ツーリングの思い出を記録に残したい!そんなライダーも多いですよね。現在はスマートフォン(以下、スマホ)のカメラ性能も向上し、簡単かつ手軽に綺麗な写真が撮れる時代なのでなおさらです。そんなライダー達が、より綺麗な写真や、スマホで撮影できない写真や映像を撮りたいと、一眼カメラや、アクションカメラなどを利用するようになってきています。そして、様々な形態で記録を残せるようになると欲張りになってくるのが人の心理ですよね?
そんな中、私も思ってしまったんです!”ツーリング先で空撮をやってみたい”と・・・
しかし、ちょっと調べてみても現在は、ドローンの規制が厳しく、何がOKで何がNGなのかが判り辛い。今回は、実際に私がツーリング先でのドローンによる空撮を実行するまでの経緯と気を付けなければならない点を、なるべくシンプルかつ簡単に、まとめて行きたいと思います。
今後ツーリング先でドローンによる空撮を行いたいという方、是非最後まで読んでみてください!なお、最初に導入機体の説明をいたしますので、お急ぎの方は、”機体の登録申請”から読んでいただいても結構ですよ。
導入機体
”Holy Stone Toys”の”HS720E-RID”という機体を入手しました。なお、機体の名称については”HS-720”が、メーカーの識別名称であり”E”が、EIS(下記にて説明)を搭載している旨の表示、”RID”が、リモートID(下記にて説明)を搭載している旨の表示となっているようです。
機体の特徴
外観的には、4つのプロペラがそれぞれアームを介して搭載されているタイプで、各アームを機体本体側へ降りた畳む事ができます。このため非常にコンパクトに収納する事が可能です。
カメラは4K画質を実現しており、EIS(Electronic Image Stabilization)と呼ばれる電子動態ブレ補正を搭載している事により、動画撮影時の微振動による波打ち(いわゆるコンニャク現象)などを抑える事ができます。さらに、カメラ角度は、上下に90度動かす事ができるため、水平状態を維持したまま、真下の映像を撮影するなども可能です。
機体の機能
機体は、GPSを搭載しているため、起動時に記憶した位置情報に基づいて自動(バッテリー容量不足や過遠隔操作時など)や、ワンキーで元の位置に戻る事ができます。ただし、障害物等を避ける機能は無いがため、戻って来るルートに大きな障害物等が存在する場合には気をつけなければならないでしょう。
フォローミーモード
送信機を持っている人(操縦者)を追尾する機能です。原理的には、バイクに乗った人を一定距離を開けて追尾する事も可能です。ただし、この機体の最高速度が30km/hな事に加え、道路交通法上、視認・操作できない状態の機体を公道上で飛ばす事はできないため、自身がバイクに乗った状態を追尾撮影する場合には、場所の選定が必要になるでしょう。
ホバリングモード
送信機を持っている人(操縦者)を中心として円を描くようにドローンが飛行するモードです。カメラは操縦者側を向くため、一人では撮れないような不思議な動画を撮る事も可能です。ホバリングで描く円の半径は、あらかじめ設定する事が可能です。
ウェイポイントモード
専用のアプリでドローンの飛行ルートを描く事で、ドローンが指定されたルートを飛行するというものです。操縦に慣れないうちに、好きなルートでドローンを飛ばして撮影を行う場合には、最も使える機能だと考えてはいるのですが、いざ飛ばすとなると、なかなか、この機能の事まで頭が回らず、未だ使えておりません。
ヘッドレスモード
機体がどの方向を向いていても、操縦者の視点を基準にしてドローンを動かす事ができる機能です。リモート操作の場合、行きは、操縦者の視点を基準とした左右とドローンの左右が同じですが、帰りは、操縦者の視点を基準とした左右とドローンの左右が逆転します。慣れない場合、あるいはドローンの前後左右がどこを向いているのか判らなくなった場合、ドローンが思わぬ方向に動いてしまうといった事を防ぐ事ができます。
機体の登録申請
航空法の改正により2022年6月から、100g以上(従来は200g以上)の機体が規制対象となり、国土交通省が管理する”DIPS:Drone/UAS Information Platform System(ドローン情報基盤システム)”への登録を行い、登録記号を受ける必要があります。また、同時期から、飛行中や、近くに所持者がいない状態でも、機体の所有者等を把握することが出来るリモートIDの搭載、及び登録が必要となりました。今回導入したHS720E-RIDは、494gであるため、機体の登録申請が必要になります。
申請方法
ドローン機体の登録申請には、大きく分けてオンライン申請と、紙媒体での申請といった2つの方法があります。いずれの申請方法においても、“住所、氏名、生年月日、電話番号、本人確認書類”といった所有者(使用者)情報の他、機体情報(製造番号等)が必要になります。なお、機体情報に関しては、主要メーカーの製品であれば、機体番号の選択等、簡単な情報入力のみで申請が可能です。
オンラインで申請を行う場合、DIPS(Drone/UAS Information Platform System:ドローン情報基盤システム)での申請となるため、DIPSへのアカウント作成が必要となります。
DIPSのアカウント作成後は、ログインして指示に従い、必要情報を入力していきます。
なお、申請にあたっては、申請の手段や本人確認書類の種類によって、手続費用が変わってきます。例えばオンライン申請で本人確認書類をマイナンバーカードとした場合には900円(1機目)であるところ、本人確認書類を免許証等、マイナンバーカード以外のものとした場合には1,450円(1機目)となります。さらに、紙媒体による申請の場合には2,400円(1機目)となり、手数料が大きく異なるため、注意が必要です。
また、機体の登録申請を行うと、各機体には“登録記号”が付与されます。ドローンには、この登録記号を貼付しておく必要があります。ここで、機体重量が25kg未満である場合には、貼付する登録記号のフォントの高さは、3mm以上、機体重量が25kg以上である場合には、登録記号のフォントの高さが25mm以上とする必要があります。
ちなみに、登録せずに屋外飛行を行った場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることとなります。
ドローンを飛ばすには免許が必要?
