新車の時は真っ黒なツヤを出していた樹脂パーツですが、何もしないとたった数年で表面が白くなってしまいます。
なぜ、樹脂パーツの表面は、数年経つと白くなってしまうのでしょうか?
実は、紫外線などの影響で樹脂パーツ表面が劣化して、細かいクラック(ひび)が無数に入ってしまうからなのです。
太陽の光がクラックの中で反射するため、全体的に白っぽく見えるのです。
それでは、「白化した樹脂パーツの黒ツヤを復活させる」にはどんな方法があるのでしょうか?
樹脂の黒ツヤを復活させる方法は様々ありますが、ここでは、その中から筆者が厳選した5つの方法をご紹介します。
これを読めば、きっとあなたに合った黒ツヤ復活の方法が見つかります。
さらに、筆者自身も「厳選した5つの方法」の1つ(塗装スプレーで塗布する)に挑戦しました。
皆様のご参考になれば幸いです。
樹脂パーツの黒ツヤ復活方法5選
1. バーナーやヒートガンで炙(あぶ)る
バーナーやヒートガンの使い方:カセットボンベバーナーやヒートガンで白化した樹脂表面を炙(あぶ)っていきます。
どんな効果があるの?:表面の樹脂に熱を加えることで、劣化した樹脂が元に戻ります。140℃以上で軟化し始め、180℃(融点)で溶けはじめます。
バーナーやヒートガンで炙るメリット:手軽、安価、劣化した樹脂表面が元の樹脂に戻るので、一度施工すれば、長期間効果が持続します。
バーナーやヒートガンで炙るデメリット:操作が難しい(ムラが出やすい。加熱しすぎると変形してしまう。シボ加工が消えてしまう)。火を扱うので、火傷や引火などの危険性が高い。
かかる金額(目安):1000円~
どんな人向け?:多少の施工ムラは気にならない人。ぱっと見をキレイにしたい人。一度の施工で長持ちしたい人。簡単に短時間で作業を終わらせたい人。バーナーもしくはヒートガンの扱いに慣れている人におすすめします。
ガスボンベバーナーを使うならコレ:火力の無段階調節が可能なツインフレームバーナー(TFB-2)です。 ボンベを逆さにしても使えるので安心してあぶり作業ができます。
ヒートガンを使うならコレ:本記事の後半にも登場するヒートガンです。300℃~600℃の熱風が出ます。熱風は強弱の2段階方式になっているので、使い分けができます。取り替えノズル5種類の他、スクレーパーも付いています。1つ持っておくと何かと便利です。
2.メラミンスポンジでこする
メラミンスポンジの使い方:水をつけたメラミンスポンジで白化した樹脂表面をこすり、白化した樹脂を削り取ります。
どんな効果があるの?:劣化した樹脂表面をメラミンスポンジで薄く削り取ることで、劣化していない樹脂を表面に出します。
メラミンスポンジでこするメリット:水とスポンジがあればすぐに作業が始められます。塗装と違い、樹脂本来の質感や風合いを残せます。薬品を使用しないので、安心して作業できます。
メラミンスポンジでこするデメリット:施工する面積が広いと、作業に膨大な時間と労力がかかります。特に、シボ加工など細かい凸凹が表面に施された樹脂の場合、凹んだ部分に劣化した樹脂が残ってしまいがちです。また、偏ったこすり方をしていると、削りムラが出ます。
かかる金額(目安):100円~
どんな人向け?:薬品が苦手な人、とにかく安く済ませたい人、時間をかけてじっくりやりたい人、樹脂本来の質感を大事にしたい人におすすめです。
メラミンスポンジを使うならコレ:自分の好みのサイズにカットできるメラミンスポンジがオススメです。樹脂パーツのサイズに合わせて使えます。
3. つや出し剤を塗布する
つや出し剤の使い方:製品により違いがありますが、表面を洗浄後、樹脂に直接スプレーするか、布やスポンジにつけて塗布します。塗布後すぐに乾拭きする製品や、完全に乾いてから乾拭きする製品もあります。
