はい、元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
さて、今回は冬グローブの選び方について解説をしていきます。実はグローブ選びで最も難しいと言えるのがこの冬用のグローブなのです。なぜなら温かさを優先するのか、操作性を優先するのかがとても難しいから。
さらに近年は電熱グローブも一般的になってきました。とはいえ、必ずしも万人にとって電熱が正解とは言えず、メリットもあればデメリットもあります。それでいて冬用のグローブというのは年間を通して最も値段が高いものですから、失敗した時のリスクもダメージも大きい。
そこで今回は皆さんにとってベストな冬用のグローブと出会えるように、バイク用グローブを企画製造販売もしている自分がしっかりと解説をしていきます。もちろん自分の商品も1つの選択肢として紹介しますけれども、決してゴリ押しをすることはしません。 客観的な事実ベースでお話をしていきますので、是非最後までご覧ください。
それでは早速行ってみましょう。
冬グローブのジレンマ
まず冬グローブ選びで悩ましいジレンマについてを説明しましょう。
ジレンマその1 操作性と保温性のバランス
操作性を追求すれば薄く設計しなければいけませんが、保温性は損われます。逆に保温性を追求すれば厚くなり操作性が低下します。どちらも欲しいのですが、現実的には難しい。そしてどちらかを優先すればどちらかが失われる。そのバランスというのがすごく難しいわけですね。
ただ自分の基本的な考えとしては操作性よりも保温性を優先することをお勧めしています。 というのも保温性が操作性にも直結するのが冬だからなのです。

確かに今お伝えしたように、設計上は操作性と保温性は相反するものですが、実際にバイクに乗ってみると、指先がかじかんでしまうと操作に悪影響を及ぼします。そのことはお店で試着をしても分からないポイントなのです。お店ではすごく動かしやすかったのに、バイクに乗ってみると寒くて冷たくてまともに操作することができない。冬用のグローブに関しては不思議なことに、設計上は操作性と保温性が相反するものだとしても、使用上は保温性と操作性はある程度相関するのです。ですので、よほど酷い設計のグローブでもない限りは保温性を優先していただくのが良いのではないかなと考えています。
そしてさらなる温かさを追求するのであれば電熱グローブを検討しましょう。グローブ時体が発熱することで薄く設計することも可能になります。しかしこの電熱機能もメリットとデメリットがあるのです。
ジレンマその2-1 電熱グローブのメリットとデメリット(バッテリータイプ)
電熱機能の電熱グローブには大きく2種類があり、バッテリータイプと車体から電源を供給 するタイプ2つあります。

まずバッテリータイプなのですけれども、これは充電がちょっと面倒くさい。特に専用ケーブルだったりするともうイライラしますよね。ただ最近はスマートフォンと同じようにUSB-Cで充電できるものも出始めていますので、そういった物の方が利便性は高いでしょう。そして当然グローブの中にバッテリーを収納するわけですから重量感も出てきます。
また転倒時の衝撃によるバッテリーの爆発という可能性も否定できません。バッテリーの使用時間にも当然限りがありますから、ロングツーリングにおいて1日中使用することは難しいです。もちろん製品によってパワーもスタミナも異なるのですけれども、最高出力では1.5~3時間程度。低出力モードにしても、良くて7・8時間と記載されているものが多いでしょう。出力を落とせば1日中使えそうな印象ですけれども、低温においてはバッテリーの使用時間は表記も短くなりますので注意が必要です。さらに長期間使用することによって、どんどんバッテリーも劣化していきますからね。その分を見越して購入しましょう。

ジレンマその2-2 電熱グローブのメリットとデメリット(車体から給電タイプ)
「バッテリー残量を気にせずににガンガン使いたい」「充電が面倒くさい」という人は、車体から直接給電するタイプがおすめです。バイクの車体から電源が供給されるため、基本的にはガンガン使うことができ、寒さ知らず。 このタイプであれば、充電の手間もなく重さも感じることはなくより、快適に使用することができます
ではこのタイプが結論なのかと言うと、そういうわけでもありません。