ドローンには、“無人航空機操縦者技能証明”といういわゆる免許制度が存在します。一般的に、免許制度があると、免許が無ければ運転(飛ばす)ことができないのではないか?とも思われがちですが、そうではありません。
“無人航空機操縦者技能証明”は、その名の通り、一定の技能を有するという旨の証明であり、航空法で定められている特定飛行(下記参照)を行う際、その一部において国土交通大臣等への許可申請が不要となるなどのメリットがあるにとどまります。
申請が必要な行為
国土交通大臣の許可や承認が必要なのは、航空法により定められた”特定飛行”という飛行形態となります。
特定飛行とは
飛行空域での飛行と、飛行方法についてそれぞれ規定があります。
特定飛行に該当する飛行空域としては、次の4項目を挙げる事ができます。(1)空港等の周辺空域、(2)緊急用無空域、(3)150m以上の上空、(4)人口集中地区の上空。これらを図で示すと以下のようなイメージとなります。
特定飛行に該当する飛行方法としては、次の6項目を挙げることができます。(1)夜間での飛行、(2)目視外での飛行、(3)人又は物件との距離(30m)を確保できない飛行、(4)催し場所上空での飛行、(5)危険物の輸送、(6)物件の投下。これらを図で示すと以下のようなイメージとなります。
その他、“小型無人機等飛行禁止法”によっても飛行禁止区域が定められており、重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止されています。
小型無人機等飛行禁止法で定める重要施設には、以下のようなものがあります。
・国の重要な施設等(国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等、機器管理行政機関の庁舎、政党事務所)
・外国公館等
・防衛関係施設
・空港
・原子力事業所
その他、特定措置により定められた、大会等の会場も含まれます。
許可申請
上で説明したような特定飛行を行う場合、いわゆる免許取得により許可取りが不要となる場合意外は、国土交通大臣による許可や承認が必要となります。しかし、逆を返せば、”特定飛行意外”であれば許可などが不要なのか?というと、そうではありません。
なぜならば、日本の国土は全て、国、地方自治体、その他団体や個人が管理、所有しているため、飛ばす土地の管理者、あるいは所有者に、ドローン飛行の許可を得る必要があるからです。めんどくさいと思うかもしれませんが、例えば、知らない人が自分の家の庭に勝手に入り込んで遊んでいたら嫌ですよね?なので、遊ばせてもらうためには、少なからず許可や届出が必要となるのです。
許可申請がゆるい場所もある
許可申請というと、審査などがあったりするのかな?と、かなり厳しいイメージも沸きますが、かならずしもそうでは無く、許可申請に対する措置が緩い場所もあります。ちなみに、ブラウザの検索機能などを用いて”ドローン+○○(飛ばしたい場所)”と検索すると、その場所におけるドローン飛行のルールなどを知る事ができる場合も多いという印象を受けました。
日光地域での申請事案(実際の申請書のイメージ画像)
関東では特に、日光土木事務所が管理する道路・河川での飛行に関しては、有名所にも関わらず許可申請の措置が緩い印象を受けました。
具体的には、下記のような使用届を提出すれば良く、日光土木事務所のHPによれば、「内容に問題がない場合は、届の受理のみで許可証等の発行や受理のご連絡はいたしません。」との事でした。
鎌北湖などが有名な埼玉県毛呂山町も申請は簡単!
桜や洋風な管理棟が魅力で撮影スポットとしても人気の高い鎌北湖を管理する毛呂山町では、ドローン撮影を行う日時、連絡先、撮影内容等をメールで連絡するといった事で許可取りができるようです。
二瀬ダムでは申請不要?!
さらに、パワースポットでもある三峯神社へのアクセス道路を兼ねている二瀬ダムでは、特に許可申請についての言及は無く、周辺飛行時の禁止事項が定められているのみでした。
実際に飛ばしてみた
こうした禁止行為や許可取りを踏まえ、実際にドローンを飛行させてみました。今回導入した機体は、機械式のジンバル(水平維持装置)を備えていないため、飛行時(移動時に移動方向に前傾に傾く)の機体の傾きにより映像も傾いてしまいましたが、操縦に慣れればスムーズな撮影も可能になるのではないかと感じました。また、写真撮影は静止して行われるため、こうした問題は関係ありませんでした。
ツーリング先でも撮影をしてみたのですが、動画の容量がアップロードサイズを超えてしまっていたため、またの機会があれば、YouTubeなどで編集して紹介させていただきたいと思います。下の動画は、街並みを撮影したものです。
まとめ
いかがでしたか?機体の登録申請や飛行可能区域であるかの選定、および飛行場所での許可取りなど、少々面倒な事も多いように感じられますが、ツーリング計画の一環として許可取りを行うようにすれば、さほど面倒な作業でも無くなります。機会があれば、様々な場所での撮影についてのお話もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール
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BMW F900XRとDucati MonsterS2Rでチョイノリからロングツーリング、サーキット走行まで楽しむリターンライダー。
リターン後のツーリングは首都圏内での日帰りをメインとして、美味しい物や良い景色を堪能している。
ご当地"グルメ調査隊"と称してマスツーリングの企画運営なども手掛けることから、バイクの様々な楽しみ方を伝えて行く事を目標としている。
若い頃は、日帰りで埼玉-青森間を往復したことがある、 "自称"やれば出来る男。
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