はい!元バイク屋のフォアグラさんです、こんにちは。
バイク歴は10年20年あっても、どんなに峠やサーキット走りこんでる人でも、実はバイクの取り回しが苦手っていう方は多いんじゃないでしょうか?バイク屋をやってきましたが、お客さんを見ていると正直正しく取り回しができてる人って、実際ほぼゼロです。特に車両を後ろに押すときの姿勢を見ると、1秒で素人なのか仕事として携わっている人なのかが分かります。
さて今日は、そんな多くのライダーに贈るバイクの取り回しのお話です。
バイク女子にはどんなに走りをアピールするよりも、重いバイクを駐車場から出してあげるほうが余程モテますから。ちなみにフォアグラさんは、この取り回しで結婚しました。マジです!
今回はバイクの取り回しの基本についてお伝えしていきますので、ぜひ理屈を理解していただいて、かっこよく安全な取り回し方法をマスターしてください。
バイクを前に押す場合の基本
それでは早速内容に入っていきましょう。バイクは自分のモンスター1200です。
まずバイクを取り回すときは、必ずバイクの車体を地面に対して垂直にしてください。もうこれは基本です。
よく見るのが、バイクが向こうに行っちゃって倒れるのが怖いっていうことで、自分の体に傾けちゃう人。これはすごく多いですよね。
これくらいの角度でも、自分の体には結構余計な力がかかっています。
向こう側に傾けてしまうというのも論外で、向こうに行ったら倒れるしかありませんからね。やはり垂直というのが基本です。
では実際にこれからバイクを押してみようと思います。
基本的にバイクと自分の体の距離感もある程度必要になります。
これはまあ、悪い例です。ハンドルに近すぎると力が入りませんから、下の写真のように程良くタンクの真横ぐらいに体を置いて前に押します。
この時に右手は必ずブレーキに指をかけておきます。止まろうと思った時にすぐ止められるように、右手をブレーキに常にかけておくというのは基本的なことになります。
もうひとつ良くない例を一つ挙げますね。
先ほどもお見せしましたが、バイクを垂直にするっていうことに恐怖心があるせいか、自分の体にちょっとバイクを傾けすぎて、それで支えるの必死になってしまって、なかなか綺麗に前に押せていない効率の悪い押し出し方をしている人をよくみませんか?
こうやって押している時に自分の身体の方に傾けても、その方向にバイクは曲がりませんからね。くどいようですが、やっぱりバイクは地面に対して垂直です。
今度は垂直にした状態でしっかり押してみましょう。
こっちの方が断然楽ですね。
次はちょっとバイクを曲げてみましょうか。
当たり前と思うかもしれませんが、バイクを曲げる時にはハンドルを曲がりたい方に切ります。取り回しの時はバイクを傾けても曲がりませんからね。
走っているときにバイクを傾けることで曲がるっていうのは、セルフステアが効くことでバイクが傾いていると自ずとハンドルが切れ込んで曲がるという理屈です。バイクを押して歩く時は、必ずハンドルを切らなければ曲がりません。
ここで一旦前進についての基本をまとめたいと思います。
まず一番大事なことは、車体は地面に対して垂直にするということで、これを傾けてしまうと、車体を支えるのに余計な力が必要になってしまいます。それに取り回しの時は、車体を傾けたとしても方向が変わりません。なぜならハンドルはまっすぐ自分の手で抑えているからです。ですので、傾けることによるメリットっていうのは全然ないんですね。
それともう一つ大事なことは、車体と体の距離は適度に開けるって言うことですね。車体というより、ハンドルからの距離と言った方がわかりやすいかもしれませんね。これは車種によって適正な距離が異なってくるので、一概は言えません。
ただ、初心者の方で取り回しに緊張しちゃっているせいなのか、ハンドルにべったりくっついて押そうとする方が多いです。そうするとどうしても力を入れにくいので、力を入れやすいハンドルから距離を自分で見つけていただいて、その距離感をしっかり覚えて押していただければ、非常に楽で安定した取り回しができるようになると思います。
バイクを後ろに押す場合
それでは今日一番のポイント、もう一目でプロなのか素人なのかがわかってしまうという、バックの取り回しについてお伝えします
このバックができると、ツーリング中に傾斜のある駐車場で出られなくなって困っているお目当ての女の子をスマートに助けることができるようなります。これで素人感/玄人感が決まると言っても過言ではありませんので、ぜひ覚えてくださいね。
では実技です。まず先ほどの前進の時と一緒で、車体は必ず垂直にてください。無駄な力をかけないで済むというメリットは、バックの場合でも同じです。
まずよく見る、良くない例を実演してみましょう。
こうやって両手でハンドルを持ってしまうと、バイクを後ろに下げるには引く力しか使えなくなってしますよね。押す方が明らかにバイクを強く楽に動かすことができます。
ブレーキレバーに指をかけておけると何かあった時に安心ですから、確かに気持ちが分かります。でも、やっぱりしんどいですよ、この体勢は。それにこの体勢で足がもつれたら、もう転ぶしかありませんからね。
また、見た目も正直カッコイイとは言えないですよね。200kg場合によっては300kgのバイクをバックさせるには、腕の力だけで引くっていうのは明らかに不十分ですし、その分リスクも大きくなります。
ではどうしたらいいのかというと、まず左手は先ほどと同じようにハンドルの左側を握ります。そして右手はシートの上に置いて、この右手に力を入れて車体を押します。ハンドルを握るのではなく、シートの上に手を置くということが大事になります。
