「キックスタート」に魅了されているライダーは少なくありません。
レトロな操作とキックスタート独自のフィーリングは、最近では味わいにくいスタート方式です。
この記事では、初心者にも扱いやすい現行モデルと、趣味性や歴史を感じさせる旧車の中から、特におすすめのキックスタートバイクを7台ご紹介します。
現行モデルでは、ホンダの「クロスカブ」や「ハンターカブ」など、実用性とデザイン性を兼ね備えたバイクをピックアップ。
旧車では、ヤマハ「SR400」やホンダ「XLR250R」など、クラシックな魅力が詰まった名車に注目しました。
初心者の方も、バイク愛好家も、ぜひ最後までご覧になり、自分に合った一台を見つけてください。
現行車
現行車の中で、初心者にも扱いやすく、レジャー用途にも適したキックスタートバイクを紹介します。
ここでは、ホンダが誇る「クロスカブ」と「ハンターカブ」「スーパーカブ50」について詳しく解説します。
この3台はセルとキック併用式で、初心者にも安心です。
それぞれの車種が持つ特長を理解し、自分に合ったバイク選びにお役立てください。
ハンターカブ(ホンダ)
ハンターカブ(CT125)は、レジャーやツーリングを楽しむために設計された原付二種バイクで、クロスカブと並ぶホンダの人気モデルです。
かつての名車「CT110ハンターカブ」のスタイルを継承しながら、現代の技術でアップデートされています。
ハンターカブの最大の特徴は、アウトドア向けの装備とデザインです。
高めに設置されたアップマフラーは、走行中の飛び石や泥の影響を受けにくい設計となっています。
吸気系にはホコリの吸入を抑えるハイマウント吸気ダクトを搭載し、悪路や自然環境での走行にも適しています。
走行性能においては、低・中速域で力強いトルクを発揮する123ccの空冷4ストロークエンジンを搭載しています。
このエンジンはスロットル操作に対するダイレクトな応答性が特徴で、街中でも自然の中でも快適な走行が可能です。
PGM-FIの採用により、燃費性能も高く、63.0km/L(60km/h定地燃費値)を達成しています。
安全性能としては、フロントディスクブレーキにABSを搭載し、制動時の安心感を高めています。
また、大型リアキャリアはアウトドアギアや買い物など、荷物を積むのに便利で、実用性も優れています。ハンターカブはセルフスターターとキックスタートの両方を備えており、バッテリー上がりの際にも安心して乗れるでしょう。
アウトドアなどのレジャー用途に適している理由のひとつです。
クロスカブ(ホンダ)
ホンダのクロスカブは、スーパーカブをベースにアウトドア志向を取り入れたモデルです。
そのデザインと機能は、街乗りからレジャーまで幅広い用途に対応しています。
クロスカブの特長として、まず挙げられるのが軽快さとタフさを兼ね備えたスタイリングです。
丸目のLEDヘッドライトはヘッドライトガードで囲まれ、スチール製フロントフェンダーがアクティブな印象を引き立てます。
レッグシールドを省略したことで、軽快さも増しています。
走行性能面では、新開発のロングストロークエンジンを搭載し、低速から中速域で力強いトルクを発揮します。
エンジンには電子制御の燃料噴射装置(PGM-FI)が採用され、燃費性能も向上しています。
クロスカブ110では、60km/h定地燃費で67.0km/Lを実現しており、長距離のツーリングにも適した燃費性能です。
クロスカブはキャストホイールとチューブレスタイヤを採用しており、パンク時の修理が容易になっています。
シフトチェンジには4段リターン式を採用し、停車時にはロータリー式に切り替わることで操作のしやすさもバツグンです。
手頃な価格帯で販売されており、初めてのバイクとしても人気です。
独特なデザインと実用性が、多くのユーザーから支持されています。
スーパーカブ50(ホンダ)
ホンダのスーパーカブ50は、世界中で最も売れたバイクとして知られている伝説的なモデルです。
1958年の初登場以来、そのシンプルさと信頼性は変わらず、初心者からベテランまで幅広いライダーに愛され続けています。
50ccの空冷4サイクル単気筒エンジンは、高い燃費性能と扱いやすさが魅力です。
スーパーカブ50は、親しみやすいデザインと便利な装備を兼ね備えています。
リアキャリアや大きなレッグシールド、LEDヘッドライトなど、実用性を追求した設計が光ります。
頑丈なフレームと低いシート高により、安心感のある乗り心地も楽しめるでしょう。
通勤・通学や日常の足として、さらにはカスタムベースとしても高い評価を受けているスーパーカブ50は、まさに時代を超えた名車です。
旧車
