■はじめに
バイクをメンテナンスする時、「この小さな隙間から、どうやってボルトやネジをゆるめたらいいの?」ってことありませんか?
バイクの部品は、限られたスペース中にぎっしりと装着されているから、メンテナンスには「工夫」とそれに対応した「工具」が必要になってきます。
ここでは、バイクメンテナンスに行き詰っている方や、面白そうなバイク工具を探している方に向けて、バイク乗りにオススメしたい9つの工具をご紹介します。
1.Wera(ヴェラ) サイクロップラチェット3/8
【ラチェットの短所】
ラチェットは、ボルトに一度装着すると、いちいち取り外さなくてもカリカリと戻って回せる、とっても便利な工具なのですが、次のような短所があるのです。
- ゆるゆるのボルトを回す時にはラチェットが機能しないところ。ある程度ボルトが固く締まるまで、指先で回すのが少々面倒。
- ボルトにラチェットを装着したものの、障害物でハンドルが動かせない。
- 首振り自在のスイベルラチェットは、自由自在に動く分、力がかけずらい一面もある。
上記のような経験、皆さんにもあるかと思います。
地味に面倒くさいですよね。
【サイクロップラチェットは短所を長所にできる!】
そんな時は、Weraのサイクロップラチェットを使ってみてください。
ラチェットの短所だったところを長所に変えちゃいました!
- ゆるゆるのボルトは、ソケットをまっすぐに立てて、ドライバーのように素早く回せるんです。
- まっすぐ立てられなくても、ヘッドのラチェット部を指一本で回せます。
- 狭い範囲での作業は、隙間を使ってハンドルで回すことも出来ます。
- 首振りを0度、15度、90度で固定するため、ハンドルに力をかけやすくなっています。
これで、作業効率が格段にアップしますよ!
3/8″インチの四角ヘッドソケットレンチのインサートなので、六角レンチやドライバーとしても活用できます。
2.ハルダー 無反動ハンマー
【跳ね返らないハンマー】
このプラスチックハンマー、叩いてもハンマーが跳ね返らないんです。
反動が返ってこない=すべてのチカラが叩いた先に伝わるということです。
【鋼球で、力を打撃部へ伝える】
跳ね返らない秘密は、プラスチックハンマーのヘッド内部に小さな鋼球が封入されているからです。
叩いた衝撃から、若干遅れて鋼球の衝撃がハンマーに伝わるため、跳ね返らないのです。
そのため、叩いた衝撃はとても強くなります。
ヘッド内部のインパクト板は、機械で高品質に溶接されるので、最大衝撃を与えても鋼球が外に飛び出ることはありません。
【バイク整備で大活躍】
バイクでは、「シャフトの抜き差し」や、「固着したエンジンクランクケースカバーなどの取り外し」など、様々なシーンで重宝しそうです。
【ヘッド部分は交換可能】
ヘッド部分は、最高強度の特別ナイロン製のインサートを使用しているため、叩く対象を傷付けずに作業できるのと、作業ノイズも軽減できます。
跳ね返りが無くなることで、作業者への負担も大幅に軽減できます。
インサートは交換もできるので、一度手に入れたら長く使える工具になりそうです。
本製品は、ヘッド径25~70mmがあります。
3.Knipex プライヤーレンチ
【2つの機能がひとつになった】
この工具は、プライヤーとモンキーレンチが合体したような工具です。
- プライヤーだと、ボルトをつかめるけれど、ボルト等につかみ傷が残りやすい。
- モンキーレンチだと、ボルトサイズを合わせて、回して、外して付け直して回して・・・
と、回せる範囲が狭いと、ものすごく時間と労力を取られますよね。
上記の問題が、このプライヤーレンチで解決します。
- 滑らかな掴み面で、ボルトパーツなどを傷つけません。遊びのないフラットなアゴによって、ボルトエッジを痛めません。
- ラチェット的なアゴの動きで、ボルトの素早い締付けと取り外しが可能なのです。
【バイクで使えるところ】
・ラチェットが入らないような狭い場所でのボルトナットの付け外しが出来ます。
・フロントフォークのトップキャップなど、傷つけたくないボルトの付け外しに。
【車載道具に1本あれば重宝】
