はい、元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて今回は中古バイク購入で失敗する人のパターン5+1選について解説をします。
自分はバイク屋さんで働いていた間に数百台の中古バイクを販売してきました。そして購入してもらった後に満足して乗っている方もいれば、そうではない方もいました。そこで感じたのは満足している方のパターンは人それぞれであり、分類することは難しいのですが、満足していない方については大体決まったパターンで失敗しているということです。
他人の成功例を真似して自分も同じように成功するというのは結構難しいのですけど、他人の失敗から学んで回避することは結構簡単なのです。
今回紹介するのは自分が目の当たりにしてきた失敗パターン5つと、バイク屋を退職してから気づいたパターン1つです。それでは早速行ってみましょう。
「バイクを買う」という認識でバイクを買う人
では最初に紹介するパターンの1つ目は、5+1の1からいきましょう。
これは自分がバイク屋を退職してから実感したことです。それは「バイクを買う」という認識でバイクを買ってしまうことなのです。
「何をわけの分からんこと言ってるんだ」と思うかもしれませんが、あなたが買うのは実は、バイクという商品だけではないのです。バイクライフを買うのです。
たとえば「SRが欲しい」と思っている貴方、SRを買って何をするのですか?
ツーリングに行ったり、通勤通学に使ったり、カスタムして楽しんだり。そう!バイクという商品を購入することで、あなたは楽しいバイクライフ体験を手にしているわけです。というより、バイクライフの体験のためにバイクを買うと言えるでしょう。
であれば、バイクを買って何をするのか、何をしたいのかを考えて、買う店選びをしなければなりません。ただ「SRというバイクが欲しい」と考えて、安い個体や自分好みのカスタムが施されている個体を探すようであれば失敗しやすいのです。
たとえばロングツーリングに行きたい人や全国転勤がある人なら、全国どこにでも店舗のあるレッドバロンなどのチェーン店、正規代理店という安心が欲しい人ならYSP、カスタムをして楽しみたいのならSR専門のカスタムショップ、という様にどのように楽しみたいかを考え、そのニーズに合致した店を選ばないと、バイクライフを楽しむことが難しくなってしまいます。
ですので、バイクという目に見える商品だけに囚われては失敗します。このバイク選びの前に、買う店選びというのが非常に重要であるということを覚えといてください。
走行距離で状態を判断する人
これからは自分がバイク屋で働いている中で感じた、中古バイク購入で失敗しがちなパターン5選についてお伝えします。
まず1つ目。それは走行距離で状態を判断することです。確かに走行距離というのは、そのバイクの状態の良し足を推し量る重要なファクターであることに間違いはありません。多く走っていれば、金属部品同士がこすれて摩耗が進んでいたりしますからね。とはいえ、走行距離が多い=状態が良くない、走行距離が少ない=状態が良いということではありません。
ここははっきり言わせてもらいますが、走行距離よりもそのバイクがどのように扱われてきたかということの方が、よっぽど重要です。
3万kmもオイル交換されず、カバーもかけずに放置されたバイクよりも、10万km走っていたとしても、適切にオイル交換が行われ、車庫で保管されていたバイクの方が、間違いなく安心です。
とはいえ売られているバイクを見ても、オイル交換されてきたかどうかなんてことは分かりませんよね?そこで確認する方法をお伝えします。
まずそのバイクは、その売られているお店のお客さんから買い取ったバイクなのか?それとも業者向けのオークションから引っ張ってきた車両なのかを確認しましょう。
お店のお客さんから買い取った車両であれば、点検を受けていたか、オイル交換をしていたか、分かる可能性があります。いわゆるカルテがあるという状態です。お店によっては、車体番号から整備履歴を出すことができたりもします。お店にカルテがなかったとしても、そのお店のお客さんであれば、大事にされていたか適当に乗られていたかくらいは分かるでしょう。
まあ、バカ正直に「雑に扱われてもましたよ」なんていう店員さんはいないと思いますが、大事にされていたのなら自信を持って「このバイクは大事にされていましたよ」とか「前のオーナーさんはバイクに詳しい人ですよ」と言うはずです。セールスポイントになりますからね。
また、見た目から判断するのであれば、外装の状態というのを見てください。
塗装面は日焼けしていないか、メッキ部分に錆はないかといったところです。ちゃんとカバーがかけてあれば、そうそう日焼けはしないし、メッキの錆というのは簡単に落とせるものですから。日焼けがありメッキ部分に深い錆があるという時点で、大事にされてきた個体とは言い難いでしょう。