旧車は、新車にはない独特の魅力があります。
趣味性の高いモデルや、クラシカルなデザイン、エンジン特性など、その魅力はさまざまです。
ここでは、旧車として特に人気のある4つのモデルについて解説します。
SR400/500(ヤマハ)
ヤマハのSR400/500は、クラシックなデザインとシンプルな構造が特徴のロードバイクです。
1978年に登場した初代モデルから最終型に至るまで、その基本設計がほとんど変わらずに販売された稀有なモデルです。
特徴的なのは、単気筒エンジンによる心地よい振動と排気音で、多くのライダーがその「鼓動感」に魅了されています。
SR400は399cc、SR500は499ccの空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載し、キックスターターのみというマニアックな仕様が魅力です。
初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、慣れてくると始動の儀式のような「キックスタート」に愛着を感じるようになります。
シンプルな設計ゆえ、カスタムベースとしても人気があり、さまざまなアフターパーツが充実しています。
トラディショナルなデザインと現代の性能をバランス良く持ち合わせたSRは、まさに「永遠の名車」と呼べる存在です。
XLR250R(ホンダ)
ホンダのXLR250Rは、軽量かつパワフルなランドスポーツバイクとして高い評価を受けているモデルです。
1980年代から1990年代にかけて生産されたこのモデルは、オンロードとオフロードの両方でその性能を発揮できる点が特徴です。
空冷4サイクル単気筒エンジン(249cc)は、低中速域でのトルクがあり、初心者でも扱いやすい設計になっています。
フレームにはセミダブルクレードル構造が採用され、車体重量を軽減しながらも高い剛性を確保。
サスペンションにはプロリンク式が採用され、悪路での安定した走行を実現しています。
ディスクブレーキ(前後)を装備し、制動性能も高いのが特徴です。
80〜90年代を象徴するようなデザインのヘッドライトやタンク形状も魅力で、XLR250Rはアクティブなツーリングや冒険心をかき立てる一台です。
グラストラッカー(スズキ)
スズキのグラストラッカーは、2000年に登場した249ccの空冷単気筒4ストロークエンジンを搭載したストリートバイクです。
1970年代にアメリカで流行した「草レース」を意識したシンプルで精悍なデザインと、コンパクトな設計が人気です。
グラストラッカーは、当時のトラッカーブームを背景にしており、ストリートやオフロードの両方に対応した軽快さと扱いやすさが支持されました。
エンジンは信頼性が高い設計で、キック始動とセル始動の両方に対応した仕様が初期モデルの特徴です。
最高出力は20psを発揮し、低速から中速域で力強いトルクを発揮するため、街乗りや軽めのオフロード走行にも適しています。
乾燥重量は124kgと軽量で、シート高は745mmと低めに設定されているため、初心者ライダーや体格が小さい人にも扱いやすいでしょう。
スリムなフューエルタンク、スポークホイール、2本式リヤサスペンションなど、クラシカルでありながら現代的なファッショナブルさも追求しています。
幅広のハンドルやコンパクトな車体設計により、シンプルな外観を実現しつつ、快適な操作性が魅力のバイクです。
KSR-Ⅱ(カワサキ)
カワサキのKSR-Ⅱは、スーパーバイカーズスタイルを凝縮した小型オフロードバイクとして人気を集めたモデルです。
1990年に登場したこのモデルは、79ccの水冷2サイクル単気筒エンジンを搭載し、軽量で機動力の高い性能が特徴です。
街乗りからオフロードまで楽しめる汎用性の高さが、多くのファンをひきつけました。
倒立フォークや前後ディスクブレーキといった装備が、KSR-Ⅱを本格的なオフロードマシンとして昇華させています。
12インチホイールによる小回り性能と軽快な操作性も魅力です。
見た目はコンパクトながら、その走行性能は侮れません。
短距離の移動や遊び心を重視したライダーにぴったりの一台です。
キックスタートバイクの注意点
キックスタートによるエンジン始動には、独特の操作や注意点があり、慣れないうちはエンジン始動が難しいときもあります。
ここで紹介する内容をよく理解して、スムーズにエンジンを始動しましょう。
操作
キックスタートの正しい操作手順を把握する
エンジン始動には特定の手順が必要です。
燃料バルブやチョークの操作を間違えるとエンジンがかかりにくくなります。
キックの力加減を調整する
キックが弱すぎると始動できないことがあります。