どんな効果があるの?:つや出し剤はシリコンオイルが主成分の製品が多く、白化の原因となる樹脂表面の微細なクラック(ひび)にシリコンオイルが入り込むことで光の反射が抑えられ、黒く蘇(よみがえ)って見えます。
金額(目安):1000円~
つや出し剤塗布のメリット:簡単に塗布できます。塗りムラが少なく、短時間で作業が完了します。
つや出し剤塗布のデメリット:効果の耐久性はコーティング剤に比べると短く、通常1~3ヶ月くらいです。製品によってはシートやステップ部分につや出し剤を塗ると足元がツルツル滑る場合があるので注意が必要です。
どんな人向け?:気軽に失敗なく黒い光沢をすぐに取り戻したい人、耐久性の効果が短くても良いと思っている人、洗車のたびにつや出し剤を塗布すればいいと思っている人におすすめします。
つや出し剤を使うならコレ:樹脂パーツ以外にかけても安心なクレポリメイト クリア 250mlは、パーツが入り組んでいる部分にも気にせずシュッシュッとかけてさっと拭き上げれば光沢が蘇るので気に入っています。ただし、シートやハンドル、ステップには使わないでください。
4.コーティング剤を塗布する
方法:コーティング剤の塗布は、艶出し剤とほぼ同じ要領ですが、樹脂表面を洗浄した後に脱脂しなければなりません。脱脂をしないと、コーティング剤と樹脂の間に油脂が挟まり、剥がれやすくなるからです。
どんな効果があるの?:レジンコートやガラスコートなどが硬い被膜をつくり、樹脂表面を保護します。そのため、黒ツヤの復活はもちろんのこと、コーティング剤の撥水効果による汚れ防止や紫外線によるダメージ防止にも役立ちます。また、耐久性が高く、一般的に3ヶ月~1年以上効果が続きます。
金額(目安):2000円~8000円
コーティング剤塗布のメリット:つや出し剤に比べて耐久性の効果が3ヶ月~1年以上と長く、撥水効果による汚れ防止や、紫外線による樹脂の劣化を遅らせる効果があります。
コーティング剤塗布のデメリット:つや出し剤と比べると値段が高めです。塗布前に樹脂表面の洗浄や脱脂等、下地処理の手間がかかります。製品によっては慣れていないと塗りムラが出来る場合があります。安価のコーティング剤は2ヶ月くらいで効果が半減するのもあるようです。
どんな人向け?:多少値段が高くても、長期間効果が持続する商品を求めている人、樹脂本来の質感を大事にしたい人、被膜樹脂の劣化の進行を遅らせたい人などにおすすめです。
コーティング剤を使うならコレ:値段は高いですが、評判はかなり良いです。スーパーハードSH-Rは、塗った時の伸びがとても良いので少量で広範囲に塗布できます。耐久性は6~12ヶ月となっていますが、1年以上効果が持続しているユーザーさんもいるようです。
5. 塗装スプレーで塗布する
方法:樹脂表面を洗浄・脱脂してからプライマー(下地塗料)を塗布して乾燥させます。乾いたプライマーの上にラッカースプレー(例:つや消し黒)を塗布します。
どんな効果があるの?:樹脂表面に塗装することで、見た目は新品同様になります。また、塗料でカバーされるため、紫外線等による樹脂の劣化を遅らせることが出来ます。
金額(目安):2000円~
塗装スプレー塗布のメリット:見た目が新品同様に戻り、塗装で保護されるため樹脂本体の劣化も遅らせます。シリコンオイルなどを使用していないため、バイクのステップ部分に塗ってもツルツル滑りません。
塗装スプレー塗布のデメリット:下地の洗浄・脱脂・プライマー塗装をしっかり行わないと、塗装が剥がれてしまうことがあります。また、スプレー塗装には技術が必要であるため、慣れない人が塗装すると液垂れや塗りムラが起こりやすくなります。さらに、気温や湿度によっても塗装の出来が左右するため、塗装に向いている天候などの基礎知識が必要です。
