燃焼です。異常燃焼を起こすとパワーが出ないばかりか、エンジンにも大きなダメージを与えます。
ハイオクはレギュラーより燃えにくいので自己発火しにくく、より高い圧縮にも耐えらます。これが高圧縮比でパワーを出したいエンジンにハイオクが使われる理由です。逆にレギュラーはハイオクより自己発火しやすい為、高圧縮比のエンジンには耐えられません。ただし一概に「レギュラー仕様=圧縮比」が低いというわけではなく、あくまで一般論の話です。
ハイオクとレギュラーの違いについてご理解いただけましたか?
では次に、レギュラー仕様車にハイオクを入れたらどうなるか?どういうメリットがあるのか?ということについてです。
レギュラー仕様車にハイオクを入れる意義
最初に結論を言うとあまりメリットもありませんが、問題もありません。
レギュラーでも自己発火しない圧縮比の低いエンジンでは、当然もっと燃えにくいハイオクも自己発火はしないので、わざわざハイオクを入れる必要はありません。厳密に言うと、一部のレギュラー仕様車にハイオクガソリンを入れることで、若干パワー効率が良くなる場合もあるらしいのですが、基本的に無意味と考えてください。
ただし、レギュラー仕様でも冷却性能の低い空冷エンジン等では、エンジンが高熱になりやすい状況の走行時においては、ハイオクを入れることで自己発火を防ぐことができます。
冷却性能が低いバイクに乗っている方で、暑い時期や急な上り坂、渋滞した道路ではパワーが出ないと感じる場合、ハイオクを入れることで解決できる場合もあります。
逆にハイオク仕様のエンジンにレギュラーを入れると異常燃焼を起こしてしまいます。現在のエンジンの多くにはノックセンサーというものが付いていて、 極力異常燃焼が起こらないようにしています。しかし本来のパワーも出ず調整にも限度はあるので、絶対にハイオク仕様のエンジンにレギュラーは入れないでください。
よく言われるのが、ハイオクにはエンジンをきれいにする洗浄剤が入っているということです。確かに入っているようですが、それがどの程度のものかはわかりません。レギュラーとハイオクでは1リットル当たり10円ぐらい差がありますから、その差額でガソリン添加剤を買った方がよほど効果的ではないかと思います。
今回の結論
・レギュラー仕様車にレギュラーガソリンを入れるべし 。
・エンジンのコンディション維持を目的にハイオクガソリンを入れるくらいなら、別に添加剤を買って入れるべし。
ということで納得いただけたでしょうか?
今回の記事は下記の動画でも詳しく説明していますので、是非ご覧ください。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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