色々な種類のあるバイクカスタムのジャンルでも、人気の高いカフェレーサー。
メーカーから発売されているカフェレーサーもあれば、ベース車両を見つけて自分好みのカフェレーサーに仕上げるのも人気となっています。
カフェレーサーの歴史と、カフェレーサーとカスタムベースとなるバイクも含めて、おすすめカフェレーサー系バイクとカフェレーサーおすすめベース車両をご紹介します。
カフェレーサーとは
カフェレーサーの歴史
カフェレーサーの始まりは、1960年代のイギリス、ロンドンです。
ロックンロールを愛し強く影響を受け、革ジャンに革パンツ、ブーツというファッションで、レーサーのようにカスタムされたバイクに乗った若者をロッカーズと呼んでいました。当時はトライアンフやBSA(バーミンガム・スモール・アームズ)、ノートンなどの英国製バイクに乗ることが若者のステータスでした。
ロッカーズはカフェを溜まり場とし、自分達のバイクを自慢しあい、どちらが早いかを競い合うレースを行っていました。ジュークボックスの曲が終わるまでに決められたコースを走ってくる速さを競ったり、カフェの周りを何周できるかを競ったりするなど、カフェを中心とした公道でのレースでした。
カフェに集うロッカーズたちがバイクでレースをする、ということで、彼らのバイクスタイルやカスタムをカフェレーサーと呼ぶようになったとされています。カフェにたむろするレーサーもどき、といった意味合いもあったと言われています。
その中心となったのが、ロンドン北西部で1938年にオープンしたACECAFE(エースカフェ)です。1969年には一旦閉店しましたが、1997年には再び同じ場所でオープンし、現代でもカフェレーサーの聖地となっています。
日本では1980年代から1990年代にカスタムバイクに人気が出てきたことで、カフェレーサーが再び注目され、各メーカーからカフェレーサースタイルのバイクが登場しました。カフェレーサーはイギリスから始まった若者の文化だけで終わらず、バイクカスタムのジャンルとしてだけではなく、現在ではひとつのバイクジャンルとして確立されていると言えます。
カフェレーサーの定義
カフェレーサーとは、現在ではネイキッドでハンドルは低くバックステップという、スポーツタイプのカスタムがされたバイクのことを指し、お洒落でスタイリッシュなバイクというイメージの強いスタイルです。
カフェレーサーはレーサーと名が付きながら、レース場ではなく「いかに公道で速く走るか」ということを目的としたカスタムがされたバイクでした。そのため、バイクはそれぞれにオーナー個人の好みのカスタムがなされたもので、明確な定義はありません。
ただし、カフェレーサーに共通しているスタイルというものは確実に存在します。1960年代に流行したネイキッドバイクを主体として、前屈姿勢のライディングフォームになるような攻撃的なポジションで、レーシングバイクの特徴的なパーツを取り入れている、などがあげられます。
よくされているカフェレーサーカスタムの定番には、次のようなものがあげられます。
・車体
1960年代当時は、現在のようなフルカウルスーパースポーツなどは無かったため、ネイキッドバイクをレース仕様にカスタムしたものとなっています。そのためカフェレーサーと呼ばれるバイクは、現在の感覚で見れば全体的にレトロな雰囲気を持っています。
・ハンドル
カフェレーサーの定番といえば、前傾姿勢を取れるよう左右に独立したハンドルをフロントフォークにクリップオンで装着したセパレートハンドル、通称セパハンです。その他、一般的なバーハンドル位置よりも低めにしたコンチネンタルハンドル、バーハンドルを燕の翼のような形とすることで前傾姿勢をとるようにするスワローハンドルなども王道です。
・シート
一人乗り用シングルシートが定番で、厚みも薄く、全長は長めのものがよくつけられています。カスタム用にカフェシートとして販売されているものもあります。
・バックステップ
セパハンであれば、バックステップもセットとなっているのがカフェレーサースタイルの定番です。
・カウル
風防効果を高めるために、ビキニカウルやロケットカウルを装着することがあります。
どのカフェレーサーカスタムも、もちろん「速く走るため」というのがその最大の理由なのですが、英国風でクラシカル、かつお洒落な見た目にするため、という「カッコよさ」を追求する意味合いも多くを占めています。