車体から給電するということは、直接グローブに給電するというわけではなくて、基本的には上半身用の電熱装備を返して接続をすることになります。車体とインナージャケットを接続し、インナージャケットとグローブを接続して初めて使えるようになり、当然ですけれどもバイクを降りる時も同様です。
めちゃくちゃ快適で操作性も高いのですけれども、乗り降りするたびにつけたり外したり乗り降りする時の接続がちょっと面倒なのです。
そして全身の装備 と合わせて使うのであれば電力消費量に気を配りながら使用することになります。 あまりにも使いすぎてバイクの走行による発電量を消費量が上回ってしまうような場合は、バッテリー上がりの原因にもなりますで、その点は注意が必要です。
バイクには電圧計を取り付けておいた方が良いですね。無尽蔵に使えるわけではないということは頭の中に入れておいてください。
そしてもう1つ大きな問題点。初期費用(導入コスト)が結構高いということ。
自分が愛用しているヒートマスターの場合、全身揃えるとなるとも約10万円コース。実際に使ってみれば確かにその価格以上の価値感じられるはずなのですが、やはり10万円というのは結構大きい金額です。グローブとインナージャケットだけであれば約6万円で済みますが。
それとバッテリー式を含めた電熱全般に言えることなのですが、温める範囲っていうのはとても重要。手の甲しか温めないものもあれば、指先までしっかり温めてくれるものもあります。こういったことはスペックの数字だけを見ても分からないことなので、実際に店舗で確認して購入するか、通販で買うのなら、信頼できそうなレビューも見て判断しましょう。
冬グローブの使用上の注意点
では次、冬グローブを使っていく上での注意点について解説をしていきます。この注意点は冬グローブ特有と言ってもいいもので、そのせいか実践している人はあまり見ないのです。
その特有の注意点というのは「汗対策をする」ということです。

「冬のグローブなのに汗?」と思われたかもしれませんが、冬グローブの汗対策は超重要です。実はかなり汗をかいている上に、洗うのが難しいからなのです。特に電熱の物は洗う時にすごく気を使いますよね。
自分とKaedearのコラボグローブ「天然革なのに温かいグローブ」についても同様です。 内側は暖かく手触りの良いシンサレートという高機能繊維を使用していますが、外側は天然皮革です。この内側だけを洗うのは難しいです。
ですので重要なのは、まず汗を染み込ませないことと、定期的に殺菌脱臭することなのです。
冬用のグローブというのは、とにかく保温性を高めようと設計されています。少し気温の高い11月や3月頃から着用することもあるでしょうし、真冬であっても日差しの温かい昼間もあるでしょう。そういう時は結構手に汗をかいているのです。そして気付けば匂いが染みついてしまいます。
ではまず汗を染み込ませないようにインナーグローブを使ってください。サイズ感や操作性に影響しないほどに薄いにも関わらず、かなり温かいインナーグローブなどもあります。
そして真冬以外のやや気温が高い時期は、夏用のインナーグローブを着用するというのも ありですね。いずれも価格は1000円程度とお手頃で、グローブのコンディション維持に役立つだけでなく、ライディングの快適性も向上します。こういったインナーグローブを装着するだけで電熱グローブや革のグローブのメンテナンスサイクルが飛躍的に伸びるのです。11月とか3月といった季節も冬グローブを使いたい方や、季節を問わず革のグローブを使用している方には是非取り入れていただきたいです。
フォアグラさん開発の冬グローブ 2モデル
では実際に自分が開発し販売している冬グローブを2つ紹介します。先ほどお伝えした理由から、どちらもあえて電熱仕様にはしてありません。非電熱仕様ながら高機能素材を使うことで、どちらも非常に高いレベルで真冬でも十分に使える性能を確保しています。
Kaedear 「天然革なのに温かいグローブ」
まずは横浜のバイク用品メーカーKaedearと共同開発した「天然革なのに温かいグローブ」。

ご覧のように外側は全体が天然皮革でフルカバーされています。見た目はスタイリッシュな革グローブではありますが、内側はアメリカ3M社のシンサレートを使っています。
そう、天然皮革の高い安全性と防風性能、そして革ならではの風合を楽しむことができる上、高機能素材により保温性も両立させたハイブリッドグローブなのです。
この本革のベースになっているグローブは「バイクが上手くなるグローブ」という、やはり自分が開発に携わったもので、こちらはライディングの上達に必要な高い操作性と、安心してライディングに集中できる安全性を追求したものです。その内側に高機能素材のグローブを縫い付けたような構造になっています。もちろん分厚くなる分「上手くなるグローブ」よりも操作性は劣りますけれども、ベースは「上手くなるグローブ」なのです。

本革なので使うほどに良く馴染み、操作性が向上していきます。またレバー操作時に動作の妨げとなりやすいナックルガードは、「フローティング構造」という浮かせる構造にすることで突っ張り感を解消し、自然なレバー操作を可能としています。温かさ、安全性を追求しつつも、できる範囲内で操作性についても配慮しているという設計なのです。
そしてこの グローブの驚くべきはその価格。国内メーカーとの共同開発。そして本革と高機能素材を使い、さらには手縫いにこだわり、お値段は税込み6,600円です。

お察しの通りこのグローブで一儲けしてやろうなんて考えていません。
Kaedearというこの横浜のバイク用品メーカーの認知拡大と、自分がどうしてもバイク用品を作ってみたかったという夢の実現が目的だったからこそできる価格設定なのです。
もちろん製造コストや輸送コストなども考えて原価は割れないよう、ギリギリ損失は出ないような設定にはしています。ただどう考えてもお値段以上です。多分一般的な冬グローブの半額以下だと思いますので、是非ご検討ください。
Foie Gear 「雨冬(うぅとう)しい季節のグローブ」
そしてもう1つ、それは自分の「Foie Gear(フォアギア)」というブランドで販売している「雨冬しい季節のグローブ」というもの。これは高級高機能素材をとにかく贅沢に使った、機能性重視のグローブです。昨年発売し早期に完売してしまいましたけれども、今年は増産しています。