「大事なのは外装じゃなくて、中身の状態の良さなんだよ」なんて言われることも多いのですが、外装の状態と中身の状態というのは大体比例します。外装の状態がいいということは、大事に扱われてきたということですから。
ですので自分は、走行距離の数字なんかよりも、どのように扱われてきたかを探った方が、後悔することは少なくなると考えます。ただし、いくら状態が良いとは言っても走行距離が多いバイクは、将来売却する際に安い査定がついてしまうので、その点は購入時点から覚悟をしておきましょう。
他人やネットの意見を聞きすぎる人
失敗しがちなパターン2つ目。他人やネットの意見を聞きすぎる人です。
もちろん人の話に耳を傾けるのは大事なことです。ただし、いくらバイクに詳しい人の意見だからと言って、その人が言うことが絶対的に正しいとは限りません。
動画チャンネルを使ってレクチャーをしている自分の意見だってそうですよ。なんならこの記事だってそうです。あくまでこれは自分の意見・考えであり、絶対的な正解なんてことはありません。先ほどの例を上げれば、「バイクの状態は走行距離で判断しよう」という人がいても良いのです。
というのも、バイクというのは趣味性が高いが故、個々のこだわりや好み考え方によって答えは変わってくることが多いのです。絶対的な正解がないものがたくさんあるのです。
例えばCB400SUPER FOURとXJR400。どちらも4気筒400ccクラスの名車ですが、絶対的にどちらが良いバイクなのか、そんなことは断言できません。でも「絶対CBの方が良いよ。当時1番売れたCBにしなよ」と強く推す人もいれば、「水冷なんて味気ないよ。XJRは空冷だし、こっちのが良いに決まってるじゃん」こう答える人もいるでしょう。
YouTubeの試乗インプレッション動画なども、その人の好みだったり、今まで乗ってきたバイクによっても印象は変わってくるでしょう。
また雑誌の記事などでもそうです。プロのライダーによるインプレッションであったとしても、参考程度にとめた方がいいと思います。特に走りの性能やハンドリングの話なんかをされても、一般人が公道で走る上では大した差なんてないと自分は考えます。
先ほども言ったように、バイクは趣味の乗り物です。だからこそ他人の意見に振り回されず、自分が好きなもの、自分が良いと思ったものを選んだ方が、後悔なく幸せになれるはずです。特に現代は、求めればいくらでも情報が出てきてしまいますからね。
バイクの基本性能を全く考えない人
では次3つ目いましょう。中古車購入で失敗しがちなパターン3つ目、それは走る・曲がる・止まるという、バイクの基本性能を全く考えない人 。特に初心者です。
バイクを選ぶにあたり、もちろんかっこよさは大事。自分がかっこいいと思ったバイクじゃないと乗りたくないし、つまらないです。でもやっぱり、最低限の走る・曲がる・止まるという性能は必要です。
以前、コテコテにカスタムされたドラッグスター400を、ハタチ前の若者が買ってくれたことがありました。このドラッグスターはフロントフォークを伸ばしている上に、ローダウン。だからこそ、その見た目を気に入って買ってくれたわけではありますが、お察しの通りとても曲がりにくく、購入直後から何回も転倒していました。仕舞いには嫌気がさして、1年も経たずにローンを清算してバイクを降りてしましまったのです。
気に入ったバイクに乗る、かっこいいと思えるバイクに乗るというのは、とても大事なことではありますが、初心者のうちは走る・曲がる・止まるという基本性能がある程度備わったモデルにしておかないと、楽しいバイクライフを送れなくなってしまうかもしれません。楽しくないくらいであれば良いのですが、事故にも直結するポイントですから、安全上の問題がありそうなカスタムが施されているものは、避けた方が良いでしょう。
これはカスタム車に限らず、体格上不安になるほど大きくて重いバイクなどについても同様です。つい先ほど「自分が良いと思ったものに乗りましょう」とお伝えしましたけれども、やはり安全上問題がありそうなものについては避けた方が良いでしょう。
「お買い得車」を追求する人
失敗しがちなパターン4つ目、それはお買い得車を追求する人です。これ、めちゃくちゃ多いです。もう結論から言ってしまいますが、お買い得車というものは基本的に存在しません。
バイクの販売価格の相場というものはある程度決まっています。業者同士が取引をするオークションもあるわけですから、「この車種でこの年式この走行距離なら、まあ大体このくらいだよね」という感じです。
そこから大きく外れる個体というものは基本的にありませんし、もしあるとすれば、何かしら理由があるはずです。車体価格を安くしてはいるものの、登録手数料を高く設定しているお店であるとか、安売りをするために分かりにくいパーツを交換せずに出している、保証なしの現状販売、そういったことが疑われます。
