あんなカスタムやこんなカスタム、自分のバイクを理想の形に仕上げていくのは楽しいなぁ。でも、どこまでOKでどこからが違反なんだろう??
バイクのカスタムって、やり始めると止まらなくなるんですよね。
でも、みんながやってる、どこでもやってくれるから、車検不適合のカスタムをついついやってしまっていませんか?
違法カスタムは、検挙されれば罰則もある立派な犯罪です。
今回は、よく見る違法カスタムを3つ紹介していきますので、もしやってしまっていたら正しく整備して安全なバイクライフを送りましょう!
逆にどう見てもNGなカスタムでも合法となるケースもあるので、是非最後までお読みください。
不正改造の罰則
不正改造車の使用者、不正改造の実施者に対して刑罰が科せられます!
自動車は、自動車の安全・環境基準である保安基準に適合していなければ公道を走行してはならないと法律で定められています。
不正改造とは、自動車又はその部分の改造、装置の取り付け、取り外しその他これらに類似する行為のうち、それによって自動車が保安基準に適合しなくなる改造のことです。
保安基準に適合しなくなるような自動車の改造、装置の取り付け、取り外し等は、『不正改造行為』です。
違法改造を施した『実施者』には6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。(道路運送車両法第99条の2、第108条)
道路運送車両法第54条の2によれば、保安基準に適合しない車両の使用者に対し必要な整備を行うことを命じることができるとされています。
整備命令が発令された場合は必要な整備を行う必要があり、整備命令に従わない場合は、車両の使用停止命令や50万円以下の罰金の対象です。(道路運送車両法第54条の2、第108条、109条)
カスタムの王道【社外マフラー】
マフラーといえばカスタムの定番ですよね♪
しかし、排気騒音の規制があり、知らず知らずのうちに法律を犯しているかもしれません。
平成22年4月1日以降の生産車、輸入車に装着するアフターマフラーには近接騒音基準に加えて、加速走行騒音基準への適合が必要になりました。
近接排気騒音法基準値(移行期日) | |||||
---|---|---|---|---|---|
平成10年規制以前 | 平成10年規制 | 平成13年規制 | 平成22年規制 | ||
原動機付自転車 | 第一種原付車 (~50CC) | 近接 95dB(A) | 近接 84dB(A) 新:H10.10.1 継:H11.9.1 輸:H12.4.1 | 近接 84dB(A) | 近接 84dB(A) 加速 79dB(A)新:H22.4.1 継:H22.4.1 輸:H22.4.1 |
第二種原付車 (50~125CC) | 近接 95dB(A) | 近接 95dB(A) | 近接 90dB(A)新:H13.10.1 継:H14.9.1輸:H14.9.1 | 近接 90dB(A) 加速 79dB(A)新:H22.4.1 継:H22.4.1 輸:H22.4.1 | |
二輪自動車 | 軽二輪自動車 (125~250CC) | 近接 99dB(A) | 近接 94dB(A)新:H10.10.1 継:H11.9.1 輸:H12.4.1 | 近接 94dB(A) | 近接 94dB(A) 加速 82dB(A)新:H22.4.1 継:H22.4.1 輸:H22.4.1 |
小型二輪自動車 (250CC~) | 近接 99dB(A) | 近接 99dB(A) | 近接 94dB(A)新:H13.10.1 継:H15.9.1 輸:H15.9.1 | 近接 94dB(A) 加速 82dB(A)新:H22.4.1 継:H22.4.1 輸:H22.4.1 |
- 近接:近接排気騒音
- 加速:加速走行騒音
- 新:国産新型車(国産新型車期日以降に型式認定を受けた新型車)
- 継:国産継続車(国産新型車期日以前に型式認定を受け、国産継続車を超えて生産される継続生産車)
- 輸:輸入車(輸入車期日以降に生産された輸入車)
騒音規制値引用元:一般社団法人全国二輪車用品連合会HP
マフラー交換をするときには、JMCAマークやEマークがついているものであれば問題ありません。
※ただし、マフラーに触媒が内蔵されている仕様のものは、触媒内蔵マフラーであることの証明書が必要
しかし、経年劣化で音量が上がり、規制に適合しなくなることもあります。
そうなったら(そうなる前に)適合品と交換しましょう。
規制に適合していない不正改造車には【整備不良】や【消音機不備】として違反点数と反則金が課せられます。
注意
【整備不良の罰則】
- 違反点数2点
- 反則金7,000円(原付は6,000円)
【消音機不備の罰則】
- 違反点数2点
- 反則金6,000円(原付は5,000円)
( )にもある通り、原付にも騒音規制値は定められています。
車検がないからと言って何でも自由にカスタムできるわけではないので注意してください。
毎年6月は、不正改造マフラーの取締強化月間となっています。
捕まらなければいいというわけではありませんが、6月のツーリングまでには車検対応(規制適合)マフラーに交換しておきたいところです。
リア周りをすっきりと【ナンバープレートの位置】
ナンバープレートの取付け位置もカスタムする上ではちょっとしたポイントになりますよね。
フェンダーレスでベタ付けにしてあるバイクや、サイドナンバーのアメリカンなんかをよく見かけます。
ですが2021年10月1日から(割と最近ですね!)ナンバープレートの取付け基準が厳しくなりました。
違反した場合の罰則は、違反点数2点に50万円以下の罰金です。←かなり痛い!(>_<)
道路運送車両法には以下のように記されています。
(車両番号標の表示の義務等)
第七十三条 検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は、国土交通省令で定める位