こちらは「雨冬しい」とあるように、冬の寒さだけではなく、ちょっとした雨にも対応できるグローブなのです。
あの冬の冷たい雨ってもう最悪ですよね。ただでさえ寒いのに、雨まで降って来られたら、もうテンションはダダ下がりです。 このグローブはそんな、辛い冷たい雨にも対応した簡易防水機能を付与しています。 グローブ全体を防水透湿フィルムでカバーし、中に染み込みにくい設計としています。ただこれはレイングローブではありません。長時間の走行や強い雨の場合は縫い目からは染みてきますので、あくまで簡易的な防水であるということはご理解ください。

そして先ほどお伝えしました高機能素材を贅沢に使用と。はい。防水透湿素材だけではありません。先ほど紹介したグローブにも使われている薄くて温かい3Mシンサレートを使用しています。さらに強度と軽さに優れるカーボン製のナックルガードも採用。手に持った瞬間に分かる軽さで長時間走行の疲労軽減にも貢献します。温かさはもちろん操作性にもこだわるの は自分のポリシー。手のひら側にはさりげないアヒル柄の滑り止めグリップと、柔らかい天然皮革を使っています。
冬グローブとしてはかなり薄い設計ですが、高機能素材を使用することで操作性と温かさをしっかり両立しています。冬グローブとしてはトップクラスの操作性と言って差し使えないと思います。こちらお値段は8,800円。

どちらのグローブも反応のいいタッチパネル対応を使用していますので、スマートフォンやスマートモニターの操作は可能です。天然革なのに温かいグローブ、雨冬しい季節のグローブ、ともに卸し業者やバイク用品量販店などを通さずにAmazonや楽天の直販とすることで品質を落とすことなく低価格にて販売しています。非電熱派の方はもちろん電熱グローブをお持ちの方でも充電などの患らわしさを感じている方やセカンドグローブをお探しの方是非お試しいただければと思います。
フォアグラさんおすすめの電熱グローブ +α
近年はお世辞にも品質が良いとは言えない電熱グローブも多く出回っています。特にバッテリータイプについてはある程度信頼できるメーカーの安全な製品をお勧めしたいですね。できれば国内ブランドが理想ですけれども、3万円程度の予算がどうしても必要になります。
先ほどお伝えした横浜のバイク用品メーカーKaedearであれば国内ブランドではありますけれども、1万5000円程度で購入することは可能です。
また、中華ブランドで揃えたい場合でもKEMIMOTO(ケミモト)やIRON JIA’S(アイロン ジャス)といった2輪専門メーカーであれば安心して使うこともできるでしょう。
RIDEIRON (IRON JIA’S) 冬用防水 スマート電熱 バイク用グローブ MG7501H

ハイテク素材のカーボンナノチューブフィルムを使用しているため、電熱グローブでありながら薄く軽く柔らかいので操作性が高く、洗濯も可能で、かなり良いなと感じました。ちなみに現在アイロンジャスの新商品の電熱グローブ(MG7502H)を試しているのですが、かなり良い印象です。(現在売り切れ中)
Heat Master 12VヒートレザーグローブTYPE-1
自分が以前より愛用している、ヒートマスターの車体から電源を取るタイプもおすうめです。確かに価格は高いのですけれども、とにかく暖かさを求める方や、ツーリングで1日中走ることもあるという方はに「ヒートマスター一択」と言って良いほどおすすめします。ただし原則として、上半身ウエアと合わせての使用になります

自分が以前より愛用している、ヒートマスターの車体から電源を取るタイプもおすうめです。確かに価格は高いのですけれども、とにかく暖かさを求める方や、ツーリングで1日中走ることもあるという方はに「ヒートマスター一択」と言って良いほどおすすめします。ただし原則として、上半身ウエアと合わせての使用になります
BORLENI インナーグローブ

忘れちゃいけないのがインナーグローブでした。これはポリエステルとスパンデックスの生地を使用し、伸縮性が高く、ほとんどの手のサイズに適し、手に完璧にフィットします。速乾性があるので汗によるべたつきを防ぎ、冬の暖かいグローブ内の蒸れが解消し、より快適な着用感を実現します。革グローブを着用した際の色移りを防ぎます。是非インナーグローブも併用してくださいね。
まとめ
というわけで冬用のグローブについて解説をしていましたが、いかがでしたか?ご自身の使用目的やニーズにあったグローブ選べそうですか?
年間を通して価格が最も高くメンテナンスにも気を使う冬グローブですんで、失敗後悔することがないように選んでいただきたいと思います。
この記事は下の動画でも詳しく解説しているので、こちらも是非ご視聴ください。
それでは今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
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投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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