おすすめカフェレーサー250cc
HONDA「GB250 CLUBMAN(クラブマン)」
GB250クラブマンは、1960年代を思わせるようなスタイルの単気筒ロードスポーツバイクで、若いライダーに現在でも人気が高いネイキッド。
CBX250RSをベースとして、一文字ハンドルを装着し、デザインもレトロな雰囲気を出したものとなっています。シンプルで飽きのこないデザインなので、カフェレーサーのカスタムベース車両として最適です。
軽量でスリムな車体を活かし、4サイクル単気筒ならではの軽快な走りと、個性的なスタイリングもあわせて楽しめるように開発されています。
1983年に発売された後、1988年には新しいカラーリングで発売され、ハンドル廻りの重量を軽減したり、ハンドルパイプの絞り角をやや手前に変更し乗り易さを向上させたりするなど細部を改良させました。
SUZUKI「ST250」
スズキST250は、バイクをシンプルに楽しめるモデルとして2003年から販売された、現在でも人気の高いバイク。簡略化された装備で最低限の実用性を満たすバイクとして作られ、クラシックさが強く感じられるバイクとなっています。
スポーク式のホイール、大型ヘッドランプ、エンジンの空冷フィンなどオートバイの伝統的な美しさを追求しつつ、懐かしさと親しみやすさを持つマシンです。
空冷の単気筒エンジンはトルクが強く、ハンドリングも快適で、街中を走るのに適しています。1990年代の後半までモデルチェンジをしながら生産されていたので中古車も多く、価格も手に入れやすいものが多いバイクです。
Kawasaki「ESTRELLA(エストレヤ)250」
カワサキのエストレヤ250は、1992年から販売されていたネイキッドバイクで、お洒落や自己表現の一つのツールとして、カスタムしたりゆっくり走ったりするだけでも楽しめることを追求して作られたバイクです。
発売開始以来、1950年代のメグロジュニアを思わせる上質感のあるフォルムで人気を博し、カフェレーサーのカスタムベース車としても人気があります。スポークホイールやキャブトンマフラー、サドル型シートが装着されていて、古き良き時代のスタイルといった外観です。
低中速回転域を実現した空冷4ストローク単気筒エンジンで、力強いトルクに車体もスリムで軽量という扱いやすいバイク。2017年にスペシャルエディション、ファイナルエディションとカラーリングやパーツのデザイン変更などを重ね、よりクラシカルなスタイルとなりました。
YAMAHA「SRV250」
SRV250は、1992年に登場したネイキッドバイクで、毎日の通勤からちょっとしたツーリングまでスポーティに楽しめる、走りの楽しさと所有感を満たしたトラディションナルVツインとしてデビューしました。
バフ仕上げされたカバーやスポークホイール、スリムな車体、また自然界の法則に近い1/fゆらぎを考慮しながらサウンド開発にも力を入れたというバイクです。
1996年にはSRV250をベースにした、カフェレーサースタイルのモデルが販売されました。ゆっくり走りながらVツインの鼓動と音を楽しみたい、英国なスタイルでカスタムを楽しみたい、といったライダーにオススメのバイクです。
おすすめカフェレーサー251cc〜400cc
HONDA 「GB400TT(ツーリストトロフィー)Mk2」
GB400TTはホンダが1985年に発売したバイクで、伝統的なスタイルを継承しながら、単気筒エンジン独特の力強い走りの味が楽しめるロードスポーツバイク。
同シリーズのGB400TTMk2は、特徴的なロケットカウルにクラシカルな外装、フロントフェンダーの特徴的な造形、ヘッドライトステイやウインカーベース・ホイール・リムなどはアルミ製で、前後フェンダーやサイドカバーは鉄製で金属素材を多く使い質感を大切にするなど、細部まで凝った作りのバイクです。
カフェレーサーのスタイルと、最新の技術を生かした中・低速域での力強い乗り味を調和させたものとなっています。
YAMAHA 「SR400」
日本の名車との名高いヤマハSR 400は、1978年3月に初代モデルの発売が開始され、販売中止と復活を繰り返しながら、2021年にファイナル・エディションとなったヤマハの中で最も長い歴史を持つロングセラーモデルです。