どんな人向け?:スプレー塗装に慣れている人、慣れていないけれどやってみたい人、多少面倒でもお手頃な値段で新品同様に戻したい人、自分の好みの色にカスタマイズしたい人、樹脂の劣化を遅らせたい人におすすめします。
ラッカースプレーを使うならコレ:ラッカースプレーでは、これしか使ったことがありませんが、アスペンのラッカースプレーはきれいに塗れましたのでおすすめします。
「スプレー塗装」初心者の筆者もやってみた「樹脂パーツの黒ツヤ復活方法」
こちらは筆者のスーパーカブ110(ja10)のハンドル周りの樹脂パーツです。
青空駐車8年半でここまで白くなりました。
これから、白化した樹脂パーツにスプレー塗装をしていきます。
筆者はスプレー塗装に関して、過去に1回やったことがある程度のズブの素人ですが、今回、トライしてみました。
まず、ハンドルバーから樹脂パーツを外していきます。
ボタン類も外して、バラバラにします。
外れたパーツ類を洗浄・脱脂します。
ちなみに、今回の洗浄では、
- 水洗できるパーツは、中性洗剤と歯ブラシ等でゴシゴシ洗いをしました。
- 水洗できないスイッチ部は、パーツクリーナーを吹きかけたキッチンペーパーや綿棒で拭き取りしました。
脱脂では、どちらにもパーツクリーナーを吹きかけました。
洗浄と脱脂が終わったので、今度は表面にプライマーを塗ります。
このプライマーはボディの鉄風塗装の下地塗装として使ったものです。
成分は謎です(笑)が、塗料をがっちりつかむスグレモノなので気に入っています。
水性で匂いも少なく、使い終わった筆は水で洗えます。
プライマーを塗った直後、表面は白く泡立ちますが、しばらくすると消えるので問題ありません。
早く乾燥させたいので、ヒートガンを使用します。
このヒートガンを使えば、20~30分かかる乾燥時間が2~3分に短縮できるのです。
ヒートガンは吹き出し口から本当の熱風が出てくるので、加熱しすぎないように吹き出し口を振りながら乾燥させます。
ヒートガンを動かさずにじっと当てていると、樹脂が変形するか溶けてしまいますので注意します。
あと、ヒートガンを使うときは、スプレー缶などのボンベ類や引火しやすいものを必ず遠ざけて置くなどの安全対策が必要です。
下地作りが完了したら、いよいよ塗装していきます。
今回はラッカースプレー(つや消し黒)で塗装します。
塗料がそこら中に飛び散らないように、即席の塗装台を段ボールで作りました。
塗らなくても良い部分を左手で持ち、右手でラッカースプレーを吹いていきます。
今回はヒートガンの力を借りて乾燥時間を短縮し、10分くらいで2度塗りしました。
塗装したパーツを再びバイクに装着します。
これで完成です。
塗装前に比べると、白化が消え、落ち着いた黒に仕上がりました。
樹脂パーツにつや消し黒の塗装は、同じ黒なので、塗りムラがあっても目立ちません。
初めてスプレー塗装にチャレンジする方にもおすすめです。
是非トライしてみてください。
投稿者プロフィール
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【チャリダーからライダーへ】8年前、自転車整備の延長で、ほぼ一人でメンテできるスーパーカブ110(ja10)と出会い、世界が広がる。
【スーパーカブ】走行距離9万キロ。試行錯誤のメンテで失敗(エンジン焼き付き)もあるが、不調から回復するカブから元気をもらっている。
東京生まれ。沖縄在住25年。50歳で人生初の脱サラ。2023年からライターとして活動。「自分で直せる」を皆さんにお伝えできたら嬉しいです。
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