反対に強すぎるとバイクや自分にダメージを与えるおそれがあります。
エンジンの圧縮を確認する
キック前にキックレバーを軽く踏み、エンジンの圧縮が適切な位置にあるかを確認しましょう。
デコンプレバー付きの場合は使用してください。
複数回のキックを想定しておく
エンジンが冷えている場合や燃料が薄い場合など、一発で始動できない場合があります。
何度かキックすることを前提にしておきましょう。
【筆者の経験談】
1996年、当時の愛機だったヤマハSR500…買った当初はエンジン始動に苦戦していました。デコンプを使用してもエンジンがかからず、真冬に何回もキックして汗だくになっていたほどです。しかし、乗り続けるうちに慣れてきて、一発で始動できるようになりました。
安全面
足元の安定を確保する
キック操作中に体勢を崩さないよう、しっかりと地面に足をつけて安定した姿勢をとることが重要です。
キックバックに注意する
キックが跳ね返る「キックバック」(いわゆるケッチン)に気をつけましょう。
足や膝を傷めないよう、レバーを最後までしっかり踏み抜いてください。
適切な靴を履く
スニーカーやサンダルなどの薄い靴ではなく、厚底のバイク用ブーツや靴を着用し、足を保護しましょう。
【筆者の失敗談】
1986年、先輩のヤマハRZV500Rを借りてエンジンを始動するとき、先輩のマネをしてスタンドを出さずにキックしたら、バランスを崩して立ちゴケしました。オーナーである先輩でさえもコカしたことがなかったのに…
キックスタート式のバイクは、慣れないうちは必ずスタンドを出してエンジンを始動しましょう。
メンテナンス
キャブレターの調整を行う
キャブレターが正しく調整されていないと始動できないときがあります。
定期的に点検し、必要であればキャブレターをオーバーホールしましょう。
バッテリー状態の確認
一部のキックスタートバイクは電装系にバッテリーを使用します。
バッテリーが弱いと点火が不安定になる可能性があるため、電圧をチェックしましょう。
ガソリンの鮮度を維持する
タンクに古いガソリンが残っていると、エンジン始動が難しい場合があります。
常に新しいガソリンを使いましょう。
スパークプラグの状態を確認する
スパークプラグ(点火プラグ)が劣化している場合もエンジンがかかりません。
定期的に清掃または交換しましょう。
環境条件
寒冷時の始動に注意
寒い時期はエンジンオイルが冷えて硬くなり、エンジンがかかりにくいときがあります。
混合気を濃くするための「チョーク」があるバイクは、チョークを使用しましょう。
ただし、エンジン起動に成功し、アイドリングが安定して走り出す際は、チョークレバーを必ず戻してください。
チョークレバーを引いたまま走行すると、エンジン故障の原因になります。
標高の高い場所では調整が必要
高地では空気が薄くなるため、始動時にキャブレターの調整が必要になる場合があります。
その他
キックスタートの練習が必要
初心者は最初に練習してコツをつかむ必要があります。
慣れることでスムーズな始動が可能になります。
たくさん乗りましょう。
アクシデントに備えておく
万が一キックスタートができない場合に備えて、予備の始動方法やバッテリー(セルスタート併用車の場合)を確認しておきましょう。
まとめ:キックスタートバイクで広がる楽しみ
キックスタートバイクは、その独特な操作性やクラシックな魅力で、現在も多くのライダーに愛されています。
この記事では、初心者にも扱いやすい現行車のモデルから、趣味性やカスタム性が高い旧車を紹介しました。
クロスカブやハンターカブのように、実用性とデザインを両立したモデルは、通勤・レジャーどちらでも活躍します。
SR400やXLR250Rなどの旧車は、特有の鼓動感や歴史的価値が魅力です。
キックスタート特有の注意点も踏まえながら、自分のライフスタイルに合った一台を選び、ぜひバイクライフを楽しんでください。
この記事がお役に立てばうれしいです。
読者の皆さまのバイクライフを応援しています。
投稿者プロフィール
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熊本県在住。生まれも育ちも熊本。
阿蘇をこよなく愛する生粋の熊本人。
昭和の時代に限定解除し、原付/中型/大型の所有歴あり。
現在の愛機はKawasaki 250TR。
愛機250TRで一日500km(下道)を走破することもある、元気おやじライダー。
「安全第一、無事帰る」をモットーに、今も安全運転を模索しながら走り続けている。
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