以前、『ハーレーダビッドソンの選び方』という記事で、カテゴリごとの特徴と選び方を解説しました。
しかし、公開からまもなくしてカテゴリの再編成があり、新たなカテゴリも誕生しています。
そこで今回は、新たに加わった“Sportstar S”と合わせて、2021年に仲間入りを果たした“Pan America 1250”と“LiveWire”の3車種について深堀りしていきます。
この記事はこんな方におすすめ
- ハーレーダビッドソンに興味がある!
- 新しい物好き!
- 人と被らないバイクに乗りたい!
水冷エンジンで生まれ変わった|Sportstar S
伝統のスポーツスターから新たなカテゴリー『スポーツ』が誕生しました。
スポーツスターといえば、元々は『スポーツスターファミリー』として”Iron883″、”Iron1200″、”Forty Eight”などがラインナップされていました。
カテゴリの統廃合により、これらのモデルは旧ダイナファミリー、旧ソフテイルファミリーが属する『クルーザー』というカテゴリに変更されています。
SPORTSTER™ Sは、スポーツスターの物語を刷新する、新しい序章の幕開けです。1957年に誕生し、競合他社を凌駕したレガシーモデルが、現代のスタンダードを押し破るために生まれ変わりました。
そして今回発売された”SPORTSTAR S”は、『スポーツ』カテゴリの最初のモデルです。
エンジンには新型“REVOLUTION MAX 1250T”が採用されています。”PAN AMERICA 1250″と同型のエンジンで、トルク重視のチューニングが施されています。
エンジン名の”T”は”Torque(トルク)”の”T”とのこと。
REVOLUTION MAX 1250T
- 排気量 1252cc
- 最高出力 121HP
- 最大トルク 125Nm
ライディングモードの選択、Bluetooth接続、ABSやトラクションコントロール、クルーズコントロールなどが実装され、今までのスポーツスターにはなかった電子制御システムが多く採用されました。
車重も228kgと、従来のスポーツスターファミリーと比較しても30kg近く軽量化されています。
ポイント
- SPORTSTAR S:228kg
- Iron 883:256kg
- Iron 1200:256kg
- Forty Eight:252kg
せっかくなので旧スポーツスターファミリーとの主なスペックも比較してみましょう。
項目 | SPORTSTAR S | Iron 883 | Iron 1200 | Forty Eight |
排気量 | 1252cc | 883cc | 1202cc | 1202cc |
全長 | 2270mm | 2185mm | 2200mm | 2165mm |
シート高 | 755mm | 760mm | 735mm | 710mm |
Fタイヤ | 160/70TR17 73V | 100/90B19 57H | 100/90B19 57H | 130/90B16 73H |
Rタイヤ | 180/70R16 77V | 150/80B16 77H | 150/80B16 77H | 150/80B16 77H |
タンク容量 | 11.8L | 12.5L | 12.5 | 7.9L |
最大トルク | 125Nm | 68Nm | 96Nm | 96Nm |
車両重量 | 228kg | 256kg | 256kg | 252kg |
販売価格 | ビビッドブラック 1,858,000円 | モノトーン 1,388,200円 | ビビッドブラック 1,427,800円 | ビビッドブラック 1,537,800円 |
モノトーン 1,887,700円 | カスタムカラー 1,416,800円 | モノトーン 1,457,500円 | モノトーン 1,567,500円 |
ご覧の通り、車重は軽くなりましたが、車格は大きくなり、パワーも大幅に向上しています。
それに伴って価格帯も40万円近く上がってしまいましたが、新しく備わった電子制御類などを考えると妥当な金額でしょうか。
水冷エンジンのNight Rod Specialや、Forty Eightに乗っていた事があるのでぜひ一度試乗してフィーリングの違いを感じてみたいです。
過酷な環境でも大地を駆け巡る|Pan America 1250 / Special
“Pan America”は、ハーレーダビッドソン初のアドベンチャーツーリングモデルで、通常モデルと上位モデルのSpecialがラインナップされています。
まずは両者のスペックを確認しておきましょう。
項目 | PAN AMERICA 1250 | PAN AMERICA 1250 Special |
排気量 | 1252cc | |
全長 | 2265mm | |
シート高 | 890mm | 830〜873mm |
Fタイヤ | 120/70R19 60V | |
Rタイヤ | 170/60R17 72V | |
タンク容量 | 21.2L | |
最高出力 | 152 PS / 150 HP / 112 kW @8750 rpm | |
最大トルク | 128Nm | |
車両重量 | 245kg | 258kg |
販売価格 | ビビッドブラック 2,310,000円 | ビビッドブラック 2,680,700円 |
モノトーン 2,339,700円 | モノトーン 2,710,400円 | |
ー | ツートーン 2,735,700円 |
エンジンは”SPORTSTAR S”と共通の“Revolution™ Max 1250″で、オフロード走行を想定した特別チューニングも施されています。
ハンドリング性能の向上のために車重が大幅に軽減され、大柄なアドベンチャーモデルながら通常モデルでは“Iron 883″より11kgも軽くなっています!