自分が勤めていた店でも、稀に2桁万円の値引き処分価格にするバイクもあったりしますが、その多くは長期在庫車です。つまり長期間、具体的には2~3年という期間売れなかったバイクです。
年単位で動かしていないバイクですから、決して状態が良いとは言えません。バイク屋に置いてあるとはいえ、長期放置車ですから。もちろん洗車して綺麗にしてあるし、キャブの中のガソリンも抜いてあるので、一般的な放置車両よりはずっと良いですよ。でもやはり、年単位で動かしていないバイクというのは状態が良いわけがありません。
実際にそういったバイクは、ちゃんと整備して納車してからでも、短期間でちょっとしたトラブルで入庫することが多いのです。2桁万円の値引きがされているとはいえ、結局相応の状態になってしまっているということもあるので、やはりお買い得車とは言えないと思うのです。
ですのでお買い得を追求する、極端なお買い得車を探すということは、自ら地雷を踏みに入っているようなものです。
もし少しでもお得に買いたいのであれば、過去記事でも解説をしていますが、バイク用品をおまけしてもらうとか、パーツを付けてもらうとか、残りが微妙な消耗品(タイヤやブレーキパッド)を、ちょっとした追加料金で新品に交換してもらうとか、そういったことがお勧めです。
これらであれば、バイク屋にとって実質的な出費が少ないので、交渉しやすいはずです。1万円の値引きをするのであれば、お店は1万円の利益が減りますが、1万円分のパーツであれば、仕入れ価格で済むわけです。また、Amazonや楽天で安く購入したUSB充電器やドラレコの取り付けなどをサービスしてもらうといったことも受け入れられやすいと思います。納車整備のついでにできる作業ですからね。
ですので怪しげなお買い得車を探したり、現状販売の安売り店を探したり、現金値引きを要求するようなことをしていてはあまり幸せにはなれないでしょう。
金銭的に無理をして買う人
では最後の5つ目の失敗パターン、それは無理して買っちゃう人です。貯金全部はたいて買ってしまう人、このパターンもかなり多いです。
バイクというのは、買う時だけではなくて、買ってからもお金がかかるのです。
ヘルメット・グローブ・ジャケット・シューズ、そして駐車場・税金・保険・点検修理・車検・消耗品の交換、さらにツーリングに行くのならガソリン・宿泊費・高速代にフェリー代、現地の名物だって食べたいですよね?
バイクを買うことだけに精一杯だと、楽しむためのお金がなくて、ただの置き物になってしまいます。バイクを妥協せずに買うと、バイクライフを妥協することになってしまうのです。ですので現金購入するのであれば、余裕を持って購入しましょう。購入後すぐに必要となるヘルメットなどの用品には、10万円くらいは見ておきましょう。もしくはバイクと同時に購入しましょう。
最低でもヘルメット・グローブ・ジャケット・パンツ・シューズ、これは必要です。さらに季節が変わればグローブ・ジャケット・パンツを追加購入しなければなりません。
ロングツーリングに行くのならレインウェア・レイングローブ・ブーツカバーも必要です。
ですので、これらの購入も見越した上で難しいと思うのなら、車体にかける予算を下げる・頑張って貯金してからにする・ローンを組むという、いずれかの選択をしましょう。そもそも借金というものに抵抗がある方もいるでしょうし、バイク屋のローンの金利が高いことももちろん存じてはいますが、それでも場合によってはローンを検討した方が、結果的に満足できる買い物ができるはずです。
今はクラウドローンという銀行ローン金利の一括比較のようなサービスで、1~2%台という低金利の提示をオンライン上で受けることができるので、こういったサービスを利用することも検討してください。
とにかくその後のバイクライフが楽しめなくなるような、カツカツの予算でバイクを購入することはお勧めしません。何のためにバイクを買うのか分からなくなってしまいます。あなたが欲しいのは、かっこよくて外装も綺麗でエンジン絶好調の文鎮ではないはずです 。
まとめ
というわけで今回は、中古バイク購入で失敗するパターン5+1というテーマでお送りしましたが、いかがでしたか?
免許を取ってこれからバイクを買おうという初心者だけでなく、すでにバイクに乗っているけどバイクの乗り換えを考えているライダーにも参考になる内容だと思います。
この記事は下の動画でも詳しく解説していますので、こちらも是非ご視聴になって、より楽しいバイクライフを送ってください。
それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました
投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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