置に第六十条第一項後段の規定により指定を受けた車両番号を記載した車両番号
標を表示し、かつ、その車両番号を見やすいように表示しなければ、これを運行の用
に供してはならない。
(罰則)
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 (前略)、第十九条、・・・・・第七十三条第一項・・・・の規定に違反した者
今回ご紹介する規制の対象車は、2021年10月1日以降に「初めて」登録・検査・使用の届け出を受ける車体です。
純正のままであれば、基準に適合していなくても違反とはなりません。
ただし、カスタムしてナンバープレートをいじってある場合には取り締まりの対象となることがあります。
今回明確に禁止されたナンバープレートの表示方法は以下の通り。
禁止事項
- ナンバープレートカバーは無色透明でも取付け禁止
- ナンバープレートの回転禁止
- ナンバープレートの被覆禁止
- ナンバープレートの折返し禁止
また、これまでは『その車両番号を見やすいように表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。』とだけ定められていましたが今回から向きや角度が具体的に決められています。
バイクのナンバープレートに関する部分だけ抽出すると、以下の項目が義務付けられています。
- 上下角度:上向き40°~下向き15°
- 左右角度:左右ともに0°
- 回転角度:水平
- ナンバープレートへの被覆・汚れ・物品の取付けは禁止
- ナンバープレートへのフレームの取付けは禁止
- ボルトカバーは直径28㎜以下で番号にかからないもの、厚さ9㎜以下のもの、脱落の恐れがないもの
- 確実に取り付けられていること
- 折り返されていないこと
- 表裏・上下が逆さでないこと
- 番号の識別に支障が生じないこと
ご自身のバイクをよく確認して、違反項目があれば是正しておきましょう。
すっきりおしゃれに【ウィンカーカスタム】
ウインカーもカスタムの定番ですね。
クリアレンズ、スモークレンズ、ミニウインカーなど、カスタムパーツも豊富です。
ウインカーの保安基準
- 発行色は橙色(オレンジ色)のみ
- 光源のワット数は10W以上60W以下
- 照明部の面積は7平方cm(500円玉程度)以上
- 発光面中心より内側20度、外側80度から視認可能
- 毎分60回~120回で一定の周期で点滅すること
- フロントウインカーの内側同士が240mm以上離れていること
- リアウインカーの発光面の中心が150mm以上離れていること
- 車両中心面に対して対称の位置に取り付けられていること
- 照明部の中心は地上2.3m以下となるように取り付けられていること
ウインカー一つとってもこんなにたくさんの項目が定められています。
ただし、【Eマーク】がついているウインカーであれば、上記の基準を満たしていなくても適合品として扱われます。
照明部の面積が7㎠ないような小さなウインカーでも取り付けて問題ありません。
ただし、製品自体が基準に適合していても、取付方法に問題があれば車検に通らないということを忘れないでください。
ご自分でカスタムするときには法で定められた基準を満たすように気を付けましょう。
構造変更であの背もたれ付きシートが合法化できることも?
カスタムして車検証の記載と相違が生じた場合、構造変更を届け出ることで問題を解決できることがあります。
極端な話、違法感しかない暴走族の三段シート(背もたれの付いたシート)も以下の範囲内の高さで、構造変更検査に合格していれば「合法」という事になります。(まぁそんなバイクは結局その他の部分が違法な事がほとんどですが…。)
構造変更申請が必要な車体の変更内容は次の通り。
構造変更が必要な内容
- 車体の長さが3㎝以上変わった場合
- 車体の幅が2㎝以上変わった場合
- 車体の高さが4㎝以上変わった場合
- 車両の重量が50㎏以上変わった場合
- 乗車定員が変わった場合
- エンジンの乗せ換えやボアアップを行った場合
- フレームの加工などによって強度が変わった場合
上記のような場合には、構造が変更されてから15日以内に申請を出さなくてはいけません。
また、構造変更検査に合格すると、そこから2年後が車検の満了日になります。
次回車検までの日数は無効になってしまうのでカスタムする場合には車検前15日以内に作業して、車検時に合わせて申請するといいでしょう。
まとめ
以上、違法カスタム3パターンと違法改造による罰則について解説してきました。
自動車は、『自動車の安全・環境基準である保安基準に適合していなければ公道を走行してはならない』と法律で定められています。
『不正改造』の実施者には、『不正改造行為』として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
また、使用者に対しても『整備命令』を発令することができる、とされており、従わない場合は『車両の使用停止命令』や『50万円以下の罰金』の対象です。
ただ、カスタムによる車体の変更内容によっては『構造変更申請』を行うことで取り締まりを回避できます。
構造変更申請は、改造を施した日から15日以内に申請する必要があるので、車検直前にカスタムして車検時に合わせて構造変更申請をしてしまうのがいいでしょう。
違法カスタムは、検挙されれば罰則もある立派な犯罪です。
みんながやってる、どこでもやってくれる、からと言って車検不適合のカスタムをしないように注意しましょう。
モトコネクトでは他にもバイクのルールに関する記事が公開されているので、ぜひチェックして見て下さい!
投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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