プライヤーレンチ1本あれば、開口サイズ内のボルト回しが可能になりますので、車載工具に入れておけば何かあったときも安心です(サイズが合っても、プライヤーレンチが入らない狭い部分はあるので、そこはご自分のバイクで事前に使えるかを確認しましょう)。
4.DEEN.J ヘッドライト
【手をかざすだけでON-OFF】
このLEDヘッドライトの私の一番のオススメは、手をかざすだけでON-OFF出来るセンサースイッチ機能です。
バイクの整備中、手が汚れている時などに重宝します。
【狭いところでも使い勝手良い】
ヘッドライト特有の出っ張りも少ないため、狭いところに頭を近づけてもヘッドライトがぶつかって、光源がずれるというストレスは起こりにくそうです。
購入者さんによっては、首にかけて使用している人もいます。
【ヘルメットにつけてもずれない】
ヘルメットとの相性もよく、ゴム製バンドでずれにくい。
【防水機能付き】
防水性能も保護等級IPX4と、お風呂場のスピーカーレベルなので、少々の雨なら問題なさそうです。
【様々な点灯・点滅モード】
点灯モード(COB High (450lm) – COB Low(150lm) – XPE High(200lm) – XPE Low(80lm))で、作業環境に適した光源・光量を選択できます。長押しすれば、点滅モードにも切り替えできます。
点灯時間は3~8時間(モードによります)。
【充電時間】
充電方式はUSB Type-Cで、充電時間は約3時間です。
5.SKⅡT型スライムソケットハンドル 差込角9.5mm STS-325S
見た目は普通のT字ソケットハンドルだけど、実はこれすごいんです。
【まるで電動工具のような素早さ】
赤い部分(フリーターングリップ)を持って、T型ハンドルをくるくる回せば、長いねじでも素早く脱着できます。
バイクでは、エンジンのクランクケースカバー等の脱着に超便利です。
【隅部作業や強固な締め付けもOK】
T型ハンドル部分がスライドできるんです。
スライドさせれば、障害物を避けて隅部作業も可能です。
また、より強固な締め付けや取り外しもできます。
【拡張性の高いソケットハンドル】
ソケットを交換すれば、様々なボルトサイズ、六角レンチなど、拡張性が高いです。
【ソケットの固定・首振りが自在に!】
ソケット部分も、差し込む深度で首振りと固定が選択できます。多少斜めからのアプローチでも素早い付け外しが可能です。
【ハンドルも取り外し可能】
ハンドルを取り外すと、エクステンションバーとしても使えます。
また、取り外すことで収納もスッキリできます。
6.KIJIMAエアーバルブガイドツール
【タイヤ交換時、エアバルブを見失うことから開放されます】
タイヤ交換時、ホイール穴に差し込んでいたはずのエアーバルブがいつのまにかタイヤの中に潜ってしまい、タイヤを再度ホイールから外すことになったことありませんか?
うんざりしちゃいますよね。
これがあれば、その心配はなくなります。
【ガイドツールをつけて安心タイヤ交換】
ガイドツールを装着しておけば、タイヤはめ込んだ後でもエアーバルブをホイール穴から簡単・的確に出せます(ただし、強く引っ張るとワイヤーが切れてしまうことがるので、優しく誘導してください)。
【使用後は先端を収納】
ガイドツールを使用した後は、先端を引き手の中に収納できます。
無くてもなんとかなる工具だけど、あったら、二度と手放したくない工具です。
7.SIGNET シグネット ミニラチェセット
【隙間にドライバーが入らない・・・】
この隙間に入るドライバーがあれば・・・と思いながら、その周りの部品を外す「遠回り作業」。
この遠回り作業を始めてしまうと、15分で終わるはずの整備が、3時間以上かかることも。
そんな時に、狭い隙間にサッと入って回せるドライバーや六角レンチがあるんです。
【キャブレター整備に最高】
これさえあれば、遠回り作業を回避できるかもしれません。
ミニラチェットの全長93mm、ヘッド幅、15mm、ヘッド厚み10mm、ビットの全長25mmなので、恐らく3㎝くらいの隙間があれば作業できるのでは?
