Hondaは、イタリア・ミラノで開催されているEICMA 2025(ミラノショー、プレスデー:11月4日~5日、一般公開:11月6日~9日)に出展するヨーロッパ向け2026年モデルの二輪車ラインアップを発表しました。
Honda初の電動モーターサイクル「Honda WN7」一般公開

「WN7」の主な特長
■コンセプト
Honda WN7は、同時に発表した新しい二輪電動事業のブランド方針を具現化した初のFUN領域向け電動ネイキッドモデルで、開発コンセプトを「風になる(Be the Wind)」としました。ICE(内燃機関)車では体験できなかった電動車ならではの静粛性により、走行中でも聞こえてくる街中の人々の会話や笑い声、木々の葉がざわめく音など、自然と周辺の音や感覚をダイレクトに感じながら、スムーズでトルクある走りと軽快なハンドリングで、風のように自由に走る楽しみを体験してほしいという開発者の思いが込められています。

■デザイン
「機能を研ぎ澄まし、本質を表現すること」を目指したデザインは、ライダーが触れるボディ部分はシームレスで滑らかな表面としながら、独創的で力強いシルエットとしました。WN7に採用されたシグネチャーライトは特徴的な横一文字で、今後Hondaの電動二輪車の共通アイデンティティーとして展開していきます。
また電動二輪車専用のカラーリングとして、ブラックを基調とした車体色に、ゴールドカラーの部品によるアクセントを取り入れました。シグネチャーライト同様、今後グローバルで展開する電動二輪車にはこのカラーリングを採用していきます。

■フレームレスシャシー
車体骨格には通常車体の前後をつなぐフレームが採用されますが、WN7は車体の中心に配置したアルミ製バッテリーケースを骨格の一部とする構造を採用しています。車体と前方のステアリングを保持するヘッドパイプと、車体の後方を保持するピボットブラケットは同じく車体中央に配置されたパワーユニットに直接締結しました。フレームが存在しないことで、軽量化だけでなくスペースレイアウトの自由度が上がり、スリムでコンパクトな車体の実現に大きく寄与しました。
また、車両の中で大きな比重を占めるバッテリーパックを車体全体の中心に配置したことで、マスの集中化と軽快なハンドリングを実現します。
■インバーター一体型モーターユニット
WN7は、搭載性に優れた軽量コンパクトな水冷・インバーター一体型モーターを専用開発しました。最高出力は50kWで排気量600㏄のICE車相当、最大トルクは100Nmで1000ccのICE車に匹敵する性能をそれぞれ発揮します。街中での発進・停止時や郊外でのクルージング時でも、ゆとりのある走行を実現します。
モーターからの出力は新規開発したギアボックスを介してベルトドライブに伝達され、リアタイヤを駆動させるとともに、静粛性にも貢献しています。

■駆動バッテリー、充電規格
WN7に採用した駆動バッテリーは、新規開発した9.3kWhの固定式リチウムイオンバッテリーです。バッテリーの充電には急速充電を可能にするCCS2※1規格と一般家庭にある普通充電Type 2※2規格を採用しました。急速充電器では30分でバッテリー残容量20%から80%まで充電でき、外出先で素早く充電し待機時間のストレスを軽減します。
また、普通充電では残容量0%から100%まで2.4時間以内※3で完了します。フル充電時の航続距離は140㎞(WMTCモード)です。
■回生ブレーキ、減速度セレクター、微速前後進(ウォーキングスピードモード)
WN7は、走行中のスロットルオフによる減速時にモーターによって電力回生を行うと同時に、回生ブレーキを発生させスピードを減速※4させます。回生ブレーキの強さ(減速度)を、左手ハンドルスイッチ操作によって選択できる「減速度セレクター」も採用しました。ブレーキを多用せずスロットル操作だけで極低速まで車速をコントロールしたり、少ない減速度で滑空するようなフィーリングで走行できるなど、ICE車とは異なるライディングフィールを楽しめます。
また、左手ハンドルスイッチとスロットル開度で速度を調節しながら前後進できる微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)を搭載し、切り返しや街中の狭い駐車場スペースなどでも取り回しがスマートに行えます。

WN7はHondaの二輪車生産におけるマザー工場として位置付けている熊本製作所にて生産し、今後電動化が進むグローバル市場に供給します。
※1 Combined Charging System Type 2の略称、電気自動車急速充電器用コネクターの仕様
※2 200V、充電ガン使用時
※3 充電時間は充電環境(温度)によって異なる場合があります。充電時間はHonda調べ
※4 バッテリー残容量によって回生ブレーキが発生しない場合もあります
スポーツツアラー「CB1000GT」を世界初公開
水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000cm3の高性能エンジンを搭載した、スポーツツアラー「CB1000GT」