ライディングモードは、【スポーツ】【ロード】【レイン】【オフロード】【オフロードプラス】の5つから選択するか、好みの設定にカスタムすることもできます。
通常モデルと上位モデルの【Special】の違いは以下の通り。
- 車両荷重制御付きセミアクティブフロント/リアサスペンション
- タイヤ空気圧監視システム(TPMS)
- センタースタンド
- マルチポジションリアブレーキペダル
- ブラッシュガード
- アルミニウム製スキッドプレート
- Daymakerシグネチャーアダプティブヘッドランプ
- ハンドウィンドディフレクター
- ヒーテッドハンドグリップ
- ステアリングダンパー
- アダプティブライドハイト
- チューブレススポークホイール(オプション)
特に注目したいのは、車両荷重制御付きセミアクティブフロント/リアサスペンションと、アダプティブライドハイトです。
車両荷重制御付きセミアクティブフロント/リアサスペンションは、ライダーやパッセンジャー、荷物の重量を感知してサスペンションを自動調整し、最適な設定を維持してくれます。
アダプティブライドハイトは自動車高調整システムで、停車時や低速時には自動で830mmまで車高が下がって脚付きが良くます。
また、発進後は速度に応じて荷重を検知し、車高を自動調整することで安全な運転を可能にしています。
これによって、従来のアドベンチャーバイクの、車高が高くて扱うにはライダー自身の体格も必要といったイメージが払拭されています。
ライバル車種との比較もしておきましょう。今回は、”PAN AMERICA 1250 Special”とBMWの”R 1250 GS Adventure”とを比べてみます。
項目 | PAN AMERICA 1250 Special | R 1250 GS Adventure |
排気量 | 1252cc | 1254cc |
全長 | 2265mm | 2190mm |
シート高 | 830〜873mm(自動調整) | 890〜910mm(手動調整) |
Fタイヤ | 120/70R19 60V | 120/70R19 |
Rタイヤ | 170/60R17 72V | 170/60R17 |
タンク容量 | 21.2L | 30L |
最高出力 | 152 PS / 150 HP / 112 kW @8750 rpm | 100 kW (136 PS) at 7,750 rpm |
最大トルク | 128Nm | 143 Nm at 6,250 rpm |
車両重量 | 258kg | 278kg |
販売価格 | 2,680,700円〜2,735,700円 | 2,786,000円 |
スペック表を見る限り、BMWのアドベンチャーモデルとも遜色がありません。
乗り比べたわけではないので単純な比較はできませんが、『あのハーレーが後発で出してきたアドベンチャーモデル』という期待値の低いイメージ(失礼)で見ると思った以上のスペックと扱い易さに心が揺らいでしまうかもしれません。
通常版と上位モデルを比較するなら、価格は上がってしまいますが、これだけの装備と安心感がお金で買えるのなら迷わず上位モデルの”Special”を購入しますね。
こちらもぜひ一度乗ってみたい車種の一つです。
車検不要の電動スポーツ|LiveWire
この”LiveWire”は、ハーレーダビッドソンがどの二輪車メーカーにも先駆けて発売した大型スポーツモデルの電動バイクです。
2020年の12月3日に日本モデルの予約販売が開始されました。
完全な電動バイクなので、アクセルを捻った瞬間から最大トルクを発揮させ、停車状態から時速100kmまでの加速はわずか3秒です。
満充電時の航続可能距離は、市街地走行で235km、高速走行で152kmとなっています。充電時間は急速充電すれば、40分で80%、1時間で100%の充電が可能とのこと。
市街地走行では回生ブレーキで減速時に発電するため航続距離が伸びていますが、高速道路を定速で走っていると電力を消費する一方なので航続距離152kmと短め。
ショートツーリングであれば問題なくこなせそうですが、充電スポットの問題からまだまだ趣味の乗り物としては実用的ではないかなという印象です。
ライドモードは、【スポーツ】【ロード】【レンジ】【レイン】に加えて、ライダーがカスタマイズできる3つのモードを選択できます。
ここでスペックをみていきましょう。
比較対象となる車種はまだまだ殆どないのですが、【Zero Motorcycles】から発売されている大型電動スポーツバイク”SR/F”と並べて比べてみます。
ちなみに!
