かつて栄えた場所から時代とともに人がいなくなり、朽ち果てた建物だけが残っている廃墟。非現実感があって恐怖心とワクワク感が混ざったような不思議な感覚になります。
サムネイル画像は長崎市公式観光サイトから引用した端島(軍艦島)です。
軍艦島は、2015年に日本の近代化の遺産として「明治日本の産業革命遺産」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
現在は一部のルートで観光ツアーも行われており、多くの人々がその歴史や風景を訪れています。
ここまで観光地化した廃墟はあまりありませんが、まだ解体されずに残っている廃墟は全国に無数にあります。
今回は、バイクでも訪れることができる廃墟をいくつかピックアップしてご紹介いたします。
なお、今回の記事に掲載する画像は【廃墟写真ブログ -Ruin’s Cat-】の管理人であるYuki @廃墟写真ブログ さんから画像転載の許可を取っております。
Yuki @廃墟写真ブログ さん、ありがとうございます!
廃墟探訪の注意事項
廃墟は基本的に私有地。無断で立ち入ることは法律に違反する可能性もあるため、興味本位でむやみに内部に立ち入らないようにしましょう。
写真を撮るためにバイクを停める際は歩行者や他の自動車の通行を妨げないようにしてください。駐車可能な場所に正しく停めましょう。
また、廃墟の周囲には人が住んでいる民家もたくさんあります。大きな声で話したり、長時間アイドリングしたままにすると地域住民の方にご迷惑になりますのでエンジンは切って、静かに楽しみましょう。
今回は、広い範囲で廃墟化していて、中に入らずとも廃墟を外から楽しめるような『廃墟群』のある場所を5箇所ピックアップしました!
それではお楽しみください♪
松尾鉱山 緑ヶ丘アパート(岩手県)
松尾鉱山 緑ヶ丘アパート群は、岩手県八幡平市のツーリングスポットである【八幡平アスピーテライン】沿いにあります。
八幡平アスピーテラインは、岩手県の八幡平御在所から秋田県のトロコ温泉まで続く全長27kmの山岳路。
冬季は積雪のため通行止めとなりますが、除雪した後に道路の左右に高さ数メートルにもなる雪の壁が出現する「雪の回廊」が有名ですね。
さて、松尾鉱山ですが、一時は日本の硫黄生産の30%、黄鉄鉱の15%を占め、東洋一の産出量を誇る硫黄鉱山でもありました。
ピーク時には数千人もの鉱山労働者が働き、多くの関連施設や住宅が建設され、その中のひとつが【緑ヶ丘アパート】です。
鉱山関係者とその家族のために建設されました。当時、岩手県内では初となる4階建て鉄筋コンクリート造の建物だったそうです。
内部の設備も当時最新のもので、水洗トイレやセントラルヒーティングシステムなどが完備されていました。
そんな緑ヶ丘アパートも、採掘をしていた松尾鉱業が1969年に会社更生法を申請して倒産し、 全従業員958人が解雇されたことで人がいなくなり、現在まで廃墟として残っています。
鬼怒川温泉の廃墟ホテル群(栃木県)
鬼怒川温泉は栃木県日光市にある温泉地です。箱根や熱海と並んで「東京の奥座敷」と呼ばれ、毎年多くの人が訪れます。
そんな鬼怒川温泉に多くの廃墟群があるのをご存知ですか?