「CB1000GT」の主な特長
■開発のねらい
CB1000GTの開発コンセプトは、「High Performance Tourer -速く、遠くまで快適に-」としました。スポーツネイキッドモデルの高いパフォーマンスや操る楽しさ、ツアラーの快適性や積載性を高次元でバランスさせることを目指して開発した新しいスポーツツアラーです。
■パワーユニット
CB1000 HORNETに搭載し力強さで定評の水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000cm3エンジンをベースに、専用のFI(フューエルインジェクション)セッティングとスロットルバイワイヤ(TBW)システムを採用。力強い出力特性を維持しながら、スロットルの開け始めの出力をより滑らかにすることなどにより、長距離ツーリングでライダー、パッセンジャーの疲労を軽減し、快適性に寄与しています。
■車体
CB1000 HORNETのスチール製ダイヤモンドフレームをベースに、シートレール部を新設計しました。パッセンジャーや荷物の積載に配慮し、走行時の車体安定感を高めています。
サスペンションには、幅広い走行シチュエーションや積載状況に対応する、電子制御サスペンションEERA※1(Electronically Equipped Ride Adjustment)を標準装備しました。このシステムは、6軸IMU(Inertial Measurement Unit)による車体姿勢、ECUのエンジン制御情報、車輪回転速度などから走行状態を把握し、前後サスペンションの減衰力を最適化することで、路面状況に適した高度な減衰力自動調整を可能としています。
■スタイリング
High Performance Tourerをコンセプトに開発された機能性をスタイリングでも表現。精緻な外観のハイパフォーマンスエンジンを中心に、シャープな造形を施したフロントカウル一体のシュラウドが、グランドツーリングにふさわしい快適性をもイメージさせています。
フロントカウルには、5段階、上下81mmの調節幅を持つアジャスタブルスクリーンを採用しました。シャープな造形でまとめながらも、高いプロテクション性能とニュートラルなハンドリング特性を両立させています。
■電装・制御
スポーティーな走行から、パートナーとの長距離ツーリングまで幅広いシチュエーションで、楽しく快適に走るための先進装備を随所に採用しました。
市街地からワインディングまで幅広いシチュエーションや路面状況に合わせて好みの走りを選択できるライディングモードを搭載。ライディングモードはそれぞれに適切な出力特性や前後サスペンションの減衰力特性を組み合わせたSTANDARD、SPORT、RAIN、TOURの4モードに加えて、各モードにおける減衰レベルを車体負荷や好みに応じて調整可能なユーザーモードが登録可能です。
発進、停止時以外で左手によるクラッチ操作を不要としたクイックシフターを標準装備。市街地や長距離の走行などでの疲労低減に寄与します。
また、バイクとスマートフォンをBluetooth®※2で接続することで、通話やナビゲーション機能などを利用できる独自のHonda RoadSync※3を標準搭載しています。
■純正アクセサリー
CB1000GTは、より楽しく快適に使用していただくために、積載性を向上させるトップボックスやパニアケースをはじめ、より快適性を高めるためのハイスクリーンやコンフォートシートなど、豊富な純正アクセサリーをラインアップしています。
このCB1000GTは、欧州をはじめ日本やアジア・大洋州地域などで販売を計画しています。
※1 EERAはAstemo株式会社の登録商標です
※2 Bluetooth®は米国Bluetooth SIG, Inc.の登録商標です
※3 Honda RoadSyncのご利用には市販のバイク対応Bluetooth®ヘッドセット(別売)との接続が必要です。また専用アプリのインストールが必要です
電子制御過給機付き新型V型3気筒エンジン搭載「V3R 900 E-Compressor Prototype」を初公開
電子制御過給機付きV型3気筒エンジンを搭載したプロトタイプモデル「V3R 900 E-Compressor Prototype(ブイスリーアール ナインハンドレッド イー コンプレッサー プロトタイプ)」

「V3R 900 E-Compressor Prototype」の主な特長
V3R 900 E-Compressor PrototypeはHondaが2030年ビジョンで掲げる「自由で楽しい移動の喜びの提供」を実現するため、お客様の期待を超える魅力的な商品をお届けすることを目標に掲げ、今までにないHonda独自の技術で新たな価値を提案するモデルとして開発を進めています。
■開発のコンセプト
開発コンセプトは「Non-Rail ROLLER COASTER(ノンレール ローラー コースター)」とし、最新の技術とHondaが長年蓄積してきた二輪車開発のノウハウを結集し「約束された高揚感」と「卓越した安心感」という異なる二面性を併せ持つモデルを目指しています。

