普通二輪(中型)免許で乗れる北欧デザインの2台が初のフルモデルチェンジ!
「スペインで乗ってたハスクバーナって401なんだよね。400なら俺も乗れんのにぃ」「いや、車名は401だけど、排気量は398.7ccだから普通二輪免許(中型免許)で乗れるよ」「え?そうなの?」と友人。これまでも「ハスクバーナ、いいよね」と思っていたらしいが、401ということで諦めていたそう。「調べてよ」とも思うが、「そう思っている人もいるはず」と言われると、「そうかもね」と返すしかなかった……。
ハスクバーナ・モーターサイクルズのスヴァルトピレン401とヴィットピレン401の国際試乗会から帰国した直後の話。僕のSNSでその様子を見ていたらしい。
2014年のEICMAでヴィットピレン401のコンセプトモデルを発表したハスクバーナ・モーターサイクルズは、2017年のEICMAで市販モデルを発表。2018年からスヴァルトピレン401とヴィットピレン401を市販化し、今回初のフルモデルチェンジを受けた。
フレームとエンジンをすべて刷新し、特にエンジンに関しては排気量を373ccから398.7ccに拡大。400cc単気筒としては圧倒的なパワーといえる45psを手に入れた。これは少し前に登場したKTMの390デュークと同様の進化だが、スヴァルトピレン401とヴィットピレン401は、そのスタイリングをとてもシックに仕上げている。
この2台の人気は、モノトーンな色合いや未来的なスタイルが特徴的な北欧デザインで、デビュー以来、こだわりのオーナーさんが多い印象で、バイクとライダーの組み合わせがカッコいいイメージも強い。
「白い矢」と「黒い矢」、乗り味に前モデルほどの差はないけれど……
前モデルは、セパレートハンドルのヴィットピレン401、アップハンドルのスヴァルトピレン401と、2台はポジションに大きな差があった。しかし、今回はどちらもアップハンドル。微妙にヴィットピレン401の方が低いハンドルを採用するが、跨り比べても大きな違いはない。
主な違いは、まずは色。ヴィットピレンはスウェーデン語で「白い矢」、スヴァルトピレンは「黒い矢」を意味し、それが車体色になっている。そしてタイヤとホイールが異なり、ヴィットピレン401はキャストホイールにロードタイヤを履き、スヴァルトピレン401はスポークホイールに少しブロックの大きなタイヤを装着。さらにスヴァルトピレン401は、スクランブラーさしさを演出するため、バイザーやアンダーガードも装着。スヴァルトピレン401の方が装備は多いが、価格は2台共通の79万9000円となっている。
調整機構の付いた高性能なサスペンションや充実した最新電子制御、さらにフレームの美しい溶接や各部の仕上げを見ると、価格は相当に頑張っていると思う
高回転エンジンがパフォーマンスを発揮。クイックシフターが走りをサポート
まずはスヴァルトピレン401で走り出す。するとすぐにハイパワーエンジンや高性能サスペンション、そして若干車格が大柄になったことによる安定感が伝わってきた。ポジション、着座位置、そしてハンドリングのどこにも違和感がなく、すぐにペースが上がっていく。
前モデルはここまでスポーティではなかった。特にセパハンでポジションがきつかったヴィットピレン401は上手くの乗りこなすのが難しかった。しかし、新型は難しさがないどころか、ライダーが積極的な気持ちになってしまうほどスポーティなのだ。
生まれ変わったエンジンも抜群のフィーリング。わかりやすい高回転型で、まるでエンジンに「もっと回せ、回せ」と言われているような感覚になる。低速域はそれほど力強くないため、発進時は少し大きめにスロットルを開けてカバーする必要はあるが、6000回転を超えたあたりの加速はたまらなく速い。
また、このエンジンに必須とも言える制御がアップ&ダウン対応のクイックシフターで、発進時と停止時、それとUターンの時以外でクラッチ操作はほとんど必要ない。厳密にいえば極低速や低回転域はクラッチ操作を行った方がスムーズだが、クイックシフターでも走ることが可能。
コーナー進入時はもちろん、例えばコーナーが思ったよりも回り込んでいて失速しそうな時は旋回中でもシフトダウンが可能。加速時にギクシャクする時は、無造作にペダルを落とせば欲しい回転が手に入るのである。これはキャリアの浅いライダーにはかなり頼れる制御になるだろう。
このスタイルでこの運動性はちょっと反則じゃないか……、と思うぐらいそのギャップが面白い。
途中何度も2台を乗り比べてみる。確かにロードタイヤを履くヴィットピレン401の方がクセもなく軽快にコーナーを駆け抜けるが、ヴィットピレン401も十分ハイペースに対応。僕の体格だと2台とも大きなポジションの差は感じなかった。
前モデルから踏襲しているのはデザインやコンセプトだけで、走りの面白さは大きくステップアップ。市街地と郊外でスタイルを変えて楽しむのも面白いだろう。普通のデザインのバイクにはないたくさんのバイク遊びやバイクのあるライフスタイルを送る方が増えそうだ。そのカタチはオーナーさんのセンス次第。自分色で楽しんでいただきたい。
投稿者プロフィール
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1974年、東京都生まれ。18歳からバイクライフをスタート。出版社に入社後、 20年以上バイク雑誌一筋で編集者生活を送り、バイク誌の編集長を8年ほど
経験。編集人生のモットーは、「自分自身がバイクに乗り、伝える」「バイクは長く乗るほど楽しい!」。過去 には、鈴鹿4耐などの様々なイベ
ントレースにも参戦。海外のサーキットで開催される発表会に招待いただくことも 多く、現地で試乗して感じたことをダイレクトに誌面やWEBに展開してきた。
2022年、フリーランスのモーターサイクルジャーナリストとして始動。