1927年に、滝温泉と藤原温泉を合わせて鬼怒川温泉と呼ぶようになり、この頃から旅館やホテルが開業を始めました。
それから、高度経済成長期以降には鬼怒川沿いに大型のリゾートホテル・旅館が連なるように。
しかしバブル崩壊後には客足が遠のき、さらに東北新幹線の拡充やLCCの登場で観光客が他地域や海外へ流出してしまったことで、経営不振に陥り廃業したホテル群が今でも解体されずに残っています。
この鬼怒川温泉廃墟ホテル群の近くには、栃木県日光市の鬼怒川温泉と那須塩原市の塩原温泉を結ぶ観光道路で、【日塩もみじライン】というドライブやツーリングのおすすめコースがあります。
全長27.5kmで、標高1,000mを超える高原を走ることができ、名前の通り紅葉の季節に特に人気があります。例年、10月下旬から11月上旬にかけてが紅葉の見頃です。
水上温泉の廃墟ホテル群(群馬県)
水上温泉(みなかみおんせん)は、群馬県利根郡みなかみ町にある温泉で、戦後になって交通アクセスの良さから大幅に規模を拡大し、草津温泉や伊香保温泉と並ぶ県下有数の温泉地として発展しました。
しかし、バブル経済崩壊後には団体旅行客の減少や旅行客のニーズの変化に伴って急激に衰退を余儀なくされ、街の廃墟化が進んだという歴史があります。
鬼怒川温泉の廃墟ホテル群は、温泉街の一部が廃墟化しているだけですが、水上温泉では街の中心部からすでに廃墟だらけという有様。
水上駅前には、廃墟化したホテル大宮があり、地元民は頭を悩ませているそうです。
夜になると街頭の明かりは灯るものの、人が誰もいないという寂しい感じに。
水上温泉周辺のツーリングスポットとしては、四季折々の景色を眺めながら、気軽に散策を楽しむことができる『諏訪峡』や、ダムの聖地群馬を代表する『矢木沢ダム』などがあります。
例年10月下旬には周辺の山々が色づき、見事な紅葉を楽しみながらツーリングできますよ!
廃墟観光と合わせて訪れてみてください♪
湯の山温泉の廃墟ホテル群(三重県)
湯の山温泉は、三重県菰野町にある温泉街です。
自然と一体化した近郊の保養温泉を標榜し、歓楽色を出さないまま今日に至るとのこと。
有名な温泉地ではないので有名温泉地との競争には勝てず、廃墟となった宿泊施設が目立ちます。
上の画像で左半分を占める、湯の山温泉で最も巨大で最も有名な廃墟は『鶯花荘(おうかそう)』。
日本建築家協会の元会長の故・坂倉準三氏による設計で、ベランダの張り出しの長さが部屋ごとに異なるのが特徴です。
ツーリングにぴったりな鈴鹿スカイライン(国道477号線)から湯の山温泉線(県道577号線)に入ったところに湯の山温泉の廃墟群があります。
鈴鹿スカイラインは、湯の山温泉からヘアピンカーブを連続させ、約5㎞で400mの標高差を駆け上がる、なかなかハードな峠道。スピードの出し過ぎに注意して無理のない速度で景色を楽しみながら走りましょう。
※毎年12月上旬から4月上旬頃まで冬季通行止めとなりますのでご注意ください。
友ヶ島(和歌山県)
和歌山県の友ヶ島は戦争遺跡で、軍艦島と同じく観光地化されています。軍艦島と違って島内を自由に散策できるのが特徴。
要塞時代を偲ばせる砲台跡が点在し、それらをめぐるハイキングコースも開かれています。
友ヶ島汽船で友ヶ島に上陸することができ、大人往復2,200円(税込)こども往復1,100円(税込)です。
島にはバイクを持ち込むことはできませんが、渡船場近くには【見晴らしの丘】という絶景スポットがありますので合わせて訪れてみてはいかがでしょうか?
駐車場から展望台まではちょっとしたハイキングが必要みたいですが、友ヶ島も一望できる絶景が広がっています!
まとめ
今回は、広い範囲で廃墟化していて、中に入らずとも廃墟を外から楽しめるような『廃墟群』がある場所を5箇所ピックアップしました!
全国には高度経済成長期に発展しすぎて、バブル崩壊後に廃墟化した施設やホテルが多くあります。
中には観光地化しているところもありますが、基本的には私有地のため立入禁止です。むやみに中にはいったり、傷つけたりしないようにしましょう。
また、地域住民の方のご迷惑にならないよう、大声で喋ったりアイドリングや空ぶかしなどしないようにしてください。
そして、各廃墟周辺のツーリングスポットも合わせてご紹介しましたので是非ツーリングも楽しみつつ、廃墟の非日常感や非現実感を堪能してください♪
本記事の執筆に当たり、おすすめの廃墟や画像の提供を快諾してくださった【廃墟写真ブログ -Ruin’s Cat-】の管理人 Yuki @廃墟写真ブログ さん本当にありがとうございました!
投稿者プロフィール
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バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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