この”SR/F”は福岡の電動バイクブランド【ZEAM】が販売しています。
【ZEAM】は【レンタル819】とも業務提携しており、電動バイクのレンタルや販売が可能な店舗が増えてきています。
項目 | LiveWire | SR/F |
定格出力 | 20kW以上(未公表) | 40kW |
全長 | 2135mm | 2130mm |
シート高 | 795mm | 787mm |
Fタイヤ | 120/70 ZR17 58W | 120/70-ZR17 |
Rタイヤ | 180/55 ZR17 73W | 180/55-ZR17 |
航続距離 | 市街地走行 235km | 市街地走行 259km |
高速走行 152km | 高速走行 159km | |
最高出力 | 100 HP / x75 kW | 82kW/110ps/5000rpm |
最大トルク | 116Nm | 190Nm |
最高速度 | 177km/h | 200km/h |
車両重量 | 255kg | 220kg |
充電時間 | 普通充電Lv1 12.5時間 | 普通充電Lv1 8.5時間 |
急速充電Lv3 1時間 | 普通充電Lv2 4.5時間 | |
販売価格 | 3,493,600円 | 2,915,000円 |
『バイク界のテスラ』とも呼ばれる【Zero Motorcycles】の”SR/F”には及びませんでしたが、航続距離も最高速度も、実際に公道で使用することを考えれば十分に実用に足るでしょう。
価格面では、”LiveWire”方が60万円ほど高額になってしまっているので現状どちらを選ぶかと聞かれると”SR/F”の方に軍配が上がるでしょうか?
まだまだ馴染みのない電動バイクですが、最近はフル電動自転車や電動キックボードも公道使用可能なモデルが増えてきました。
ヤマハ発動機も2050年までに販売するモーターサイクル商品の90%を電動化することを発表していますし、今後は二輪メーカー各車も電動バイクをリリースしていくのでしょう。
電動バイクは、車体価格こそ高めの設定がなされていますが、エンジンオイルなどの消耗品が圧倒的に少なくメンテナンス費用は安く抑えることができます。
それに加えて、航続距離は短いもののガソリンエンジンのバイクと比較すると距離あたりの燃料費も比較にならないほど安くなります。
充電スポットがガソリンスタンド並みに増えて、どこまで行ってもバッテリー切れの心配がなくなるような世の中になればガソリンエンジンはなくなってしまうのかもしれませんね。
まとめ
今回は、2021年になって追加された新カテゴリの最新車種3機種について深堀りしてきました。
3車種とも今までのハーレーにはない、新しい挑戦が見える車種でした。
『空冷』から『水冷』へ、そして『ガソリンエンジン』から『電動バイク』へと、新しい時代への流れのようなものを感じました。
現状バイクを買い換える予定はありませんが、次に乗り換えるなら”PAN AMERICA 1250 Special”もいいなぁ。なんて考えながらの執筆でした。
ベンチャーの電動バイクメーカーも多く出てきていますし、今後のバイク業界は大きくかわってくるかもしれません。業界全体の動向に注目していきましょう。
※本記事引用画像は、ハーレーダビッドソンジャパン公式HPより引用しています。
下記にハーレーの選び方も解説しているので、気になる方はぜひ読んでみて下さい↓
投稿者プロフィール
-
バイクやキャンプなどのジャンルを専門にライターをしているえもと申します。
モトコネクト立ち上げからライターをさせていただき2022年12月に会社を退職。合同会社Cap.Nemoを設立しました!
バイクの楽しさや便利グッズなどをわかりやすくお伝えしていきます。
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