空冷4スト単気筒で軽快な走りが楽しめ、ハンドリングの素直さと取り回しの良さで人気が高まりました。タンクはサンバーストと呼ばれる塗装がされており、高級感とビンテージ感溢れる外観がシリーズの特徴となっています。
オートバイの原点と言えるようなシンプルで美しいデザインに、ビッグシングルならではの気持ち良い鼓動を感じられるエンジンのこのバイクは、カフェレーサーカスタムのベースとしても最適です。
SUZUKI「BANDIT(バンディット)400LTD」
バンディット400は、1989年に発売されたネイキッドバイク。フレームに剛性の高い鋼管製ダイヤモンドフレームを採用し、艶をキーワードにしてボリューム感や曲線美を意識し、遊び心のあるデザインとなっています。中・低速を重視したセッティングで市街地を走りやすい仕様となっています。
バンディット400 LTD(リミテッドエディション)は、バンディット400の派生モデルとして1990年に発売されました。基本の構成はバンディット400と同じですが、カフェレーサー風のロケットカウルが標準装備されているのが大きな特徴です。
Kawasaki「W400」
2006年に登場したカワサキW400は、新設計の空冷並列2気筒エンジンを搭載したスポーツタイプのネイキッド。
薄型電気式メーターなどの機能部品を採用しつつ、クラシカルな見た目のマフラー、高品質を感じさせるアルミリムに防錆スポークホイール、美しいタンクとクランクケースカバーなど、所有する楽しみと乗る楽しみを併せ持つバイクです。
シンプルでクラシックなバイクで、シート高を低め(765mm)にして乗りやすくするなど、街乗りもしながら趣味やファッションに強いこだわりを持つライダーを対象にしていて、カフェレーサーのベースに最適です。
HONDA「GB350/ GB350 S」
ホンダGB350は、シンプルでクラシカルな外観と、人とバイクの一体感が味わえるバイクとして2021年に発売されたバイク。空冷・直立・単気筒という特長そのものを表現し、機能美が追求された車体となっています。
ヘッドライトやウインカー、テールライトにはLEDが採用、トラクションコントロール、ABSを備えるなどレトロなデザインではありますが現代的な装備が付いています。
また、GB350をベースにしたGB350S は、よりスポーティなバイク。リアホイールを17インチに小径化しワイドなラジアルタイヤを採用、メインステップ位置をより後方上部に配置し、ハンドル位置をより低くして前傾姿勢となるようにするなど、より攻撃的なスタイルとなっています。GB350、GB350 Sともに、軽快な街乗りやゆったりとツーリングするのに最適で、カフェレーサーとしてオススメのバイクです。
おすすめカフェレーサー401cc〜
SUZUKI「SV650X」
スズキSV650Xは、スポーティさとカフェレーサースタイルを融合させたバイク。
Vツインエンジンを搭載したスポーツバイクSV650をベースにして、カフェレーサースタイルに相応しいセパレートハンドル、レトロ感溢れるタックロールシート、ビキニカウルを装着しています。
レトロなスタイルと現代的な走行性能や扱いやすさを兼ね備え、街中ではスタイリッシュに、ワインディングではスポーティに楽しめるカフェレーサーです。
Kawasaki「W800/W800CAFE」
「W」は、カワサキの代表的なブランド。W800シリーズは、カワサキ往年の大排気量車であるW1(ダブワン)やW3を想わせるレトロで重厚なスタイルや、空冷の並列2気筒エンジンらしいサウンドが特徴のバイクです。
W800のシリンダーヘッドとクランクケースはシルバー仕上げで、19インチフロントホイールが旋回特性や安定性を高め、ゆったりとしたハンドリングとクラシカルな乗車感を実現しています。
W800CAFEはカフェレーサースタイルのフロントカウルのついたシリーズ。こちらは前後18インチホイールを採用することで、軽快なハンドリング特性を実現させています。クラブマンスタイルの低めにセットされたハンドルバーとカフェシートによる適度な前傾姿勢によって、よりスポーティな乗り心地になっています。
Kawasaki「Z900RS/ Z900RS CAFE」
Z900RS は、Z1からインスピレーションを受けたバイクで、ティアドロップフューエルタンクやテールカウルをはじめ、ホイール、ボルト類に至るまで、こだわりが盛り込まれたバイク。