■エンジン
エンジンは、昨年EICMA 2024で世界初公開した水冷75度Ⅴ型3気筒エンジンをそのままに、排気量を900ccとし、スリム&コンパクトを追求。二輪車として世界初※の電子制御過給機の採用により、エンジンへの過給を任意にコントロールすることで、低回転からハイ・レスポンスなトルクを実現。これにより、900ccの排気量でありながら1200cc相当のパフォーマンスを実現し、環境性能にも貢献する仕様を目標としています。
■デザイン
ボディには左右非対称のサイドカウルを持ち、タンクのエンブレムには、2026年以降最上位モデルに順次採用を予定している、新デザインの「Honda Flagship WING(ホンダ フラッグシップ ウィング)」を採用しています。
V3R 900 E-Compressor Prototypeは、チャレンジをし続けるHondaの新たなマイルストーンとして、これまでにない二輪車を操る楽しさ、感動、所有する喜びを体感いただくことを目指し、量産に向けて、引き続き開発を行っていきます。





そのほか出展モデルの主な特長
Honda E-Clutch搭載モデルを拡大
2024年に「CBR650R」および「CB650R」に初搭載されたHonda独自のクラッチコントロール自動制御システムHonda E-Clutchを、新たに5モデルでオプション設定します。対象モデルは、XL750 TRANSALP、CB750 HORNET、NX500、CBR500R、CB500 HORNETです。





Honda E-Clutchは、クイックシフターを上回る高速かつスムーズなギアチェンジを可能にし、異次元のスポーティーなライディング体験を提供します。発進・停止・変速時にクラッチレバーを操作することなく、シフトペダル操作のみでギアチェンジが可能です。必要に応じてクラッチレバーを使用できるため、操作性と汎用性を両立しています。
Honda E-Clutchは、XL750 TRANSALPおよびCB750 HORNETシリーズのスロットル・バイ・ワイヤ(TBW)搭載モデルに初採用。システムがスロットルを自動調整することで後輪速度に回転数を合わせ、よりスムーズなダウンシフトを実現します。XL750 TRANSALPでは、オフロード走行時に後輪が空転している状況においても、スムーズなシフトアップを可能としました。Honda E-ClutchとTBWの連携により、前輪および後輪の速度を常時監視し、適切な制御を行うことで高い安定性と操作性を提供します。
Honda E-Clutchは、人気の500ccクラス3モデル(CB500 HORNET、NX500、CBR500R)にも初めてオプション設定されます。スポーティーな走りとシンプルな操作性、そして高い汎用性を兼ね備えたHonda E-Clutchは、長年にわたり支持されてきたA2ライセンス対応モデルに新たな価値を付加し、幅広いライダーにこれまでにないライディング体験を提供します。
新型CB1000F登場
EICMAでは、Hondaスポーツバイクラインアップの「進化する基準」であるCBの最新の回答として具現化したCB1000Fを展示します。独自のキャラクターを備えたこの大型ネイキッドモデルは、扱いやすさと力強さを兼ね備えた一台です。CBR1000RR FIREBLADE由来の高性能エンジンによる力強い走行フィールに加え、印象的なスタイリング、充実した装備、そして軽快なハンドリングを融合。あらゆる要素において期待に応えるオールラウンドなモデルとして登場します。
多彩な新色も同時公開
クロスオーバーモデルNC750X、シリーズの主力スクーターSH350i、そして生産開始から50周年を迎えるフラッグシップツーリングモデルのGold Wing、Gold Wing Tourの新たなカラーバリエーションも展示されています。
SH125i
欧州で高い人気を誇るスクーターSH125iは、2026年モデルとして刷新されました。新デザインのフロントエンドはSH350iからインスピレーションを受け、よりシャープな外観と新しいシグネチャーライトを採用。さらに5インチTFTモニターを搭載し、スタイルと機能の両面で進化を遂げています。SH150i含めイタリア・アテッサ工場で生産される3モデルは、フロントからリアまでを貫く「ワンライン」デザインにより統一感を確立しました。これにより、SHシリーズの2026年モデルはその本質を守りながらも明確な進化を果たし、一目で認識できる存在感を示しています。

CBR1000RR-R FIREBLADE、CB750 HORNET“クロミ”コラボレーションモデル
Hondaは、より多くの幅広い年齢層へ二輪車に興味を持ってもらうために、EICMAで株式会社サンリオの人気キャラクター「クロミ」とのコラボレーションを実現させました。EICMA専用デザインを施したCBR1000RR-R FIREBLADEとCB750 HORNETをHondaブースで展示します。CBR1000RR-R FIREBLADEにはクロミのイメージカラーでもあるブラックとパープルを基調とし、CB750 HORNETにはパープルとピンクをベースとし、それぞれクロミのかわいらしくて、かっこいいデザインを施しています。
■リリース:本田技研工業株式会社
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