特にキャブレター車に乗っているライダーさんには、必携アイテムです。
【小さいけれど、しっかりした構造】
小さいラチェットですが、通常に近いトルクをかけても大丈夫です。
【バイク車載工具として最高】
ケースのサイズは12×1.5×4cmという手のひらサイズ。重さは136g。
バイクの小さい工具スペースにも十分入るサイズです。
【振動音にも配慮】
気になるのは、ケースと工具がぶつかり合う振動音ですが、工具は不織布に包まれて収納されているので、振動でカチカチ鳴りにくくなっています。
8.ツノダチェーンプライヤー
【ラジオペンチだと失敗が多い】
チェーンクリップの取り付け・取り外しに便利です。
ラジオペンチで脱着作業をすると、勢い余ってクリップがどこかへ飛んでしまったり、力の入れ方によっては、クリップ自体を歪めてしまったり。
何度もやっていると、だんだんストレスになってくるのです。
【チェーンプライヤーで失敗なし!】
それが、このチェーンプライヤーを使えば、「一発で完了、失敗なし」です。
気持ちよいチェーンの取り外し作業がこれ一本で叶えられます。
【縦でも横でも脱着可能】
プライヤーの先端を使っても(縦)、側面を使っても(横)クリップの脱着が可能です。
【チェーンプライヤーの応用編】
チェーンとは関係ありませんが、このチェーンプライヤーはEリング(キャブレター)やCリングなどの脱着にも使えます。
【ノンシールチェーンユーザーにおすすめ】
チェーンの寿命が短いノンシールチェーンを使っているライダーさんは、交換頻度が高めなので、特におすすめします。
このチェーンプライヤーを一度使ったら、手放したくなくなりますよ。
9. ホーザン(HOZAN) スタンドバネ入れ
【全力でばねを引っ張るのは危険】
バネをスタンドに取り付ける時、バネを全力で引っ張って・・・なんてやっていると、
時には何かのはずみで、勢い余った手をどこかにぶつけてしまって怪我することも・・・。
【バネ入れって、こんなに楽なの?】
そこで、このスタンドバネ入れの登場です。
これがあれば、全力でバネを引っ張る必要はありません。
てこの原理で、「こんなに簡単にバネを取り付けられるの?」・・・と感動します。
個人で使う回数は限られると思いますが、もしもスタンドバネ入れを失くしたら、もう一回買ってしまうくらい、地味に必要なアイテムです。
■おわりに(ラチェットのメンテナンス)
バイクのメンテナンスに使う工具も、実は消耗品です。
使う頻度が高ければ高いほど、消耗頻度も高くなります。
特に、ラチェットは、精密な部品が入っているので、注油メンテナンスをやっておくと、長持ちしますし、何と言っても、注油後のラチェット感が気持ちよくて、作業もはかどりますのでオススメします。
では、ラチェット類の注油に使うオイルは何でもOKか?というと、そうでもないのです。
【ラチェットに潤滑スプレーは△】
ラチェットのメンテナンスにCRCなどの潤滑油や粘度の高いグリースは、以下の理由でオススメしません。
- 潤滑油は発揮性なので、効果がすぐに薄れてしまい、部品が錆びやすくなります。元々ついていた潤滑油も洗い流してしまうので、注意が必要です(頻繁に注油すれば大丈夫です)。
- 粘土の高いグリースはゴミやホコリを巻き込みやすく、動きを悪くする可能性があります。
【ラチェットにはミシン油かコンプレッサー油が◯】
ラチェットの注油には、ミシン油かコンプレッサー油を使いましょう。
ミシン油やコンプレッサー油は、粘度が低く、油膜強度も比較的高いため、長期間の潤滑や防錆に向いているからです。
ラチェットのメンテナンスの時は、一度パーツクリーナーで古い油を脱脂して、ミシン油かコンプレッサー油を数滴たらして全体になじませましょう。
皆様のバイクメンテナンスがより一層、「安全に、気持ちよく」出来ることを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
投稿者プロフィール
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【チャリダーからライダーへ】8年前、自転車整備の延長で、ほぼ一人でメンテできるスーパーカブ110(ja10)と出会い、世界が広がる。
【スーパーカブ】走行距離9万キロ。試行錯誤のメンテで失敗(エンジン焼き付き)もあるが、不調から回復するカブから元気をもらっている。
東京生まれ。沖縄在住25年。50歳で人生初の脱サラ。2023年からライターとして活動。「自分で直せる」を皆さんにお伝えできたら嬉しいです。
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