その右手をシートのどこに置くかですが、それはシートの段になってるあたりです。ライダーとパッセンジャーの間ぐらいに段になっているところがあると思います。スーパースポーツのようなシングルシートだったとしても、ライダーのシートのすぐ後ろの段になっているあたりを押すイメージを持ってください。
そして大事なことは、進行方向に対して体ごと向けるということです。頭を向けるのは当たり前ですけれども、体ごと後ろに向けて、かつ足のつま先もちゃんと後ろの進行方向に向けるということが大切になります。
この時、ブレーキレバーに指をかけていないので、もし何かあればすぐに振り返ってブレーキを握るようにしてください。
おそらくこういう押し方を始めたばっかりの頃は、ブレーキレバーに指をかけてないことがすごく不安に感じると思いますが、この方が絶対に転かすリスクは低いです。右手をシートにおいて押す方法をぜひ覚えていただきたいと思います。
ここでもう一つ悪い例を上げますと、右手をシートの上にちゃんと置いて頑張って後ろに下げようとはしてるんだけど、体が正面を向いてしまっている方がすごく多いんですね。
わかりますか?シートにはちゃんと手を置いているのですが、つま先が完全にこっち側を向いてしまっていますよね 。
ちゃんと後ろを向いている例と、つま先が正面に向いてしまっている例を比較してみましょう。
ご覧のように良い例は体や目線が後ろ、つまり進行方向を向くことによって右手に体重を乗せることができ、力強く安定して車体を押すことができています。対して悪い例では、右手をシートに乗せてはいますが体重が乗っていません。つま先の向きを見れば一目瞭然ですよね。バックをする場合、車体を後ろに押す力、右手がすべてで、ハンドルを持つ左手の力というのは、舵取りをする役目にしか使わないというのが理想です。
それではバックについてまとめます。
まず車体は地面に対してまっすぐ垂直にするということ。理由は前進の時と全く同じで、より少ない力で車体を動かすためです。次に右手はシートの段差の部分に置き、その右手にかかる力だけで車体を押すということです。とにかく右手は後ろに進ませることだけに専念させましょう。そして左手はハンドルを持ちますが、こちらには力は入れません。あくまで左手は舵取りと、車体をまっすぐに保つためだけに使います。
坂道でバイクを後ろに押す場合
では次は、皆さんも苦労したことがあると思いますが、傾斜がある駐車場でどうやって バックでバイクを出すかを紹介しようと思います。
よく2輪用の駐車場って、平面ではなくて若干傾斜のあるところがありますよね。跨ってブレーキを握り、サスの反動で引っ張って苦労したという経験がある方も多いと思います。しかし2~ 300kgある大型バイクであっても、右手をしっかりとシートに乗せて体を進行方向に向かせれば、結構こういった坂も登れたりします。
この坂はあまり傾斜が強く見えないかも知れませんけど、真っすぐに置いたらスタンドが外れてそのまま前に倒れていく、それぐらいの傾斜は十分ある坂、そしてハンドル持って引っ張ったところでとても上れるような坂ではありません。
今度はありがちな失敗例です。
このようにハンドルを両手で握ってしまうと、先ほど言ったように引く力しか使えないので、坂道で200kg以上もあるバイクを持ち上げようと思っても、そう簡単にはいきません。これは演技でもなんでもありませんからね。
傾斜のある駐車場からの脱出も、基本はバックと同じです。
この押し方なら傾斜のある駐車場も簡単です。ただより強い推進力が必要となりますので、より多くの体重を右手に乗せるようにします。そして左手はあくまで車体をまっすぐに保つ。ハンドルを真っ直ぐに保ってさえいればいいので、余計な力をかけないようにしてください。
跨ってフロントブレーキを握ってサスペンションを沈み込ませ、その反動で後ろに下げるという方法もありますが、1回で動かせる距離というのはごくわずかです。何度も繰り返す羽目になり、カッコ悪い上に汗だくになってしまって、これではモテませんよね。何より立ちゴケをする可能性は、圧倒的にこちらの方が高いはずです。
まとめ
シートに手を置いて取り回す方法は、慣れるまで多少の練習は必要ですが、一度覚えてしまえばとても簡単で、バイクを倒すリスクも少なく、旅先でもモテちゃうし結婚相手も見つかると思うので、ぜひ練習してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今回の取り回しについてのお話はいかがでしたか?
今回の記事は下記の動画でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
モトコネクトでは元バイク屋のフォアグラさんの様々なバイクに関する記事が公開されているので、ぜひチェックして見て下さい!
投稿者プロフィール
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元バイク屋のYouTuber。
バイクライフに役立つ情報を毎週配信。
メカの話やバイク購入アドバイスはもちろん、用品レビューやバイク屋裏話まで、バイク乗りなら誰もが気になるテーマばかり。
ちなみに中身はアラフォーのおっさん。
好物はサッポロ黒ラベルとキャベツ太郎だが、子どもができて以来、ふるさと納税で貰った無糖レモンサワーで節約している。
最近、血糖値と血圧を気にしているらしい。
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