カワサキトラクションコントロールやマルチファンクション液晶パネル、LEDヘッドライトなど高性能な装備を備えながらも、懐かしい外観からレトロモダンな魅力があります。
また、Z900RS CAFE はZ900RSをベースにフロントカウル、コンチネンタルハンドル、シングルシートなどで、正にカフェレーサースタイルに仕上げられた人気の高いバイク。街中を走るだけでも、ツーリングやスポーツ走行でも楽しめます。
HONDA HAWK11(ホークイレブン)
HAWK11は、走りの楽しみを忘れない大人のバイクの象徴として、一体成型FRP製のロケットカウルのついた、カフェレーサースタイルのロードスポーツモデルです。ラウンド形状のLEDヘッドライトもロケットカウルにマッチし、モダンさとレトロさが融合しています。
セパレートハンドルで、バンク角を確保できるようサイレンサーを上向きに配置してあり、積極的にワインディングを楽しめる作りとなっています。
バックミラーはメーターステーに締結されて位置が低く、ライディング中に少ない視線移動で確認できる見易さに、デザインの独自のスタイルを両立させています。
BMW R nineT Racer(アール・ナインティー・レーサー)
空油冷4ストロークフラットツインエンジンを搭載したBMW R nineTをはじめとし、R nineTRacerやR nineTPure(ピュア)といったR nineTシリーズは街中に似合うカフェレーサースタイルで、カスタムベースとしてもオススメのバイク。
特にR nineT Racerは、ハーフタイプのロケットカウルにセパレートハンドル、低めのシングルシート、ステンレス製メガホンサイレンサーと、1970年代のスポーツモデルを彷彿させるデザインとなっています。
レトロな外観でありながらBMWの最先端技術を搭載しており、さらにアルミ鋳造の燃料タンク、スポークホイール、HP(ハイパフォーマンス)カーボンパーツやHPスポーツマフラーなど、カスタマイズのオプションも豊富です。
TRIUMPH トライアンフ Thruxton RS(スラクストンRS)
スラクストン500レースで優勝したことからThruxton(スラクストン)と名付けられた初代モデルは、マン島TTレースでも活躍し、カフェレーサーに乗る若者たちにも人気となりました。そのモデルのDNAを持ちつつ、さらに進化を遂げたのがトライアンフのThruxtonRSです。
1200cc 並列2気筒エンジンにスポーツ性能を重視した専用シャシー、ハイスペックなサスペンション、レース由来のタイヤを装着し、Brembo製M50フロントブレーキを搭載、ライディングモードも3種類あり、走りに合わせて変えられます。
元祖カフェレーサーのデザイン要素を色濃く反映しながら、現代にもマッチするパフォーマンスを持ち合わせた正統派カフェレーサーとなっています。
まとめ
カフェレーサーとは、1960年代からイギリスで人気を博したバイクカスタムやスタイルの種類のことです。また、カフェレーサーに乗るライダーのスタイルを指して言うこともあります。
カフェレーサーは一時の流行でなく、現在でもひとつのバイクスタイルとして浸透しています。
各メーカーからカフェレーサーとして出ているものを選んだり、カフェレーサーベースの車両を手に入れて自分好みにカスタムしたりすることで、様々なかっこいいカフェレーサースタイルを楽しむことができるでしょう。
速く走ることを追求しながら、レトロでかつお洒落でスタイリッシュな外観も極めるカフェレーサー。乗って楽しい、眺めるだけでも楽しいカフェレーサーを、ぜひバイクライフに取り入れてみてください。
投稿者プロフィール
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GPZ750R改に乗っているねこにんじゃと申します。
ライターでイラストレーターです。
「おすすめグッズを知りたいけど面倒だから誰かまとめて」
「整備について知りたいけど難しいから簡単に知りたい」
などなどのバイクライダーの希望をかなえます。
バイクライフがより楽しくなるような情報を、できるかぎりわかりやすくお届けしていきます。
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